悪魔の孫は時の王者となって世界最強   作:MTHR

27 / 128
今回は一気に進めます。


25話 ミレディの変身と商業都市

 ブルックの町から中立商業都市フューレンまでは馬車で約6日の距離である。

 

 日の出前に出発し、日が沈む前に野営の準備に入る。それを繰り返すこと三回目。入間達はフューレンまで三日の位置まで来ており、道程はあと半分である。ここまで特に何事もなく順調に進んで来た。入間達は隊の後方を預かっているのだが実にのどかなものである。

 そして今日も特に何もないまま野営の準備となった。冒険者達の食事関係は自腹である。周囲を警戒しながらの食事なので、商隊の人々としては一緒に食べても落ち着かないのだろう。別々に食べるのは暗黙のルールになっているようだ。そして、冒険者達も任務中は酷く簡易な食事で済ませてしまう。ある程度凝った食事を準備すると、それだけで荷物が増えて、いざという時邪魔になるからなのだという。代わりに、町に着いて報酬をもらったら即行で美味いものを腹一杯食うのがセオリーらしい。

 そんな話を、この2日の食事の時間に入間達は他の冒険者達から聞いていた。

 

 入間達が用意した豪勢なシチューモドキをふかふかのパンを浸して食べながら。

 

「カッーー、うめぇ!ホント美味いわぁ~、流石シアちゃん!もう亜人とか関係ないから俺の嫁にならない?」

「ガツッガツッ、ゴクンッ、ぷはっ、てめぇ、何抜け駆けしてやがる!シアちゃんは俺の嫁!」

「はっ、お前みたいな小汚いブ男が何言ってんだ?身の程を弁えろ。ところでユエちゃん、町についたら一緒に食事でもどう?もちろん、俺のおごりで」

「な、なら、俺はアメリちゃんだ!アメリちゃん、俺と食事に!」

「ミレディちゃんのスプーン……ハァハァ」

 

 うまうまとシアが調理したシチュー擬きを次々と胃に収めていく冒険者達。初日に彼等が干し肉や乾パンの様な携帯食をもそもそ食べている横で、入間達は普通に宝物庫から取り出した食器と材料を使って料理を始めたのだ。

 いい匂いを漂わせる料理に自然と視線が吸い寄せられ、入間達が熱々の食事をハフハフしながら食べる頃には全冒険者が涎を滝の様に流しながら血走った目で凝視するという事態になり、物凄く居心地が悪くなったシアがお裾分けを提案した結果、今の状態になった。

 

 当初、飢えたハイエナの如き彼等を前に入間は平然と飯を食べており、お裾分けするつもりなど皆無であった。しかし、シアが仲間になってから、外で美味い食事にありつくにはシアを頼る必要があった。バビルでは料理出来る組と出来ない組に分けられており、シアとミレディが出来る組で、入間とユエとアメリが出来ない組にカウントされている。なので、美味い食事を作ってくれるシアにお裾分けを提案されては、流石の入間も断れなかった。

 それからというもの、冒険者達がこぞって食事の時間にはハイエナの如く群がってくるのだが、最初は恐縮していた彼等も次第に調子に乗り始め、ことある毎にユエ達を軽く口説くようになったのだ。

 

 ぎゃーぎゃー騒ぐ冒険者達に、入間は無言で殺気を放った。熱々のシチューモドキで体の芯まで温まったはずなのに一瞬で芯まで冷えた冒険者達は、青ざめた表情でガクブルし始める。入間は口の中の肉を飲み込むと、シチューモドキに向けていた視線をゆっくり上げて囁くように、されどやたら響く声でポツリとこぼした。

 

「で?内臓ごと料理を吐き出すか、二度とご飯が食べられない身体になるか、どっちがいい?」

「「「「「調子に乗ってすんませんっしたーー!!!」」」」」

 

 見事なハモリとシンクロした土下座で即座に謝罪する冒険者達。彼等のほとんどは入間よりも年上でベテランの冒険者なのだが、そのような威厳は皆無だった。入間から受ける殺気が半端ないというのもあるが、ブルックの町での所業を知っているので入間に逆らおうという者はいないという事である。

 

「もう、入間さん。せっかくの食事の時間なんですから、少し騒ぐくらいいいじゃないですか。そ、それに、誰がなんと言おうと、わ、私は入間さんのものですよ?」

「……そういう台詞は控えてくれない?」

「フフ、入間さんったら照れてますね~?」

 

 然り気無くアピールを始めたシアに、入間は呆れたように言いながらそっぽを向く。

 そこへ、入間の腕にツンツンと軽くつつかれる感触がした。

 

「ん?」

「……入間、あ~ん」

 

 入間が振り向くと、そこには手に持った串焼き肉を入間の口元に差し出すユエがいた。シアのアピールに対抗してきたのだろう。

 これには入間も流石に顔を赤くして硬直するが、ユエが「食べてくれないの?」と語り掛けてくる様な目を向けられ、入間は「ええいままよ!」と言わんばかりに口を開けて串焼きをパクッと頬張り、赤い顔のまま無言で咀嚼する。

 それを見て嬉しそうに微笑むユエを見て、それに対抗するようにシア、アメリ、ミレディは慌てて串焼きを手にとって入間に差し出した。

 

「入間さん。あ~ん、ですぅ」

「イ、イルマ……私も…あ~ん…」

「はい、イルくん。あ~ん」

 

 次々と差し出される串焼きに、入間は諦めたような表情になると、順番にパクッパクッパクッと食い付いた。シア達がほわわぁ~んとした表情で入間を見ていると、またユエから串焼きを差し出された。

 それを食べると再びシアから、シアのを食べるとアメリから、アメリのを食べるとミレディからと、「あ~ん」のローテーションとなっていった。

 

 本人の主観はさておき、客観的にその様子を見せつけられている男達の心の声は「頼むから爆発して下さい!!」で一致していた。内心でも敬語のあたりが彼等と入間の力関係を如実に示しており何とも虚しいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから二日が経ち、残す道程があと一日に迫った頃、遂にのどかな旅路を壊す無粋な襲撃者が現れた。

 最初にそれに気がついたのはシアだ。街道沿いの森の方へウサミミを向けピコピコと動かすと、のほほんとした表情を一気に引き締めて警告を発した。

 

「敵襲です!数は100以上、森の中から来ます!」

 

 その警告を聞いて、冒険者達の間に一気に緊張が走る。現在通っている街道は、森に隣接してはいるがそこまで危険な場所ではない。何せ、大陸一の商業都市へのルートなのだ。道中の安全はそれなりに確保されている。なので魔物に遭遇する話はよく聞くが、せいぜい20体前後、多くても40体くらいが限度の筈なのだ。

 

「くそっ、100以上だと?最近、襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからなのか? ったく、街道の異変くらい調査しとけよ!」

 

 護衛隊のリーダーであるガリティマは、そう悪態をつきながら苦い表情をする。商隊の護衛は全部で15人、ユエ達を入れても19人だ。この人数で商隊を無傷で守りきるのは単純に物量で押し切られる為、かなり難しい。

 因みに、温厚の代名詞である兎人族であるシアを自然と戦力に勘定しているのは、【ブルックの町】で「シアちゃんの奴隷になり隊」の一部過激派による行動にキレたシアがその拳一つで湧き出る変態達を吹き飛ばしたという出来事が畏怖と共に冒険者達に知れ渡っているからである。

 ガリティマがいっそ隊の大部分を足止めにして商隊だけでも逃がそうかと考え始めた時、その考えを遮るように提案の声が上がった。

 

「迷っているなら、僕達が片付けましょうか?」

「えっ?」

 

 まるでちょっと買い物に行ってこようかとでも言うような気軽い口調で信じられない提案をしたのは、他の誰でもない入間である。ガリティマは入間の提案の意味を掴みあぐねて、つい間抜けな声で聞き返した。

 

「なんなら、僕達が全滅させてしまっても構わないでしょう?と言ったんですが」

「い、いや、それは確かに、このままでは商隊を無傷で守るのは難しいのだが……えっと、出来るのか?この辺りに出現する魔物はそれ程強い訳では無いが、数が……」

「数なんて問題無い、すぐ終わらせるので。……ミレディが」

 

 入間はそう言って、後ろに控えているミレディを指差す。ミレディも、特に気負った様子も見せずにいかにも「このミレディちゃんにお任せあれ!」と言う様な表情で胸を張っている。

 

 ガリティマは少し逡巡する。一応、彼も噂でミレディがユエ以上の魔法の使い手であるという事は聞いている。仮に言葉通り殲滅できなくても、入間達の態度から相当な数を削る事が出来るだろう。ならば戦力を分散する危険を冒して商隊を先に逃がすよりは、堅実な作戦と考えられる。

 

「わかった。初撃はミレディちゃんに任せよう。仮に殲滅できなくても数を相当数減らしてくれるなら問題ない。我々の魔法で更に減らし、最後は直接叩けばいい。皆、分かったな!」

「「「「了解!」」」」

 

 ガリティマの判断に他の冒険者達が気迫を込めた声で応えた。どうやら、ミレディ一人で殲滅出来るという話はあまり信じられていないらしい。

 入間は内心「そんな心配いらないけどね~」と思うが、バビルのメンバーが異常なだけで、実際には一々魔法陣や詠唱が無ければ魔法を使えない彼等にとって魔力操作が出来る魔物は驚異と認識されていることを考えれば仕方ないなと思い直す。

 

 そうこうしている内にも、冒険者達が商隊の前に陣取り隊列を組んでいた。緊張感を漂わせながらも覚悟を決めた良い顔つきで、食事中などのふざけた雰囲気は微塵もない。道中ベテラン冒険者としての様々な話を聞いたのだが、こういう姿を見るとベテランというに相応しいと納得出来る。商隊の人々はかなりの規模の魔物の群れと聞いて怯えた様子で、馬車の影から顔を覗かせていた。

 商隊の屋根の上にいる入間達バビルは、特に緊張感も何もない様子で魔物達の大群を眺めており、ふと入間がミレディに声掛けた。

 

「それでミレディ、任せるけど良いよね?」

「もっちろん!ミレディさんの初陣だからね~。張り切っちゃうよ!」

 

 入間の質問に、得意気に答えたミレディは、両手に腰に添える。

 

 

ゴーストドライバー!

 

 

 その瞬間、ミレディの腰にゴーストドライバーが出現し、ミレディは懐から目玉のような物──“オレゴースト眼魂(アイコン)”を右手で取り出した。

 右手の親指で眼魂のボタンを押すと、瞳に『G』のマークが現れる。ゴーストドライバーのカバーを開き、眼魂を中に装着してカバーを閉じると、ベルトの瞳から黒とオレンジの目が光るパーカーが出現した。

 

 

アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!

 

 

 ベルトから流れる音楽と歌に合わせ、そのパーカー──“オレゴースト”はミレディの周囲で踊り回る。

 ミレディは片足をくいっと曲げ、左手を腰に、右手を横ピースで目元に添え、バチコンッとウインクしながら、あの言葉を叫んだ。

 

「へ~んしんっ!」

 

 そして、ゴーストドライバーのレバーを引いて、押した。

 

 

カイガン!オレ!

 

レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!

 

 

 ミレディの体が光に包まれ、パーカーが被さったことで変身が完了する。

 基本カラーはオレンジ、顔全体がオレンジ色で黒い部分が複眼のような形状をしている【仮面ライダーゴースト・オレ魂】に変身したミレディは、パーカーのフードを下げると、身体にオレンジの光を纏いながらフワリと浮遊し、魔物達の群れへと突撃する。

 

「さあ!命、燃やしちゃうよ~」

 

 ゴーストはベルトから出現させた“ガンガンセイバー”を手にすると、向かってくる魔物の軍団を切り裂き、時にはパンチやキックを御見舞いする。基本形態のオレ魂とはいえ、仮面ライダーの超人的な力に大して強くもない魔物が堪えきれず筈もなく、魔物達は真っ二つに切られ、パンチやキックによって割れた水風船の様に体液を撒き散らしながら絶命していく。ミレディの実力ならこの程度の魔物は生身でも1分と掛からず殲滅できるのだが、今回はゴーストの力の試すのが大きな目的であるため、敢えて魔法は使わなかった。

 ゴーストは何処からか黄色い眼魂を取り出すと、ボタンを押してゴーストドライバーのカバーを開き、眼魂を“エジソンゴースト眼魂”と取り替る。

 ベルトから黄色いパーカーゴーストが出現し、ゴーストはドライバーのレバーを引き押しする。

 

 

カイガン!エジソン!

 

エレキ!ヒラメキ!発明王!

 

 

 パーカーゴーストが被さり、ゴーストは白衣を連想させる銀色と黄色のパーカーを羽織り、マスクは電球を連想させ、2本のアンテナを持った【エジソン魂】に変身する。

 変身したゴーストはガンガンセイバーを変形させ、ガンモードとなったそれの銃口を魔物達に向け、引き金を引いた。

 銃口から稲妻の弾が連射され、弾が直撃しま魔物達は次々と感電し、黒焦げになって絶命する。すると、単体で勝つのは不可能と考えたのか、生き残っている全ての魔物達が死骸を飛び越えて残った魔物が一斉にゴーストに襲い掛かった。

 

 それを見たゴーストは、ガンガンセイバーをゴーストドライバーに翳す“アイコンタクト”をする。

 

 

ダイカイガン!オメガシュート!

 

 

 音声と共にガンガンセイバーの銃口を向けると、銃口にゴーストの紋章と共にバチバチと音を立てて電気が蓄積され、やがて電気で出来た巨大な弾が形成されていく。

 引き金を引くと、ガンガンセイバーから強力な雷撃が発射され、直撃した魔物は一匹残さず爆発した。

 

 

オヤスミー

 

 

「ふぃ~、まあ初戦はこんな感じかな!」

 

 変身を解いて「いい仕事した!」というような顔でバビルの元に戻って行くと、呆然としていた冒険者達が我に返り、猛烈な勢いで入間達を凝視して一斉に騒いでおり、ミレディが到着した頃に、リーダーのガリティマが入間達に質問してきた。

 

「はぁ……まずは礼を言う。ミレディちゃんのお陰で被害ゼロで切り抜ける事が出来た」

「今は仕事仲間なんですから、礼なんていりませんよ。ね?」

「そーそー!ミレディさんは心が広~いからね!感謝なんていらないよ!」

「はは、そうか……で、だ。あれは何だ?」

「あれは戦闘用のアーティファクトですよ。入手経路は秘密ってことで」

「アーティファクト、か…まあそういう事にしておこう……」

 

 深い溜息と共に、追及を諦めたガリティマ。ベテラン冒険者なだけに暗黙のルールには敏感らしい。肩を竦めると、未だに混乱している仲間達を落ち着かせに向かった。

 商隊の人々の畏怖と尊敬の混じった視線をチラチラと受けながら、一行は歩みを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミレディが全ての商隊の人々と冒険者達の度肝を抜いた日以降は特に何事もなく、一行は遂に【中立商業都市フューレン】に到着した。

 フューレンの東門には六つの入場受付があり、そこで持ち込み品のチェックをするそうだ。入間達もその内の一つの列に並んでいた。順番が来るまで暫くかかりそうである。

 馬車の屋根でユエを膝枕して、アメリ、シア、ミレディを侍らせながら座り込んでいた入間の下にモットーがやって来た。若干呆れ気味に入間を見上げるモットーに、入間は軽く頷いて屋根から飛び降りた。

 

「まったく豪胆ですな。周囲の目が気になりませんかな?」

 

 モットーの言う周囲の目とは、毎度お馴染みの入間に対する嫉妬と羨望の目、そしてユエ、アメリ、シア、ミレディに対する感嘆と厭らしさを含んだ目だ。それに加えて今は、シアに対する値踏みする様な視線も増えている。流石大都市の玄関口、様々な人間が集まる場所では単純な好色の目だけでなく、利益も絡んだ注目を受けている様だ。

 

「注目されるのは昔からでね。気にするだけ無駄ですよ」

「フューレンに入れば更に問題が増えそうですな。やはり、彼女を売る気は……」

 

 さりげなくシアの売買交渉を申し出るモットーだったが、その話は既に終わっただろう?という入間の無言の主張に、両手を上げて降参のポーズをとる。

 

「そんな話をしに来た訳じゃないでしょう。用件は?」

「いえ、似た様なものですよ。売買交渉です。貴方達のもつアーティファクト、やはり譲ってはもらえませんか? 商会に来ていただければ公証人立会の下、一生遊んで暮らせるだけの金額をお支払いしますよ?貴方達の持つアーティファクト、特に“宝物庫”は、商人にとっては喉から手が出る程手に入れたいものですからな」

 

 “喉から手が出る程”とそう言いながらもモットーの笑っていない眼をみれば、“殺してでも”という表現の方がぴったりと当て嵌まる。商人にとって常に頭の痛い懸案事項である“商品の安全確実で低コストの大量輸送”という問題が一気に解決するのだから、無理も無いだろう。

 野営中に宝物庫から色々取り出している光景を見た時のモットーの表情と言ったら、砂漠を何十日も彷徨い続け死ぬ寸前でオアシスを見つけた遭難者の様な表情だった。あまりにしつこい交渉に、入間が殺気を込めて軽く睨みつけると漸く商人の勘がマズイ相手と警鐘を鳴らしたのか、すごすごと引き下がった。

 しかし、やはり諦めきれないのだろう。入間達の武器共々、何とか引き取ろうと再度交渉を持ちかけてきた様だ。

 

「何度言われようと、何一つ譲る気はないので諦めてください」

「しかし、そのアーティファクトは一個人が持つにはあまりに有用過ぎる。その価値を知った者は理性を効かせられないかもしれませんぞ?そうなれば、かなり面倒なことになるでしょなぁ……例えば、彼女達の身にッ!?」

 

 モットーが少々、狂的な眼差しでチラリと脅すように屋根の上にいるユエ達に視線を向けた瞬間、壮絶な殺気がモットーに襲い掛かった。モットーはその殺気を感じているだけで冷や汗が収まらず、鼓動を早くし、まるで金縛りにあったかのように体の自由が効かなくなる。

 

「それは、宣戦布告と受け取ってもいいかな?」

 

 静かな声音で、されど氷河の如き冷たい声音で硬直するモットーの眼を覗き込む入間の隻眼は、まるで深い闇のようだ。モットーは全身から冷や汗を流し必死に声を捻り出す。

 

「ち、違います。どうか……私は、ぐっ……あなたが……あまり隠そうとしておられない……ので、そういうこともある……と。ただ、それだけで……うっ」

 

 モットーの言う通り、入間はアーティファクトや実力をそこまで真剣に隠すつもりはなかった。どの道、エヒトを相手にする以上はペットのイシュタル達(信者気取りの害悪)ハイリヒ(腐れ傀儡)王国、そして光輝達(馬鹿共)と全面戦争になる未来は決まっているのだ。ちょっとの配慮で面倒事を避けられるなら配慮するが、逆に言えばちょっとを越える配慮が必要なら隠すつもりはなかった。

 

「別に、あなたが何をしようと勝手にすればいいですよ。あるいは誰かに言いふらして、その人達がどんな行動を取っても構わない。ただ、その場合、僕は一切として容赦も遠慮もしない。国だろうが世界だろうが関係ない。全て血祭りに上げるだけですので」

「……はぁはぁ、なるほど。割に合わない取引でしたな……」

 

 未だ青ざめた表情ではあるが、気丈に返すモットーは優秀な商人なのだろう。それに道中の商隊員とのやりとりから見ても、かなり慕われているようであった。本来は、ここまで強硬な姿勢を取ることはないのかもしれない。彼を狂わせるほどの魅力が入間のアーティファクトにあったということだろう。

 

「まあ、今回は見逃しますよ。次がないといいですね?」

「……全くですな。私も耄碌したものだ。欲に目がくらんで竜の尻を蹴り飛ばすとは……」

 

 『竜の尻を蹴り飛ばす』とはこの世界の諺で、竜とは竜人族を指す。彼等はその全身を覆うウロコで鉄壁の防御力を誇るが、目や口内を除けば唯一尻穴の付近にウロコがなく弱点となっている。防御力の高さ故に眠りが深く、一度眠ると余程のことがない限り起きないのだが、弱点の尻を刺激されると一発で目を覚まし烈火の如く怒り狂うという。

 昔、何を思ったのかそれを実行して叩き潰された阿呆がいたとか。そこからちなんで、手を出さなければ無害な相手にわざわざ手を出して返り討ちに遭う愚か者という意味で伝わるようになったという。

 ちなみに、竜人族は、500年以上前に滅びたとされている。理由は定かではないが、彼等が“竜化”という固有魔法を使えたことが魔物と人の境界線を曖昧にし、差別的排除を受けたとか、半端者として神により淘汰されたとか、色々な説がある。

 

「とんだ失態を晒しましたが、ご入り用の際は我が商会を是非ご贔屓に。貴方は普通の冒険者とは違う。特異な人間とは繋がりを持っておきたいので、それなりに勉強させてもらいますよ」

「生粋の商人ですね、あなたは…」

 

 入間から呆れた視線を向けられながら、「では、失礼しました」と踵を返し前列へ戻っていくモットー。

 ユエ達四人には未だ、いや、むしろより強い視線が集まっている。モットーの背を追えば、さっそく何処ぞの商人風の男がユエ達を指差しながら何かを話しかけている。物見遊山的な気持ちで立ち寄ったフューレンだが、入間が思っていた以上に波乱が待っていそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中立商業都市フューレンは、高さ20m、長さ200kmの外壁で囲まれた大陸一の商業都市だ。あらゆる業種がこの都市で日々しのぎを削り合っており、夢を叶え成功を収める者もいれば、あっさり無一文となって悄然と出て行く者も多くいる。観光で訪れる者や取引に訪れる者など出入りの激しさでも大陸一と言えるだろう。

 その巨大さからフューレンは四つのエリアに分かれている。この都市における様々な手続関係の施設が集まっている中央区、娯楽施設が集まった観光区、武器防具はもちろん家具類などを生産、直販している職人区、あらゆる業種の店が並ぶ商業区がそれだ。東西南北にそれぞれ中央区に続くメインストリートがあり、中心部に近いほど信用のある店が多いというのが常識らしい。メインストリートからも中央区からも遠い場所は、かなりアコギでブラックな商売、言い換えれば闇市的な店が多い。その分、時々とんでもない掘り出し物が出たりするので、冒険者や傭兵のような荒事に慣れている者達が、よく出入りしているようだ。

 

 そんな話を、中央区の一角にある冒険者ギルドのフューレン支部内にあるカフェで軽食を食べながら聞くバビル一行。話しているのは案内人と呼ばれる職業の女性だ。都市が巨大であるため需要が多く、案内人というのはそれになりに社会的地位のある職業らしい。多くの案内屋が日々客の獲得のためサービスの向上に努めているので信用度も高い。

 モットー率いる商隊と別れると証印を受けた依頼書を持って冒険者ギルドにやって来た入間達は、宿を取ろうにも何処にどんな店があるのかさっぱりなので、冒険者ギルドでガイドブックを貰おうとしたところ、案内人の存在を教えられたのだ。

 そして、現在、案内人の【リシー】と名乗った女性に料金を支払い、軽食を共にしながら都市の基本事項を聞いていたのである。

 

「そういうわけなので、一先ず宿をお取りになりたいのでしたら観光区へ行くことをオススメしますわ。中央区にも宿はありますが、やはり中央区で働く方々の仮眠場所という傾向が強いので、サービスは観光区のそれとは比べ物になりませんから」

「なるほど、なら素直に観光区の宿にしとくか。どこがオススメなんですか?」

「お客様のご要望次第ですわ。様々な種類の宿が数多くございますから」

「そりゃそうか。そうですね…ご飯が美味しくて、あとと風呂があれば文句はない。立地とかは考慮しなくていいので。あと責任の所在が明確な場所がいいですね」

 

 にこやかに入間の要望を聞くリシー。最初の二つはよく出される要望なのだろう「うんうん」と頷き、早速脳内でオススメの宿をリストアップしたようだ。しかし、続く入間の言葉に「ん?」と首を傾げた。

 

「あの~、責任の所在ですか?」

「例えば、何らかの争いごとに巻き込まれたとして、こちらが完全に被害者だった時に、宿内での損害について誰が責任を持つのかということです。どうせならいい宿に泊りたいけど、そうすると備品なんか高そうだし、あとで賠償額をふっかけられても面倒なので」

「え~と、そうそう巻き込まれることはないと思いますが……」

「まぁ、普通はそうなんだろうが、仲間が目立つんですよ。観光区なんてハメ外すヤツも多そうですし、商人根性逞しいヤツなんか強行に出ないとも限らない。まぁ、あくまで“出来れば”なので、難しければ考慮しなくていい」

 

 リシーは、入間の両脇に座りうまうまと軽食を食べるとユエ、アメリ、シア、ミレディの四人に視線をやり、納得したように頷いた。確かにこの美少女四人は目立つ。現に今も周囲の視線をかなり集めている。特にシアの方は兎人族だ。他人の奴隷に手を出すのは犯罪だが、しつこい交渉を持ちかける商人やハメを外して暴走する輩がいないとは言えない。

 

「しかし、それなら警備が厳重な宿でいいのでは?そういうことに気を使う方も多いですし、いい宿をご紹介できますが……」

「それでもいいんですが、欲望に目が眩んだ馬鹿は、時々とんでもないことをするのでね。警備も絶対でない以上は最初から物理的説得を考慮した方が早い」

「ぶ、物理的説得ですか……なるほど、それで責任の所在なわけですか」

 

 入間の意図を完全に理解したリシーは、あくまで“出来れば”でいいと言う入間に案内人根性が疼いたようだ、やる気に満ちた表情で「お任せ下さい」と了承する。そして、ユエとアメリとシアとミレディの方に視線を転じて要望がないかを聞いた。出来るだけ客のニーズに応えようとする点、リシーも彼女の所属する案内屋も、きっと当たりなのだろう。

 

「……お風呂があればいい、但し混浴、貸切が必須」

「特にないが……出来れば覗きがない所で頼む」

「えっと、大きなベッドがいいです」

「軽食が食べられるように、飲食店が近くにある所で」

 

 少し考えて、それぞれの要望を伝える四人。一つ一つは何て事も無い要望だが、彼女達の要望を組み合わせると自然ととある意図が透けて見える。リシーも察したようで、「承知しましたわ、お任せ下さい」とすまし顔で了承するが、頬が僅かに赤くなっている。そして、チラッチラッと頬を引きつらせる入間と澄まし顔のユエ達を交互に見ると更に頬を染めた。

 ちなみに、すぐ近くのテーブルでたむろしていた男連中が「視線で人が殺せたら!」と云わんばかりに入間を睨んでいたが、すっかり慣れた視線なので入間は普通にスルーした。

 

 それから他の区について話を聞いていると、入間達は不意に強い視線を感じた。特にユエ達に対しては、今までで一番不躾でねっとりとした粘着質な視線が向けられている。視線など既に気にしないユエとアメリとシアとミレディだが、あまりに気持ち悪い視線に僅かに眉を顰める。

 入間がチラリとその視線の先を辿ると、そこには体重が軽く100キロは超えていそうな肥えた体に、脂ぎった顔、豚鼻と頭部にちょこんと乗っているベットリした金髪の、豚かオークとでも形容すべき醜男がいた。身なりだけは良いようで、遠目にもわかるいい服を着ており、その男がユエ達四人を欲望に濁った瞳で凝視していた。

 

 入間が「面倒な…」と思うと同時に、その醜男は重そうな体をゆっさゆっさと揺すりながら真っ直ぐ入間達の方へ近寄ってくる。どうやら逃げる暇もないようだ。入間が逃げる事などないだろうが。

 リシーも不穏な気配に気が付いたのかそれとも男が目立つのか、傲慢な態度でやって来る醜男に営業スマイルも忘れて「げっ!」と何ともはしたない声を上げた。

 

 醜男が入間達のテーブルのすぐ傍までやって来ると、ニヤついた目でユエ、アメリ、シア、ミレディの四人をジロジロと見やり、シアの首輪を見て不快そうに目を細めた。そして、今まで一度も目を向けなかった入間にさも今気がついたような素振りを見せると、これまた随分と傲慢な態度で一方的な要求をした。

 

「お、おい、ガキ。ひゃ、百万ルタやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの女共はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

 

 ドモリ気味のきぃきぃ声でそう告げて、醜男は一番近くにいたユエに触れようとする。彼の中では既にユエ達は自分のものになっているようだ。

 

 ……その瞬間、その場に凄絶な殺意威圧が降り注いだ。周囲のテーブルにいた者達ですら顔を青ざめさせて椅子からひっくり返り、後退りしながら必死に入間から距離をとり始めた。

 

 直接その殺気を受けた醜男は「ひぃ!?」と汚い悲鳴を上げると尻餅をつき、後退ることも出来ずにその場で股間を濡らし始めた。

 入間が本気の殺気をぶつければ、おそらく瞬時に意識を刈り取る処か心臓麻痺を起こしているだろうが、それでは意味がないので十分に手加減している。

 

「皆、場所を変えよう」

 

 汚い液体が漏れ出しているので、入間は仲間達に声をかけて席を立つ。本当は即殺したかったのだが、流石に声を掛けただけで殺されたとあっては入間の方が加害者だ。殺人犯を放置するほど都市の警備は甘くないだろう。基本的に正当防衛という言い訳が通りそうにない限り、都市内においては半殺し程度を限度にしようと入間は考えていた。

 

 席を立つ入間達に、リシーが「えっ?えっ?」と混乱気味に目を瞬かせた。リシーが入間の殺気の効果範囲にいても平気そうなのは、単純にリシーだけ対象外にしたからだ。周囲に気づかせずにモットーにだけピンポイントで殺気をぶつけた時の逆バージョンである。リシーからすれば男が勝手なことを言い出したと思ったら、いきなり尻餅をついて股間を漏らし始めたのだから混乱するのは当然だろう。

 因みに、周囲にまで殺気が出ているのはわざとである。周囲の連中もそれなりに鬱陶しい視線を向けていたので、序でに理解させておいたのだ。周囲の男連中の青ざめた表情から判断するに、これ以上ないほど伝わったようだ。

 

 だが、ギルドを出ようとした直後、大男が入間達の進路を塞ぐような位置取りに移動し仁王立ちした。そこの醜男とは違う意味で100キロはありそうな巨体である。全身筋肉の塊で腰に長剣を差しており、歴戦の戦士といった風貌だ。

 

 その巨体が目に入ったのか、醜男が再びキィキィ声で喚きだした。

 

「そ、そうだ、レガニド!そのクソガキを殺せ!わ、私を殺そうとしたのだ!嬲り殺せぇ!」

「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

「やれぇ!い、いいからやれぇ!お、女は、傷つけるな!私のだぁ!」

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

「い、いくらでもやる!さっさとやれぇ!」

 

 レガニドと呼ばれた巨漢は、醜男の雇われ護衛らしい。入間から目を逸らさずに醜男と話して報酬の約束をするとニンマリと笑った。珍しい事にユエ達は眼中にないらしく、見向きもせずに貰える報酬にニヤついているようだ。

 

「おう、坊主。わりぃな。俺の金のためにちょっと半殺しになってくれや。なに、殺しはしねぇよ。まぁ、嬢ちゃん達の方は……諦めてくれ」

 

 レガニドはそう言うと、拳を構えた。長剣の方は流石に場所が場所だけに使わないようだ。周囲がレガニドの名を聞いてざわめく。

 

「お、おい、レガニドって“黒”のレガニドか?」

「“暴風”のレガニド!?何で、あんなヤツの護衛なんて……」

「金払じゃないか?“金好き”のレガニドだろ?」

 

 周囲のヒソヒソ声で大体目の前の男の素性を察した入間。天職持ちなのかどうかは分からないが冒険者ランクが“黒”ということは、上から三番目のランクということであり、相当な実力者ということだ。

 レガニドから闘気が噴き上がるが、入間達には子犬が吠えた程度にしか感じない。これなら正当防衛を理由に半殺しにしても問題ないだろうと、入間が手に力を込めた瞬間、アメリが入間とレガニドの間に割って入った。訝しそうな入間とレガニドに、アメリは背を向けたまま答える。

 

「?アメリさん?」

「……イルマ、私がやろう」

 

 アメリの言葉に入間が返答するよりも、レガニドが爆笑する方が早かった。

 

「ガッハハハハ、嬢ちゃんが相手をするだって?中々笑わせてくれるじゃねぇの。何だ?夜の相手でもして許してもらおうって──」

 

ドゴォオッ!!

 

ズドォオオオオオオオオンッ!!

 

 レガニドの言葉は続かなかった。

 それよりも早く距離を積めたアメリの蹴りが、レガニドの鳩尾にめり込んだのだ。井の中の蛙でしかないレガニドにこれを避けることも受け止める事も出来ず、血反吐を吐きながら蹴り飛ばされる。ギルドの壁を突き破ってもその勢いは止まらず、やがてレガニドはギルドから100m程離れた地点でズシャアッ!と墜落し、そのままゴロゴロと転がって建物の壁にぶつかった事でようやく止まることが出来た。

 鳩尾にはアメリの靴跡がハッキリと残って、そこから大量に血を吹き出しており、更に壁を突き破った時や墜落した時に折ったのか、両手足があり得ない方向にねじ曲がっていた。

 

 突然の惨劇に誰も彼もが身動き一つせず、入間達を凝視していた。よく見れば、ギルド職員らしき者達が争いを止めようとしたのかカフェに来る途中で入間達の方へ手を伸ばしたまま硬直している。様々な冒険者達を見てきた彼等にとっても衝撃の光景だったようだ。

 誰もが硬直していると、入間が醜男に向かってツカツカと歩き出した。ギルド内にいる全員の視線が入間に集まる。

 

「ひぃ!く、来るなぁ!わ、私を誰だと思っている!プーム・ミンだぞ!ミン男爵家に逆らう気かぁ!」

「……地球の全ゆるキャラファンに謝れ」

 

 醜男の名前に地球の代表的なゆるキャラを思い浮かべ、盛大に顔をしかめると、ポケットの中であるライドウォッチを起動した。勿論、聞こえないように魔術で遮音して。

 

 

アルティメットフォーム!

 

 

「ぎ、ぎゃあああああああああああッ!!!?」

 

 音声が鳴り響いた瞬間、なんとプームの体が何の前触れもなく発火したのだ。周囲が悲鳴を上げ、プームは熱と痛みに燃えながらのたうち回るが、不思議な事に燃えるのはプームだけで何処にも燃え移らない。

 “クウガアルティメットフォームライドウォッチ”の能力でアルティメットフォームの“超自然発火能力”を使いプームを焼いたのだ。他に燃え移らないのは、入間の絶妙な調整の結果である。

 やがて炎がフッと消えると、そこにはプームの姿は何処にもなかった。

 

 ゴミを始末したのを確認した入間はふぅ~と息を吐き、何処か清々しい笑顔で振り返ってユエ達が座る場所へ向かうと、ユエ達も微笑み返す。そして、入間はすぐ傍で呆然としている案内人リシーにも笑いかけた。

 

「それじゃあ、案内人さん。場所移して続きを頼みます」

「はひっ!い、いえ、その、私、何といいますか……」

 

 入間の笑顔に恐怖を覚えたのか、しどろもどろになるリシー。その表情は明らかに関わりたくないと物語っていた。それくらい入間達は異常だったのだ。入間も何となく察しているが、また新たな案内人をこの騒ぎの後に探すのは面倒なのでリシーを逃がすつもりはない。入間の意図を悟ってユエ、アメリ、シア、ミレディが退路を防ぎ、「ひぃぃん!」と情けない悲鳴を上げるリシー。

 

 と、そこへ彼女にとっての救世主たるギルド職員が今更ながらにやって来た。

 

「あの、申し訳ありませんが、あちらで事情聴取にご協力願います」

 

 そう入間に告げた男性職員の他、三人の職員が入間達を囲むように近寄った。もっとも、全員腰が引けていたが。もう数人はレガニドの容態を見に行っている。

 

「そう言われましてもね、あの醜男が僕の仲間を奪おうとして、それを断ったら逆上して襲ってきたから返り討ちにしただけだ。それ以上、説明する事がない。そこの案内人とかその辺の男連中も証人になりますよ。特に、近くのテーブルにいた奴等は随分と聞き耳を立てていたようですしね?」

 

 入間がそう言いながら周囲の男連中を睥睨すると、目があった彼等はこぞって首がもげるんじゃないかと言いたくなるほど激しく何度も頷いた。

 

「それは分かっていますが、ギルド内で起こされた問題は、当事者双方の言い分を聞いて公正に判断することになっていますので……規則ですから冒険者なら従って頂かないと……」

「当事者双方?片方は瀕死の状態、片方は突然発火して消えてったんですよ?そもそもただの正当防衛なのに、なんで僕等が加害者みたいに扱われるんですか?それとも、あの図体だけの雑魚を都市外に連れ出して殺せば話は終わりますか?」

 

 入間が非難がましい視線をギルド職員に向ける。典型的なクレーマーのような物言いにギルド職員の男性が「そんな目で睨むなよぉ、仕事なんだから仕方ないだろぉ」という自棄糞気味な表情になり、最後に入間の恐ろしい台詞が耳に入り、慌てて止めに入る。

 その時、突如凛とした声が掛けられた。

 

「何をしているのです?これは一体、何事ですか?」

 

 そちらを見てみれば、メガネを掛けた理知的な雰囲気を漂わせる細身の男性が厳しい目で入間達を見ていた。

 

「ドット秘書長!いいところに!これはですね……」

 

 職員達がこれ幸いとドット秘書長と呼ばれた男のもとへ群がる。ドットは、職員達から話を聞き終わると、入間達に鋭い視線を向けた。

 どうやら、まだまだ解放はされないようだ。

 

 

 

 




感想、評価お待ちしております。

優花をヒロイン入りさせますか?ご意見をお聞かせ下さい

  • 入間くんのヒロイン入り
  • 原作通り
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。