ミュウ以外のメンバーの着る衣装を変えており、画像を着けてます。ポーズやら背景の不一致やらは見逃して下さい。
とある街道沿いの町にて宿を取ることにしたバビル。
それほど大きい町ではないのだが、その規模に反して人は随分と多い。そして、道行く女性達の表情も、どこか楽しそうに明るく輝いていた。
「流石は染め糸の産地。住人の服も彩りが鮮やかだね」
「……ん。職人の腕も良いみたい」
入間の呟きにユエが答える。キョロキョロと周囲を見回す紅玉の瞳は、熱心に行きがう人々の衣服──その造りに向けられているようだった。
奈落の底で、自分の衣服を試行錯誤しながら造っていたユエだが、今では半ば、裁縫が趣味となっている。
なので、何百種類ものカラフルな糸を生産するこの町に住み着いた服飾職人達の腕前が気になるようだった。
それは、実は家事万能ウサギであるシアや、夢見がちな乙女のアメリ、かつては淑女であったミレディ、そしてある事情から様々な服を着込んでいたこともあるアスモデウスも同じであった。
ティオは、どちらかと言えば注目を浴びる方だろうか。彼女の纏う和洋折衷というへわき竜人族の民族衣装は、この服飾関係が盛んな町においても珍しいものらしい。
「パパ~。お洋服がいっぱいなの!見たことないのばっかり!」
「そっか……。そう言えば、海人族ってどんな服を着てるの?」
幼いとは言え、そこは女の子。入間に肩車されているミュウは、高い目線から存分に、色とりどりの衣装を眺めて楽しんでいるようだった。
そんなミュウへの、入間パパからの質問。ミュウは小首をかしげて、
「だいたい脱いでるの!」
「裸族!?」
女性陣と腹心からの目線が冷たい。入間はハッと我を取り戻して咳払いした。
因みに、海人族の普段着は、初夏のビーチにいる人を思い浮かべれば間違いない。基本水着で、海に入らない時は、上に何か一枚羽織るという感じだ。女性はパレオを身に付けていることが多い。
つい反応が大きくなってしまった入間は、女性陣の「脱いでほしいの?」という無言の問いかけに気付かないふりをしながら、誤魔化すように話題の転換を図った。……四歳の娘に助けを求めたとも言えるが。
「ミュウ。何か欲しい服はある?折角だし、気に入ったのがあれば買って上げるよ?」
「みゅっ。ほんとう!?ええとっ、ええっとねぇ」
ぱぁっと表情を輝かせたミュウは、娘にだだ甘なパパにおねだりすべく標的を探して瞳を輝かせる。
ユエ達の「自分達は?」という無言のおねだりに、入間が苦笑しながら頷いていると、不意に、ミュウの視線が定まった。
じ~~っと、じ~~~っと見つめている。
ユエのことを。
「……?どうしたの、ミュウ」
熱い視線を受け小首を傾げるユエに、ミュウは元気一杯に伝えた。
「ユエお姉ちゃんのお洋服がいいの!着てみたいの!」
「……私の?でも、ミュウ。もっと可愛い服はいっぱいある」
ユエの服は、所々にフリルがあしらわれた可愛らしいものではある。とはいえ、旅や戦闘に耐えることを意識している為、細かいところでは無骨さが隠しきれないデザインだ。
しかし、ミュウにとってはそれが良いらしい。ユエの言葉に熱弁を以て返した。
「あのね、ユエお姉ちゃんは一番かっこいいお姉ちゃんなの!魔法使うときとか、パパの隣で戦ってる時とか、すごくかっこいいの!ミュウはね、パパの娘なのによわっちぃから……だからね、ユエお姉ちゃんみたいにして、ちょこっとでも強くなれたらなぁって思ったの」
「……ミュ、ミュウが天使すぎて辛い」
吸血姫ノックアウト。嬉しさ全開で鼻から幸福感を噴き出しそうになりながら、入間の肩よりミュウを奪い去る。後は当然、頬擦り攻撃だ。ミュウが「むにぃ」と悲鳴を上げている。
「ミュ、ミュウちゃん!私も格好良くないですかぁ?どんな敵も一撃必倒!ただの肉塊を量産ですよ!」
「フッ、ミュウ。私の蹴りを披露してやろう。壁だろうと鋼だろうが、私の前では紙屑同然だということを見せてやる」
「ミュウちゃん!ユエちゃんは確かに魔法の天才だよ……だけど!この超絶天才美少女魔法使いのミレディさんのカッコよさはユエちゃん以上だよ!命、燃やすぜ!」
「ふむ。では、妾はブレスを見せてやろう。そして、妾の格好良さに瞳をきらっきらっさせるのじゃ!」
「会長まで必死だな……いや、気持ちは分からんでもないが」
バビルのアイドル兼マスコットの関心を奪おうと、シア達が猛アピール。アスモデウスは苦笑いだ。
ユエの胸元であっぷあっぷしていたミュウは、抱き締められたまま振り返り……
「シアお姉ちゃんは……かっこいいとは違うの。ええっと……ざつ?」
シアは「はぅっ」と奇声を発し、胸を押さえながら倒れた。幼女から「てめぇはスマートじゃねぇ」と言われたのだ。ハートブレイクは必然だった。
「アメリお姉ちゃんは……その……男の子っぽすぎるし……」
アメリは「ぐはっ」と奇声を発し、胸を押さえながら倒れた。幼女から「お前には女の子らしさなんて微塵もねぇんだよ」と言われたのだ。ハートブレイクは必然だった。
「ミレディお姉ちゃんは……その……ちょっとだけ……ウザいし……」
ミレディは「ごふっ」と奇声を発し、胸を押さえながら倒れた。幼女から「そもそも、かっこいい要素が微塵もねぇだろ」と言われたのだ。ハートブレイクは必然だった。
「ティオお姉ちゃん……だ、だいじょうぶなの!」
ティオは「どういう意味じゃ!?」とツッコミを入れながら倒れた。幼女から「なんていうか……強く生きて!」と気を遣われたのだ。ハートブレイクは必然だった。
死屍累々。服飾の町のメインストリートに、四人の屍が転がった。
そんな彼女達の前に、ザッと足音が鳴る。
のろのろと顔を上げた四人の前に立ちはだかったのは、勿論ユエ様。
彼女は無表情に四人を見下ろすと……
──どやぁっ
凄まじいまでのドヤ顔を見せつけた。
「ひ、久々にぷっちんきちゃいましたよ、ええ」
「ユエよ……それは宣戦布告と受け取って良いんだな?」
「おい、ユエ。なんでミレディさんを笑った」
「ふ、ふふっ。どうやら逆鱗に触れると言う意味を、教えてやった方がいいようじゃな」
殺気立つシア達。ゆらりと立ち上がり、額に青筋を浮かべて最強の敵と向き合う。
その空気に、おろおろしだしたのはミュウだ。ミュウは、自分がユエを一番と言ったことが原因と思ったらしく、慌てて彼女達の間に入った。
「あ、あのね!シアお姉ちゃんのも、アメリお姉ちゃんのも、ミレディお姉ちゃんのも、ティオお姉ちゃんのもすっごくいいお洋服だと思うの!えっと、だから……そうなの!みんなでお洋服を交換するの!それなら、全部のお洋服を着られるの!きっと楽しいの!」
名案なの!と万歳しながら訴えるミュウに、ユエ達は顔を見合わせ、幼子に気遣われた事に苦笑いを浮かべあう。
入間もまた、愛娘の頑張りに頬を緩めながら、少しいたずらっぽい笑みを浮かべて提案した。
「折角だし、ミュウの提案を採用したらどう?くじでも引いてランダムに着る服を決めてさ。ドレスアップか“
期待に瞳をキラキラさせるミュウ。答えは一択だ。
ユエ達は急遽、衣裳交換会を行うことになるのだった。
そんなこんなで、町の服飾店に金を与えて試着室を貸しきり、くじで決定された衣装に着替えるところだ。
それなりに大きな店で他にも客は多数いる。そんな中、入間は試着室の前に陣取りお披露目を待つ。
そうして最初にバッと扉を開けて出てきたのは、
「パパ!見て見て!ユエお姉ちゃんなの!」
ミュウだった。着ているのはユエの衣装。フリルのあしらわれたドレスシャツと黒のスカート、ショートブーツと言う出で立ち。
どや顔で白コートの裾をふわりとなびかせる姿がなんとも可愛らしく、そしてほんの少しの大人っぽさをミュウに与えていた。
「似合ってるね、ミュウ」
「えぇ。少し大人っぽくなっています」
入間とアスモデウスの感想に、「パパとお兄ちゃんに褒められたの~」と頬を緩める。
「……ミュウ、いきなり開けちゃダメでしょ?」
ドレスアップリングで衣装を変えるために同じ試着室に入っていたユエが現れた。
思わず「ほう」という吐息が漏れる。
ユエの衣装はアメリのそれだ。どこか大人びて洗練された赤いジャケットと黒のミニスカート。普段の装いとはガラリと印象を変えた一着だが、彼女の白い肌とサラリと肩に流れる金髪に、その深い赤とシックな黒が見事なコントラストを描いている。
眼を奪われた入間は勿論の事、アスモデウスも素直に「美しい」と称賛し、店の客も従業員も、だいたいが前屈みとなった。
次に出てきたのは、ティオとシアとミレディだった。
「ふむ。このような服は初めて着るが……意外と恥ずかしいのぅ」
ティオはミレディの衣装だ。フリルとリボンがあしらわれたドレスに、珍しく髪をポニーテールにして纏めている姿を鏡で確認して、頬を真っ赤に染めている。
その珍しい光景に入間が「似合っている」と伝えれば、ティオはちょこちょこと物陰に移動して隠れてしまった。普段ではあり得ない乙女っぷりに、客の男性陣がノックアウトされている。
「ティオさんの服、布が多いですねぇ。足元が窮屈ですぅ」
シアはティオの着物だ。竜人族特有の、和洋折衷の着物は、どうやらシアには着心地の悪いものらしい。
しかし、黙っていれば神秘的な美人のシアが着物を着ると、普段の天真爛漫さからかけ離れた大人の魅力を醸し出している。
勿論、大きくはだけた胸元と、スリットから覗く美脚と相まって、やっぱり店内の男性陣はノックアウト状態である。
「こういうの着るのは新鮮だなぁ~。ねぇねぇイル君、新しいミレディさん、どうかな?」
ミレディはミュウのワンピースだ。白色の、リボンやフリルのあしらわれた可愛らしいワンピースの裾を持ち上げてをフワリと揺らし、特徴的なポニーテールを下ろしていつもの天真爛漫さを消して微笑みを浮かべている。
その姿に、入間が素直に「可愛い」と伝えると、ミレディは得意気になってバチコンッとウインクすると、バチコンッと店内の男性陣はノックアウト。
そして、最後のアメリはというと……
「?出てこないね」
「……ん。待ってて。引きずり出す」
首を傾げる入間を横目に、ちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべたユエが、アメリの試着室へと突撃した。中から、どったんばったんっと騒がしい音が聞こえたかと思ったら「まままま待てぇッ!こんな格好で人前に出られる訳がないだろ!止めろ!止めんかぁーッ!」という悲鳴と、「……よいではないか!よいではないかぁ~っ」という楽しそうなユエの声が響いてくる。
一瞬の静寂。
直後、バンッと勢いよく開いた扉から、放り出されるようにしてアメリが出てきた。
「み、見るなイルマぁ!アスモデウスも眼を閉じろ!うぅ……何故、何故よりにもよって、私がシアの破廉恥な服を……!!」
内股になり、もじもしながら首筋まで真っ赤に染めて涙目になっている。
兎人族特有の露出の激しい衣装であるから、超ミニのスカートからは惜しげもなく彼女の腿が見えている。ついでに、胸元も少し動くだけで大惨事になりそうだ。
兎人族が堂々と着ていれば特に何とも思わずとも、アメリのように羞恥で真っ赤になりながら胸元を両手で隠し、もう片方の手で必死にスカートを下に引っ張って大事な部分を隠そうとしている姿を見せられると……。
店内の男性陣が軒並み鼻から器官爆発を巻き起こしたことで、その威力の程が分かるというものだ。
店内を血の海にした後、ユエ達は更に衣装交換を楽しんだ。
だいたいシアの衣装を誰かが着た時点で、店内と店の直ぐ外が赤く染まっていった。一巡する頃には、どう見ても大量殺人の現場だった。
取り敢えず、ミュウがシアの服を着た時に鼻血を噴いた奴は確実に冥土へ送るとして、周囲の凄惨な光景を見渡した入間はポツリと一言。
「やっぱり、シアの服ってエッチだよね」
「イルマ様…そのような低俗な話は避けるべきかと」
民族衣装といえば聞こえはいいが、露出過多に違いはない。
最近慣れてはきたけど、実は最初から思っていたことを再認識する入間とアスモデウスであった。
GoogleのGeminiでアメリの画像作ろうとして「アメリにシアの服を着せて」と打ち込んだら、「安全でない」って拒否られ、「アメリにシアの水着を着せて」と書き直してみたら成功した。
ユエの衣装交換の別バージョンの画像もあるので、よろしければ。
↓
【挿絵表示】
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