今更ですが、この作品での入間くんの人物像は原作のような『超が付く程のお人好し』ではなく、『基本的にお人好しだが、敵と認識した相手には容赦がない』という人物像です。
大地を消し抉る衝撃が生む風が、戦場から蹂躙され僅かに残った魔物の血の匂いを町へと運ぶ。強烈な匂いに吐き気を抑えられない人々が続出するが、それでも人々は現実とは思えない“圧倒的な力”と“蹂躙劇”に湧き上がった。町の至る所からワァアアアアアッーーーと歓声が上がる。
町の重鎮は初めて見るバビルの力に魅了されてしまったかの様に狂喜乱舞の坩堝。優花や淳史達は改めてその力を目の当たりにし、下手をすればこの殺戮の嵐が自分達に向けられたかもしれないと心底震え上がると同時に自分達との“差”を痛感して複雑な表情になっている。本来、あの様な魔物の脅威から人々を守る筈であり、当初はそう息巻いていた自分達が、ただ守られる側として町の人々と同じ場所から“無能”と見下していたクラスメイトの背中を見つめているのだ。複雑な心境にもなるだろう。
愛子は、ただひたすら祈っていた。そして同時に、今更ながらに自分のした事の恐ろしさを実感し表情を歪めていた。目の前の凄惨極まりない戦場が、まるで自分の甘さと矛盾に満ちた心をガツンと殴りつけている様に感じたのだ。
その時、北の方角から乱入してきた骸骨恐竜の攻撃により、市民は再びパニックに陥った。幸いにも骸骨恐竜は最初からジオウⅡ達を狙っていたのか町に骸骨恐竜の攻撃が行くことはなかったが、爆発と骸骨恐竜の禍々しい姿と巨体、そしてあり得ない程の強さに我先にと町の外へ避難しようとするものが出始める。
「鈴木君ッ!!」
「ッ!ダメです、愛ちゃん先生!」
骸骨恐竜の集中砲火を浴び、変身が解除されて倒れる入間達とティオの姿を見て、愛子は思わず彼等の元に駆けつけようとするが、護衛対象をあんな化物の目の前に合わせられないと、優花が慌てて彼女を羽交い締めにして止めた。
「「「「「「「ッ!?」」」」」」」
その時、突然愛子達の足元に向かって銃弾が飛び、辺り一面に火花が散る。
「──悪いが、貴様等を行かせるわけにはいかんのだ」
「ッ!!」
火花に驚いて尻餅をついた愛子達に、突如、威圧感のある声が掛けられた。愛子達が驚いて顔を上げると、銃弾が飛来した方角に銀色に揺らめくオーロラが発生していることに気付くと同時に、オーロラの向こうから一人の怪人が現れた。
その姿は、漆黒のスーツに銀色の部分がある紅色の仮面を被り、レイピアと日輪の盾を装備をした怪人だった。
その正体は、“仮面ライダーXの世界”で【Xライダー】に敗れた後、大ショッカーにより生命の炎を吸収する“パーフェクター”を与えられ復活した怪人、【アポロガイスト】であった。
突如現れたアポロガイストに、愛子達は身構える。どことなくヒーロー風な容姿だが、纏っている雰囲気はそれとは正反対であり、危険な存在であるという事を嫌でも実感させられた。
アポロガイストはそんな彼女達を尻目に銀色のオーロラに手を突っ込むと、その向こう側から黒いローブを着た人物を荷物のように放り投げた。地面をゴロゴロと転がった影響でフードが脱げ、その人物の顔を見た愛子が、その人物の名を叫んだ。
「清水君!!」
そう、その正体はこの事件を引き起こした犯人にして愛子の教え子、【清水幸利】だった。
地面を転がったせいなのか愛子の呼び掛けなのかは分からないが、清水の意識が覚醒する。ボーっとした目で周囲を見渡し、自分の置かれている状況を理解したのかハッとなって上体を起こして咄嗟に距離を取ろうして立ち上がりかけたのだが、まだ蹴り飛ばされたダメージが残っているのか、ふらついて尻餅をつきそのままズリズリと後退りした。警戒心と卑屈さ、苛立ちがない交ぜになった表情で、目をギョロギョロと気持ち悪く動かしていると、アポロガイストを姿を見た途端に喚きだした。
「おい、アポロガイスト!!何なんだよアイツは!ありえないだろ!本当なら、俺が勇者グペッ!?」
清水の言葉は続かなかった。聞くに耐えない言葉を叫び終えるよりも早く、アポロガイストが清水の顔面を蹴飛ばした。歯が何本か抜け、鼻血を流す清水に、アポロガイストは心底軽蔑したようにレイピア──“アポロフルーレ”を突きつけた。
「黙れ。貴様など、最初から捨て駒にすぎないのだ」
「ず、捨て駒、だと…!?」
「そうだ。承認欲求などで虐殺を躊躇わない貴様を、信用するわけがないだろう?貴様が用意した魔物共も、ウルの町の侵略には何の役にも立たなかった。役立たずな上に用済みの貴様は、ここで“豊穣の女神”と共に始末するのだ」
「ひ、ヒイィィ……」
歩み寄るアポロガイストの冷酷な言葉に、清水は先程の虚勢を完全にへし折られたのか、股間から盛大に失禁しながら後退る。アーティファクトの杖もジオウⅡ達の戦いの破壊されているため、清水がアポロガイストに勝てる要素など、何一つ存在しないのだ。
だが、突如愛子が清水とアポロガイストの間に割って入り、愛子は清水を守るように両手を広げた。
「私の生徒に…手は出させません…!」
アポロガイストを睨み付け、啖呵を切る愛子。その姿に優花達も覚悟を決めたのか、愛ちゃん護衛隊の面々も各々のアーティファクトを構え、清水を守るように立ち並ぶ。
だが、アポロガイストの行動は愛子達の予想と違っていた。
「──畑山愛子、貴様には礼を言うのだ」
「…え?」
何の脈絡もなく礼を言われた事に愛子達は目を丸くする。
だがアポロガイストは、そんな彼女を絶望に突き落とす言葉を告げる。
「貴様がこの町のために鈴木入間達を戦わせるように仕向けたお陰で、我々にとって邪魔な存在であった鈴木入間を始末できた。正攻法で挑んでも返り討ちにされるのは眼に見えていたからな、貴様がこの町という荷物を抱えさせたお陰だ」
「ッ!?そ、そんな…!私は…」
「貴様にそのつもりがなくても、我々にとっては都合が良かったのだ。元々、我々は
「…あ、ああ……」
自分が入間に戦いを強要したせいで入間達がやられた事、敵の目的が自分であり、清水に裏切られた事、その事実を連続で突き付けられ、愛子は罪悪感に愛子は顔を青ざめさせて後退る。
だが、アポロガイストはそんな彼女に慈悲など与えなかった。
「礼として、私はその男に手を出さないでやるのだ。──手を下すのは、貴様なのだからな」
「?…どういう意味で──うぐぅ!?」
「あ、愛ちゃん!?」
アポロガイストの言葉に疑問符を浮かべた愛子だが、アポロガイストが手にもった時計の形をしたナニカを身体に埋め込まれた事により、愛子は顔をしかめる。
それを見た優花達が愛子の名を叫ぶと同時に、愛子の身体が紫がかった黒い繭に包まれた。
繭が晴れると、青白いエフェクトが降りる。
そこにいたのは愛子ではなく──怪物だった。
【仮面ライダーフォーゼ・ベースステイツ】を歪めた様な姿をしており、体にあるモールドは彫刻のような複雑な模様を思わせる。また、頭の尖りはコズミックステイツを連想させる。
口元にはクラッシャーが存在し、コウモリに似た耳やパイプのような衣装。
目はさながら涙を湛えているように見え、その眼をよく見てみると内部に瞳があることが窺える。目の形をよく見ると流星の形をしているのが分かる。
また、右肩には『FOURZE』、左肩には『2019』の年号が刻まれている。
「……フッ、後は貴様の手でこの町を滅ぼすのだ」
『ウゥ……ウァアアアアアアッ!!』
アポロガイストの命令に、変貌した愛子──【アナザーフォーゼ】は、フォーゼドライバーに似たベルトを操作し、右腕に半透明の“クローモジュール”を装備すると、そのまま一番近くにいた清水に向かってクローモジュールを振りかぶり、あらゆる物を切り裂く爪を振り下ろした。
突然の事態に清水がそれを避けられる筈もなく、清水は喉元を切り裂かれ、傷口から盛大に血を吹き出す。更にアナザーフォーゼは何度もクローモジュールを振り下ろし続け、清水幸利は絶命した。
いくら自分達を裏切ったとは言え清水が死んだ光景を目の当たりにし、優花達は悲鳴を上げながら腰を抜かしてしまう。だが、それは大きすぎる隙だった。
半透明の“ランチャーモジュール”を装備したアナザーフォーゼが、コズミックエナジーを物質化したミサイル弾頭を5発発射し、別々の軌道を描くミサイルは次々と地面や建物を爆撃し、人々は悲鳴を上げて避難し、何人かは爆発によって吹き飛ばされ、大怪我を負う者が現れる。
「ッ!愛ちゃん先生、目を覚まして!!」
『!!』
その光景を見た優花は、我に返った様にアナザーフォーゼの腰にしがみついた。これが魔物ならば優花達も怯えながらも戦っていたもしれないが、この怪物は愛子なのだから、攻撃できる筈もない。
『ウアァッ!』
「ゲフッ!…ああっ!?」
「優花!?」
「優花っち!!」
だが、彼女に暴走に近い状態のアナザーフォーゼを抑えられる筈もなく、アナザーフォーゼは優花の腹を殴って優花を悶えさせると、彼女を襟を掴んで放り投げた。優花は放物線を描きながら吹き飛ばされ、地面を転がった。それを見て、妙子と奈々、そして淳史達が優花の元に駆け寄ろうとする。
だがその瞬間、音声と共にアナザーフォーゼは右腕に出現した半透明の“ロケットモジュール”を優花の元に駆け寄ろうとした愛ちゃん護衛隊の五人に向かって投げつけた。地面に着弾したエネルギーモジュールは爆発を起こし、彼女達は一撃で吹き飛ばされた。
「妙子!奈々!」
優花は彼等の元に駆け寄ろうと手を伸ばすが、先程アナザーフォーゼにやられたダメージにより、立ち上がることができない。
その間にも、アナザーフォーゼは右手にスイッチのような物を手にして手に愛ちゃん護衛隊の面々の前に歩み寄るとスイッチを押した。その瞬間、五人の身体が青白い光となり、アナザーフォーゼの持っていたスイッチに吸い込まれた。
「そ、そんな……」
「フッ、他愛もない……。やはり“神の使徒”とは名ばかりか。貴様も町の者達も、大人しく私の命となれば良いのだ」
「……ッ!!」
親友や仲間が消えてしまった事に呆然とする優花を嘲笑うように呟くアポロガイスト。
その呟きが聞こえた優花は怒りを露にし、痛みを堪えて立ち上がると、アーティファクトのナイフに炎を纏わせて、それをアポロガイスト目掛けて投擲しようとする。
「!!がああああッ!!」
しかし、そこに半透明の“スパイクモジュール”を装備したアナザーフォーゼが間に割って入り、鋭利な棘を備えた左足で優花の腹に蹴りを入れた。一般人の数倍のステータスを持っていてもこれには耐えきれず、優花は吐血しながら蹴り飛ばさた。
スパイクモジュールを解除してスイッチを手にし、ゆっくりと優花に迫る
(…愛ちゃん先生……鈴木……)
蹴られた箇所と口から血を流し、死を目前にした優花は、目からポロポロと涙を溢した。それは死の恐怖によるものではなく、後悔から来るものであった。
オルクス迷宮で入間が奈落に落ちた光景を目の当たりにし、生気を失った様に無気力状態に陥っていた。だが、入間の死を無駄にしないと決め、もう一度決意を決めて愛子の護衛を買って出た。だが、再開した入間は自分達を心底軽蔑しており、守ると決めた愛子は敵の手によって怪物にされ、今まさに自分を殺そうとしている。
そして遂にアナザーフォーゼが優花の目前に迫り、その手に持ったスイッチを押そうとする。
『アァッ!?』
「「ッ!?」」
その時、突如優花の背後から超高速で飛来した漆黒の矢がアナザーフォーゼの胸に直撃し、アナザーフォーゼはスイッチを手放して地面を転がる。
驚愕するアポロガイストと、何が起こったのか分からず呆然とする優花だったが、ある人物が優花の隣にゆっくりと歩み寄った事で、アポロガイストと優花らその人物に目を向けた。
「…やれやれ、こんな事になってたなんてね。少しのんびりし過ぎたか……」
「す、鈴木…!」
そう、そこには骸骨恐竜に倒されたと思っていた入間が、愛用の漆黒の弓を持ちながら立っていたのだ。
入間は優花をチラリと一瞥すると、足下に転がっているスイッチを拾って、試しにボタンを押す。すると、スイッチから青い光が放出され、その光が人の形を形成し、スイッチに吸収された愛ちゃん護衛隊の五人となった。アナザーフォーゼの攻撃による怪我はそのままだが、見る限り命に別状はなさそうだ。
「ほら、口開けなよ」
「んぐっ!?」
手の中にあるスイッチが消失するのを確認した入間は“宝物庫”から神水が入った試験管を取り出すと、あり得ない光景の連続に混乱している様子の優花の口に突っ込んだ。優花はそれに驚きながらも素直に試験管の中の神水を飲んでいくと、スパイクモジュールによって出来た傷が瞬く間に塞がっていった。
「はい、これでもう動けるでしょ?先生は助ける。だから君はそこの5人連れてさっさと何処かに行きなよ、足手纏いだ」
「で、でも鈴木…なんで私を……?」
優花の傷が完全に癒えたのを確認した入間は試験管をしまって優花に逃げるように伝えるが、当の優花は入間が自分を助けてくれた理由が分からず、思わず入間に訪ねた。
「……別に、身体が勝手に動いただけだよ」
その言葉に、入間は素っ気なく返した。優花は顔を赤くしてそのまま入間の顔を見つめていたが、入間が優花から視線を外してアポロガイストに向けて歩きだすとハッとなり、慌てて愛ちゃん護衛隊の5人を引き摺って避難した。一般人の数倍のステータスを誇る故か、優花は難なく5人と共に建物の影に避難した。
「鈴木入間…!生きていたのか!」
「狩りは獲物を狩った瞬間こそ油断するんだ。死亡確認もせずに町に襲撃なんて、相当浮かれてたんじゃないの?……まあ気絶はしてたけど」
アポロガイストの言葉に、入間は得意気に答える。
ユエが仕立てたバビル一行の衣類は、“エターナルローブ”を加工して作られている。勿論、複製・加工した劣化品なのでオリジナルと比べれば劣るが、それでも王宮のアーティファクトすら凌駕する防御力を誇っている。その為、骸骨恐竜の攻撃にやられても、入間達は死ぬことはなかったのだ。まあ、1~2分程気絶していたのは本当だが…。
「だけど、貴方が先生達に注意を向けてくれたお陰で、ウィルも住民も避難させられたからね」
「何!?」
その言葉にアポロガイストが辺りを見回すと、アナザーフォーゼの爆撃によって阿鼻叫喚となっていたウルの町の住民達が、人っ子一人として居なかったのだ。アナザーフォーゼが暴れてからまだ5~10分程度しか経っていないというのに、避難したには早すぎる。
「入間さぁ~ん、避難誘導終わりましたよ~!」
そんなアポロガイストの耳に、元気な女の声が聞こえる。振り替えると、そこには手を振るシア、その後ろからアスモデウスとティオが入間の元に向かって走ってきたのだ。
気絶から目が覚めた入間達は、ウルの町に怪人が襲撃していることを察知し、アナザーフォーゼが優花達愛ちゃん護衛隊を相手にしている内に、隠密魔術で自分達の存在感を薄くさせた後に二手に別れて行動し、入間、シア、アスモデウス、ティオの四人は逃げ惑うウィルを含めたウルの町の住民を“デンライナー”に乗せて安全な場所まで避難させたのだ。
「馬鹿な…外には骸骨恐竜が……ッ!?」
外壁の向こうにいる骸骨恐竜に目を向けたアポロガイストの目には、空中に浮かぶ黒く渦巻く球体から発せられる圧力により、地面に縫い付けられてる骸骨恐竜の姿があった。しかも脚が地面に深く埋まっており、その上に幾重にも巻き付いた鎖によって動きを封じられている。
「ざんね~ん!あのデッカイ恐竜は動けなくしてるんだよ~♪」
「ッ!ミレディ・ライセン…。貴様の仕業か……!!」
外壁の上に立って胸を張るミレディと、その両隣に立つユエとアメリ。その姿を見たアポロガイストが、忌々しげにミレディの名を呟いた。
入間達四人が住民の避難誘導に向かった際に、骸骨恐竜の相手を買って出た三人は、先ずはアメリが“
「おのれェ……ならば、この場で消し去ってくれる!」
アポロガイストは生命の炎を吸収する“パーフェクター”を与えられ復活してはいるが、それでも余命は1年しかないため、今回、捨て駒である清水を始末したら、アナザーフォーゼに変貌させた愛子に町の生体エネルギーを集めさせ、それを使って寿命を伸ばす算段だった。だが、鈴木入間達の策略によって折角吸収した5人スイッチから排出され、人間達も逃がされた。
まんまとしてやられた事に怒りを露にしたアポロガイストの言葉と共に、アポロガイストの背後に銀色のオーロラが現れ、そこから【ウカワーム】【ドラゴン・ゾディアーツ】【デェムシュ(進化体)】【バッファル】【ゲムノス】の5体の怪人が現れ、アポロガイストとアナザーフォーゼの横に並んだ。
「こっちの台詞だよ。僕達の油断のせいでもあるけど、先生をアナザーライダーにして手を汚させたんだ……。」
しかし、入間はどうでもいいと鼻を鳴らした。自分達が雑魚魔物の狩りに油断していた自分達に落ち度があったのは事実だが、自分の手を汚さずに町を破滅させようとし、挙げ句の果てには、それなりに認めている存在である愛子を怪物にして愛子の手を汚させた目の前を敵を、許す道理は一切なかった。
アポロガイスト達に向かい合うように並ぶ入間達バビル。そこへティオが端に立ち、入間はチラリと視線を向けた。
「ティオ、君は休んでなよ。もう魔力が尽きかけてるんでしょ?」
「うむ、確かに妾は大分消耗しておる。恐らく、ブレス一発が限界じゃろう。じゃがこの町のために力を尽くすとウィル坊との約束じゃからのう…。助太刀くらいはさせてもらうのじゃ」
防衛戦での魔法と骸骨恐竜の攻撃を防ぐために強固な結界を張り、既に8割の魔力を消耗しているティオに休むように告げる入間だが、ティオは扇子を開いて口元を隠し、気丈に答えた。
その時、入間の懐にあったライドウォッチの一つが輝きだし、入間はそれを取り出して眺める。そして数秒間だけそのウォッチを見て何かを考えるような表情になると、諦めたように溜め息を吐いて、そのウォッチをティオに投げ渡した。
「それ使ってみなよ。ベゼルを回してボタンを押せば起動する」
「む?こうかの?」
ベゼルを回してボタンを押すと、“龍騎ライドウォッチ”の音声と共に、赤い光がティオの身体を包み、龍騎ウォッチは中央に金で龍の紋章が入った黒い箱──“カードデッキ”へと変化していた。
同時に、入間達は変身の構えをとった。
“ジオウⅡライドウォッチ”を起動して分離させた入間は、ジクウドライバーにウォッチをセットし、時計のエフェクトを背に変身の構えをとる。
「変身!」
ドライバーを回転させた入間は、時計のバンドのような形状のマゼンタの光に包まれ、『ライダー』の文字が仮面に張り付き、入間は仮面ライダージオウⅡへ変身した。
ウィザードライバーを出現させたユエはベルトを操作し、左手に“フレイムドラゴンウィザードリング”を嵌めると、指輪のカバーを下ろした。
「……変身」
ドライバーに指輪をかざすと、ユエの足下に魔法陣が展開され、魔法陣から炎のドラゴンが現れてユエの周りを旋回してユエの身体に入り込むと、ユエは仮面ライダーウィザード・フレイムドラゴンスタイルに変身した。
アメリは右手にゲイツウォッチ、そして左手に砂時計型の大型のライドウォッチ──“ゲイツリバイブライドウォッチ”を起動させる。
その二つをジクウドライバーに装填すると、アメリの背後に砂時計型のエフェクトが現れ、アメリは静かにドライバーを両手で抱え、回転させた。
「変身!」
顔の『らいだー』の文字のサイズが大きくなっており、形状も異なり、顔や胸部に砂時計の意匠がある。
胸部のアーマーが腹筋が割れているような形状となっており、全体的なカラーリングが赤い【仮面ライダーゲイツリバイブ剛烈】に変身した。
シアは二つのガシャットが重なっているようなオレンジとグリーンのガシャット──“マイティブラザーズXXガシャット”を起動してドライバーに装填すると、両腕を回転させてドライバーを開いた。
「だーーーーい変身!ですぅ!」
音声が鳴り響いてエフェクトを潜り抜けると、なんと
右側のメインカラーはオレンジの【レベルXX L】は新たなるガシャコンウェポン、“ガシャコンキースラッシャー”をブレードモードにして装備する。
そして左側のメインカラーが緑となった【レベルXX R】は、“ガシャコンブレイカーⅡ”を大槌モードにして、肩に担いだ。
ミレディは結膜の部分が黒く、炎の意匠のパーツがある“闘魂ブースト眼魂”を取り出してスイッチを押すと、眼魂が炎が燃え上がるように発光し、ミレディはそれをゴーストドライバーにセットする。
ベルトから“闘魂ブーストゴースト”が出現してミレディの周りを躍り周り、ミレディはポーズをとってドライバーのレバーを引き押しする。
「へ~んしんっ!」
闘魂ブーストゴーストがトランジェント体に変身したミレディに被さり、変身が完了する。
ミレディは全体的に赤く燃えるような意匠が見て取れ、マスクの目元部分も燃えたような意匠がある姿、【闘魂ブースト魂】に変身し、フードをゆっくりと脱いだ。
アスモデウスは他のミライドウォッチとは大きく形状が異なる“ギンガミライドウォッチ”のスコープに写るアイコンを切り替えてボタンを押して起動し、ビヨンドライバーにセット。
背後に太陽系を模したエフェクトが出現し、ビヨンドライバーのハンドルを前に向ける。
「変身」
【仮面ライダーギンガ】を模しており、背中にはマントが装着されていて、インジケーションアイの表示は『ギンガ』と書かれ、胸部にはエクスパンションパンドライナーとインストールショルダーが融合した“クロスアーマライナー”が装備され、頭部のクレストは“ギンガドライバー”のギンガスコープを模した物になっている【ウォズギンガファイナリー】に変身した。
ティオは龍騎ウォッチが変化したカードデッキを前に付き出すと、近くの建物の窓ガラスから銀色のベルト──“Vバックル”が現れてティオの腰に装着される。
右手を左斜め上へと持っていくと、ティオは叫んだ。
「変身!」
カードデッキをVバックルに装填すると、高い音と共に白い鏡像がティオに重なり、ガラスが割れる様な音と共にティオの姿が一瞬で変化した。
ティオら、赤いボディに銀色のプロテクターを纏い、右腕には龍の意匠を持つガンレット“ドラグバイザー”が装着されており、額にカードデッキと同じマークが施された銀色の仮面には赤い複眼を持った【仮面ライダー龍騎】に変身したのだ。
仮面ライダー達の変身が完了すると同時に、アポロガイストとアナザーフォーゼを含めた怪人達は一斉に走り出した。
「先生…必ず助けます!」
同時に、サイキョーギレードを手に持ったジオウⅡがアナザーフォーゼに向かって走り出し、他の七人のライダーも一斉に駆け出し、各々が対峙した相手と戦闘を開始された。
・ライダー紹介
【ダブルアクションゲーマーレベルXX(シアVer.)】
“マイティブラザーズXXガシャット”で変身した姿。原作のエグゼイドのように左右で性格が違うという変化はなく、イメージとしては【ディケイドアーマーエグゼイドフォーム】のようなもの。
変身シーンのイメージは『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー』。
・怪人紹介
【アポロガイスト(DCD)】 CV.川原和久
『仮面ライダーディケイド』でラスボスを務めた怪人。仮面ライダーXの敵『GOD秘密機関』に復活させられたが、その命は一ヶ月しか持たず、他人の生命エネルギーを吸収して生き永らえている。
独自の美学を有しているオリジナルと違って野望を達成するためには手段を選ばず、今回の行動もその為。
【アナザーフォーゼ】
アポロガイストに“アナザーフォーゼウォッチ”を埋め込まれた愛子が変貌した怪人、仮面ライダーフォーゼの力を宿しており、半透明のモジュールを装備する。また、人間を吸収して生体エネルギーを奪う能力も有しており、アポロガイストはその生体エネルギーで自分の余命を伸ばすつもりだった。
因みに愛子をアナザーフォーゼにしたのは単純に教師繋がり。
アポロガイストの登場と愛子のアナザーライダー化による清水の殺害と、ティオのライダー化の話でした。ライダー化したティオの紹介は次回となります。
今回、色々と詰め込みすぎて雑になっている自覚はありますが、ご了承下さい。
感想、評価お待ちしております。