悪魔の孫は時の王者となって世界最強   作:MTHR

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 思ったよりも早く書き上がったので投稿します。
 今回はほぼほぼ原作通りですが、途中から少しずつ原作からかけ離れて不味い状況に……おっと、先まで読みすぎました。

 全開実施した番外編のアンケートは、第七章が終わるまで実施する予定なので、遠慮なく好きな回答に投票していただけると嬉しいです。
 他にも何か希望あれば、感想に軽い気持ちで書き込んでください。


77話 狂人と狂蛇

 時間は少し戻る。ちょうど、リリアーナ達が王宮内に到着した頃。

 

──パキャァアアアアン!!

 

「ッ!?一体なにっ!?」

「ッ!雫ちゃん、大丈夫!?」

 

 ガラスが砕かれるような不快な騒音に、自室で就寝中だった八重樫雫と白崎香織は途端に目を覚まし、雫はシーツを跳ね除けて枕元の剣を手に取ると一瞬で臨戦態勢を取り、香織も何事かと辺りを見回した。

 

「「……」」

 

 しばらくの間、抜刀態勢で険しい表情をしながら息を潜めていた雫だったが、室内に異常がないと分かると、親友と共に安堵の吐息を漏らした。

 雫がここまで警戒心を強めているのは、ここ数日、顔を合わせることの出来ないリリアーナと愛子、そして優花の事が引っかかっているからだ。

 少し前から、王宮内に漂う違和感には気がついていた。あの日、愛子が帰還した日に、夕食時に重要な話があるといって別れたきり愛子と、クラスメイトである園部優花の姿が見えない事で、2人の身に何か良くない事が起きているのではとも疑っていた。

 当然、3人の行方を探し、イシュタルから愛子達は総本山で異端審問について協議しているというもっともらしい話を聞き出したのだが、直接会わせてもらうことは出来なかった。なお食い下がった雫だったが数日後には戻ってくると言われ、またリリアーナの父で国王でもあるエリヒドにも心配するなと言われれば、渋々ではあるが一先ず引き下がるしかなかった。

 

 しかし、それでも漠然とした不安感は消えず、今のように、どこぞのスパイのような警戒心溢れる就寝をしていたのである。

 雫は音もなくベッドから降りると、香織と共に数秒で装備を整えて慎重に部屋の外へ出た。廊下に異常がないことを確かめると、直ぐに向かいの光輝達の部屋をノックした。

 

 扉はすぐに開き、光輝が姿を見せた。オルクス大迷宮で親友である龍太郎が仮面ライダーシグルドに殺されてから、光輝は一人部屋なのだ。どうやら、先程の大音響で同じく目が覚めたらしい。

 

「光輝、あなた、もうちょっと警戒しなさいよ。いきなり扉開けるとか……誰何するくらい手間じゃないでしょ?」

 

 何の警戒心もなく普通に扉を開けた光輝に眉を潜めて注意する雫。それに対して光輝は、キョトンとした表情だ。破砕音は聞こえていたが、王宮内の、それも直ぐ外の廊下に危機があるかもしれないとは考えつかなかったらしい。まだ、完全に覚醒していないというのもありそうだ。

 ここ数日、雫が王宮内の違和感や愛子達のことで、「何かがおかしい、警戒するべきだ」と忠告をし続けているのだが、光輝は考えすぎだろうと余り真剣に受け取っていなかった。自分が軽率に動いた結果、親友だけでなく大勢のクラスメイトが死んだと言うのに、この男は何も学んでいないらしい。

 

「そんな事より、雫、香織。さっきのは何だ?何か割れたような音だったけど……」

「……わからないわ。とにかく、皆を起こして情報を貰いに行きましょう。何だか、嫌な予感がするのよ……」

 

 雫がそれだけ言うと、香織と共に踵を返して他のクラスメイト達の部屋を片っ端から叩いていった。ほとんどの生徒が、先程の破砕音で起きていたらしく集合は速やかに行われた。不安そうに、あるいは突然の睡眠妨害に迷惑そうにしながら廊下に出てきた全生徒に光輝が声を張り上げてまとめる。

 と、その時、雫と懇意にしている侍女の一人が駆け込んで来た。彼女は、家が騎士の家系で剣術を嗜んでおり、その繋がりで雫と親しくなったのだ。

 

「雫様……」

「ニア!」

 

 ニアと呼ばれた侍女は、どこか覇気に欠ける表情で雫の傍に歩み寄る。いつもの凛とした雰囲気に影が差しているような、そんな違和感を覚えて眉を寄せる雫だったが、ニアからもたらされた情報に度肝を抜かれ、その違和感も吹き飛んでしまった。

 

「大結界が一つ破られました」

「……なんですって?」

 

 思わず聞き返した雫に、ニアは淡々と事実を告げる。

 

「魔人族と、バダンと呼ばれる同盟軍の侵攻です。大軍が王都近郊に展開されており、彼等の攻撃により大結界が破られました」

「……そんな、一体どうやって……」

 

 もたらされた情報が余りに現実離れしており、流石の雫も冷静さを僅かばかり失って呆然としてしまう。

 それは、他のクラスメイト達も同じだったようで、ざわざわと喧騒が広がった。魔人族の大軍が、誰にも見咎められずに王都まで侵攻するなど有り得ない上に、大結界が破られるというのも信じ難い話だ。彼等が冷静でいられないのも仕方ない。

 

「……大結界は第一障壁だけかい?」

 

 そんな中、険しい表情をした光輝がニアに尋ねる。王都を守護する大結界は三枚で構成されており、外から第一、第二、第三障壁と呼び、内側の第三障壁が展開規模も小さい分もっとも堅牢な障壁となっている。

 

「はい。今のところは……ですが、第一障壁は一撃で破られました。全て突破されるのも時間の問題かと……」

 

 ニアの回答に、光輝は頷くと自分達の方から討って出ようと提案した。

 

「俺達で少しでも時間を稼ぐんだ。その間に王都の人達を避難させて、兵団や騎士団が態勢を整えてくれれば……」

 

 光輝の言葉に決然とした表情を見せたのはほんの僅か。雫、香織、鈴の3人だけだった。

 他のクラスメイトは目を逸らすだけで暗い表情をしている。何せ彼等は前線に立つ意欲を失った腰抜け集団だ。とても大軍相手に時間稼ぎとはいえ挑むことなど出来はしない。

 尤も、仮に挑んだとしても、四ヶ月も訓練もせずに王宮に引きこもっていた彼等がバダン怪人や魔人族が神代魔法で造り出した魔物の軍勢に勝てる要素など万に一つもないので、挑めば瞬殺されるのは目に見えていた。

 

 ならば俺達だけでもと、異常なまでのナルシスト故により一層心を滾らせる光輝に、意外な人物、中村恵里が待ったをかけた。

 

「待って、光輝くん。勝手に戦うより、早くホセ団長達と合流するべきだと思う」

「恵里……だけど」

「ニアさん、大軍って……どれくらいかわかりますか?」

「……ざっとですが十万ほどかと」

 

 その数に、生徒達は息を呑む。

 

「光輝くん。とても私達だけじゃ抑えきれないよ。……数には数で対抗しないと。私達は普通の人より強いから、一番必要な時に必要な場所にいるべきだと思う。それには、ホセさん達ときちんと連携をとって動くべきじゃないかな……」

 

 大人しい眼鏡っ子の恵里らしく控えめな言い方ではあるが、瞳に宿る光の強さは光輝達にも決して引けを取らない。そして、その意見ももっともなものだった。

 

「うん、鈴もエリリンに賛成かな。さっすが鈴のエリリンだよ!眼鏡は伊達じゃないね!」

「眼鏡は関係ないよぉ……鈴ぅ」

「私も、恵里ちゃんに賛成かな」

「ふふ、私も少し、冷静さを欠いていたみたい。光輝は?」

 

 女子4人の意見に、光輝は逡巡する。しかし、普段は大人しく一歩引いて物事を見ている恵里の判断を、光輝は結構信頼している事もあり、結局、恵里の言う通り騎士団や兵団と合流することにした。

 光輝達は、出動時における兵や騎士達の集合場所に向けて走り出した。すぐ傍の三日月のように裂けた笑みには気づかずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光輝達が緊急時に指定されている屋外の集合場所に訪れたとき、既にそこには多くの兵士と騎士が整然と並び、前の壇上にはメルドの後釜としてハイリヒ王国騎士団団長に昇格した【ホセ・ランカイド】が声高に状況説明を行っているところだった。月光を浴びながら、兵士達は、みな青ざめた表情で呆然と立ち尽くし、覇気のない様子でホセを見つめていた。

 

 と、広場に入ってきた光輝達に気がついたホセが言葉を止めて光輝達を手招きする。

 

「……よく来てくれた。状況は理解しているか?」

「はい、ニアから聞きました」

「さぁ、我らの中心へ。勇者が我らのリーダーなのだから……」

 

 ホセは、そう言って光輝達を整列する兵士達の中央へ案内した。居残り組のクラスメイトが、「えっ?俺達も?」といった風に戸惑った様子を見せたが、無言の兵達がひしめく場所で何か言い出せるはずもなく流されるままに光輝達について行った。

 無言を通し、表情もほとんど変わらない周囲の兵士、騎士達の様子に、雫の中の違和感が膨れ上がっていく。それは、起きた時からずっと感じている嫌な予感と相まって、雫の心を騒がせた。無意識の内に剣を握る手に力が入る。

 

 そして、光輝達が、ちょうど周囲の全てを兵士と騎士に囲まれたとき、ホセが演説を再開した。

 

「みな、状況は切迫している。しかし、恐れることは何もない。我々に敵はない。我々に敗北はない。死が我々を襲うことなど有りはしないのだ。さぁ、みな、我らが勇者を歓迎しよう。今日、この日のために我々は存在するのだ。さぁ、剣をとれ」

 

 兵士が、騎士が、一斉に剣を抜刀し掲げる。

 

「始まりの狼煙だ。注視せよ」

 

 ホセが 懐から取り出した何かを頭上に掲げた。彼の言葉に従い、兵士達だけでなく光輝達も思わず注目する。

 そして……

 

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

「「「「「うぎゃああああああああっ!!!??」」」」」

 

 ホセが掲げた何か──手鏡の鏡面から、突如として紫の巨大な何かが飛び出した。

 

 禍々しい雄叫びを上げて、小さな手鏡からは考えられないような巨体を持つ長い体をした生物は、6メートルはあるその長大な体をしならせ、金属質の硬い体や顎部にある鋭い刃を次々と生徒達に激突させる。

 油断しきっていた光輝達や、王宮に引きこもっていた腰抜け達にそんな突然の襲撃に動ける筈もなく、何が起こったのかも分からないまま、刃に切り裂かれて鮮血を吹き出しながら悲鳴を上げたり、ゴルフクラブに打ち上げられた球のように遥か空に打ち上げられて地面に墜落していく。

 そんな中、雫だけはその原因を理解していた。広場に入ってからずっと最大限に警戒していたのだ。ホセの演説もどこか違和感を覚えるものだったのだが、まさか手鏡から魔物が飛び出してくるとは思わなかった為、僅かに動揺してしまっていたのだが、何とか刀剣でそれを防げたのは鍛錬の賜物だろう。

 

 そして、大きく飛んで周囲を見渡した雫が見たのは、広がった頸部の側面に黄色い刃を伸ばしている紫色のコブラのよう姿の怪物──【ベノスネーカー】が天に向かって吠えている姿と、ベノスネーカーの強襲を受けたクラスメイト達が全員、地面に伏ている姿だった。

 

「な、こんな……」

 

 呻き声を上げながら倒れるクラスメイト達を見て、雫が声を詰まらせる。まさか、全員殺されたのかと最悪の想像がよぎるが、みな、苦悶の声を上げながらも辛うじて生きているようだ。

 そのことに僅かに安心しながらも、予断を許さない状況に険しい視線をベノスネーカー達に向ける雫だったが、その目に奇妙な光景が映り込み思わず硬直する。

 

「あらら、流石というべきかな?……ねぇ、雫?」

「え?えっ……何をっ!?」

 

 そう、瀕死状態のクラスメイト達が倒れ伏す中、たった一人だけ平然と立っている生徒がいたのだ。その生徒は、普段とはまるで異なる、どこか粘着質な声音で雫に話しかける。余りに雰囲気が変わっているため、雫は言葉を詰まらせつつ反射的に疑問を投げ掛けようとした。

 

 その瞬間、聞き馴染みのない男の声が響いた。

 

「ここかァ…祭りの場所は…」

「ッ!?」

 

 雫が振り替えると、そこには見知らぬ男が立っていた。

 金色に染めたボサボサの髪に髭を生やし、蛇柄のジャケットを着込んだ壮年の男性だ。

 

 明らかに衛兵でもなく、その服装は雫達の故郷である地球のものと同じで、そんな男が現れた事に雫は驚きを露にするが、その蛇柄のジャケットの男の、獲物を狙う蛇のようにギラついた目を目にすると、雫は刀剣を構えた。

 本能が言っている。この男は、危険だと。

 

「お前らが勇者って奴か……俺と遊んでくれよ」

 

 その男──【浅倉威】は雫を見据えると、ポケットからあるものを取り出した。

 紫色の長方形の箱のようなもので、その箱の中央には、金色で頸部を開いたコブラを象った紋章が刻まれている。

 

 浅倉はその箱──“カードデッキ”をクラスメイト達の手から離れたアーティファクトの一つの刀剣にかざす。刀剣に映りこんだ浅倉の腰に銀色のベルトが浮かび上がり、それが刀剣を飛び出して浅倉の腰に巻き付いた。

 

 “Vバックル”を装着した浅倉は、右手の甲を鏡に向け、左から半弧を描くように動かして、腕を胸の前あたりに持ってくると、掌を返して勢いよく前後させた。

 

「変身!」

 

 その言葉と共に、浅倉はカードデッキをVバックルに素早く挿し込んだ。

 

 Vバックルの上部のランプが光り、浅倉の周囲に幾つもの白い鏡像が現れると、高い音と共にそれらの鏡像が浅倉に重なり、浅倉の姿が一瞬で変化した。

 

 黒のボディスーツに、頸部を開いたコブラを正面から見たような形状に目に当たる部分につり上がった線が左右で三本ずつ刻まれた仮面に、蛇の意匠が見られる紫色の装甲。

 

「あぁ~~……」

 

 姿を変えた浅倉──仮面ライダー王蛇(おうじゃ)は、溜息じみた声と共に首を回し、片手を軽くスナップさせた。

 

 王蛇は、コブラを模した紫色の小杖“ベノバイザー”を取り出すと、カードデッキから一枚のアドベントカードを引き抜き、ベノバイザーの先端のコブラの頭をスライドさせ、そこに引き抜いたカードを装填した。

 

 

SWORD VENT

 

 

 無機質な音声と共に、刀剣から紫の持ち手に金色の太い刀身を持つ剣“ベノサーベル”が飛び出し、王蛇の手に収まった。

 

「ハァ……オラァッ!!」

「ッ!!?」

 

 王蛇が走り出してベノサーベルを振り下ろすのを見て、浅倉の変身に驚いていた雫はその一撃を辛うじてかわすと、地面に叩き付けられたベノサーベルが地面に亀裂をいれた。

 

「オラッ!だぁっ!ふんっ!」

「くっ!!」

 

 更に激しく振るわれる剣の嵐。

 パワーは驚異だが、雫はベノサーベルの攻撃を全て凌ぐが、突然、自分の名が叫ばれてそちらに視線を向ける。

 

「雫様!助けて……」

「ニア!」

 

 そこには、今まさにベノスネーカーにを食われそうになっているニアの姿があった。雫は、咄嗟に“無拍子”からの高速移動で振り下ろされる剣撃をかいくぐり一瞬でニアのもとへ到達すると、ニアを抱き寄せてその場から飛び退き、空振りになったベノスネーカーの顔が地面に大きなクレーターを作る。

 

「ニア、無事?」

「雫様……」

 

 倒れ込んでいるニアを支え起こしながら、ベノスネーカーと王蛇に警戒の眼差しを向ける雫。

 そんな雫の名を、ニアはポツリと呟き両手を回して縋りつく。

 そして、

 

『グォオオオオオッ!!!』

「っ!?あぐっ!!」

 

 ニアの体が光り輝き、その姿が形容しがたい化け物に変貌したかと思うと、その首を絞め上げ、そのまま雫の腕を取って捻りあげると地面に組み伏せて拘束した。

 

「「「「ウォオオオオオッ!!」」」」

 

 すると、周囲にいた兵士達にも変化が起こり、彼らの姿は一瞬にして異形の怪物へ変わった。

 

 虫を無理矢理擬人化し、その虫が持つ特性を体現したように鋭い刃や触手などを生やした怪物──【ワーム】の成虫達と、檻のような形の兜付きのケープを羽織っている異形──【ロイミュード死神部隊】は、その醜悪な姿を表したと同時に、クラスメイト達を全員、背後から地面に組み伏せ、魔力封じの枷をつけた。

 

 雫は、そこでようやく気がついた。最初は、ニアの様子がおかしい原因は王都侵攻のせいだろうと思っていたのだが、そうではなく、彼女の様子が自分の周囲を無表情で取り囲む兵士や騎士と雰囲気が全く同じであり、別のところに原因があるのだと。

 

「アハハハ、流石の雫でも、まさかその子が偽物だとは思わなかった?うんうん、そうだろうね?だから、わざわざ用意したんだし?」

 

 頬に感じる地面の冷たさに歯を食いしばりながら、雫は、ニアも他の兵士達も知らぬ間にこの化け物に刷り変わったのだと悟る。そして、認めたくはないが、この惨状を作り出したであろう、今も、ニヤニヤと普段では考えられない嫌らしい笑みを浮かべる親友の名を呼んだ。

 

「どういうこと…なの……恵里」

 

 そう、その人物は、控えめで大人しく、気配り上手で心優しい、雫達と苦楽を共にしてきた親友の一人、中村恵里その人だった。

 

 重傷を負いながらも、直ぐには死なないような場所を狙われたらしく苦悶の表情を浮かべて生きながらえている生徒達も、生徒達に襲い掛かろうとしていた王蛇とベノスネーカーも、コツコツと足音を立てながらワームとロイミュード達の間を悠然と歩く恵里を呆然とした表情で見つめている。

 

 恵里は、雫の途切れがちな質問には答えずに、何がおかしいのかニヤニヤと笑いながら光輝の方へ歩み寄った。そして、眼鏡を外し、光輝の首に嵌められた魔力封じの一つである首輪をグイっと引っ張ると艶然と微笑む。

 

「え、恵里…っ…一体…ぐっ…どうしたんだ……」

 

 雫達幼馴染ほどではないが、極々親しい友人で仲間の一人である恵里の余りの雰囲気の違いに、体を貫く剣の痛みに堪えながら必死に疑問をぶつける光輝。だが、恵里はどこか熱に浮かされたような表情で光輝の質問を無視する。

 

 そして、

 

「アハ、光輝くん、つ~かま~えた~」

 

 そんな事を言いながら、光輝の唇に自分のそれを重ねた。妙な静寂が辺りを包む中、ぴちゃぴちゃと生々しい音がやけに明瞭に響く。恵里は、まるで長年溜め込んでいたものを全て吐き出すかのように夢中で光輝を貪った。

 

 光輝は、わけがわからず必死に振りほどこうとするが、ロイミュードが人外の力で押さえつけられている上に、魔力封じの枷を首輪以外にも、他の生徒達同様に手足にも付けられており、力が入らずなすがままだった。

 

 やがて満足したのか、恵里が銀色の糸を弾きながら唇を離す。そして、目を細め恍惚とした表情で舌舐りすると、おもむろに立ち上がり、倒れ伏して血を流す生徒達を睥睨した。苦悶の表情や呆然とした表情が並んでいる。そんな光景に満足気に頷くと、最後に雫に視線を定めて笑みを浮かべた。

 

「とまぁ、こういう事だよ。雫」

「っ…どういう事よ…」

 

 わけがわからないといった表情で、恵里を睨みながら吐血する雫に、恵里は物分りが悪いなぁと言いたげな表情で頭を振ると、まるで幼子にものの道理を教えるように語りだしだ。

 

「うーん、わからないかなぁ?僕はね、ずっと光輝くんが欲しかったんだ。だから、そのために必要な事をした。それだけの事だよ?」

「……光輝が好きなら…告白でもすれば…こんな事…」

 

 雫の反論に、恵里は一瞬、無表情になる。しかし、直ぐにニヤついた笑みに戻ると再び語りだした。

 

「ダメだよ、ダメ、ダ~メ。告白なんてダメ。光輝くんは優しいから特別を作れないんだ。周りに何の価値もないゴミしかいなくても、優しすぎて放っておけないんだ。だから、僕だけの光輝くんにするためには、僕が頑張ってゴミ掃除をしないといけないんだよ」

 

 そんな事もわからないの?と小馬鹿にするようにやれやれと肩を竦める恵里。ゴミ呼ばわりされても、余りの豹変ぶりに驚きすぎて怒りも湧いてこない。一人称まで変わっており、正直、雫には目の前にいる少女が初対面にしか見えなかった。

 

「ふふ、異世界に来れてよかったよ。日本じゃ、ゴミ掃除するのは本当に大変だし、住みにくいったらなかったよ。もちろん、このまま戦争に勝って日本に帰るなんて認めない。光輝くんは、ここで僕と二人、ず~とずぅ~~と暮らすんだから」

 

 クスクスと笑いながらそう語る恵里に、雫は、まさかと思いながら、ふと頭をよぎった推測を口からこぼす。

 

「…まさか…っ…大結界が簡単に…破られたのは……」

「アハハ、気がついた?そう、僕だよ。彼等を使って大結界のアーティファクトを壊してもらったんだ」

 

 雫の最悪の推測は当たっていたらしい。魔人族が、王都近郊まで侵攻できた理由までは思い至らなかったが、大結界が簡単に破られたのは、恵里の仕業だったようだ。恵里の視線が、彼女の傍らに立っている異形達を面白げに見ている事から、彼等にやらせたのだろう。

 

「君達を殺しちゃったら、もう王国にいられないし……だからね、魔人族とコンタクトをとって、王都への手引きと異世界人の殺害、お人形にした騎士団の献上を材料に魔人領に入れてもらって、僕と光輝くんだけ放っておいてもらうことにしたんだぁ」

「馬鹿な…魔人族と連絡なんて…」

 

 光輝がキスの衝撃からどうにか持ち直し、信じられないと言った表情で呟く。恵里は自分達とずっと一緒に王宮で鍛錬していたのだ。大結界の中に魔人族が入れない以上、コンタクトを取るなんて不可能だと、恵里を信じたい気持ちから拙い反論をする。

 

 しかし、恵里はそんな希望をあっさり打ち砕く。

 

「本当は【オルクス大迷宮】で襲ってきた魔人族の女の人を降霊術で操る気だったんだけど……流石に肝が冷えたね。まさか、魔人族にあんな同盟軍がいたなんて……おまけに檜山のバカも死んじゃうし、鈴木のせいで女は灰になってて使えないし……どうしようかと思ってたら、バダンって言う組織から勧誘されたんだ。内通者がいるのは都合が良いからってさ!」

 

 バダンという聞きなれない言葉に、雫達はかつてオルクス大迷宮で数多くのクラスメイトを惨殺したアークゼロ達の事を思いだす。

 

「まさか……この魔物達も……」

「そう!バダンの兵士達!蟲みたいなのがワームで、メカっぽいのがロイミュード!人間の記憶と体をコピーする能力があるっていうから、本物はみんな死んでま~す。アハハハハハハ!」

 

 恵理は心底楽しそうに笑う。

 本来ならば、恵理は自らの降霊術で生み出した傀儡兵を取引材料として魔人族に取り入ろうとしていたが、バダンからのコンタクトを取られた恵理は、それからニアや兵士達を殺害しては、人間に擬態する能力を持つワームやロイミュードが成り変わって王宮に潜入する手助けをしていたのだ。

 ワームもロイミュードも、バダンから貸し与えられた兵力であり、自分一人での功績ではないというのに、恵理は得意気になっている。自分の望んでいた以上の結果に舞い上がっているのだろう。

 

「ぐぅ…止めるんだ…恵里!そんな事をすれば……俺は……」

「僕を許さない?アハハ、そう言うと思ったよ。光輝くんは優しいからね。それに、ゴミは掃除してもいくらでも出てくるし……だから、ちゃんと光輝くんを僕流オリジナル降霊術“縛魂”して、僕だけの光輝くんにしてあげるからね?他の誰も見ない、僕だけを見つめて、僕の望んだ通りの言葉をくれる!僕だけの光輝くん!あぁ、あぁ!想像するだけでイってしまいそうだよ!」

 

 恍惚とした表情で自分を抱きしめながら身悶える恵里。そこに、穏やかで気配り上手な図書委員の女の子の面影は皆無だった。クラスメイト達は思う。彼女は狂っていると。“縛魂”は、降霊術よりも死者の使い勝手を良くしただけで術者の傀儡、人形であることに変わりはない。それが分かっていて、なお、そんな光輝を望むなど正気とは思えなかった。

 

「嘘だ……嘘だよ!ぅ…エリリンが、恵里が…っ…こんなことするわけない!……きっと…何か…そう…操られているだけなんだよ!っ…目を覚まして恵里!」

 

 恵里の親友である鈴が痛みに表情を歪め苦痛に喘ぎながらも声を張り上げた。その手は、恵里のもとへ行こうとでもしているかのように地面をガリガリと引っ掻いている。恵里は、鈴の自分を信じる言葉とその真っ直ぐな眼差しにニッコリと笑みを向けた。

 

「ねぇ、鈴?ありがとね?日本でもこっちでも、光輝くんの傍にいるのに君はとっても便利だったよ?」

「……え?」

「参るよね?光輝くんの傍にいるのは雫と香織って空気が蔓延しちゃってさ。不用意に近づくと、他の女共に目付けられちゃうし……向こうじゃ何の力もなかったから、嵌めたり自滅させたりするのは時間かかるんだよ。その点、鈴の存在はありがたかったよ。馬鹿丸出しで何しても微笑ましく思ってもらえるもんね? 光輝くん達の輪に入っても誰も咎めないもの。だから、“谷村鈴の親友”っていうポジションは、ホントに便利だったよ。おかげで、向こうでも自然と光輝くんの傍に居られたし、異世界に来ても同じパーティーにも入れたし……うん、ほ~んと鈴って便利だった!だから、ありがと!」

「……あ、う、あ……」

 

 衝撃的な恵里の告白に、鈴の中で何かがガラガラと崩れる音が響いた。親友と築いてきたあらゆるものが、ずっと信じて来たものが、幻想だったと思い知らされた鈴。その瞳から現実逃避でもするように光が消える。

 

「恵里っ!あなたはっ!」

 

 余りの仕打ち、雫が怒声を上げる。傀儡と化したニアが必死にもがく雫の髪を掴んで地面に叩きつける。しかし、それがどうしたと言わんばかりに、雫の瞳は怒りで燃え上がっていた。

 

「ふふ。怒ってるね?雫のその表情、すごくいいよ。僕ね、君のこと大っ嫌いだったんだ。光輝くんの傍にいるのが当然みたいな顔も、自分が苦労してやっているっていう上から目線も、全部気に食わなかった。だから君は、もっと良い表情をしてから傀儡にして上げるよ」

「…何を、するつもり…?」

「フフっ、こういうことだよ」

 

 恵理はそう言うと、今度はワームに組み伏せられている香織に目を向け、彼女の前に歩み寄ろうとしたところで恵理の前に立ち塞がる者が現れた。ベノサーベルを逆手に持った王蛇だ。

 

「……おい」

「は?なんだよ。今良いところなんだから、口を挟まn──グギャアァアアアアアッ!!?

 

 上機嫌になっていたところで口を挟まれた恵理は気分を害されたように王蛇に声を出そうとした時、その声は一瞬で悲鳴に変わった。

 恵理の前に立った王蛇が、逆手に持ったベノサーベルの柄頭で恵理の顔面を殴り付けたのだ。

 

 浮かれきっていた恵理はこれを避けることなど出来る筈もなく王蛇に殴られ、歯を幾つか砕かれ鼻血を流しながら吹き飛ばされ、雫達は王蛇のまさかの行動に目を見開いた。

 王蛇は、ベノサーベルを逆手から順手に持ち変えて、首を回しながら倒れる恵理に向けて口を開いた。

 

「ゴチャゴチャうるせぇんだよ……。早く俺を、戦わせろぉっ!!!」

『グギャッ!?』

『グオッ!?』

「「「ぎゃあああああっ!!?」」」

 

 王蛇は怒りを露にするように声を荒げると、近くにいたワームやロイミュードを蹴り飛ばすと、解放された生徒達にベノサーベルを叩き付けた。

 生徒達は、当然ながらこの攻撃を避けることなど出来ず、ベノサーベルの強力な一撃に骨を折られたり、血飛沫を上げて吹き飛ばさたり、ベノサーベルの刃の毒液に皮膚を焼かれて悲鳴を上げる。

 

「な、なんだよアイヅ…!僕の安全は保証ずるっでいっだのに……!!」

 

 暴れまわる王蛇を、恵理は忌々しげに睨む。チート持ちのステータスが幸いしたのか、恵理が死ぬことはなかったが、顔面が某海賊漫画のガス科学者のようにベノサーベルの柄頭の形に没落し、鼻が曲がって鼻血を流して歯も砕けた今の彼女は見るからに無様な姿であった。

 

 一方、王蛇は恵理の視線など気付いてもおらず、生徒達の返り血で赤くなったベノサーベルに視線を移すと、更に怒りを露にするような雄叫びを上げながら、眼前でロイミュードの鋭い爪で拘束されていた香織を捉えた。

 

「弱い……弱すぎる…!俺をイライラさせるな…!もっと俺を……楽しませろォッ!!!」

「うぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!??」

 

 王蛇はそのイライラをぶつけるように、ロイミュードとワームを蹴り飛ばし、拘束から逃れた香織に向けて、ベノサーベルを叩き付けた。しかも、生徒達が弱すぎる事に堪忍袋の尾が切れたのか、一撃ではなく何度も何度もベノサーベルで叩き続ける。

 狂人の暴力の的にされた香織は、成す術もなく蹂躙され、断末魔にも近い悲鳴を上げる。

 その時、王蛇は背後から何かが迫ってくるのを察して後ろを振り向く。

 

「香織ぃいいいいーー!!」

「がぁああああ!お前ェーー!!」

 

 そこには、香織が殴られ始めたのを見て、こちらに向かってくる光輝と雫の姿があった。王蛇の突然の行動に、ワームやロイミュード達が拘束の手を緩めてしまった為、火事場のバカ力か何かで拘束を脱したらしい。

 雫は今にも泣きそうな表情で必死に香織のもとへ行こうとしており、光輝は怒髪天を貫く勢いで叫びながら、“覇潰”でも使おうとしているのか、凄まじい圧力がその体から溢れ出している。

 …しかし、所詮枷で魔力を封じられた状態の2人が、王蛇に敵う筈がなかった。

 

「はぁっ!」

「あぁっ!?」

「フンッ!!」

「うぁあああああああっ!!!?」

 

 王蛇は、雫の剣が振るわれるよりも早く彼女の鳩尾を蹴り、向かってきた光輝にベノサーベルを叩き付ける。

 仮面ライダーの超人的な力の前に、冷静さを失った二人が堪えきれる筈もなく、二人は吐血しながら呆気なく地面を転がった。

 

 だが、ベノサーベルの一撃が枷を壊したらしく、ただでさえ亀裂が入って脆くなっていた枷が、光輝から発生する圧力によりまとめて破壊されたと同時に、その体から彼の激しい怒りをあらわすように純白の光が一気に噴き上がる。激しい光の奔流は、光輝を中心に纏まり彼の能力を五倍に引き上げた。“限界突破”の最終派生“覇潰”である。

 

「お前……絶対に許さない!」

「あぁ、そうか……確かそこの金ぴかの奴が勇者だったなァ……なら、少しは俺を楽しませられるんだろうな?」

 

 光輝を見てそう呟いた王蛇は楽しそうに呟くと、ベノサーベルを手に走り出し、光輝もまた近くにあった騎士剣を手に取り走り出す。

 

 王蛇と光輝は互いに何度も剣を振るう。

 力任せにベノサーベルを振るう王蛇に対し、光輝は引き上げられたスペックを全開にして対峙する。

 しかし、最初は拮抗していると思われた戦闘は、呆気なく終わりを向かえた。

 

「ッ!? ガハッ!」

 

 王蛇のベノサーベルの一撃をどうにか凌いだ直後、突然、光輝の体から力が抜けて両膝が折れた。“覇潰”のタイムリミットではない。まだ、そこまで時間は経っていない。異変はそれだけに留まらず、遂には盛大に吐血までしてしまった。ビチャビチャと地面に染み込む血が、光輝の混乱に拍車をかける。

 

 

FINAL VENT

 

 

 だがその混乱も、王蛇から聞こえてきた電子音により中断させられる。

 光輝が顔を上げれば、そこには空中を飛行する赤紫色の巨大なエイの姿をした怪物──【エビルダイバー】の背中に乗り、猛スピードで接近する王蛇の姿があった。

 

「はぁっ!!!」

「ぐぁあああああああああああッ!!!!」

 

 滑空突撃したエビルダイバーが、電磁カッターと化したヒレで敵を切り裂く必殺技の一つ“ハイドベノン”が炸裂し、光輝は鎧を大きく砕かれ血飛沫をあげなが吹き飛ばされた。

 

「が……あが……何で、まだ時間じゃない筈なのに…!?」

 

 広場の奥の壁を崩壊させながら叩きつけられる光輝に、王蛇は再びベノサーベルを手にしなが歩み寄る。それを目にして光輝は立ち上がろうとするが、体を蝕む痛みに満足に立ち上がることも出来ない。

 

 光輝が動けなくなったのは、最初に恵里がしたキスが原因だ。あの時、光輝は一緒に毒薬を飲まされた。恵里自身は、先に解毒薬でも飲んでいたのだが、当然そんな対策をしていない光輝は今もなお体を毒に蝕まれているのだ。

 

「……ハァッ!!」

「ぐぁっ!!?」

 

 だが、そんな事は知らない王蛇は、満足に動けない光輝の肩にベノサーベルを振り下ろした。火花を散らして鎧を破壊される光輝。

 

「どうしたァ…?その程度か…?ハァッ!!」

「ぐぁっ!?ごふっ!?」

「フンッ!」

「あがっ!?」

 

 更に王蛇は容赦なくベノサーベルを振り下ろす。

 最早戦いとも呼べない一方的な暴力に成す術もなく殴られ続ける光輝は、王蛇に胸部を踏みつけられ、苦しげに呻いた。

 

「勇者だろォ……お前……」

「……!!」

 

 嘲笑うような王蛇の言葉に、光輝は歯を食い縛りながら王蛇を睨み付けるが、既に体は思うように動かない。

 

 王蛇は、そんな無様な光輝の姿をハッと鼻で笑うと、光輝の腹部を蹴り飛ばし、ゴロゴロと地面を転がる光輝を見据えながらベノバイザーを取り出し、カードデッキから2枚のカードを引き抜いた。

 

「2枚あるぞ……どっちが好みだ?」

 

 カードデッキから引き抜いた二枚を見せる王蛇。彼が手にしているのは、“ベノクラッシュ”を発動させる王蛇のファイナルベントと、“ヘビープレッシャー”を発動させる仮面ライダーガイのファイナルベントのカードだ。

「ッ!おい待て!お前、光輝くんに何すr」

 

 それを見て顔を青くした恵理の言葉にも耳を貸さず、王蛇はそのままベノクラッシュのアドベントカードを選択し、ベノバイザーに展開させたスロットにそのカードを装填した。 

 

 

FINAL VENT

 

 

 音声と共に、待機していたベノスネーカーが地を這い進む。

 王蛇はその場で構え、ベノスネーカーが背後までやって来た瞬間に大きくバク宙すると、ベノスネーカーが吐き出した毒液の勢いに乗り、両足を上下させる必殺技“ベノクラッシュ”が発動した。

 

「おらぁあああああああっっ!!」

「…ッ!!!!」

「「光輝(君)ッ!!」」

 

 毒液を纏い突撃する王蛇に顔を青くする光輝。

 雫と恵理は偶然にも同じタイミングで光輝の名を叫ぶが、王蛇の勢いは止まらず、王蛇の蹴りが炸裂する、その時だった。

 

ズドォオオオンッ!!

 

「うぉっ!?」

 

 突如として横から割り込んできた赤黒い炎を纏う蹴りが、光輝に向かっていく王蛇に直撃した。それに気付かなかった王蛇は必殺技を中断させられて地面を転がる。

 

 その場にいる誰もが、何が起こったのか分からずに呆然としていると、王蛇に蹴りを炸裂させた人物は、スタッと靴音を鳴らしながらその場に降り立った。

 

 その人物は、地に伏せて動けない光輝を一瞥すると、不愉快そうに眉を寄せる。

 

「……ただ事ではないと思って飛び出してみれば、よりによって助けたのが貴様だったとはな……。まぁいい、仮面ライダーとして、この事態を見過ごすわけにはいかないからな」

 

 その人物──アザゼル・アメリは、意図せずに光輝を助けてしまったことに溜め息を吐きながらも、今自分がやるべき事をやるために、ジクウドライバーを取り出した。

 

 




・ライダー紹介

仮面ライダー王蛇

【概要】
 ご存じ、『仮面ライダー龍騎』に登場する歴代最凶最悪の呼び声が高いダークライダー。
 その不動たる人気と変身前後問わず物語を引っ掻き回す強い危険性のある性格とインパクトがある事から客演には恵まれており、作者もダークライダーの中で王蛇がダントツに好きだった為に客演させた。
 光輝に対する対応は、龍騎本編での王蛇の名シーンをオマージュした。


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