この作品は自己満足系の二次創作であるために、稚拙な駄文、キャラ崩壊、ご都合主義、独自設定が多々あります。
光が収まり、入間が顔を覆っていた腕を下げると、そこは巨大な壁画があった。壁画には後光を背後に金髪を靡かせて微笑む中性的な人物が背景の草原、湖、山々を包み込む様に両手を広げた姿が描かれている。
常人なら素晴らしい芸術品だと称賛するかもしれないが、何故か入間にはまるで壁画に描かれた人物が、この世の全てを嘲笑っているようにしか見えず、気分が悪くなった。
周りを見てみると、そこには見知らぬの学校の制服と思しき恰好をした数十人の人間達がいた。
「……何だ、この服」
体を見下ろしてみると、入間はバビルスの制服から、彼等が着ている物と同じ制服へと服装が変わっていたのだ。髪も、元の深い青色から漆黒に染まっている。
一応、入間の魔術なら服と髪色を変えることなど造作もないが、そんな事をした覚えはない。
どうやら自分と彼等は大聖堂にいるらしい。大理石製の大聖堂、その最奥の台座、そして跪く複数の僧侶らしき格好の連中。その中から、リーダー格と思われる老人が近づいてきた。
「ようこそ、トータスへ。勇者様にご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
そのままイシュタルに10mはありそうな机の並ぶ大広間に案内された。普通なら混乱するところだが、クラスのリーダーらしき【天之川光輝】という生徒が生徒達を落ち着かせて席に座らせ、教師らしき【畑山愛子】が涙目になった。
全員が着席すると、図ったかのようにカートを運んだメイド達がやって来て紅茶を差し出してくるが、その手際はお世辞にも良いとは言えない。オペラさんの元で10年は修行してこいと言いたくなる程だ。
この時点で容姿を優先して集められたのは明白であり、現に他の男子生徒は先程までの混乱から一転してメイド達に鼻の下を伸ばしており、女子生徒達から冷たい目を向けられていた。
すると、入間は視線を感じてそちらを目を向けると、黒髪をストレートにした美少女が、ニコニコとこちらを見ていたのだ。
なんとなく、その笑顔が煩わしく感じた入間は直ぐに視界から彼女を外した。
「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」
イシュタルの話はこうだ。
このトータスと呼ばれる世界には人間族・亜人族・魔人族と呼ばれる三種族が存在しており、人間族と魔人族は長らく戦争をしているという。だが、近年魔人族が魔物を使役し始めた事でパワーバランスが崩れ、人類は滅亡の危機にあるのだとか。
「貴方方を召喚したのは“エヒト様”です。我々人間族が崇める守護神、聖教協会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。恐らくエヒト様は悟られたのでしょう、このままでは人間族は滅ぶと。それを回避する為に貴方方を呼ばれた。この世界よりも上位の世界の人間である貴方方は、この世界の人間よりも優れた力を有しているのです。神託で伝えられた受け売りですがな。貴方方には是非その力を発揮しエヒト様の御意思の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
イシュタルはどこか恍惚とした気色の悪い表情を浮かべている。神託を賜った時の事を思い出しているのだろうが、いくら滅亡の危機とはいえ、別の世界の無関係の連中を自分達の都合に巻き込んでおきながら、その事に疑問すら持たないとは随分と身勝手な事である。どうやらエヒトとかいう神の信徒は、神の意思を聞くだけで良識も何もない連中の集まりのようだ。
入間がイシュタルの表情とこの世界の歪さに吐き気を催していると、突然立ち上がり猛然と抗議する人物が現れた。
「ふざけないで下さい!要はこの子達に戦争させようって事でしょ!?そんなの許しません、ええ先生は絶対許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと御家族も心配している筈です!貴方達のしている事はただの誘拐ですよ!」
社会科教師、畑山愛子だった。担任ではないが、教師として生徒を危険な目に合わせられないと怒りを露にしてイシュタルに食って掛かる。しかし悲しいことに、その姿からは教師の威厳よりも愛嬌しか感じられず、入間以外の生徒達はほんわかした気持ちで愛子を眺めていた。
「お気持ちはお察しします。しかし……貴方方の帰還は現状では不可能です」
場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に圧し掛かっている様だ。生徒達は何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。
「ふ、不可能って……、ど、どういう事ですか!?喚べたのなら帰せるでしょう!?」
「先程言った様に、貴方方を召喚したのはエヒト様です。我々があの場にいたのは、単に勇者様方を出迎える為と、エヒト様への祈りを捧げる為。人間に異世界に干渉する様な魔法は使えませんのでな、貴方方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第という事ですな」
「そ、そんな……」
絶望したような愛子の言葉と共に、一気にクラスメイト達はパニックになった。
その時、クラスの中心人物らしい光輝が立ち上がって机をバンッと叩いて全員の注目を集めると、光輝は喋りだした。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味が無い。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておく事なんて俺には出来ない。それに、人類を救う為に召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん、どうですか?」
「そうですな、エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」
「俺達には大きな力があるんですよね?ここに来てから妙に力が漲ってる感じがします」
「えぇ、そうです。ざっとこの世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っている考えていいでしょうな」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う、人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
(……彼、状況を理解してるのかな?)
キメ顔でそう宣言した光輝に、入間は馬鹿を見るような目を向けた。
ふと周りを見てみると、何故か生徒達は皆、希望を見つけたとでも言わんばかりの表情で光輝に熱っぽい視線を送っている。
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな……、俺もやるぜ?」
「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど、私もやるわ」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
「龍太郎、雫、香織……」
【坂上龍太郎】、【八重樫雫】、【白崎香織】といったメンバーが賛同していき、後は当然という様にクラスメイト達も賛同していく。
その時だった。
「反対」
入間の言葉により、その場にいた全員が入間の方に視線を向けた。
だが入間はそんな事を気にも止めずに席を立ち、ツカツカと光輝やイシュタルの方に歩み寄りながら、冷めた目で光輝達四人とイシュタルを見据えて口を開いた。
「さっきから黙って聞いていたけど、そこの先生以外は誰も状況を理解してないみたいだね。戦争って言うのは国家間に起きた闘争。つまり相手はれっきとした“人”って事だ。それに戦争なんて、本質はただの殺し合いだ。その人はなんか上手いこと言ってたけど、要するに自分達が戦争で負けそうだから代わりに戦争で人殺しまくれと言ってるんだよ?しかも、勇者の意思を“
入間の絶対零度とも呼べる視線に、イシュタルは動揺して冷や汗を流す。
入間は気が付いていた。イシュタルが事情説明をする間、それとなく光輝を観察し、どの言葉に、どんな話に反応するのか確かめていた事を。光輝が人間族の悲劇を語られた時の反応は実に判り易かった。その後は、殊更魔人族の冷酷非道さ、残酷さを強調する様に話していた。恐らくイシュタルはこの集団で誰が一番影響力を持っているのかを見抜いていたのだろう。
その時、光輝が口を挟んだ。
「だ、だけど…この世界の人々は滅亡の危機に晒されているんだ!だから俺達が──」
「俺達が戦うって?君達は戦争がどれだけ悲惨な物なのか
「ッ!鈴木!お前はこの世界の人達が、どうなってもいいのか!!」
「別に?異世界に人を誘拐しておいて帰せないなんて身勝手な事を言われた上に、関係の無い人達を巻き込んで
「困っている人には手を差しのべるのは、人として当然の事だろう!」
「なら、君は困ってる人のために人を殺せるの?殆どの戦争は、どちらかが滅ぶまで終わらない。この世界の人間達は神を盲信するだけで何もしなかった。進歩がないから負けて滅びる、それだけでしょ?そんなに殺し合いがしたいなら自分でやればいい、僕まで巻き込まないでくれる?」
入間の正論に、まるで言い訳するように反論する光輝。
そんな口論の中でも、入間は先程から感じていた違和感の正体を確信し、内心では首をかしげていた。
先程から、この天之川光輝とか言う男も、他の生徒達も、
何故か同じ制服を着ているとはいえ、入間と目の前にいる連中との面識はなく、この場で初対面の筈なのだが、どうやら彼等の中ではそうではないらしい。恐らく、なんらかの力で記憶のすり合わせが行われているのかもしれない。
「せ、先生も鈴木君と同じ意見です!戦争とは、常に悲惨な結末をもたらす非生産行為でしかないんです!大事な生徒達を参戦させるなんて絶対に認められません!!」
「先生まで……鈴木!お前は教師を味方に付けて恥ずかしくないのか!!」
「いや、これは学生だけで決断していい問題じゃないし、逆に何で年長者の意見を聞き入れないの?」
すると、先程まで生徒全員が戦争するという流れに涙目でオロオロしていた愛子も入間に賛同した事で、口論はより激しくなる。
やがて光輝達はこれ以上話していても無駄だと思ったのか、イシュタルと共に歩きだした。雫は気まずそうに入間と愛子を見ていたが、何も言わずに光輝達に追従した。
「うぅ……何でこんな事に……それに、私は先生なのに生徒達を止められないなんて……」
「……元気を出してください」
残ったのは入間と愛子の二人だけ。生徒達が参戦する事になってしまった理不尽と、止められなかった自分への不甲斐なさに涙を流して膝から崩れ落ちる愛子に、初対面である入間も同情せずにはいられなかった。
入間達は聖教教会の総本山である【神山】の麓にある【ハイリヒ王国】の王宮に向かうこととなり、外に出た。門を潜ると、そこには雲海が広がっていた。イシュタルに促されて先へ進むと、柵に囲まれた円形の白い台座に乗る。生徒がキョロキョロと周りを見渡しているとイシュタルが何やら唱えだした。
「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん──“天道”」
その途端、足元の魔法陣が燦然と輝き、まるでロープウェイの様に滑らかに台座が動き出し、地上へ向かって斜めに下っていく。だが、入間からすれば何故そんな無駄な呪文を唱える必要があるんだと呆れ果てる。入間からすれば、意味の無い臭い芝居にしか見えなかったのだ。
雲海を抜けハイリヒ王国の王宮に辿り着き、玉座の間に迎えられた。彼らを出迎えたのはこのハイリヒ王国の国王【エリヒド・S・B・ハイリヒ】、王妃の【ルルリアナ】、第一王子の【ランデル】、王女の【リリアーナ】だった。
だが問題なのは、国王が玉座が座らずに玉座の前で立って待っていることであり、イシュタルが生徒達を立ち止まらせて国王の前まで歩いて手を差し出すと、国王は恭しくその手を取って軽く触れない程度の口付けをしたのだ。
入間はこの瞬間、この国は神に盲信するだけの無能の国、王族は為政者の風上にも置けない連中だと確信した。
夜になると晩餐会が開かれたのだが、その際ランデル王子が香織に一目惚れしたらしく積極的に話しかけたが、香織がチラチラ見つめる先にいる入間を睨みつけていた。当の入間からすれば両方とも鬱陶しいだけなので、視線すら向けずに無視を決め込んでいた。
晩餐が終わり解散になると、各自に一室ずつ与えられた部屋に案内された。
入間は、自室の半分の敷居しかない部屋になど目もくれず、虚空に向けて鋭い目を向けた。
「そろそろ、出てきたらどうですか?」
「…やはり、気付いていたか」
入間の言葉に答えるように、部屋の中に銀色に揺らめくオーロラが現れた。そしてそのオーロラから現れたのは、首にマゼンタのカメラを下げた背の高い青年だった。
そう、彼は仮面ライダーディケイドとして、幾つもの世界を巡る“世界の破壊者”と呼ばれた男、【門矢士】であった。
「気付いてたって……他の人達は兎も角、王宮に向かう辺りから見てましたよね?視線がバレバレでしたよ……それで、僕が
「いや、俺じゃない」
士の返答に、入間は少しだけ動揺する。彼以外に、人を異世界に飛ばす相手に心当たりがないからだ。
「だが、お前をこの世界に連れてくる予定ではあった。お前にして欲しいことがあってな」
「してほしいこと?」
「あぁ──この世界と、それ以外の
士の話によれば、突然ライダーワールドの近郊が崩れ始め、かつて歴代ライダー達によって倒された筈の怪人達が復活を遂げて暴れまわっているらしい。
この中で、【紅渡】や【フィリップ】、【葛葉紘太】達の調べによると、どうやら
「その黒幕の正体は分かっていない。分かっていることは、それはこの世界が信仰しているエヒトとかいう神よりも強大な存在である事と…その黒幕は魔界からこの世界に来た、と言うことだ」
「成る程、僕が巻き込まれたのは必然だったと……」
次々と出てくる情報の嵐に、入間は軽く頭痛を感じ始める。突然異世界に召喚されて勝手に戦争に巻き込まれ、挙げ句には自分に世界の命運が懸かっているとか言われれば無理もない。
「お前が突然ここに呼ばれた理由だが…それは俺達にも分からない。黒幕の思惑か、世界の近郊が崩れた影響なのか……それで、お前はどうする?俺の力なら魔界に帰してやれるぞ?」
そう言われて、入間は少しだけ考えた。
その話が本当なら、やがて魔界や他の世界も危ないのだ。入間としては、
「……分かりました。戦いますよ」
「…そうか、感謝する」
「ああ、それともう一つ、僕がこの世界に呼ばれた理由は分かりましたが、なんで僕の服が変わったんですか?それに、一緒に召喚された連中も僕の事を知っている感じだったんですけど…」
「恐らく、それがお前に与えられた“役割”だ。お前がこの世界で役目を果たしやすい様に与えられたんだろう」
そう言う士の脳裏に写るのは、様々な世界へと旅する際に自分の服装(時には髪型)が変わり、様々な仕事をこなしてきた時の記憶だ。
恐らく、入間にもかつての士と同じ様に“役割”が与えられ、光輝達に関しても、入間に関する記憶の刷り込みが行われているのだろう。
「まあ、俺からの話はこれで終わりだ。最期に一つ…ホラ」
「?」
そう言うと、士は“ライドブッカー”から一枚のカードを引き抜き、それを入間に手渡した。
入間がそのカードを受け取ると、カードが黄色と黒に輝き……
ライダーカードは、黒と黄色を基調としたバッタのようなマークと『2019』という数字が入った時計、“ゼロワンライドウォッチ”へと変化していたのだ。
「これって…」
「餞別だ。いずれ
そう言うと、士の背後に銀色のオーロラが現れ、士はそのオーロラの中へと消えていった。
「イル坊、中々面倒な
再び静寂が戻った部屋の中で、入間の右中指に填められた【悪食の指輪】から、くびれがあってスラ~っと長い足と、タキシード姿に二本の角とパッチリとしたでっかい一つ目を持つ存在が現れ、呆れたような声で入間に話しかけたた。
彼の名は【アリクレッド】、通称アリ。悪食の指輪の化身であり、入間の相棒だ。
「で、どうするんだ?その異変とやらを解決するのは良いとして、この世界で起きてる戦争を止めるか?」
「……どうもしないよ。というか、彼等の態度を見た時点で助けたいなんて思えない」
入間の言葉に、アリクレッドも確かにな、と頷く。
魔界からこの世界に及ぼした“異変”というものが、やがて他の世界にも影響を及ぼすというのなら、その異変を解決するのに躊躇はない。
だが、異変を解決する事と、この
困っている人を助けるのは人として当然と光輝が言っていたが、その“困っている相手”が、自分達の
そして、共に召喚された連中も同様だ。あれだけ入間と愛子が警告した上で、彼等は戦争に参加する道を選んだ。ならばもうどうなろうが彼等の自己責任だ。
「戦いが始まるのは良いけど、まず必要なのは…情報だね」
「だなぁ、この世界は俺ちんも知らねェからな……」
「暫くここであの連中と過ごすしかないって事か…憂鬱だなぁ」
今、入間に必要なのはこの世界の情報だ。サリバンの孫となって魔界に来た時も、魔界の常識や文化を何も知らず七難八苦した経験から、この世界について調べるべきだと判断したのだ。不幸中の幸いかここは王宮、書庫はあるだろうから、情報収集には困らない。可能性は低いが、その異変の元凶の情報があるかもしれない。
「まっ、いいか。───僕の
新たな戦いの始まりを感じた入間は口元を緩めながら静かに月を見上げ、
入間くんらしさが皆無でしたが、これは原作ありふれを読んだ時に私が思っていたことを代弁して貰った物なので、気に入らなければ申し訳ございません。