今回、アンケートを実施したミレディが変身するライダーの結果がでました。
その結果は…
仮面ライダーオーズ→6票
仮面ライダーフォーゼ→8票
仮面ライダービースト→6票
仮面ライダーゴースト→16票
仮面ライダーゼロワン→5票
…ということで、ミレディが変身するライダーは【仮面ライダーゴースト】に決定しました。
それから、今回はシアが変身するライダーが明らかになります。
「さて、君達はこれから訓練を受けてもらう」
フェアベルゲンを出た入間達が一先ず大樹の近くに拠点を作って一息ついた時の入間の第一声がこれだった。
拠点といっても、
困惑する一族を代表して、シアが尋ねる。
「え、えっと……入間さん。戦闘訓練というのは……」
「そのままの意味だよ。どうせこれから10日間も大樹へは辿り着けないんでしょ?ならその間の時間を有効活用して、軟弱で脆弱な君達を一端の戦闘技能者に育て上げようと思ったんだ。二人も構わないよね?」
「ああ」
「……ん」
「な、何故、その様な事を……?」
入間の据わった目と全身から迸る威圧感にぷるぷると震えるハウリア達。シアがあまりに唐突な入間の宣言に当然の如く疑問を投げかけると、入間は呆れたように語る。
「いい?君達と僕の約束は、案内が終わるまで君達の命を守るというものだ。なら、案内が終わった後はどうするのか。それを君達は考えているのか?」
ハウリア族達が互いに顔を見合わせ、ふるふると首を振る。カムも難しい表情だ。漠然と不安は感じていたが、激動に次ぐ激動で頭の隅に追いやられていた様だ。或いは、考えない様にしていたのか。
「まぁ、考えていないだろうし、答えなんか無いだろうね。君達は弱くて、悪意や害意に対しては逃げるか隠れる事しか出来ない。そんな君達はフェアベルゲンという隠れ蓑すら失った。つまり僕の庇護を失った瞬間、再び窮地に陥るって訳だ」
「「「「「「……」」」」」」
全くその通りなので、ハウリア族達は皆一様に暗い表情で俯く。そんな彼等に、入間の言葉が響く。
「君達に逃げ場は無い。隠れる場も庇護も無い。寧ろ、忌み子を排除するとか言って亜人の馬鹿達が容赦なく狙ってくるだろう。僕達への干渉が自己責任って事は、裏を返せば殺しても罪に問われないって事だ。このままじゃ全滅する未来は決定したも同然だ。……それでいいの?弱さを理由に淘汰される事を許容する?拾った命を無駄に散らすか?どうなの?」
誰も言葉を発さず重苦しい空気が辺りを満たす。そして、ポツリと誰かが零した。
「そんなもの……良い訳がない」
その言葉に触発された様にハウリア族が顔を上げ始める。
シアは既に決然とした表情だ。
「そう、良い訳が無い。なら答えは簡単。強くなればいい。襲い来るあらゆる障害を打ち破り、自らの手で生存の権利を獲得すればいいんだ」
「……ですが、私達は兎人族です。虎人族や熊人族のような強靭な肉体も翼人族や土人族の様に特殊な技能も持っていません……とても、その様な……」
兎人族は弱いという常識が入間の言葉に否定的な気持ちを生む。自分達は弱い、戦う事など出来ない。どんなに足掻いても強くなど成れるものか、と。
入間はジオウライドウォッチを手にし、そんなハウリア族に言い放つ。
「僕も無敵じゃない。僕より強い人なんてごまんといるし、僕も始めは弱かった」
「え?」
「2~3年くらい前かな……その頃の僕は、お世辞にも強くなんてなかった。危険から逃げてばかりで、力を手にしても周りの助けがなくちゃ何も出来なかった。もしかしたら、兎人族にも劣ってたかもね」
入間の告白にハウリア族は例外なく驚愕を顕にする。ライセン大峡谷の凶悪な魔物も戦闘能力に優れた熊人族の長老も苦もなく一蹴した入間が兎人族にも劣る等誰が信じられるというのか。
「そんな中、僕を変えてくれた人がいた……それがアメリさんだ」
その言葉に、ハウリア達やユエは驚いた様にアメリに目を向けた。アメリも、まさか自分の話が出されるとは思わず、少しだけ目を見開いた。
「アメリさんは教えてくれた……“挑戦する”って言うことを。そして僕は挑戦し、戦い続けて今に至った。出来る出来ないじゃない、やるかやらないかだ。勿論、無理強いはしないよ。やりたくないならそれでも構わない。先に言っとくけど、約束が果たされた後は助けるつもりはないから。僕はもう手を貸さないよ」
──それで、どうする?
入間の問いに、ハウリア族達は直ぐには答えられなかった。自分達が強くなる以外に生存の道がないことは分かる。入間は正義感からハウリア族を守ってきたわけではないのだ。故に、約束が果たされれば容赦なく見捨てられるだろう。
黙り込み顔を見合わせるハウリア族。しかし、そんな彼等を尻目に、先程からずっと決然とした表情を浮かべていたシアが立ち上がった。
「やります。私に戦い方を教えてください!もう、弱いままは嫌です!」
樹海の全てに響けと言わんばかりの、これ以上ない程思いを込めた宣言が木霊する。
シアとて争いは嫌いだ。怖いし痛いし、何より傷つくのも傷つけるのも悲しい。しかし、一族を窮地に追い込んだのは紛れもなく自分が原因であり、このまま何も出来ずに滅ぶなど絶対に許容できない。
不退転の決意を瞳に宿し、真っ直ぐ入間を見つめるシア。その様子を唖然として見ていたカム達ハウリア族は、次第にその表情を決然としたものに変えて、一人、また一人と立ち上がっていく。そして、男だけでなく、女子供も含めて全てのハウリア族が立ち上がったのを確認するとカムが代表して一歩前へ進み出た。
「入間殿……宜しく頼みます」
その短い言葉には確かに意志が宿っており、入間は口端を吊り上げた。
「OK。ただし、覚悟はしてもらう。この世界は弱肉強食、生き残りたいなら
入間の言葉にハウリア族は皆、覚悟を宿した表情で頷いた。
入間達はハウリア族を訓練するにあたって、先ず彼等一人一人に合わせて作った装備を彼等に渡し、その武器を持たせた上でアメリが基本的な動きを教え、適当に魔物を嗾けて実戦経験を積ませている。
入間の専門は弓や銃といったは遠距離武器であり、接近戦の心得は多少あるが、やはり接近戦の勝負では入間はアメリに敵わない。故に、入間が武器製作と技術、アメリが体術を専門に教えている。
ハウリア族の強みはその索敵能力と隠密能力だ。いずれは奇襲と連携に特化した集団戦法を身につければいいと思っていた。
因みに、シアに関してはユエが専属で訓練をしている。魔力の直接操作も可能なシアは、知識さえあれば魔法陣を構築して無詠唱の魔法が使える筈だからだ。そして、時折アメリが身体強化の訓練でシアの相手をする時がある。霧の向こうからシアの悲鳴が聞こえるので特訓は順調の様だ。
訓練開始から2日目。入間と交代制で監督をしているアメリは腕を組んで胸を支え、額に青筋を浮かべながらイライラした様にハウリア族の訓練風景を見ていた。
確かにハウリア族達は自分達の性質に逆らいながらも言われた通り真面目に訓練に励んでいる。魔物だって幾つもの傷を負いながらも何とか倒している。
しかし……
「ああ、どうか罪深い私を許しくれぇ~」
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!それでも私はやるしかないのぉ!」
「ふっ、これが刃を向けた私への罰というわけか…。当然の結果だな…」
ある男は小太刀を突き刺して仕留めた魔物にまるで互いに譲れぬ信念の果てに親友を殺したかのように縋りつき、ある女は愛した人をその手で殺めたかのように魔物の首を裂いた小太刀を両手で握りながらわなわな震え、最後に自身が致命傷を追わせた魔物の最後の力を振り絞った体当たりを受けて吹き飛ばされ倒れたカムが自嘲気味に呟くと、周囲のハウリア族が瞳に涙を浮かべ、悲痛な表情で叫んだ。
「族長!そんなこと言わないで下さい!罪深いのは皆一緒です!」
「そうです!いつか裁かれるときが来るとしても、それは今じゃない!立って下さい!族長!」
「僕達は、もう戻れぬ道に踏み込んでしまったんだ。族長、行けるところまで一緒に逝きましょうよ」
「お、お前達……そうだな。こんな所で立ち止まっている訳にはいかない。死んでしまった彼(小さなネズミっぽい魔物)の為にも、この死を乗り越えて私達は進もう!」
「「「「「「「「族長!」」」」」」」」
いい雰囲気のカム達に、我慢の限界を迎えたアメリが“ゲイツマジェスティライドウォッチ”から召喚した“マンゴーパニッシャー”を、全力で振り下ろした。
「アイツ等……私を虚仮にしているのか…!?指摘しても指摘しても何度も三問芝居……頭が痛い…!!」
「……アメリさん、落ち着いて」
眉間に深い皺を寄せ、頭痛がする頭に手をやるアメリに、合流した入間がポンポンと背中を撫でてやる。
とはいえ、入間自身も少し…いや、かなりイラついていた。
そう、ハウリア達が頑張っているのは分かるのだが、魔物を殺すたびに訳のわからないドラマが生まれるという、戦闘技術以前の問題だったのだ。何度も見られた光景であり、入間もアメリも何度も指摘しているのだが一向に直らない事から、二人とも堪忍袋の緒が切れそうなのである。
入間とアメリの怒りを多分に含んだ声にビクッと体を震わせながらも、「そうは言っても……」とか「だっていくら魔物でも可哀想で……」とかブツブツと呟くハウリア族達に、二人の額に青筋が量産される。
見かねたハウリア族の少年が、二人を宥めようと近づくが、進み出た少年はに何か言おうとして、突如その場を飛び退いたのだ。
訝しそうな入間が少年に尋ねる。
「?どうしたの?」
「あ、うん。このお花さんを踏みそうになって……よかった。気がつかなかったら、潰しちゃうところだったよ。こんなに綺麗なのに、踏んじゃったら可愛そうだもんね」
「お、お花さん?」
「うん!入間兄ちゃん!僕、お花さんが大好きなんだ!この辺は、綺麗なお花さんが多いから訓練中も潰さないようにするのが大変なんだ~」
ニコニコと微笑むウサミミ少年を周囲のハウリア族達も微笑ましそうに少年を見つめている。
アメリがゆっくり顔を俯かせて前髪で表情を隠し、入間は頭に手をやりながらも質問をする。
「……時々、お前等が妙なタイミングで跳ねたり移動したりするのは……そのお花さんが原因?」
入間の言う通り、訓練中ハウリア族は妙なタイミングで歩幅を変えたり、移動したりするのだ。気にはなっていたのだが次の動作に繋がっていたので、それが殺りやすい位置取りなのかと様子を見ていたのだが……。
「いえいえ、まさか。そんな事ありませんよ」
「はは、そうだよね?」
「ええ、花だけでなく、虫達にも気を遣いますな。突然出てきたときは焦りますよ。何とか踏まないように避けますがね」
──ブチッ!
樹海に、何かが切れた音がした。
入間は無表情のままアメリの前に立つと、懐を探りながらアメリに話し掛ける。
「…アメリさん。少し僕に任せてくれませんか?」
「……あぁ」
入間はアメリにそう告げると、懐からロシアンブルーのウォッチ──“フォーゼコズミックステイツライドウォッチ”を取り出して、ベゼルを回してライドオンスターターを押した。
【仮面ライダーフォーゼ・コズミックステイツ】の能力を解放したことで、空間に水色のワームホールが開かれて入間とアメリ、そしてハウリア達を飲み込み、ワープした先は入間達が出会った場所──ライセン大峡谷だ。
「い、入間殿?ここは……」
「今日一日、君達は
恐る恐る話しかけるカムに入間が内容を告げた事で、ハウリア達がざわめく。何せここは樹海と違い隠密には不向きな場所であり、魔物も(この世界の基準でみれば)凶悪なので、今のハウリアが挑むにはレベルが違いすぎるのだ。
顔を青くするハウリア達の心情など知ったことかといわんばかりに、入間は口を開く。
「一つ覚えておきなよ。君達が魔物を殺して三問芝居しても、弱肉強食の世界では何の役にもたたない。そこにあるのは二つ、喰うか喰われるか…そこら辺の花や虫と君達の家族、喰われてほしくないのはどっち?」
言葉をつまらせるハウリア達。
そんな彼等に、入間は人差し指を立てて口を開いた。
「もう一度言うよ…生き残りたいなら
その言葉を合図に、特別指導が始まった。
場所は戻ってハルツィナ樹海。入間達が先程までハウリアに訓練をさせていた場所とは反対側の樹海では、一人のハウリア族が訓練の仕上げに入っていた。
ズガンッ! ドギャッ! バキッバキッバキッ! ドグシャッ!
樹海の中で凄まじい破壊音が響き、野太い樹が幾本も半ばから折られ、地面には隕石でも落下したかの様なクレーターがあちこちに出来上がっており、更には燃えて炭化した樹や氷漬けになっている樹まであった。
この多大な自然破壊はたった二人の少女によってもたらされ、その破壊活動は現在進行形で続いている。
「でぇやぁああ!!」
裂帛の気合と共に撃ち出されたのは直径1m程の樹だ。半ばから折られたそれは豪速を以て目標へと飛翔する。
「……“緋槍”」
それを炎の槍が正面から迎え撃った。巨大な質量を物ともせず触れた端から焼滅させ、砲弾と化した丸太は相殺され灰となって宙を舞った。
「まだです!」
緋槍と丸太の衝突が齎した衝撃波で払われた霧の向こう側に影が走ったかと思えば、直後隕石の如く天より丸太が落下し、轟音を響かせながら大地に突き刺さった。バックステップで衝撃波の範囲からも脱出していた目標は再度、火炎の槍を放とうとする。
しかし、そこへ高速で霧から飛び出してきた影が大地に突き刺さったままの丸太に強烈な飛び蹴りをかました。一体どれ程の威力が込められていたのか、蹴りを受けた丸太は爆発した様に砕け散り、その破片を散弾に変えて目標を襲った。
「ッ!」
飛来した即席の散弾は、突如発生した赤い魔法陣で出来た光の壁に阻まれ、唯の一発とて目標に届く事は叶わなかった。
しかし……
「もらいましたぁ!」
「ッ!」
その時には既に影が背後に回り込んでいた。即席の散弾を放った後、見事な気配断ちにより再び霧に紛れ奇襲を仕掛けたのだ。大きく振りかぶられたその手には超重量級の大槌が握られており、刹那豪風を伴って振り下ろされた。
「“風壁”」
大槌により激烈な衝撃が大地を襲い爆ぜさせる。砕かれた石が衝撃で散弾となり四方八方に飛び散った。だが、目標はそんな凄まじい攻撃の直撃を躱すと、余波を風の障壁により吹き散らし、同時に風に乗って安全圏まで一気に後退した。更に技後硬直により死に体となっている相手に対して容赦なく魔術を放つ。
「“凍柩”」
「ふぇ! ちょっ、まっ!」
相手の魔法に気がついて必死に制止の声をかけるが、聞いてもらえる訳もなく問答無用に発動。襲撃者は大槌を手放して離脱しようとするも、一瞬で発動した氷系魔法が足元から一気に駆け上がり……頭だけ残して全身を氷漬けにされた。
「づ、づめたいぃ~、早く解いてくださいよぉ~、ユエさ~ん」
「……私の勝ち」
そう、問答無用で自然破壊を繰り返していたこの二人はユエとシアである。
二人は訓練を始めて10日目の今日、最終試験として模擬戦をしていたのだ。内容は、シアがほんの僅かでもユエを傷つけられたら勝利、合格というものだ。
「うぅ~、そんな~、って、それ!ユエさんの頬っぺ!キズです!キズ!私の攻撃当たってますよ!あはは~、やりましたぁ!私の勝ちですぅ!」
そう、ユエの頬には、恐らく最後の石の礫が一つユエの防御を突破したのだろう、確かに小さな傷が付いていた。
本当に僅かな傷ではあるが、一本は一本、シアの勝利である。
それを指摘して、顔から上だけの状態で大喜びするシア。体が冷えて若干鼻水が出ているが満面の笑みだ。ウサミミが嬉しさでピコピコしている。無理もないだろう。何せ、この戦いには訓練卒業以上にユエとした大切な約束事がかかっていたのだ。
そして、その約束事はユエにとってあまり面白いものではない故に…
「……傷なんてない」
“自動再生”により傷が直ぐに消えたのをいい事にしらばっくれた。拗ねた様にプイっとそっぽを向く。
「んなっ!?卑怯ですよ!確かに傷が……いや、今はないですけどぉ!確かにあったでしょう!誤魔化すなんて酷いですよぉ!ていうか、いい加減魔法解いて下さいよぉ~。さっきから寒くて寒くて……あれっ、何か眠くなってきた様な……」
先程より鼻水を垂らしながら、うつらうつらとし始めるシア。その様子をチラッと見て、深々と溜息を吐くとユエは心底気が進まないと言う様に魔法を解いた。
「ぴくちっ!ぴくちぃ!あうぅ、寒かったですぅ。危うく帰らぬ兎になるところでした」
可愛らしく特徴的なくしゃみをし、近くの葉っぱでチーン!と鼻をかむと、シアはその瞳に真剣さを宿してユエを見つめた。
ユエはその視線を受けて物凄く嫌そうな表情をする。
「ユエさん。私、勝ちました」
「………………ん」
「約束しましたよね?」
「……………………ん」
「もし、10日以内に一度でも勝てたら、……入間さんとユエさんとアメリさんの旅に連れて行ってくれるって。そうですよね?」
「…………………………ん」
「少なくとも、入間さん頼む時、アメリさんと一緒に味方してくれるんですよね?」
「……………………………今日のごはん何だっけ?」
「ちょっとぉ!何いきなり誤魔化してるんですかぁ!しかも誤魔化し方が微妙ですよ!ユエさん、入間さんの血さえあればいいじゃないですか!何ごはん気にしているんですか!ちゃんと味方して下さいよぉ!ユエさんとアメリが味方なら八割方OK貰えるんですからぁ!」
ぎゃーぎゃーと騒ぐシアに、ユエは心底鬱陶しそうな表情を見せる。
シアとユエ、そしてアメリが交わしたの約束とは、シアがユエに10日以内に模擬戦にてほんの僅かでも構わないから一撃を加える事が出来た場合、シアが入間とユエとアメリの旅に同行する事をユエとアメリが認め、そして同行を願い出た場合に、二人はシアの味方をして彼女の同行を一緒に説得する事である。
シアは本気で入間とユエとアメリの旅に同行したいと願っている。それはこれ以上家族に負担を掛けたくないという想いが半分と半分は単純に入間達の傍にいたい、もっと仲良くなりたいという想いから出たものだ。
しかし、そのまま同行を願い出てもすげなく断られるのが目に見えている。今までの入間達の態度からそれは明らかだ。そこでシアが考えたのが、先の約束という名の賭けであり、ユエとアメリを呼び出して賭けを持ち込んだのだ。
だが、その約束はユエとアメリには何のメリットもない。ただでさえ
だからこそ、アメリも時折シアの訓練の相手をしていたのだ。…実力差がありすぎて圧勝三昧だったが。
だがそんな、約束をかけた勝負の結果がシアの勝利だったのである。
「……はぁ。わかった。約束は守る……」
「ホントですか!?やっぱり、や~めたぁとかなしですよぉ!ちゃんと援護して下さいよ!」
「………………………ん」
「何だか、その異様に長い間が気になりますが……ホント、お願いしますよ?」
「……しつこい」
ほんと~に渋々といった感じでユエがシアの勝ちを認める。シアはユエの返事に多少の不安は残しつつも、入間同様に約束を反故にすることはないだろうと安心と喜びの表情を浮かべた。
そろそろ入間とアメリのハウリア族への訓練も終わる頃だ。不機嫌そうなユエと上機嫌なシアは二人並んで入間達がいるであろう場所へ向かうのだった。
ユエとシアが入間とアメリのもとへ到着したとき、入間とアメリはハウリアの訓練について話していたのか、ノートを開いて二人でその内容を見て話し合っていた。
やがて二人の気配に気が付いたのか、入間とアメリは二人の姿を視界に収めると、入間はノートを“宝物庫”にしまった。全く正反対の雰囲気を纏わせているユエとシアにアメリは何かを察したのか驚いた表情となり、入間は訝しそうに片手を上げて声をかけた。
「二人共、特訓は終わったみたいだね。皆が何を賭けてたのかは知らないけど…へぇ、意外な結果みたいだね」
入間も、三人が何かを賭けてユエとシア勝負していることは聞き及んでいる。
シアのために超重量の大槌を用意したのは他ならぬ入間だ。シアが真剣な表情でユエとアメリに勝ちたいから武器が欲しいと頼み込んできたのは記憶に新しい。ユエとアメリも特に反対しなかったことから何を賭けているのかまでは知らなかったし聞いても教えてもらえなかったが、二人の不利になることもないだろうと作ったのだ。
実際、入間はシアが戦っても十中八九、ユエが勝つと考えていた。奈落の底でユエの実力は十二分に把握している。いくら魔力の直接操作が出来るといっても今まで平和に浸かってきたシアとは地力が違うのだ。
だがしかし、帰ってきた二人の表情を見るに、どうも自分の予想は外れたようだと驚いた。
そんな入間にシアが上機嫌で話しかけた。
「入間さん!アメリさん!聞いて下さい!私、遂にユエさんに勝ちましたよ!大勝利ですよ!いや~、入間さんとアメリさんにもお見せしたかったですよぉ~、私の華麗な戦いぶりを!負けたと知った時のユエさんたらもへぶっ!?」
身振り手振り大はしゃぎという様相で戦いの顛末を語るシアが調子に乗りすぎて、ユエのジャンピングビンタを食らい錐揉みしながら吹き飛びドシャと音を立てて地面に倒れ込んだ。よほど強烈だったのかピクピクとして起き上がる気配がない。
鼻を鳴らして更に不機嫌そうにそっぽを向くユエに、入間とアメリが苦笑いしながら尋ねる。
「それで?どうだったの?」
「……魔法の適性は無い」
「ありゃま、宝の持ち腐れだね……で?それだけじゃないんでしょ?あのレベルの大槌をせがまれたとなると……」
「ああ、身体強化に特化しているな。正直、化物レベルだな」
「……へぇ。因みに数値で表すと?」
「……ステータスプレートで表すと……6000くらい」
「凄いね……最大値だよね?」
「ああ。鍛錬次第ではまだ上がるかもしれん」
「それは確かに化物レベルだ」
ユエとアメリから示されたシアの化物ぶりに内心唖然としながら、シアに何とも言えない眼差しを向ける入間。本気で身体強化したシアは、本気で強化した勇者の二倍の力を持っているということでもある。まさに“化物レベル”というに相応しい力だ。曲がりになりもユエに土をつけることが出来たわけである。泣きべそをかきながら頬をさすっている姿からは、とても想像できないが。
そんな風にシアを見ている入間の傍らで、アメリとユエは小声で会話する。
「…ユエ、負けたのか?」
「……油断した」
「侮っていたか……仕方ない。約束だからな」
「………………ん」
そして、シアは入間が呆れ半分驚愕半分の面持ちで眺めている事に気がつくといそいそと立ち上がり、急く気持ちを必死に抑えながら真剣な表情で入間のもとへ歩み寄った。背筋を伸ばし、青みがかった白髪をなびかせ、ウサミミをピンッと立てる。
これから一世一代の頼み事をするのだ。いや……むしろ告白と言っていいだろう。緊張に体が震え、表情が強ばるが、不退転の意志を瞳に宿し、一歩一歩、前に進む。そして、訝しむ入間の眼前にやって来るとしっかり視線を合わせて想いを告げた。
「入間さん。私をあなたの旅に連れて行って下さい。お願いします!」
「やだよ」
「即答!?」
悩む素振りも見せず即行で断られるとは思っていなかったシアは、驚愕の面持ちで目を見開いた。その瞳には、「いきなり何言ってんだコイツ?」という様な目でシアを見つめる入間の姿が映っている。
シアは憤慨した。もうちょっと真剣に取り合ってくれてもいいでしょ!と。
「ひ、酷いですよ、入間さん。こんなに真剣に頼み込んでいるのに、それをあっさり……」
「いや、こんなにって言われてもさ……。大体、カム達どうするの?まさか全員連れて行くって意味じゃないよね?」
「ち、違いますよ!今のは私だけの話です!父様達には修行が始まる前に話をしました。一族の迷惑になるからってだけじゃ認めないけど……その……」
「その?何?」
何やら急にモジモジし始め、指先をツンツンしながら頬を染めて上目遣いで入間をチラチラと見ているシアに、入間は本気で訳が分からずに首を傾げる。
傍らのユエがイラッとした表情で、アメリが顔を赤くしながらも不機嫌そうな表情で、シアを睨んでいる。
「その……私自身が、付いて行きたいと本気で思っているなら構わないって……」
「何で付いて来たいの?今なら一族の迷惑にもならないでしょ?それだけの実力があれば大抵の敵はどうとでもなるだろうし」
「で、ですからぁ、それは、そのぉ……」
「……?」
モジモジしたまま中々答えないシアに、益々首をかしげる入間。やがてシアが女は度胸!と言わんばかりに、思いの丈を乗せて声を張り上げた。
「入間さんの傍に居たいからですぅ! しゅきなのでぇ!」
「……は?」
言っちゃった、そして噛んじゃった!と、あわあわしているシアを前に、入間は何を言われたのか分からないという様子でポカンとしている。しばらくしてようやく意味が脳に伝わったのか思わずといった様子でツッコミを入れる。
「いやいや、おかしいでしょ。一体何処に惚れる要素があったの?自分で言うのも何だけど、君にはかなり雑に扱ってたと思うんだけど……」
「雑だと自覚があったのならもう少し優しくしてくれてもいいじゃないですか!」
「いや、何で優しくする必要があるのさ。……そもそも本当に好きなの?状況に釣られてるんじゃないの?」
普段なら顔を真っ赤にしてアワアワするだろう入間は、未だシアの好意が信じられないのか、いわゆる吊り橋効果を疑った。
今までの入間のシアに対する態度は誰がどう見ても雑だったので無理もないかもしれない。だが、自分の気持ちを疑われてシアはすこぶる不機嫌だ。
「状況が全く関係ないとは言いません。窮地を何度も救われて、同じ体質で……長老方に言い負かして私との約束を守ってくれたときは本当に嬉しかったですし……ただ、状況が関係あろうとなかろうと、もうそういう気持ちを持ってしまったんだから仕方ないじゃないですか。私だって時々思いますよ。どうしてこの人なんだろうって……。それでも!ちゃんと好きですから連れて行って下さい!」
シアの告白を受け、入間は頭痛が酷くなっていくのを感じながらも、キチンと返事をせねばならないと思い直し、ついでに自分と同行すると言う意味を交えてシアの告白に答える。
「シア。君の告白が嬉しくない訳じゃないけど、道中にも話したよね?僕達はある戦いのために旅をしてるんだよ。それこそ、道中の魔物がアリみたいに感じるくらいの敵だらけの道だ。それでもいいの?」
「そ、それでも構いません!貴方の事が本気で好きなんですから、どんな事があろうと付いていかせてもらいます!」
「…君の意思は尊重するけどさ、会ったこと無いから仕方ないとは言え、君は少しライダーの世界を甘く見て……って、アッツい!?」
「「入間!?」」
「入間さん!?」
やんわりと断ろうとした入間だったが、突如懐が光りだし、同時に発生した熱に入間は思わずそれを懐から放り投げて飛び退き、それにユエ、アメリ、シアが入間を心配する。
「い、入間さん。これ落としま──」
「ふえっ!?」
音声と共に、“エグゼイドライドウォッチ”からピンク色の光が発生してシアを包み込み……エグゼイドのウォッチは、黄緑色のドライバー“ゲーマドライバー”と、ピンク色のゲームソフトの様な形状のアイテム──“マイティアクションXガシャット”に変化して、シアの手に収まった。
「「「……」」」
それを見ていた入間、ユエ、アメリはポカーンと口を開けて固まっている。
しかし、一番始めにその硬直から解放された入間は、エグゼイドウォッチが変化したアイテムとシアを見てしばらく考え込むような素振りを見せると、シアてからゲーマドライバーとガシャットを取り上げて、それをしばらく眺める。そして、訳が分からないという表情のシアにしっかりと目を合わせて「一応確認するよ」と確かめるように言葉を紡ぐ。
それを聞いたシアも静かに言葉に力を込めて返した。
「…付いて来たって応えないよ?」
「知らないんですか? 未来は絶対じゃあないんですよ?」
「危険だらけの旅だ」
「化物でよかったです。お陰で貴方について行けます」
奈落で見たユエと瞳と同じ、揺るがぬ意思を宿した瞳に、入間は観念したように溜息を吐く。色々ありすぎて、段々考えるのも面倒になったとも言える。
入間はゲーマドライバーとガシャットをシアに差しだすと、首を傾げながらもシアがそれを受け取ったのを確認すると、何処か疲れたような表情で口を開いた。
「…わかった、確認は終わりだ。シア、君の同行を認める。ユエとアメリさんもそれでいい?」
「……ああ」
「………ん」
「…嫌そうな顔だね」
その声と共に、樹海の中にシアの歓声とユエ不機嫌そうな鼻を鳴らす音と、アメリの不服そうな呻き声が響く。
その様子に入間は、色んな意味でこの先も退屈しなさそうだと苦笑いするのだった。
その後、最終試験に挑んでいるハウリア達を待っている入間一行。
シアが奇怪な笑い声を発しながら緩みっぱなしの頬に両手を当ててクネクネと身を捩らせて入間から残念なものを見るような目を向けられている中、アメリは木にもたれかかって腕を組んでいた。しかし、その姿は何処かもどかしさを感じている様な、何処か悩んでいるようにも見えた。
そんなアメリはふと視線を感じて目を向けると、そこにはユエが静かにアメリを見つめていた。その真っ直ぐな目に、アメリが心の内で少しだけ動揺していると、ユエは入間とシアに聞こえない程度の音量で話し掛けた。
「……アメリ」
「な、なんだ?」
「……もしかして、アメリはまだしてない?」
「うっ、そ、それは……」
何をとは聞かれないが、直ぐにユエの質問内容を理解できたアメリは言葉をつまらせる。それを見て、ユエは呆れと同情が交じったような表情で溜め息を吐くと、再びアメリに話し掛けた。
「……ヘタレ。シアの事、とやかく言えない」
「うっ!だ、だが……でも……」
「……そうやってウジウジしてるなら、入間は私の物」
「なッ……!」
絶句するアメリだが、ユエは挑発的ながらもその美容に相応しい妖艶な雰囲気を纏いながらの微笑に、アメリは言い返すことが出来なかった。
そうこう話している内に、ハウリア族が戻ってきた。
と言うわけで、シアが変身するのは武器の共通点から仮面ライダーエグゼイドです。ビルドも候補だったのですが、それだとシアとキャラが違いすぎるので……。
ですが、シアが変身するエグゼイドはまだダブルアクションゲーマーから先にはなれないという独自設定があります。
感想、評価お待ちしております。