ウマ娘達との出会い   作:ダシマ

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本来は縹鉄馬が正しいですが、馬という字が使えないため、
テツマ表記です。


縹鉄馬編
ナイスネイチャ


 

 ライスシャワーが天智のチームに入り、ダシマカップは更に面白くなろうとしていた。

 

 しかし…

 

「それでは今日はウマ娘科との生徒達と交流を深めてみましょう!」

 

 天智、太一が所属するトレーナー科はこの日、ウマ娘科の生徒達と交流を深める事となったのだ。言われるがまま生徒達は交流を深めようとしていたのだが…。

 

 一人の男子生徒・縹テツマがウマ娘達をじっと見つめていた。

 

「…どうしたの縹くん。あなたも早く行きなさい」

 

 教官にそう言われるもテツマは静かに目を閉じて、前に進んでいったがウマ娘を見つめるだけで話しかける様子はない。テツマの行動に皆疑問を持っていた。

 

教官「縹くん。一体どうしたの。見てるだけじゃ分からな…」

テツマ「…悪いな。この中にお眼鏡が合いそうな奴がいねぇ」

「え?」

テツマ「オレに構わず他の奴を見てやってくれ。じゃあな」

 

 そう言ってテツマはその場から離れていった。そんな彼を見てクラスメイト達は不審に思っていた。

 

「またかよ…」

「此間もそんな事言って、ウマ娘達と関わろうとしなかったよな…」

「ほっとけあんな奴」

「カッコつけたい年頃なのよ…」

 

 と、皆冷ややかな目で見ていたが、天智が心配そうに見つめていた。

 

*****

 

「縹くん! 一体どういう事!?」

 

 授業が終わると、クラスメイトの荒垣紬が話しかけてきた。

 

テツマ「どうもしねぇよ。お眼鏡に合わねぇって言ったろ」

紬「だとしてももうちょっと仲良く…」

テツマ「向こうもこっちと仲良くなる気はねぇんだ。お互い様だろ」

 

 テツマの言葉にクラスメイト達が反応すると、太一と天智が気まずそうにしていた。

 

「それはそうと困るんだよなあ。あんな事されちゃ!」

 

 クラスメイトの一人が話しかけてきたが、テツマは冷ややかな目で見ていた。

 

テツマ「何が言いたい」

「君のせいでこっちが迷惑してるんだよ! 真面目に授業をうけるつもりがないなら、出て言ってくれないかな!」

 

 そう言うと他のクラスメイト達も何とも言えない顔をしていた。出ていけとまでは言わないが、雰囲気がいつも悪くなるので迷惑はしていた。

 

テツマ「オレはいつだって大真面目さ。とはいえ気を悪くしてるならすまねぇな。お詫びに一ついい事教えてやるぜ」

「な、何だ…」

テツマ「他人は他人だぜ」

 

 テツマがそう言うと男子生徒は驚いた。

 

テツマ「それに、真面目にやってりゃ何言ってもいいのか? それはとんだ思い上がりだぜ」

「な、何だと!!?」

テツマ「そうやって上手く行かない事があったり、気に入らねぇ事があると今みてぇに他人に当たるなんて、それこそトレーナーに相応しいと言えるのか?」

「へ、屁理屈を言うな!!」

 

 そう言ってテツマの胸ぐらを掴みかかったが、運悪く先生がやってきた。

 

「コラァ!! 何をしてるんだ!!」

「!」

「ちょっと生徒指導室に来なさい!」

「ち、違うんです! こいつが…」

テツマ「分かりました」

「!」

 

 言い訳をする男子生徒とは対照的にテツマは素直に応じた。すると教師は困惑していた。

 

「お前じゃない! とにかく来るんだ!」

「は、離してください! くそう! どうして僕がぁああああああ!!」

 

 男子生徒が連れていかれて皆困惑していた。

 

テツマ「相手がどんな事を言おうが、手を出した時点で負けだよ」

 

 そう言ってテツマは男子生徒に構う事なく目を閉じた。

 

****

 

 こうしてテツマはクラスから孤立した。他の生徒達は連れていかれた男子生徒に同情していた事もあり、紬、太一、天智以外はもうテツマに構おうとしなかった。

 

 そんなある日の事…。

 

「今日もウマ娘科と交流を深めてもらいます…」

 

 テツマがいるだけで教官のテンションが下がっていた。テツマはそんな教官を見て苦笑いしていた。

 

テツマ「そんな顔するなよ先生。いたらちゃんと真面目にやるさ」

教官「……ッ!」

 

 テツマの言葉に教官も男子生徒もテツマを睨みつけていた。さっさといなくなればいいのにと思っていた。

 

 そしてこの日もお眼鏡に合うウマ娘がいなかったのか、離れようとしていた。

 

太一「…またいらっしゃらないのですか?」

テツマ「ああ」

 

 太一が話しかけるとテツマが一言だけ返してその場を去ろうとしていた。

 

「ちょっとちょっと!!」

 

 そんな中、誰かが声をかけてきた。

 

テツマ「誰だお前」

「いやー…。えっと、ナイスネイチャというウマ娘でして…」

 

 話しかけてきた割には妙におどおどしているウマ娘を見て、テツマは冷めた目つきをしていた。

 

テツマ「何か用か?」

ナイスネイチャ「その…。どうして毎回いなくなろうとするのかなって…」

テツマ「お眼鏡にあうウマ娘がいない。って言えば分かるか?」

ナイスネイチャ「あ、つ、強いウマ娘を探してるんですね…。アタシじゃ力になれないかも…」

 

 ネイチャの弱気な発言にテツマは一息ついた。

 

テツマ「…オレがいなくなろうとした理由が理解できたか?」

ナイスネイチャ「い、いや! アタシは違うけど、強い子ならいっぱい…」

テツマ「この学校を受かってる奴は皆そうだろう。違うか?」

 

 テツマの言葉にネイチャは困惑していたが、太一は止める様子はない。

 

テツマ「だったら聞こうか。お前の夢は何だ?」

 

 テツマに夢を聞かれてネイチャは驚いた。

 

ナイスネイチャ「ゆ、夢…?」

テツマ「この学園で何かやりたい事でもあんのか?」

ナイスネイチャ「い、いや…それはその…」

 

 ネイチャが答えられずしどろもどろになっていると、テツマは一息ついた。

 

テツマ「クラシック三冠か?」

ナイスネイチャ「い、いや! アタシみたいなのがクラシック三冠なんて…。模擬レースではいつも三着だけど…」

テツマ「話にならねぇな」

ナイスネイチャ「で、ですよね…」

 

 テツマの言葉にネイチャは思わず落ち込んだ。

 

テツマ「お前みたいな奴がオレに説教なんざ100年早ぇ。そんなに文句が言いてぇなら1着取ってこい」

「!」

 

 テツマの言葉に皆が驚くと、テツマはネイチャを通り過ぎていった。

 

テツマ「そんなに傷つくのが怖いなら、勝負の世界から降りろ。楽な道なんざありゃしねぇんだからな」

 

 そう言ってテツマは去っていくと、ネイチャは俯いた。

 

紬「は、縹くん!」

 

 紬がテツマを止めようとしたが、太一が紬を止める。

 

紬「く、黒島くん!」

太一「…残念ですが、オレも縹さんと同じ意見です」

「!」

 

 太一がテツマの肩を持ったので皆が驚いた。

 

太一「そして、彼女が一番分かっている筈です」

紬「……!」

太一「今は見守りましょう。彼女と…縹さんを」

 

 

 そう言って皆テツマの背中を見つめていた…。

 

 

つづく

 

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