今回はインフィニットジオウ以降となるオリジナル形態(アーマータイムは公式のウォッチを使ってるのでノーカン)となったエボルディマイズの戦闘を楽しんでいただければ幸いです。
初撃を放ったのは、ネクストグランドジオウだった。
キバのレリーフに触れて召喚した“バッシャーマグナム”に“タツロット”を合体させ、“エンペラーアクアトルネード”を放つ。銃口から放たれた黄金の水流弾が、漆黒の蛇──エボルディマイズに迫る。
『フンッ!』
しかし、エボルディマイズが手を突き出すと、その手の先に巨大なダイヤモンドの盾が出現し、その最硬度の宝石が皇帝の銃撃を弾き飛ばしてしまった。
「ダイヤモンド…!?」
『今度は、俺の番だな…!』
そう言ったエボルディマイズは“ドリルクラッシャー”を召喚すると、その場から姿を消した。
『はぁっ!』
「ぐおッ!?」
「「ティオ(さん)ッ!?」」
その瞬間、エボルディマイズは龍騎サバイブの背後に現れ、ドリルクラッシャーを一閃する。
火花を散らして吹き飛ばされた龍騎サバイブにネクストグランドジオウとゼインが反応する瞬間、エボルディマイズはドリルクラッシャーを再び振るおうとするが、ネクストグランドジオウが弓を振るってドリルクラッシャーを受け止めた。
『フフフ…!』
「ッ!?く、うぅ…!!」
だがエボルディマイズは、ドリルクラッシャーを持つ腕の力を強めていき、そのパワーに押されたネクストグランドジオウは片膝をつく。
「鈴木君!」
『ハァッ!!』
「うぁああああああっ!!?」
ネクストグランドジオウが押されているのを見たゼインがエボルディマイズに攻撃を加えようとするが、その直前でドリルクラッシャーの力を緩めたエボルディマイズの裏拳が炸裂し、ゼインは悲鳴を上げながら龍騎サバイブと共に空へ吹き飛ばされて壁にめり込む。
『テヤッ!!』
「「うぁああああああああッ!!!」」
エボルディマイズは右腕に赤いエネルギーを纏わせ、腕を振るってそのエネルギーを飛ばすと、龍騎サバイブとゼインは爆発を起こし、背後の壁が跡形もなく破壊された。
「こうなったら…」
『させねぇよ』
「ッ!?」
ネクストグランドジオウは、エボルディマイズの並々ならぬ力を目にし、出し惜しみは無しだとインフィニットジオウウォッチを取り出して起動しようとすると、その手をエボルディマイズに掴まれて中断された。
続けて、エボルディマイズは何処からか、何の変哲もない一枚の黒い布を取り出した。
『ほらほらほら…!』
「ちょっ、何を……!?」
インフィニットジオウウォッチを持つ手をその黒い布で覆われ、エボルディマイズはその布をネクストグランドジオウの手ごと数回揺らすと、何処からかドラムロールが聞こえてくる。
『ハイッ!』
「ッ!?」
そして、エボルディマイズが勢いよくその布を剥がすと、ネクストグランドジオウの手に握られていたのは、『無限』という文字が書かれたただのストップウォッチであった。
「……あっ、え?えっ?凄い…えっ、どうやったの?ってうわぁっ!?」
ネクストグランドジオウがエボルディマイズとストップウォッチを見ながら混乱していると、エボルディマイズの拳が炸裂し、ネクストグランドジオウは地面を転がった。
『
「っ、それなら…
理屈はわからないが、インフィニットジオウが使えなくなったのやら、現時点で最強のネクストグランドジオウで相手することを決め、体のレリーフにタッチする。
ネクストグランドジオウは“フルボトルバスター”を召喚し、仮面ライダーブレイド・キングフォームを召喚すると、エボルディマイズに向け走り出す。
『無駄だ……ハァッ!!』
対するエボルディマイズは、胸部のカタストロフィリアクターから猛光巨蛇“ゼノベイドスネーカー”を召喚し、光の大蛇は全身にマグマを纏いながら突撃し、ブレイドを攻撃し、吹き飛ばされたブレイドは黄金の粒子となって消失する。
『グォオオオオオオオオオッ!!!!』
『シャアアアアアアアアアッ!!!!』
すると、戻ってきた龍騎サバイブがアドベントカードを使用してドラグランザーを召喚。ドラグランザーはゼノベイドスネーカーと攻防戦を繰り広げる。
ゼインもまた、ゼインカードをドライバーに装填・裁断してレジェンドライダーの力を宿し、その手に“煙叡剣狼煙”を召喚すると、デフュージョンプッシュを1回押した。
『ん?フフフ……』
「ハァッ!」
ゼインの体が煙と化し、エボルディマイズの四方八方を飛び回ると、背後で実体化して狼煙を振るおうとする。
『フッ!』
「キャアッ!?」
その瞬間、エボルディマイズの持つ“スチームブレード”から冷気が放たれ、煙となっていたゼインの体が固定され、ゼインはスチームブレードの一撃を受けて地面を転がった。
「格段に、強くなってる…!?」
『当然だ。このエボルディマイズボトルは、エボルトリガーの力を最大限に引き出すために造らせたアイテムだからなァ……後は、お前の持ってる
ネクストグランドジオウの言葉に、エボルディマイズは得意気に笑いながら答え、入間の持つウォッチの一つ…エボル・ブラックホールフォームライドウォッチを奪うと口にした。
エボルトの真の姿であり、ブラックホールを作り出して数多くの惑星を滅ぼした力を、エボルディマイズボトルを手に入れて更なる力を手にしたエボルに渡せばどうなるかなど……想像に難くない。
「そんな事、させません!!」
フルボトルバスターを手に走り出すネクストグランドジオウ。龍騎サバイブとゼインも、それぞれドラグバイザーツバイと煙叡剣狼煙を手に走り出す。
『それはどうかな?』
その言葉と共に、エボルディマイズの両腕が黒い手甲“エボルティグラスパー”に包まれ、エボルディマイズは背後から迫っていた龍騎サバイブのドラグバイザーツバイの刀身を掴み、龍騎サバイブごとドラグバイザーツバイを振り回し、フルボトルバスターを手にしていたネクストグランドジオウに叩き付けた。
「うあぁっ!!?」
「ぬぁっ!!?」
龍騎サバイブの突撃に、ネクストグランドジオウは武器を下ろし、激突した龍騎サバイブと共に背後の壁に叩き付けられた。
「鈴木k」
『オラァッ!!』
「きゃああああああああっ!!?」
それを見たゼインが立ち止まったところで、一瞬で背後に回り込んだエボルディマイズの拳がゼインに炸裂し、ゼインはネクストグランドジオウと龍騎サバイブに重なるように吹き飛ばされる。
重なるように壁にめり込んでいた二人に重なるようにゼインが激突し、三人は背後の壁を完全に破壊し、教会の壁に大穴を明けて吹き飛ばされた。
放物線を描きながら神山の外にある森の中へと墜落する。
『更に出血大サービスだ』
そう言いながら、エボルディマイズはエボルドライバーのレバーを2回転させる。
音声と共に、エボルディマイズの周囲に、本来はエボルト(究極態)に備わっている装備“エボルティヴォイダー”が4つ出現し、ドローンのように飛行し、森の中に墜落したネクストグランドジオウ達を捉えると、目のような緑色の宝石から、赤黒いレーザーを放った。
「ッ!ティオ!!」
「承知じゃ!“聖絶”!!」
「“縛羅”!!」
ノイントの放つ魔法がただの棒に思えてしまう程の極太の砲撃が4つ雨のように降り注ぐ。
直ぐそこでとてつもない爆音を聞き、龍騎サバイブとネクストグランドジオウが咄嗟に魔法を行使し、ネクストグランドジオウ、龍騎サバイブ、ゼインの周囲を光のドームが包み込み、空間がその場で固定された瞬間、四つの光が一つになって更に巨大さを増したワインレッドの光の柱が降り注いだ。
十数秒間、赤い光による暴力を防ぎ続け、その砲撃が収まると、二人は恐る恐ると魔法を解除した。
「な、なんですかこれは…!?」
「とてつもないね……僕たちがいる場所以外が無事て、底が見えない……」
ゼインとネクストグランドジオウの言う通り、三人の周囲の半径2kmは、底が見えない程の漆黒の大穴にが開けられており、ネクストグランドジオウ達の立っている地点だけが、不自然に柱上になっていた。
「二人とも、来るよ!」
「「ッ!?」」
『はぁっ!!』
ネクストグランドジオウの呼び掛けで、ゼインと龍騎サバイブは同時に飛び出した瞬間、彼らがいた地点に向かって飛んできたエボルディマイズの拳が地面に炸裂し、柱が完全に破壊される。
三人が一ヶ所に集まると、そこへエボルディマイズも飛んできて、右手から衝撃波を放つ。ネクストグランドジオウが炎を放ってその衝撃波を相殺すると、ネクストグランドジオウは数枚のカードを取り出した。
「ティオ!!」
「むっ!?」
龍騎サバイブは、ネクストグランドジオウから投げられたカードの束を手に取ると、手渡されたもの──アドベントカードを見て驚きを露にする。
「これは…!?」
「龍騎以外の特殊効果のアドベントカードだよ!それをうまく使って!」
「かたじけない!」
龍騎サバイブはカードの一枚を選択すると、それをドラグバイザーツバイに装填する。
分身を生み出すカードを使用し、龍騎サバイブの体が瞬く間に増えていく。
ネクストグランドジオウはジカンギレードとライドヘイセイバーを手にし、ゼインと共に走り出し、無数の龍騎サバイブはドラグバイザーツバイを手に走り出す。
『数が多けりゃ勝てると思ったのか?甘いな……』
そう言ったエボルディマイズは“四コマ忍法刀”を取り出し、トリガーを引く。
エボルディマイズの周囲に六体の分身が出現し、エボルディマイズは残像を残すほどのスピードで走り出す。
それを見たネクストグランドジオウはブレイドのレリーフに触れて“ブレイラウザー”を召喚し、龍騎サバイブは新たなアドベントカードを取り出し、ゼインもまたゼインカードを取り出した。
ネクストグランドジオウはブレイラウザーに“マッハジャガー”のカードをラウズし、龍騎サバイブは高速移動を行えるカードを行使し、ゼインは新たに装備された“ファイズアクセル”のスイッチを押し、三人は同時に走り出す。
互いに認識も困難な程の速度で移動する仮面ライダー達は、衝突の度に凄まじい衝撃波を発生させる。
『はぁっ!!』
「うぁっ!!?」
そこで、エボルディマイズの一撃を受けたゼインが、高速移動を解除されて地面を転がる。
そこで、本体を含めた三体のエボルディマイズが、四コマ忍法刀とスチームブレードを手に四方八方からゼインを攻撃した。
「あ……ぐぅ……!」
『先ずは一人…!』
戦闘経験の乏しさゆえに、成す術もなく蹂躙され、体から火花を散らすゼインを見据えたエボルディマイズは、エボルドライバーのレバーを1回転させる。
「うぐっ!?」
『ハァアアアアアッ!!!』
黒とワインレッドの二重螺旋の化学式がゼインを拘束し、エボルディマイズは高く跳躍して右足に赤黒いエネルギーを蓄積すると、その螺旋状の図式に身体を乗せると、その図式を滑り降りていき、まるで【クローズビルドフォーム】の必殺技の“ラブ&ピースフィニッシュ”に似た形式の蹴りを放とうとする。
「ッ!」
それに気付いたネクストグランドジオウは咄嗟にエボルディマイズの分身を切り裂いて消失させると、サイキョージカンギレードを装備してゼインとエボルディマイズの間に割り込み、エボルディマイズのキックを光刃で迎え撃った。
互いに必殺の一撃同士がぶつかり合い、空間そのものを破壊するような大爆発が起こる。
「うぁっ!?」
「ひゃあっ!?」
「ご主人様!先生殿!」
爆炎のなかから、ゼインを抱き抱えたネクストグランドジオウが吹き飛んできて、爆発に怯んでいた龍騎サバイブは分身を消失させながら二人のもとに駆け寄る。
『……まさか、この攻撃を相殺させるとはなァ。なら、この攻撃を……ッ!?』
立ち上がったエボルディマイズが、エボルドライバーのレバーに手を掛けた時、突如エボルディマイズの身体に青い電流が走り、エボルディマイズは膝を着く。
すると、エボルドライバーに装填されていたエボルディマイズフルボトルが光だしたかと思うと、エボルディマイズボトルが消失する。ボトルが失ったと同時に、エボルディマイズはエボル・コブラフォームに戻ってしまった。
『これは……グッ!?』
立ち上がろうとしたエボルだが、それが出来なかった。
そこで、エボルは悟る。エボルディマイズフルボトルがまだ不完全だったのに使用したことで、ボトルを形成していたエネルギーが尽きてボトルが消滅し、自身の体に負荷が掛かってしまったのだと。
そして、それを見逃すネクストグランドジオウ達ではなかった。
「今だ!!」
「おう!!」
「はい!!」
ネクストグランドジオウの言葉にうなずいた龍騎サバイブが前に出て、ドラグバイザーツバイの刀身に黒炎を纏わせると、漆黒の炎を纏うドラグバイザーツバイを振るう。
「バーニング…セイバーじゃ!!」
漆黒の炎で作られた✕字の斬撃が飛び出し、真っ直ぐに動けなくなったエボルに向かっていく。
そこへ、ゼインがエボルに向けて走り出し、エボルに“バーニングセイバー”が炸裂したと同時に、ゼインはプログライズキーを押し込んだ。
「…はぁっ!!」
『うぉおおおおおおおおおおっ!!!?』
ゼインのライダーパンチが炸裂し、エボルは爆発と共に大きく吹き飛ばされ、聖教教会の壁に、巨大なクモの巣状のクレーターを作りながらめり込んだ。
「二人とも…行くよ!!」
「承知した!!」
「は、はい!!」
ネクストグランドジオウはゼインと龍騎サバイブに声をかけると、ベルトを回転させる。
三人は同じタイミングで飛び出し、空中で滞空すると、三人の周囲に黄金のゲートが現れ、龍騎サバイブを除く、クウガからビルドまでの全平成ライダーが、最強フォームの姿で現れた。
『こうなったら…!』
それを見たエボルは、右手にあるものを取り出し、それを前に出した。
その瞬間、滞空していた仮面ライダー達が、右足を突き出したキックの体制を取り、一斉に飛び出した。
足に光を宿し、まるで流星のように夜空を駆ける戦士達は、聖教教会総本山にめり込んだ惑星の破壊者に必殺の蹴りを炸裂させ続ける。
そして、クウガからビルドまで、召喚された18人のライダーの蹴りが炸裂し、最後にネクストグランドジオウ、龍騎サバイブ、ゼインが突撃した。
「はぁああああああっ!!!」
「だぁああああああっ!!!」
「やぁああああああっ!!!」
三者三様の掛け声と共に、金色と水色と赤色のエネルギーを纏った蹴りがエボルに炸裂した。
神山全体を激震させるような爆発音が轟き、聖教教会が地面から火に包まれ、音を立てて崩れ落ちていった。
神の傀儡となり果てた聖教教会が、異世界の魔王に滅ぼされた瞬間であった。
エボル打倒と同時に総本山を根こそぎ崩壊させたネクストグランドジオウ達は、瓦礫の山と化した聖教教会跡地に着地した。
今ので教会関係者達も残らず全滅しただろう。平成ライダー最強フォーム二十人分とゼインのキックを受けたのだ。デカイとは言え、ただの建造物が堪えられる筈もない。教会の瓦礫に押し潰されたり、爆発に巻き込また中で、犠牲者がいない方がおかしい。
同時に、ネクストグランドジオウが黄金の光に包まれると、光が弾けると同時に基本形態に戻ったジオウが膝を着いた。
「ご主人様!?」
「大丈夫……少し、長く戦いすぎたから」
同じく基本形態に戻った龍騎がジオウを支えると、ジオウはゆっくりと立ち上がった。
インフィニットジオウに昇華したことでネクストグランドジオウの力を使いこなせたとは言え、グランドジオウの力を限界以上に引き出す力であるために消耗が激しいと言うネクストグランドジオウの根本的な問題は解決していなかった。
「でも、これでエボルは……」
『倒せた、と思ってるのか?』
「「「ッ!?」」」
そこで、新たな声が聞こえてきて、3人は一切に振り向く。
そこには、あちこちから煙を上げながらもしっかりと両足で立っているエボルの姿があった。その手には、白と黒のカラーリングのトリガーが握られている。
「そ、そんな!?どうして……」
『キックの内の幾つかを、コイツのエネルギーにして威力を削いだんだよ』
そう言って、エボルは手にしていたトリガー──“エボルトリガー”を起動してエボルドライバーに装填し、レバーを高速回転させる。
不気味な笑い声と共に、エボルは白い装甲に身を包んだ【ブラックホールフォーム】へと姿を変えた。
『フェーズ4、完了……このままお前の相手をしてもいいが、エボルディマイズボトルが失くなっちまったからなぁ……エボルトリガーに免じて、今日はここまでにしといてやるよ』
そう言って、エボルは“トランスチームガン”を取り出した。
「っ!待て……」
『それじゃ、Ciao♪』
ジオウが止めようとするも間に合わず、エボルはトランスチームガンの煙に包まれて姿が消えていき、ジオウが駆けよった時には、エボルの姿は何処にも見られなかった。
「…逃げたみたいだね」
「そのようじゃな」
「……あれが、バダン。鈴木君達は、あんなに危ない人達と戦っていたんですね……」
「エボルのレベルの敵は中々いませんけどね」
ゼインは、初めてとなる戦闘の相手の恐ろしいまでの力を思いだし、そんな相手と戦っているジオウに心配そうな目を向ける。
その視線に仮面の下で苦笑しつつ、ジオウと龍騎はベルトからライドウォッチとカードデッキを取り外して変身を解除し、ゼインもゼインドライバーからプログライズキーを抜いて変身を解除した。
変身を解いて生身の姿に戻った瞬間、愛子はフラリと体を傾けさせて倒れそうになるのを、入間が背中に腕を回して抱き止めた。
初めての戦闘でエボルというラスボスクラスを相手にし、肉体も精神も疲れ果てていた愛子は、入間に抱き止められていることを察すると、途端に顔を真っ赤にさせる。
次の瞬間、愛子は入間に顎を優しく掴まれると、クイッと自分の方に向けさせられた。
「ふ、ふぇっ!?」
「……後遺症みたいなのはなさそうですね。一先ず、これを飲んでください」
「むグッ!?」
突如顎クイをされ、真剣な表情で入間に見つめられて耳まで真っ赤にさせる愛子にエボルとの戦闘やゼインの変身による後遺症のようなものは無いと判断すると、神水を取り出して愛子の口に含ませた。
愛子がコクコクと神水を飲み込み、傷だらけだった愛子の体が癒えていくのを目にすると、入間は優しげな眼差しで愛子を見つめる。
「……まさか、貴方が仮面ライダーになってここまで健闘するなんて、完全に予想外でしたよ。大した先生ですね」
「…っ!あの!ごめんなさい、鈴木君!貴方は私を助けに来てくれたのに、あんな風に襲い掛かって……」
入間の言葉で、一番最初に変身した時の事を思い出した愛子は入間の腕から離れると、腰を90度に曲げて入間に謝罪する。これまで、自分は入間に数えきれない程の恩があったと言うのに、愛子自身の意思ではなかったとは言え、入間を殺そうと襲い掛かったのだ。愛子には堪えがたい苦痛だろう。
それを目にした入間は、苦笑いしながら愛子の頭に手を置いた。
「気にする必要ありませんよ。言ったでしょう?根本的な原因は僕にあるし、多少の無茶は承知の上だって。だから顔を上げてください」
「鈴木君…!」
優しげな声色と撫でられた手の暖かい感触に、愛子は頭を上げて入間を見つめた。心なし、入間の名を呼ぶ声に熱が篭っている。上目遣いにチラチラと入間を窺う瞳も熱っぽくうるうると潤んでいた。どう見ても、ただの羞恥心だけから来るものではなく、特別な感情が窺える表情だ。
「妾、完全に空気なのじゃ……妾だってあの者との戦闘で頑張ったのに……でもこの疎外感もこれはこれで気持ちいいのじゃ~♡……む?」
一方、完全に蚊帳の外に置かれたティオは、ピンク色の空間に寂しそうにしていたが、やがてその放置にも快感を得られるようになったのか、恍惚とした表情で体をくねらせたかと思うと、ある地点を目にして、その表情を真面目なものに変えた。
「ご主人様よ。人がおる。明らかに、普通ではないようじゃが……」
「何だって?」
まさか、生き残った者がいるのかと驚きながら、入間がティオの視線を追うと、そこには確かに、白い法衣のようなものを着た禿頭の男がおり、入間達を真っ直ぐに見つめていた。しかし、ティオの言う通り、普通の人間では有り得ない。なぜなら、その体が透けてゆらゆらと揺らいでいたからだ。
禿頭の男は、入間達が自分を認識したことに察したのか、そのまま無言で踵を返すと、歩いている素振りも重力を感じている様子もなくスーと滑るように動いて瓦礫の山の向こう側へと移動した。そして、姿が見えなくなる直前で振り返り、入間達に視線を向ける。
「……ついて来いってこと?」
「じゃろうな。どうするのじゃ、ご主人様よ」
「……そうだね、さっさとユエ達と合流はしたいところだが……元々、ここには神代魔法目当てで来たんだ。もしかしたら、何か関係があるのかもしれない。手がかりを逃すわけにはいかないな」
「ふむ。そうじゃの」
入間の言葉に、ティオは一つ頷く。
「先生、悪いけど付いてきてください。何が起こるか分からないが……あの人が何者か、確かめないわけにもいかないんだ」
「は、はい。わかりました。……鈴木君に付いていきます……」
「?はい……」
最後の付いて行くという言葉に妙な力と熱が篭っていたような気がする入間だったが、そこは鈍感に定評のある入間。首をかしげながらも、禿頭の男が消えていった場所に歩を進めた。
禿頭の男は、その後も、時折姿を見せては入間達を誘導するように瓦礫の合間を進んでいく。そして、五分ほど歩いた先で、遂に目的地についたようで、真っ直ぐ入間達を見つめながら静かに佇んでいた。
「貴方は何者ですか?僕達をどうしたいんですか?」
「……」
禿頭の男は入間の質問には答えず、ただ黙って指を差す。その場所は何の変哲も無い唯の瓦礫の山だったが、男の眼差しは進めと言っているようだ。問答をしても埓があかないと判断した入間は、ティオ達と頷き合うとその瓦礫の場所へ踏み込んだ。すると、その瞬間、瓦礫がふわりと浮き上がり、その下の地面が淡く輝きだした。見れば、そこには大迷宮の紋章の一つが描かれていた。
「……貴方は……解放者なんですか?」
入間が質問したのと、地面が発する淡い輝きが入間達を包み込んだのは同時だった。
そして、次の瞬間には、入間達は全く見知らぬ空間に立っていた。それほど大きくはない。光沢のある黒塗りの部屋で、中央に魔法陣が描かれており、その傍には台座があって古びた本が置かれている。どうやら、いきなり大迷宮の深部に到達してしまったらしい。
入間達は、魔法陣の傍に歩み寄った。入間は、何が何やらと頭上に大量の「?」を浮かべている愛子の手を引いて、ティオと頷き合うと精緻にして芸術的な魔法陣へと踏み込んだ。
と、いつも通り記憶を精査されるのかと思ったら、もっと深い部分に何かが入り込んでくる感覚がして、思わず三人とも呻き声を上げる。あまりに不快な感覚に、一瞬、罠かと疑うも、次の瞬間にはあっさり霧散してしまった。そして、攻略者と認められたのか、頭の中に直接、魔法の知識が刻み込まれる。
「……魂魄魔法?」
「う~む。どうやら、魂に干渉できる魔法のようじゃな……」
「なるほど。ミレディが、ゴーレムに魂を定着させて生きながらえていた秘密はこれだったんだね……」
いきなり頭に知識を刻み込まれるという経験に、頭を抱えて蹲る愛子を尻目に、入間は納得顔で頷くと、脇の台座に歩み寄り、安置された本を手にとった。
どうやら、中身は大迷宮【神山】の創設者である【ラウス・バーン】という人物が書いた手記のようだ。オスカー・オルクスが持っていたものと同じで、解放者達との交流や、この【神山】で果てるまでのことが色々書かれていた。
しかし、バダンが王都を進行している緊急事態にゆっくりと朗読している暇はないので、さくっと読み飛ばす。彼がなぜ映像体としてだけ自分を残し、魂魄魔法でミレディのように生きながらえなかったのかも懺悔混じりの言葉で理由が説明されていたが、スルーである。
そして、最後の辺りで、迷宮の攻略条件が記載されていたのだが、それによれば、先程の禿頭の男ラウス・バーンの映像体が案内に現れた時点で、ほぼ攻略は認められていたらしい。
というのも、あの映像体は、最低2つ以上の大迷宮攻略の証を所持している事と、神に対して信仰心を持っていない事、あるいは神の力が作用している何らかの影響に打ち勝った事、という条件を満たす者の前にしか現れないからだ。つまり、【神山】のコンセプトは、神に靡かない確固たる意志を有すること、のようだ。
おそらくだが、本来、正規のルートで攻略に挑んだのなら、その意志を確かめるようなあれこれがあったのではないだろうか。愛子も攻略を認められたのは、長く教会関係者から教えを受けておきながら、そんな信仰心より生徒を想う気持ちを揺るがせなかったから、あるいは教会の打倒に十分手を貸したと判断されたからだろう。
この世界の人々には実に厳しい条件だが、元々神と敵対している入間達には軽い条件だった。
ようやく、神代魔法を手に入れた衝撃から立ち直った愛子を促して、台座に本と共に置かれていた証の指輪を取ると、その近くに置かれてあった昭和ライダーのウォッチを手に取った。この神山にある昭和ライダーウォッチは、【仮面ライダーV
入間はV3ウォッチをしまうと、ティオと愛子を促してさっさとその場を後にした。再び、ラウス・バーンの紋章が輝いて元の場所に戻る。
「先生、大丈夫ですか?」
「うぅ、はい。何とか……それにしても、すごい魔法ですね……確かに、こんなすごい魔法があるなら、日本に帰ることの出来る魔法だってあるかもしれませんね」
愛子が、こめかみをグリグリしながら納得したように頷く。その表情は、ここ数日の展開の激しさに疲弊しきったように疲れたものだったが、帰還の可能性を実感できたのか少し緩んでいる。
「それじゃ、魔法陣の場所もわかったことだし、早くユエ達と合流しよう」
「あっ、そうです!王都が襲われているんですよね?みんな、無事でいてくれれば……」
「まぁ、勇者(笑)達のもとにはアメリが向かっておるようじゃからな。余程の事でもない限り、大事はないと思うぞ?」
「そう、ですか……。鈴木君、やっぱり王都の人達は……」
「助けませんよ。根本的な原因は神とはいえ、魔人族と人間族の戦争はこの世界の問題なんですから、異世界人の僕達が口出しすることじゃない」
入間はバッサリと切り捨てた。
最初は入間達バビルがハイリヒ王国を滅ぼすつもりだったが、タイミングが良いのか悪いのか、バダンと魔人族の襲撃を受けて大きな被害を受けた。正面衝突ならまだしも、大きな被害を受けた口を襲うほど歪んではいないので、バビルがこの王国に何かする気はもうないが、だからと言って入間達にはこの国を救う気は一ミリもない。後はユエ達と合流して、ユエ達も魂魄魔法を会得したらこの国からトンズラするだけだ。
それに、入間が召喚された日から言っていたことだが、人間族と魔人族の宗教戦争はこの世界の住人達の問題であり、何の関係もない異世界の住人である入間にはこの世界の為に命を懸ける義務などない。他所の世界にも害をもたらしている神はバダンもろとも殺すつもりだが、どちらの種族が滅びたとしても、入間はどちらの勢力にも手を貸すことはないのだ。
愛子はその発言に若干顔をしかめるが、自分も入間と同じで最後まで戦争に反対していた為、ウルの件もあって、入間に戦いを頼むこなど出きる筈もなく、ゼインドライバーとゼインプログライズキーを見つめる。
そんな愛子を促して、入間達は下山を開始した。神山から王都へ降りるためのリフトは破壊されているが、入間達には空間転移能力がある。
もはや恒例となったコズミックステイツウォッチのワープドライブで王宮に転移した入間達は、複数の気配が集中している場所を察知して、そこにいるであろうアメリや優花達がいる場所に向かう。
そして、合流した先では……
「はぁ……はぁ……!!」
「優花っち…!」
「優花……!」
数多くのワームやロイミュードの軍勢と対峙し、その怪物達に怯えて固まっているリリアーナやクラスメイト達を守るように、コンバットベルトとマントを装置した白い仮面ライダーが漆黒のダガーを構えており……
「アァ~……お前らと遊ぶのは、あんまり面白くないなァ……」
「がっ……!!」
紫と金の鎧を纏うコブラの仮面ライダーに踏みつけられ、身動きが出来ない光輝と、その直ぐそばで血を流して倒れている雫と香織……
「グァァ……グルルル……!!」
「あ゛ぁ゛……え、り゛…」
知性の感じられない唸り声を上げている…
「……くっ!中々やるな…!!」
『……無駄だ。私の予測は外れない』
ジカンジャックローを構える
入間は一瞬、紫と金色のコブラのライダーの直ぐそばで倒れている香織が、ヘドロのように濁った目を自分に向けていた事に気付いたが、直ぐにどうでもいいと彼女を意識の外に追いやり、仲間のもとに向かって走り出した。
・ライダー紹介
仮面ライダーエボルディマイズ
【スペック】
パンチ力:108.1t
キック力:124.6t
ジャンプ力:一跳び100.7m
走力:100mを0.3秒
【概要】
ある世界で手に入れた“レリック”と呼ばれる宝石を使って造り出したエボルディマイズボトルを使ってエボルが進化した姿。
エボルトの力が最大限に引き上げられた姿であり、従来のエボルの能力の他に、ブラッドスタークの時に使っていた巨大コブラ“ゼノベイドスネーカー”の召喚ができる。
また、ラビットエボルボトルとドラゴンエボルボトルの力が活性化したことで、ビルドとクローズの全形態の能力・全武装を使用可能。
エボルト(究極態)の手甲“エボルティグラスパー”を武装し、自発的に攻撃と防御を行う進化生命体“エボルティヴォイダー”を戦闘支援ドローンとして使用することができる。
【使用アイテム】
・エボルディマイズフルボトル
ジーニアスフルボトルを黒とワインレッドにした見た目。
莫大なエネルギーを得る代わりに消耗が激しく、戦闘中にエネルギーが尽きて消失してしまった。
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