前回行った、ミレディ・ライセンの本作における扱いについてのアンケートの結果、『入間くんのヒロイン入り』が23票、『原作通り』が11票となった事で、ミレディは入間くんのヒロイン入りということになりました。
『原作通り』に投票した方は、申し訳ございません。
何となく書いてみた、ジオウ風OPナレーション
オーマジオウ(CV.小山力也)『神に抗いし解放者達。彼等の遺した大迷宮を突破し、その力が未来へ受け継がれる。祝え!新たなる歴史の始まりを!』
9話 入間とシア
僅かな光も無い暗闇に包まれた洞窟の中で、地面に刻まれた複雑にして精緻な魔法陣から僅かに金色の光が迸り始めた。最初は蛍火の様に儚く仄かに、そして次第に強く強く輝きを増していく。
一拍して、光が爆ぜ、鮮やかな黄金の魔法陣を燦然と輝かせ、更にその余波で岩壁を焼くという、神秘的でありながら禍々しい壮麗で凄絶な光景だ。
やがて光が宙に溶け込む様に霧散していき、魔法陣の上に人影が二つ見え始めた。
「…アレ?まだ洞窟?」
完全に光が収まり暗闇が戻った洞窟内で、困惑したような声で呟いた青い髪の少年。2ヶ月前、
全百階層と考えられている【オルクス大迷宮】の更に百階層下の最深部において、大迷宮の創設者にしてこのトータスで信仰されている似非神の
にも拘わらず、開けた視界に映ったのは代り映えしない岩壁、岩壁、岩壁……。不思議に思っても仕方無いだろう。
そんな入間の裾がクイクイと引っ張られた。入間が顔を向ければ、そこには入間の腹部辺りまでしかない小柄な体格をした金髪紅眼の美少女──ユエが、ほんのりと目元を緩めながら自分の推測を話した。
「……秘密の通路……隠すのが普通」
「それもそうか。解放者の隠れ家への直通の道だし、隠蔽していて当然か」
そんな簡単な事にも頭が回らないとは、どうやら新しい旅の始まりに相当浮かれていたらしい。入間は恥じ入った様に頭を掻いた。
そうして気を取り直す様にユエは魔法で明かりを付けて洞窟を進む。
「ん?あれは……」
少し進んだ視線の先、洞窟の奥に異変を見つける。綺麗な縦線の刻まれた壁があり、入間の目線くらいの高さに掌大の七角形が描かれていたのだ。
各頂点には異なる紋様も描かれていて、その内の一つはつい最近見たばかりのオスカー・オルクスの紋章だ。
入間はその壁に歩み寄り、“宝物庫”から取り出した【オルクス大迷宮】攻略の証である指輪を翳してみた。すると直後にゴゴゴッと雰囲気たっぷりに音を響かせて壁が左右に開き、その奥の通路を晒した。
入間とユエは顔を見合わせ一つ頷くと、その通路へと踏み出す。分かれ道は見当たらないので道なりに進む。
途中、幾つか封印が施された扉やトラップがあったが、オルクスの指輪が反応して尽く勝手に解除されていった。二人は一応警戒していたのだが、拍子抜けする程何事も無く洞窟内を進み……遂に光を見つけた。
外の光、陽の光だ。ユエに至っては300年間、求めてやまなかった光だ。
入間とユエはそれを見つけた瞬間、思わず立ち止まりお互いに顔を見合わせた。
ユエは湧き上がる感情を抑えきれず思わず溢れ出たという様な笑みを浮かべ、入間はそんなユエに微笑み、同時に求めた光に向かって進む。
近づくにつれて光は徐々に大きくなり、外から奈落の様な澱んだ空気ではなく、ずっと清涼で新鮮な風も吹き込んでくる。そして、入間とユエは同時に光に飛び込み、待望の地上へ出た。
入間達は、その【ライセン大峡谷】の谷底にある洞窟の入口にいた。深さの平均は1~2km、幅は900mから最大8km、西の【グリューエン大砂漠】から東の【ハルツィナ樹海】まで大陸を南北に分断する地の底とはいえ頭上の太陽は燦々と暖かな光を降り注ぎ、大地の匂いが混じった風が鼻腔をくすぐる。
たとえどんな場所だろうと、確かにそこは地上だった。呆然と頭上の太陽を仰ぎ見ていたユエの表情が次第に笑みを作る。無表情がデフォルトのユエが、誰が見ても分かる程頬が綻んでいる。
「戻って来たね?」
「……んっ」
優し気な声音で入間が訊けば、ユエは目一杯力の籠った返事をする。それで漸く実感が湧いたのか、ユエは太陽から目を逸らすと入間を見つめ、そしてガバッと入間に抱きついて魂の叫びを迸らせる。
「んーーっ!!」
入間は自身に抱きついたまま感極まった様子のユエに微笑みかけ、ユエの気が済むまで好きな様にさせた。
暫くの間、峡谷にはユエの笑い声が響いた。
漸く笑いが収まった頃、入間とユエは魔物に囲まれていた。
魔物達の唸り声が四方八方から響く中、入間はゆっくりとユエを離して溜息を吐く。
「全く無粋な連中だ、もう少し余韻に浸らせてやってもいいだろうに……そういえば、ここは魔法使えないんだっけ?」
「……分解される。でも、問題無い」
【ライセン大峡谷】で魔法が使えない理由は、発動した込められた魔力が分解され散らされてしまうからである。勿論、入間もユエも例外ではない。しかし、入間もユエも内包魔力は最高位である上に今は外付け魔力タンクである“魔晶石シリーズ”を所持している。つまり、大峡谷の特性を以てしても瞬時には分解しきれない程の大威力で一気に殲滅してしまえばいいという訳だ。
ふんすっ、と鼻息荒くし何とも豪快な発想を口にするユエに、入間は苦笑いしつつ尋ねる。
「力づくか……効率は?」
「……10倍位」
どうやら、初級魔法を放つのに上級レベルの魔力が必要らしい。射程も相当短くなる様だ。
「それなら僕がやるよ。ユエは身を守る程度にしておいて」
「うっ……でも」
「適材適所だ。ここはユエにとって鬼門だ、任せておきなって」
「ん……分かった」
ユエが渋々といった感じで引き下がる。折角地上に出たのに、最初の戦いで戦力外とは納得し難いのだろう。少し矜持が傷ついた様だ。唇を尖らせて拗ねている。
入間はそんなユエの頭を撫でつつ一歩前に出ると、両手を合わせ、某
「“
振り抜かれた掌から放たれた刃が、魔物達を一瞬にして切り裂いていく。10秒もしないうちに風の刃が消失した頃には、周囲の魔物達は全滅していた。
それらの一連の流れを見た入間は、まるで落胆した様に溜息を吐いて周囲の死体の山を見やる。
その傍に、トコトコとユエが寄って来た。
「……どうしたの?」
「いや、あまりにあっけなくてね。……ライセン大峡谷の魔物と言えば相当凶悪という話だったから、もう少し歯応えあるかと思ったんだけど……」
「……入間が化物なだけ」
「否定できないね。……まぁ所詮は野生動物、期待するだけ無駄だね」
そう言って肩を竦めた入間は峡谷の絶壁を見上げる。
「さて、この絶壁、登ろうと思えば登れるだろうけど……どうする?ライセン大峡谷には、七大迷宮があると考えられている。樹海側に向けて探索でもしながら進む?」
「……何故、樹海側?」
「いや、奈落に出で最初に砂漠横断なんて嫌でしょ?それに町にも近い」
「……ん、確かに」
入間の提案にユエも頷いた。
魔物の弱さから考えても、この峡谷自体が迷宮という訳ではなさそうだ。ならば、別に迷宮への入口が存在する可能性はある。入間の飛行系技能やユエの風系魔法を使えば絶壁を超える事は可能だろうが、どちらにしろライセン大峡谷は探索の必要があったので特に反対する理由も無い。
早速進行方向を決めた入間は、懐から『バイク』と記載されている銀色のライドウォッチを取り出した。
「入間、そのウォッチは……?」
「これ?これはこう使うんだよ」
入間がそう言ってそのウォッチを放り投げるとあら不思議、空中でウォッチが巨大化して変形し、黒と銀を基調としたバイク──“ライドストライカー”となったのだ。
入間はユエに「行くよ」声を掛けてライドストライカーに跨ると、ユエがその後ろにピョンと跳び乗って入間の腰にしがみついた。自分の腹部に回されたユエの手をポンポンと軽く叩くと、入間はライドストライカーを発進させた。
【ライセン大峡谷】は基本的に東西に真っ直ぐ伸びた断崖だ。その為脇道などは殆ど無く、道なりに進めば迷う事無く樹海に到着する。入間もユエも迷う心配が無いので、迷宮への入口らしき場所がないか注意しつつ、軽快にライドストライカーを走らせていく。
「良い乗り心地だね」
「……ん。すごく」
風を切りながら太陽の光と土の匂い混じりの空気を存分に堪能し、疑似的なドライブを楽しむ入間とユエ。
ユエは入間の背中に頭を軽く預けつつ、実に幸せそうな表情だ。入間も入間で、殆ど使う機会の無かった愛機の活躍に頬を緩めつつ、道中の魔物を蹴散らしていった。
そうしてしばらくライドストライカーを走らせていると、少なくとも今まで相対した谷底の魔物とは一線を画す様であろう魔物の咆哮が聞こえてきた。声の距離からして、もう30秒もしない内に会敵するだろう。
興味をもった入間がライドストライカーを走らせ大きくカーブした崖に回り込むと、その向こう側に大型の魔物が見えた。奈落で見たティラノモドキに似ているが、それとは異なり頭が二つある。双頭のティラノサウルス擬きだ。
だが注目すべきは双頭ティラノではなく、その足元をぴょんぴょんと跳ね回りながら半泣きで逃げ惑うウサミミを生やした少女だろう。
入間とユエはストライカーを止めて訝し気な眼差しで今にも喰われそうなウサミミ少女を見やる。
「……何あれ?」
「……兎人族?」
「何故こんな所に?兎人族って谷底が住処なの?」
「……聞いた事無い」
「じゃあ、犯罪者として落とされたとかかな?確か昔の処刑の方法としてあったよね?」
「……悪ウサギ?」
入間とユエは首をかしげ、逃げ惑うウサミミ少女と双頭ティラノを眺めている。
助けるという選択肢がないわけではないが、入間のいう通り処刑場とされていたライセン大峡谷にいることから、あの兎人族が犯罪者の可能性もあるのだ。好き好んで死刑執行された犯罪者を助ける程、聖人君子ではない。
すると、入間とユエをウサミミ少女の方が発見したらしく、双頭ティラノに吹き飛ばされ岩陰に落ちた後、四つん這いになりながら這う這うの体で逃げ出し、その格好のまま入間達を凝視している。
再び双頭ティラノが爪を振い、隠れた岩ごと吹き飛ばされてゴロゴロと地面を転がるとその勢いを殺さず猛然と入間達の逃げ出した。
それなりの距離があるのだが、ウサミミ少女の必死の叫びが峡谷に木霊し入間達に届く。
「みづげだぁ!やっどみづげまじだよぉ~~!だずげでぐだざ~い!ひぃいいい、死んじゃう!死んじゃうよぉ!だずけてぇ~、おねがいじますぅ~!」
「…?」
滂沱の涙を流し顔をぐしゃぐしゃにして必死に駆けてくるウサミミ少女の台詞に、入間は片眉を上げる。そのすぐ後ろには、双頭ティラノが迫っていて今にもウサミミ少女に食らいつこうとしていた。
「…はぁ、しょうがない」
「……助けるの?」
「このままじゃあ後味が悪い。あのティラノを駆除したら終わりだしね」
そう言いながらライドストライカーから降りた入間は、“ジカンギレード・ジュウモード”を取り出して“鎧武ジンバーレモンアームズライドウォッチ”を装填すると、ジカンギレードがレモン色の光に包まれて弓の形を成し、入間は光の弦を引き絞る。
発射されたレモンの果汁を纏ったエネルギー矢が双頭ティラノを貫き、双頭ティラノは派手に爆発した。
「きゃああああああ~!!!」
その爆発の余波で、ウサミミ少女は再び吹き飛び、悲鳴を上げながら入間の眼前の地面にベシャッ!と音を立てながら落ちた。
両手両足を広げうつ伏せのままピクピクと痙攣し、気は失っていないが痛みを堪えて動けないようだ。
「……なんて残念なウサギさん」
「だね」
ライドストライカーに跨がったまたのユエがそんなウサミミ少女の醜態を見てさらりと酷い感想を述べ、入間もそれに頷く。
やがて痛みが引いたらしいウサミミ少女は顔を上げて双頭ティラノ
「し、死んでます…そんなダイヘドアが一撃なんて…」
どうやらあの双頭ティラノは【ダイヘドア】というらしい。入間からすれば子犬同然だし、もう死んでいるので死ぬ程どうでもいいが。
入間はライドストライカーに跨がり直してバイクを発進させようとして……ウサミミ少女に服を掴まれ、阻止された。
「先程は助けて頂きありがとうございました!私は兎人族ハウリアの一人、シアといいます!取り敢えず、私の家族も助けてください!」
「「……はぁ?」」
助けた瞬間に、すごく図々しい事を言われ、入間とユエは顔をしかめる。
「ものすっごくお願いしますっ!……助けてくれたら……、そ、その、貴方のお願いを、な、何でも一つ、聞きますよ?」
頬を染めて上目遣いで迫るウサミミ少女……シア。図々しい、そしてあざとい。実にあざとい仕草だ。涙や鼻水で汚れてなければ、さぞ魅力的だっただろう。
実際に、近くで見れば汚れてはいるもののかなり整った容姿をしている。青みがかった白髪碧眼で、しかもその格好はボロボロで女の子としては見えてはいけない場所が盛大に見えてしまっている。そんな姿で迫られたら並の男ならイチコロだろう。
別に見た目に惑わされた訳でないが、あまりのしつこさと生来のお人好し故に、入間は取り合えず話だけは聞いてやろうとユエと目を合わせて意思疏通をすると、腕を組んでシアに目を向けた。
「分かった分かった。事情は聞いて上げるから一旦落ち着いてよ。話がまるで見えないから」
「でも早く行かないと!間に合わなくなるんですっ!…って言うか、私みたいな美少女のお願いなら一も二も無く了承しませんか!?」
「自分で自分を美少女言うな!それに美少女ならそこに一人いるんだよ!」
さりげなく自画自賛するシアに入間はツッコミをいれる。
実際、彼女は入間の目から見ても十分な美少女と言える。
少し青みがかったロングストレートの白髪に蒼穹の瞳。眉や睫毛まで白く、肌の白さとも相まって黙っていれば神秘的な容姿とも言えるだろう。手足もスラリと長く、ウサミミやウサ尻尾がふりふりと揺れる様は何とも愛らしい。ケモナー達が見れば感動して思わず滂沱の涙を流すに違いない。
何より、シアは大変な巨乳の持ち主だった。ボロボロの布切れの様な物を纏っているだけなので殊更強調されてしまっているソレは固定もされていないのだろう、彼女が動く度にぶるんぶるんと揺れ激しく自己を主張している。ぷるんぷるんではなくぶるんぶるんだ。
要するに、彼女が自分の容姿やスタイルに自信を持っていても何らおかしくないのである。寧ろ特に反応も興味も示さない入間が異常なのだが、誤解を招く言い方かもしれないが入間の周りには美人が多かったし、この2ヶ月のユエに迫られていた事もあって、この程度の色仕掛けでは入間は靡かなくなったのだ。
そして当のユエは、入間の言葉に赤く染まった頬を両手で挟み、体をくねらせてイヤンイヤンしていた。
腰辺りまで伸びたゆるふわの金髪が太陽の光に反射してキラキラと輝き、ビスクドールの如く整った容姿が今は照れでほんのり赤く染まっていて、見る者を例外なく虜にする魅力を放っている。
格好も、入間と出会ったばかりの全裸に
前面にフリルのあしらわれた純白のドレスシャツにフリル付きの黒色ミニスカートの上から、純白に青のラインが入ったロングコートを羽織っている。足元はショートブーツにニーソだ。
オスカーの衣服に入間が持っていた“エターナルローブ”を加工してユエ自身が仕立て直した、あらゆる攻撃を受け流すチート防具としても役立つ逸品だ。
因みにだが、入間の着ている服も、長旅を予想して半ば普段着のようになっていた学生服から、ユエに仕立ててもらった服を着用している。黒のシャツに黒のズボン、
閑話休題。
可憐なユエの姿を見て、シアは「うっ」と僅かに怯む。
それ故に、矜持を傷つけられたシアは言ってしまった。言ってはならない言葉を……
「で、でも!胸なら私が勝ってます!そっちの子はペッタンコじゃないですか!」
「あ、ちょっとその台詞……」
入間が咄嗟に止めようとするが、もう遅い。
恥ずかしげに身をくねらせていたユエがピタリと止まり、前髪で表情を隠したままユラリとライドストライカーから降りた。
それを見た入間は「あ~あ……」と天を仰ぎ、ウサミミよ安らかに眠れと無言で合掌した。
プルプルと捕食者を前にした
──……お祈りは済ませた?
──……謝ったら許してくれたり
──…………
──死にたくなぁい!死にたくなぁい!
「──“嵐帝”」
「アッーーーーーーーー!!!!」
突如発生した竜巻に巻き上げられ錐揉みしながら天に打ち上げられる。
シアの悲鳴が峡谷に木霊し、きっかり10秒後にグシャ!という音と共に、かの有名な犬○家のあのポーズで入間の前に墜落した。
「……なんて残念なウサギさん」
そんな姿のシアを見て、入間はユエと同じ感想を呟かずにはいられなかった。
シアとの邂逅でした。
本作でヒロイン入りが決定したミレディ・ライセンが変身するライダーの候補を上げたので、アンケートを実施します。
感想、評価お待ちしております。
ミレディが変身するライダーを検討中なので、アンケートを実施します。
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