ウマ娘達との出会い   作:ダシマ

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ダイワスカーレット

 

 ウオッカとの勝負が終わった飛鳥。ウオッカは勝負の後エアグルーヴとフジキセキに大目玉を食らったが、飛鳥へのリベンジに燃えながら寮の掃除に励んでいた。

 

 そして飛鳥はというと、ウオッカとの勝負でまた知名度が上がった。

 

***

 

 それはさておき、ウオッカやダイワスカーレットが出場する『選抜レース』の日がやってきた。選抜レースは年に4回行われ、ここで結果を出すことによってトレーナーからのスカウトを受ける機会が多くなる。その為、ウマ娘達にとっては大事なレースなのだ。

 

エアグルーヴ「会長はもうじき来られる。それまで私と一緒にいて貰うぞ」

飛鳥「分かりました…」

 

 飛鳥はエアグルーヴの案内でレース選抜を見ていた。ちなみにゴールドシップは焼きそばを売っていた。

 

飛鳥「…学内でバイトって出来るんですね」

エアグルーヴ「…ああいう輩もいるから不安なのだが、様々な家庭の事情があって理事長も許可をしている。それよりもレースに集中しろ」

飛鳥「はい」

 

 こうして、ウオッカ達の出番が来た。

 

「宜しくお願いしまーすっ!」

「しゃーす」

 

 ウオッカとダイワスカーレットが同時に出てきた。

 

飛鳥「ウオッカ…」

エアグルーヴ「ウオッカの隣にいるウマ娘は知っているか?」

飛鳥「…確か、同期のダイワスカーレットでしたね」

エアグルーヴ「ああ。実力は五分でウオッカのルームメイトでもある。覚えていて損はないぞ」

飛鳥「はい」

 

 すぐにウオッカとスカーレットのレースが始まった。エアグルーヴが言っていた通り、スカーレットの走りは良いものだった。ペースは速いものの、それについていけるだけのスタミナを持ち合わせ、トレーナーの関心を引いていた。

 

 だが、ウオッカも負けてはいなかった。

 

ウオッカ「うおらぁああああああああああああああ!!!」

 

 ウオッカが終盤で一気にスカーレットを追い抜いた。スカーレットは追い抜かれて必死に追い抜こうとしたが追いつけなかった。

 

 そしてそのままウオッカの勝利で幕を閉じたのだが、エアグルーヴは飛鳥を見ていた。

 

エアグルーヴ「貴様…何かしたのか?」

飛鳥「超能力は使ってませんよ。ウマ娘のパワー相手にここからじゃ金縛りなんて…」

エアグルーヴ「違う!」

 

 飛鳥が違う事を言いだしたのでエアグルーヴが慌ててツッコミを入れた。

 

エアグルーヴ「ウオッカのトレーニングを見たのか?」

飛鳥「ちょっとだけですけどね。あいつが独自にやってたトレーニングメニューを見せて貰って、ちょっと修正したんですよ。マイルが一番得意だって言ってたので、マイルで必要なスピードとパワーを強化したんです」

 

 飛鳥の言葉にエアグルーヴが少し驚いた。転校初日の時点で飛鳥の事をそれなりに調べてたが、その調べていた内容に嘘はなかったと確信をしたからだ。

 

***

 

ウオッカ「おっしゃーっ!!!!」

 

 ウオッカが勝利して天高くガッツポーズを上げると観客が沸いた。それとは対照的にスカーレットは悔しそうに表情をゆがめていて、飛鳥は何かを感知した。

 

エアグルーヴ「…どうした?」

飛鳥「あのスカーレットって子、ちょっと危ないですね」

エアグルーヴ「危ない…か」

 

 飛鳥の言葉にエアグルーヴは少し心当たりがあるかのように反応した。

 

飛鳥「トレーナーをする人はきちんとケアができる人じゃないといけなさそうですね」

エアグルーヴ「…そうだな」

 

 次の瞬間、スカーレットはすぐにその場を走り去ってしまった。ウオッカが呼び止めてもそのまま走っていった。先日とはまるで逆である。ウオッカも少し面白くなさそうにしていた。

 

飛鳥「まあ、一旦は様子を見た方が良さそうですね」

エアグルーヴ「全く…」

「待たせて済まない」

飛鳥・エアグルーヴ「!!」

 

******

 

 選抜レースが終わった夜だった。

 

「はぁ…はぁ…。ダメ、こんなんじゃ…」

 

 ダイワスカーレットがトレセン学園近くの神社でトレーニングをしていた。

 

「もう…あんな思いは…」

 

 その時、物音がしてダイワスカーレットは驚いた。

 

ダイワスカーレット「だ、誰っ!!?」

 

 気の強い彼女だが、おばけは苦手な方でありおばけが出たのではないかと怯えながら周りを見渡した。

 

「探しましたよ。ダイワスカーレットさん」

 

 現れたのは飛鳥だった。現れたのがウオッカとレース勝負をしていた男だったので、スカーレットは強気な態度に出た。

 

ダイワスカーレット「あ、あんたは…」

飛鳥「一応年上なんですけどね」

 

 ウオッカといい、スカーレットといい、敬語を使わないのに少し抵抗がある飛鳥だったが、一旦それは止しとした。

 

ダイワスカーレット「…まあいいわ。今自主トレーニング中なの。引き取ってもらえるかしら?」

飛鳥「無断で夜間外出してる事、バレてますよ」

 

 飛鳥の言葉にスカーレットは青ざめた。ウオッカやダイワスカーレットがいる栗東寮では門限があり、それを破るとペナルティがあるのだ。無断で夜間外出をする事など猶更である。しかし、スカーレットとしてはウオッカに勝つ為には時間が足りないと判断し、こうして夜間に出てトレーニングをしていたのだ。

 

飛鳥「エアグルーヴさんとフジキセキさんがお待ちになってます。一緒に来て貰いますよ」

 

 飛鳥の言葉にスカーレットは表情をゆがめた。

 

*****

 

 栗東寮前

 

「まさかとは思っていたが、数日も寮を抜けていたとはな」

「申し訳ございません…」

 

 飛鳥がスカーレットを送り届けると、エアグルーヴとフジキセキが待っていて、エアグルーヴがスカーレットに注意していた。

 

フジキセキ「悔しい気持ちは分かるけど、事前の届け出もなく夜間外出するのは感心しないな」

 

 フジキセキにも注意されてスカーレットはばつが悪そうにしていた。

 

エアグルーヴ「それもそうだが、お前…かなり走りこんでいるな?」

ダイワスカーレット「ど、どうしてそれを…」

エアグルーヴ「私くらいになればそれくらい分かる。そして…そいつもそれを理解していた」

ダイワスカーレット「!」

 

 エアグルーヴに言われてスカーレットは飛鳥を見ると、飛鳥は表情を変えることなくスカーレットを見ていた。

 

エアグルーヴ「…ウオッカに負けて悔しい気持ちは分かる。だが、オーバーワークだ。取り返しのつかないことになるぞ」

ダイワスカーレット「で、でも!」

「ちょっといいかい?」

 

 飛鳥が口を開いた。

 

ダイワスカーレット「な、何よ…」

飛鳥「君、ウオッカの同期だったね」

ダイワスカーレット「え、ええ…」

飛鳥「一つ聞きたい事がある。君をそこまでにする理由ってなに?」

 

 飛鳥が口を開くとスカーレットは握りこぶしを作ると、飛鳥が超能力を使って声が外に漏れないように結界を張った。

 

ダイワスカーレット「そんなの決まってるじゃない! アタシは1番になりたいのよ!」

飛鳥「……」

ダイワスカーレット「そして1番嫌いなのが2番になる事なの! どうしても1番じゃないと気が済まないのよ!!」

飛鳥「成程」

 

 スカーレットの言葉を飛鳥はただ聞いていた。グルーヴも言いたい事はあったが、フジに促されて飛鳥を信じてみることにした。

 

ダイワスカーレット「そりゃあ、人からバカだって言われた事もあったわよ! そこまでして1番になりたいのかって!! それでも1番になりたいの!」

 

 スカーレットが想いを飛鳥にぶつけた。

 

飛鳥「言いたい事は良く分かった」

 

 すると飛鳥はスカーレットを見つめた。

 

飛鳥「でも、それとこれとは別だ。規則はきちんと守りなさい」

 

 飛鳥の言葉にスカーレットが激高した。

 

ダイワスカーレット「何よ! 結局説教しようって…」

飛鳥「理由ならあるよ」

「!」

飛鳥「規則を破るって事はそれ…ズルしてる事と同じだからね」

 

 飛鳥の言葉にスカーレットの目が大きく開いた。

 

飛鳥「今の君はズルをしてまで1番になろうとしてる訳だ。そんな1番に何の価値があるの?」

ダイワスカーレット「……っ!」

 

 飛鳥の言葉にスカーレットは俯いて歯ぎしりをした。言われてみればそうである。ズルをして勝ったウマ娘はテレビで見てきて、どうなったかも分かっていた。

 

飛鳥「どうしても1番じゃなきゃ気が済まないのはいい。寧ろ勝ちたいって気持ちは勝負の世界じゃ必要だし、良い事だ。けど…本当の意味で1番になりたいなら正々堂々とやりなさい。悪い事をして1番になっても誰も認めないよ」

 

 飛鳥が毅然とした態度で言い放つと、スカーレットは無意識に目から涙があふれた。自分が間違っていたという後悔でも罪悪感でもない。言っている事は理解できているからこそ、どうしたらいいのか分からなかったのだ。

 

飛鳥「辛いかもしれないけど、勝負はフェアじゃないとね。グルーヴさん、フジさん、私はもう行きます」

フジキセキ「うん。ありがとう」

 

 そう言って飛鳥はその場を後にして、スカーレットが俯いた。

 

****

 

 その後、スカーレットは正式に1週間以上は練習禁止を言い渡され、破れば退学を検討すると言われ渋々休んだ。そんな時、飛鳥とウオッカがゴールドシップとトレーニングをしているのが見えた。

 

ダイワスカーレット「……!」

 

 スカーレットが謹慎中の間もウオッカは勝ちを重ねていた。ウオッカは選抜レースに勝って、色んなトレーナーから声がかかったのだが、飛鳥のトレーニングをすれば更に強くなれるのではないかと考えた為、レベルアップを果たしてからまた声をかけるようにした。

 

 飛鳥としてはきちんとトレーナーを見つけて、そのトレーナーと二人三脚で走って欲しいと考えていたが、トレーニングする相手に困っていた事もあった為、一旦面倒を見ることにした。で、そんな時にゴールドシップが乱入してきて、今は三人でトレーニングをしていた。

 

 だが、一番気になっていたのはウオッカだった。教官に対してはあれだけ反抗的だったのに、飛鳥に対しては素直に言う事を聞いてトレーニングに励んでいた。

 

 次の瞬間、スカーレットの脚は自然と3人の方に向かっていた…。

 

 

おしまい

 

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