翌朝、入間達は【オルクス大迷宮】へと潜った。ここは光を放つ“緑光石”の鉱脈のため、地下でもランタンや松明無しで周囲が視認できる。
まさに王道ゲームの世界を彷彿とさせる光景に、生徒の大半がはしゃいでおり、入間はそれを冷めた目で見ていた。
まず一同は訓練した通りの隊列で【ラットマン】という頭部はネズミだが胴体は筋肉ムキムキで、某鬼退治漫画に登場した忍者が使役するネズミを彷彿させる外見の魔物と戦い、魔物達を殺していった。
そしてとうとう入間の番となった。他の生徒の殆どは無能(と思い込んでいる)の入間がどれだけやれるのかとバカにするかのような思いで見ていたが、入間が何処からか取り出した物に目を見開き、騎士達はその正体が分からずに首をかしげだ。
そう、入間が取り出したのは片仮名で『ジュウ』という文字が刻まれた黒い銃、“ジカンギレード・ジュウモード”だ。入間はそんな周囲など眼中にないと言わんばかりに銃口をラットマンに向けると、その頭を正確無比に撃ち抜いた。
だがその後ろからさらに大量のラットマンが現れたのを感じ取った入間はジカンギレードを持つ手を振るい、ジカンギレードを“ケンモード”に切り替えた。
驚愕する周囲など知ったことかと入間は歩きだし、すれ違い様に次々とラットマンの首を跳ねた。返り血が入間に付着し、スプラッタな光景に生徒達や騎士達も凍り付く。
それは、入間に襲いかかろうとしたラットマンも同様だった。知性がないとは言え、彼等も生き物だ。彼等の野生の本能が、この男と決して歯向かってはいけないと警報を鳴らし続けているのだ。
すると、入間と目があったラットマンは一目散に逃げ出そうとするが、それより早くジュウモードに切り替えたジカンギレードの光弾が炸裂し、ラットマンは全滅した。
その後、散策を再開した入間達は騎士団達が“フェアスコープ”というアーティファクトと長年の経験からトラップを見つけてくれるので、トラップに引っ掛かる事もなく二十階層にまで到達した。
迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるのが普通だ。オルクス大迷宮は現在、四十七階層までは確実なマッピングがなされていたため、迷う事もトラップに引っかかる心配もないはずだった。
二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形となっていた。この先を進むと二十一階層への階段があり、そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりらしい。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないそうなので、また地道に帰らなければならない。一行は若干弛緩した空気の中、せり出す壁のために横列を組めず、縦列で進んだ。
そこで、せり出していた壁が突如変色しながら起き上がったかと思うと、壁と同化していた体は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始める。カメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物、【ロックマウント】が襲いかかってきたのだ。
メルドの指示が響くと共に光輝達が前に出て飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返し、光輝と雫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。流石に平地での訓練で洞窟内のフォーメーションを鍛えるにはもっと時間が必要だった。
龍太郎の守りを抜けられないと判断したロックマウントは、後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸うと、部屋全体を震動させるような“威圧の咆哮”を上げた。これは魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させるというロックマウントの固有魔法だ。ダメージ自体はないものの身体中に衝撃が走り、まんまと喰らった光輝達前衛組は一瞬硬直してしまった。
ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げた。霊長類そっくりな風貌だけあり魔法支援の厄介さを理解する知恵があるらしく、香織達後衛組目掛けてその岩を投げつけた。
避けるスペースが心もとなかったため、後衛組の香織・谷口鈴・中村恵里の三人は準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けるが、衝撃的な光景に思わず硬直してしまった。
投げられた岩もロックマウントだったらしく、腕を広げたのだ。まるで某怪盗の如く「か・お・り・ちゃ~ん!」という声が聞こえそうで、おまけに妙に目も血走り鼻息も荒く、三人とも思わず悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまった。
だが、流石にゴリラと人間のぐんずほぐれつなど見たくなかった入間がジュウモードに切り変えたジカンギレードを発砲し、ロックマウントは頭を打ち抜かれてそのまま地面に墜落し絶命した。
三人は視線すら向けない入間に感謝しつつも、顔を青くしていた。気持ち悪い動作で寄ってきた挙句、入間が撃ち抜いた事で辺りに血が飛び散ったからだ。
そんな様子を見た光輝が、気持ち悪さで青褪めたのを死の恐怖を感じたためだと勘違いしたらしく、メルドの声を無視し、光輝は詠唱により強烈な光を纏わせた聖剣を振りかぶると一気に振り下ろし、光の斬撃を放った。斬撃はロックマウントを左右泣き別れに両断するだけには留まらず、更に奥の壁を破壊し尽くしてようやく霧散した。
ふぅと息を吐くと、如何にもキザな笑みを浮かべ香織達の方に向きなおる光輝だが、メルドの拳骨がその頭に直撃し、こんな狭いところで使って崩落でもしたらどうすんだ叱られた。
そんな光輝を含めたクラスメイト達を、入間はジカンギレードの手入れをしながら侮蔑すら籠った目で見ていた。
訓練が始まってからずっと思っていたが、全員今まで持ってもいなかった力を手に入れて調子に乗り、今ではその力で雑魚を倒して優越感に浸っているだけであり、その力で殺人をするという自覚が全くないのだ。愛子や彼等の親族には気の毒だが、このままなら近い内に間違いなく誰か死ぬだろう。
入間は気晴らしに周りの景色を見ていると、光輝が壊した場所にやけに綺麗な石を見つけた。その視線に気づいた女子達は吐息を漏らした。
メルドからその石が“グランツ鉱石”と呼ばれ、美しいだけで特に何の効力もないが、主にプロポーズに選ばれる宝石とされている事を聞いた香織が入間をチラチラ見ながら「素敵…」と呟いたが、それがいけなかった。それを聞いた檜山が香織の気を引こうと、グランツ鉱石を取るために崩れた壁を登り出したのだ。それをメルドが慌てて止めようとするが、聞く耳持たずとうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。
メルドが止めようと追いかけると同時に、騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認してそれがトラップであると判明し、一気に青褪めた。
しかし、メルドも騎士団員の警告も一歩遅かった。檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がった。そのトラップは、さながら食虫植物が甘い香りで虫を誘い出すのと同じだった。
魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、この世界に召喚されたあの日を再現するかのように輝き出した。
メルドの「撤退しろ!」という叫びと共に生徒達が急いで部屋の外に向かうが、間に合わなかった。
このトータスに初めて召喚された瞬間の様な白い光が辺りを覆い浮遊感が彼らを襲い、気づくと巨大な石造りの橋の上に転移していた。ざっと長さ100メートル、天井も200メートルはあるだろう。橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。
橋の横幅は10メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだろう。
入間達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。
それを確認したメルドが、険しい表情をしながら指示を飛ばした。
「お前達、直ぐに立ち上がってあの階段の場所まで行け!急げ!」
轟いた号令にわたわたと動き出す生徒達だったが、迷宮の罠がこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から武器を持った骸骨の魔物が大量に出現しからだ。更に通路側にも魔法陣は出現し、そちらからも一体の巨大な魔物が出現した。
その魔物を呆然と見つめるメルドの呻く様な呟きが、やけに明瞭に響いた。
「まさかベヒモス…なのか…!?」
いつだって余裕があり、生徒達に大樹の如き安心感を与えていたメルドが、冷や汗を掻きながら焦燥を露わにしている。
その事に、やはりヤバい奴なのかと光輝がメルドに詳細を尋ねようとしたが、ベヒモスは、そんな悠長な時間を与えてはくれない様だった。徐に大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。
「グルァァアアアアアアアッ!!」
「ッ!?」
その咆哮で正気に戻ったのか、メルドが矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「アラン!生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル!全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「待って下さい、メルドさん!俺達もやります!あの恐竜みたいな奴が一番ヤバイでしょう!俺達も……」
「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ!奴は六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ!さっさと行け!私はお前達を死なせる訳にはいかないんだ!」
メルドの鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。何とか撤退させようと再度メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員その巨体と突進力で轢殺してしまうだろう。
そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。
「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず──“聖絶”!!」」」
一回こっきり一分だけの防御であるが、純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ。
衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにも拘らず大きく揺れた。撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。
階段側の橋の入口に出現した【トラウムソルジャー】は、本来三十八階層に現れる魔物で、生徒達が倒してきた魔物とは一線を画す戦闘能力を持っていた。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達はパニック状態だ。
騎士団員が必死に宥めようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はおらず、隊列など無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。
その内の一人、【園部優花】という女生徒が後ろから突き飛ばされて転倒してしまった。呻きながら顔を上げた彼女の眼前には、剣を振りかぶる一体のトラウムソルジャーがいた。
優花の脳天目掛けて剣が振り下ろされ、彼女が死を覚った次の瞬間、トラウムソルジャーの頭蓋骨が砕け散った。入間がジュウモードのジカンギレードで撃ち抜いたのだ。
入間は呆然とする優花に視線すら向けずに次々とトラウムソルジャーの頭蓋骨を撃ち抜いていく。それを呆然と眺めていた優花は、我に返ったように立ち上がると、入間に声をかけながら走り出した。
「あ、ありがとう!」
「…?」
入間は別に優花を助けたつもりなどなく、ただトラウムソルジャーを撃ち殺しただけのだが、どうやらこの女は入間が自分を助けたのだと勘違いしているらしい。だが入間は直ぐにどうでもいいと興味をなくし、回りに目を向けた。
この骸骨の軍団は、確かにあのネズミやゴリラと比べれば歯応えがあるのかもしれないが、入間からすればあまりにも弱すぎる。屑ヤミーの方がまだマシだ。あれだけ嬉々として戦争に参加した癖にこの程度の雑魚にビビるなんて情けない奴等だと思いながら、入間はチラリとあのトケラトプスみたいな魔物に目を向けると、その目前で光輝達バカルテットが何やらメルドと言い争いをしていた。
それを見た入間は溜め息を吐くと、片手間でトラウムソルジャーを駆逐しながら光輝達の元へと歩き出した。
「ええい、くそ!もう持たんぞ!光輝、早く撤退しろ!お前達も早く行け!」
「嫌です!メルドさん達を置いていく訳には行きません!絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時に我儘を……」
一方、光輝達バカルテットは、後ろのクラスメイト達の状況にも気づかず、メルドが幾ら撤退するよう命じても光輝が駄々を捏ねるように言うことを聞かず、自分なら倒せるとでも思っているのか今にもベヒモスに突撃しそうな勢いで口論をしていた。
この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しく、逃げ切るためには障壁を張り、押し出されるように撤退するのがベストだ。その微妙なさじ加減は戦闘のベテランであるメルド達だからこそ出来るのであり、今の四人に出来るはずもない。
まずは褒めて伸ばしてやろうとしたメルドの方針が裏目に出てしまい、光輝は己の力に過信してしまっていた。
「光輝!団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」
「へっ、光輝の無茶は今に始まった事じゃねぇだろ?付き合うぜ、光輝!」
「龍太郎……ありがとな」
「状況に酔ってんじゃないわよ!この馬鹿ども!」
「雫ちゃん……」
唯一状況を理解出来ていた雫が光輝を諌めようとするも、龍太郎が空気を読まずに光輝を更に増長させてしまう。目立ちたがるだけで周りを見ようともしない馬鹿共に雫は苛立ち、香織はどうすればいいのか分からずにオロオロするだけだ。
その時、謎の電子音声が鳴り響いた。
次の瞬間、ベヒモスに『ジュウ』という形の光の弾が連続で直撃し、ベヒモスは悲鳴を上げた。メルド達やバカルテットが驚いたように後ろを振り向くと、入間がジカンギレードを向けながらゆっくりと歩いてきた。どうやらあの射撃は彼によるものらしい。
入間はジカンギレードで肩をトントンしながら、冷めた目で光輝達を見据えて口を開いた。
「君達は後ろの馬鹿共を守った方がいいんじゃないの?自分の活躍のために、周りの人間が死んでもいいの?」
「な、何言ってるんだ鈴木!ここは君のような奴がいていい場所じゃない!ここは俺達に任せて…グフッ!?」
「こ、光輝!?」
「光輝くん!?」
光輝の反論は続かなかった。言い終えるより先に入間が光輝の頬を殴ったからだ。
龍太郎と香織が倒れた光輝に駆け寄り、
「優しく言って分からないなら素直に言ってあげる……足手纏いだから、さっさと失せろ」
視線と同じ程冷たい言葉に更に光輝達三人を震え上がらせると、入間はケンモードに切り替えたジカンギレードに“ブレイドライドウォッチ”を装填してベヒモスに向かって走りだした。
「ハッ!」
音声と共にジカンギレードが青い稲妻で形成された刃によって巨大化し、入間はジカンギレードを振るってベヒモスの右足を軽々と切り落とした。
「グォオオオオオオオッ!!?」
足を切断された激痛に、ベヒモスは溜まらず悲鳴を上げ、狂ったように暴れだす。
「ッ、感謝する!お前達、撤退するぞ!」
「は、はい!行くわよ皆!」
「きゃっ!」
「ちょっ、メルドさん!?」
その悲鳴に呆然としていたメルドと雫がハッとなり、メルドが光輝と香織を担いで駆け出し、雫と龍太郎が追従した。
かつて“最強”と言わしめた冒険者を余裕で全滅させたベヒモスに、自分達では誰一人として敵わないと思われていたが、入間はそのベヒモスの脚を一撃で切断したのだ。入間なら何とか出来るかもしれない。歴戦の軍人であるメルドは入間に光輝以上の素質を見出し、ここは彼に賭けてみることにしたのだ。
だが入間にはそんな事はどうでもよく、目障りな連中がいなくなったと同時にジカンギレードを左手に持ちかえ、“
「“
「ギャアアアアッ!!」
超重量のアッパーが炸裂し、ベヒモスは血反吐を噴水のように吐きながらそのまま仰向けになって倒れた。しかし、まだヨロヨロと三本しかない脚で起き上がろうとしている姿を見る辺り、まだ死んでいないらしい。
「……一撃で決まらなかったか。僕もまだまだって事か…」
この程度の雑魚、オペラさんやカルエゴ先生なら一撃でおわる。手を抜きに抜きまくってるとはいえ、自分の未熟さを実感しながら、入間はもう暇潰しにもならないこの戦いを終わらせようと、ジカンギレードを手にしてベヒモスを見据えた。
そして、当のベヒモスは自身の分厚い皮膚による防御力を一撃で破った小柄な少年に、かつてない程の恐怖を抱いていた。
入間と目が合い、自分の心臓を直接握られたような感覚を感じたベヒモスは、『今すぐこの化け物から逃げろ』という本能に従って逃走しようとする。
しかし、入間は容赦しない。“
「セイヤァァアアアアッ!!!」
「グギャアアアアアッ!!」
ジカンギレードをベヒモスの首目掛けて横に振るうと、白銀の一閃と共に目の前の景色が一刀両断され、ズレた。
ベヒモス以外の景色が戻ると、切断面からおびただしい血が噴水のように溢れ、入間の姿を返り血で染めていく。
ベヒモスの死を確認した入間はつまらなそうに鼻を鳴らし、コツコツと歩きながらベヒモスと距離を取っていく。
だが次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法がベヒモス目掛けて殺到した。
入間はもう既に仕留めたのに何をやっているんだと思ったが、この暗い空間と首と胴体が離れていないことから、まだ仕留めきれず、気絶しているのだ判断してしまったのだろう。
しかも次の瞬間、無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。明らかに入間を狙って。
避ける事も出来たが、入間は敢えて避けず、それをジカンギレードで素早く撃ち抜いた。
直後、橋全体に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。
そして遂に……橋が崩壊を始めた。
入間の強力な攻撃とベヒモスを吹き飛ばした衝撃、そして魔法により、遂に橋が限界を迎えたのだ。
ここから生徒達の所まで戻るのは造作も無い。が、このまま落ちていけばこのストレスでしかない生活から解放される。
そう思いながら対岸の生徒達の方へ視線を向けると、香織が飛び出そうとして雫や光輝に羽交い締めにされているのが見えた。他の生徒は青褪めたり、目や口元を手で覆ったりしている。メルド達騎士団の面々も悔しそうな表情で入間を見ていた。
そして、先程自身を狙った犯人に視線を向け……
(……再会したから、殺すか)
王宮から離れるいい口実が出来たが、それでも自分を狙って攻撃した事を許せはしない。自分を狙った理由など簡単に推理できた入間は、犯人も
入間は奈落の底に目を向け、最後の最後まで腹立たしいだけだった生活に別れを告げながら、奈落へと落ちていった。
入間くんの危機回避能力ならば檜山のお粗末な魔法を避けるなど簡単ですが、王宮から離れる口実を作るためにわざと奈落に落ちました。
ですが、檜山を許すわけではありません。
因みに入間が生身でジカンギレードを出せたのは、ジオウ最終回でソウゴが生身でライダーを呼び出せたから武器も出せんじゃない?という妄想です。
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