読者の皆様には気に入らない展開になるかもしれませんが、どうぞ広い心で読んでいただけると幸いです。
4号、ビルド、ゼロツー、ダイモンが光の球となってインフィニットジオウウォッチに吸い込まれる。
入間はインフィニットジオウウォッチをしまってジクウドライバーを腰に巻くと、隣に立っているティオに話し掛けた。
「ティオ、連戦いける?」
「無論じゃ。この状況で動かないほど、妾は間抜けではないぞ」
「わ、私もやります!」
ジオウウォッチと“クウガアルティメットフォームライドウォッチ”を手にした入間を見て、ティオも下地が紅くなったサバイブ状態のカードデッキを取り出し、愛子もまた生徒だけに戦わせるわけにはいかないとゼインドライバーとゼインプログライズキーを取り出した。
愛子がゼインドライバーを腰に巻き、ティオがデッキを突き出してVバックルを装着すると、3人は変身の構えをとる。
「「「変身ッ!!」」」
入間はジオウに変身すると同時に漆黒の禍々しい鎧を身に纏い、複眼には「アルティメット」と書かれた【仮面ライダージオウ・クウガアルティメットフォームアーマー】、ティオは白い鏡像を重なることで龍騎サバイブへ、愛子は背後に高速道路のタイムラプス映像が流れてゼインへと変身を遂げる。
「僕はアメリさんの手伝いをする!二人は他をお願い!!」
「承知!」
「はい!」
ジオウはアークゼロワンのもとへと跳躍すると、漆黒の拳を叩き付ける。
平成ライダーの中でも最強各に位置するアルティメットフォームの力を宿したパンチには流石のアークゼロワンでも受ければ一溜まりもない。腕を交差させて防いだアークゼロワンは、地面をえぐりながら後退する。
「アメリさん、大丈夫ですか?」
「……フッ、問題ない。合わせろ、イルマ!」
「はい!!」
ジカンジャックローを構えるゲイツリバイブの言葉に答え、ジオウはモーフィングパワーで“ライジングペガサスボウガン”と“ライジングタイタンソード”を手にすると、二人はアークゼロワンに向けて同時に走り出した。
一方、龍騎サバイブはドラグバイザーツバイを手に王蛇サバイブのもとへと走り出し、ゼインもロイミュードとワームと対峙しているエターナルのもとへと駆け付けた。
「はぁっ!」
「おっと!!」
龍騎サバイブはドラグバイザーツバイを振り下ろし、王蛇サバイブはベノバイザーツバイで受け止める。そのまま鍔迫り合いの姿勢のまま、龍騎サバイブは新たなアドベントカードをドラグバイザーツバイに装填した。
『グォオオオオオオオオオッ!!!!』
「な、なんだ…!?」
アドベントカードの能力が発動して、ドラグランザーが出現すると同時に、ドラグランザーは王蛇サバイブの蹂躙に倒れている光輝、雫、香織を咥えると、そのまま周囲のロイミュードを振り払いながらエターナルに守られている生徒達の所へ飛んでいく。
「えいっ!」
『グギャッ!?』
エターナルに襲いかかろうとしていまゼインの圧倒的なスペックによる拳を叩き付けて吹き飛ばすと、ゼインはエターナルが守っている生徒達のもとに駆け寄った。
「皆さん!大丈夫ですか!?」
「えっ!?愛ちゃん先生!?」
「そ、その声…園部さんですか!?」
愛子がゼインに変身するのを目にしていたエターナルや奈々達はその事に驚きを露にし、エターナルから発せられた自分の名前を呼ぶ声を聞いたゼインは、目の前にいる白い仮面ライダーの正体が優花であることを悟り、同様に驚きを露にする。
「グォオオオオッ!!!!」
『ギャアアアアアアアッ!!!??』
その時、龍騎サバイブが召喚したドラグランザーがゼイン達の元に飛んできて、口に咥えていた光輝、雫、香織をペッと吐き出すと、3人はズシャァッと音を立てながら地面を倒れた。
荷物を運び終えたドラグランザーは、再び鈴に襲い掛かろうとした鵺怪人のもとへと飛び、強靭な尾で鵺怪人を吹き飛ばし、鈴から引き離した。
「ッ!天之河くん!雫!香織ちゃん!」
「三人ともしっかり…!今治療します!」
互いに仮面ライダーに変身したことに驚き合っていたエターナルとゼインは、直ぐに倒れた三人の元に駆け寄る。
雫と香織は王蛇サバイブにき怪我をおって大量に血を流しており、光輝に至っては何度も王蛇サバイブに痛め付けられて骨も折れており、それを見たゼインは慌てて一枚のゼインカードを取り出した。
【仮面ライダーフォーゼ・ベースステイツ】のカードを装填・裁断してフォーゼの力を身に宿したゼインは、右腕に一つのモジュールを出現させた。
コズミックエナジーで生成された応急処置用簡易キットのモジュールを出現させ、ゼインはキットを開き、そのなかに入っているアンプルを取り出した。
「ッ、愛ちゃん!私が皆を守るから、愛ちゃん先生は治療に専念してください!!」
「……分かりました!でも、直ぐに私も手伝いますからね!天之河君!八重樫さん!白崎さん!このアンプルを!」
「あ、愛ちゃん……」
エターナルがワームとロイミュードを相手を引き受けると言い、生徒に戦わせられないと言おうとしたゼインだったが、香織が重傷で、辻綾子亡き今、彼女を治療出来るのは自分しかいないと、迅速に治療用のアンプルを雫達に投薬した。
「……」
そんな中、ゼインの治療を受けて身体中の怪我を癒されている香織は、光のない目で、ある場所を見つめていた。
「いくぞ!イルマ!」
「はい!!」
「「はぁっ!!」」
『っ!』
その視線の先にいたのは、アークゼロワンと壮絶な死闘を繰り広げているジオウとゲイツだ。
かつて自分達迷宮攻略組を一掃したアークゼロよりも更に強くなっているアークゼロワンに、二人は抜群のコンビネーションで立ち向かっていく。アスモデウスやクララ程でなくとも付き合いの長い2人の間には強い絆があり、2人は完璧なタイミングで攻撃を繰り出し、お互いの背中を守り合いながら、強敵アークゼロワンと互角に渡り合っている。
それを見た香織は、自身の胸の内でどす黒い炎が燃え上がるのを感じた。
それは、当然のように
「白崎さん!目が覚めたんですね!」
「か、香織……よかった……」
香織が起き上がった事に、ゼインと意識を回復させた雫は安堵し、“限界突破”の副作用で動けないが意識はある光輝も笑みを浮かべる。
しかし、香織はそんな彼らに見向きもしなかった。幽鬼のようにフラフラと歩きだす。
「……そうだ。……やっぱり、入間くんは洗脳されてるんだ……そうじゃなきゃ、あんな最低な女達と一緒にいる筈ない……」
「か、香織……」
ブツブツと呟き始める親友の姿に、雫はゼインの治療で回復した体を起き上がらせながら、呆然とその背中を見つめる事しか出来ない。
ワームやロイミュードを相手していたエターナルは、フラフラと歩き続ける香織に戻るように呼び掛けようとするが、妨害を受けてしまい香織のもとに近づくことが出来ない。だが不思議なことに、ワームやロイミュードは格好のエサである筈の香織を襲おうとはせず、巣通りしながらエターナルに突撃していく。
騒然とした戦場にやけに響き渡る香織の靴音に、ジオウとゲイツはアークゼロワンから意識をそらさぬまま振り向くと、香織は懐にしまってあったあるものを手に取り、それをジオウ達に見せるように取り出した。
『……ようやく、悪意に呑まれたか』
「っ!それは……!」
「何故、アイツが……」
「!あれは……嫌な予感がするのぉ」
アークゼロワンはそれを見て小さく呟き、ジオウやゲイツ、更に王蛇サバイブと戦いを繰り広げていた龍騎サバイブも、香織が手に持っている物を見て、仮面の下で顔を強張らせる中、香織はその手に持った物を見せながら、まるでヘドロのように濁った目でジオウを見ながら話し掛ける。
「……入間くん、ずっと苦しかったよね?」
「…は?」
「分かってるよ。君の気持ちは。その子達に洗脳されてるんだよね?」
「お前、何を言ってるんだ……?」
ゲイツの言葉に答えず、香織は続ける。
「私はこんなに君を想ってるんだから、君が私を拒絶する筈がない……。だから、私が洗脳を解いて上げる。そしたら、私と永遠に二人でいよう……♡」
そう言いながら、香織は手にしたストップウォッチのような物体の上部のボタンを押した。
香織はそのウォッチ──アナザーディケイドウォッチを自身の胸に押し付ける。
その瞬間、香織の体が禍々しい繭のような光に包まれ、腹部から飛び出した複数のプレートが顔に当たる部分に刺さり、怪物の幻影が外に広がっていく事で繭が弾け飛び、変貌した香織の姿が露になった。
その姿は、まさに悪魔と呼ぶに相応しかった。
頭部は横に張り出す形で大きなツノのような突起が伸びており、そこにバーコード状に21枚のプレートが突き刺さっている。
顔は歯が剥き出しになった醜悪な人面と化しており、「仮面を壊して素顔を露わにした」とも、「仮面が顔と一体化した」とも解釈できる。
顔のシルエットはアポロガイストやキングダークを連想させたり、大ショッカーのロゴのモチーフである双頭の鷲を思わせ、ショッカーの要素がこれでもかと詰め込まれている。
体色は若干暗いマゼンタで、腰のベルト部分は白色で血走った眼球にも見える生物的な意匠の周囲にみられる爪や牙のような装飾はそれぞれ形が異なっており、その数は20本存在する。
胸には翼と、十字部分は真っ黒で三本のラインで構成されており、胸部右側に「DECADE」「2019」と刻まれている。
その怪物は、“世界の破壊者”ディケイドの力によって生まれたアナザーライダー──アナザーディケイドだ!!
「なっ!?その姿は……!!」
「か、香織!?香織なのっ!?」
『皆、私と入間君の為に……自分の世界に籠っててよ!!』
ジオウや雫達が香織の変身に驚愕する中、アナザーディケイドは右手を振り上げる。
その瞬間、ゼインの近くに集まっていた生徒達やリリアーナの足元から、突如として銀色のドロドロとした何かが溢れだし、それはまるで触手のようにウネウネと動きながら生徒達やリリアーナの体に巻き付いていく。
「うわぁああああっ!!?」
「な、なんだよ!何だよこれっ!?」
「か、香織!これは一体…ヒィッ!?」
生徒達は、自身の体に絡み付いていく銀色の触手に気味悪さを感じ、必死に引き千切ろうと四肢に力を込めていくが、触手はビクともしない。
「香織!これは一体……!!?」
「香織!どうしたんだ!!?」
そして、その触手に絡み付かれているのは、彼女の幼馴染みの雫と光輝も同様だった。既にゼインの治療が終わっていた二人は必死にアナザーディケイドとなった香織のもとへ行こうとするが、光輝は“限界突破”の副作用でろくに動くことも出来ず、雫もまた触手を振り払えずに飲み込まれようとしている。
「皆!!」
「た、助けないと!!」
同じく、香織の変身に驚愕していたエターナルとゼインだったが、二人は直ぐに銀色の何かに呑み込まれそうになっている生徒達やリリアーナを助けるために動き出す。
エターナルはロストドライバーのマキシマムスロットに“ルナメモリ”を装填して右腕をゴムのように伸ばして愛ちゃん護衛隊の体に腕を巻き付け、ゼインは両腕にそれぞれ遠隔ロボットアームとワイヤー付きフックをマテリアライズしてそれを伸ばし、リリアーナをマジックハンドで掴み、光輝と雫をウィンチのワイヤーに巻き付けた。
「グォオオオオオオオオオオッ!!!」
すると、鵺怪人を圧倒していたドラグランザーが飛び出して雫達のもとへ駆け付けると、ドラグランザーはゼインとエターナルが掴んでいる面々を拘束している銀色の物体に向けた超強力な炎を吐き出した。
その強力な炎に銀色の何かは焼き尽くされ、拘束が弱まったのを察したエターナルとゼインは腕を引き、愛ちゃん護衛隊、雫、光輝、リリアーナを銀色から引き離す。
ゼインは慌てて他の生徒達も助け出そうとするが、顔を上げた頃には、既に生徒達は銀色の触手に体を飲み込まれ、小さな球体にまで圧縮されてしまった。
「そ、そんな……」
「香織、どうして……?」
目の前で生徒を守れなかった。そんな無力感にゼインは膝から崩れ落ち、雫は呆然とその光景を眺めている。
すると、生徒達を取り込んだ銀色の球体はアナザーディケイドの元へと飛び、背後で銀色の巨大なオーロラとなった。
『これが私の力だよ!!』
その言葉と共に、オーロラカーテンが後ろに動き出すと、アナザーディケイドの背後に、複数の仮面ライダーが現れた。
灰色のショウリョウバッタを模した鎧を纏い、右腕にバッタの足のような装備を備えた戦士──仮面ライダーパンチホッパー
パトカーを模した仮面に、胸部にドーベルマンのような装飾がある時の管理者──仮面ライダーG電王
イタリアやスペイン原産のブラッドオレンジを模した赤黒く植物状の模様が入った甲冑に身を包む鎧武者──仮面ライダー武神鎧武
胸部に目の紋章が刻まれた黒い体に、白い顔に炎のような黒い複眼を持ち、白と黒のパーカーを羽織っている亡霊──仮面ライダーダークゴースト
黒と銅色のボディに、白と金色の勇者のような出で立ちをした戦士──仮面ライダートゥルーブレイブ
かつて各々の世界で数多くのライダー達を苦しめ散っていった筈の、強力なダークライダー達だ。
並の騎士団とは比較にならない凶悪にして強力な戦力を従えたアナザーディケイドは、右手を突きだし、ダークライダー達に指示を出す。
『さぁ!泥棒猫達から、入間君を助け出すよ!!』
その言葉と共に、パンチホッパーとダークゴーストは拳を構え、G電王、武神鎧武、トゥルーブレイブは武器を構え、一斉に走り出した。
「ぐぅっ!?」
「アメリさ…っ!?」
パンチホッパーの拳を受けて、その直後にダークゴーストの攻撃をくらい後退するゲイツリバイブに駆け寄ろうとするジオウの前に、トゥルーブレイブが“フランベルセイバー”と呼ばれる剣を手に立ち塞がる。
ジオウはライジングタイタンソードでトゥルーブレイブのフランベルセイバーを受け止めながら、他のダークライダー達の動きを確認する。
「……」
「愛ちゃん先生!危な…うあっ!?」
「ッ!?園部さん!!」
ゼインは生徒達の末路に呆然としていたが、G電王と武神鎧武が武器を手にして襲い掛かろうとするのをエターナルがエターナルエッジを防ぎ、それに気付いたゼインは我に返り、残った生徒達を守るために立ち上がり、G電王と戦闘を開始する。
「向こうが尋常ではないな……加勢したい所じゃが…ぬぅっ!?」
「……ハハハッ、ようやく祭りらしくなってきたなぁっ!!」
龍騎サバイブは、王蛇サバイブの相手で手が離せない様だ。人間態での戦闘には未だに不馴れなティオは、王蛇サバイブの暴力的な勢いに押されているようだ。
そんな中、雫はG電王や武神鎧武と戦いを繰り広げるゼインとエターナルを避けながら、必死の形相でアナザーディケイドのもとへと走り、アナザーディケイドの腕を掴んで声を張り上げた。
「香織!アンタ、なんでこんな事を……!!」
『うるさいなぁ……雫ちゃん、邪魔しないでよ』
「え?……うっ!!?」
アナザーディケイドから発せられた冷たい声に戸惑った雫は、突如頬を襲った痛みに悲鳴を上げながら地面に崩れ落ちる。
赤く晴れた頬を抑え、雫は口端から血を流しながらアナザーディケイドを見上げると、アナザーディケイドは醜悪な顔で倒れ込む雫に声をかけた。
『雫ちゃん……私ね、入間君を救ってあげるんだ』
「鈴木君を……救う?」
『そうだよ、雫ちゃん!鈴木君はね、あの泥棒猫達に洗脳されてるんだ!だから私の告白を断ったんだよ!だから、私は私の愛しい人を取り戻すんだ!そうすれば、入間君は私だけを見てくれる!私は私の幸せを取り戻せるんだよ!!』
アナザーディケイドの言葉に、雫は顔を青くする。それは先程、恵里が生徒達にしていた事とよく似た光景だった。
「ユエ達が、僕を洗脳?ふざけた事ばかり言うねっ!!」
その台詞が聞こえていたジオウは、トゥルーブレイブの腹部を蹴り飛ばして距離を取ると、取り出したインフィニットジオウウォッチを起動してジクウドライバーに装填し、ベルトを回転させた。
周囲に出現したライドウォッチが集束し、ジオウはインフィニットジオウへと変身すると、圧倒的なスペックによる拳を叩き付け、トゥルーブレイブを王宮に向けて吹き飛ばすと、トゥルーブレイブは城の壁にめり込み、インフィニットジオウはサイキョージカンギレードを召喚する。
「はぁああああああああっ!!!」
天空に届くまでに伸びた黄金の光刃が振り下ろされ、城にめり込んだトゥルーブレイブを、城ごと両断する。
爆音を響かせていれられた亀裂を中心に、城とトゥルーブレイブは盛大な爆発を起こす。
何百年の歴史を持つ王国の城を一瞬にして瓦礫の山に変えたインフィニットジオウは、無惨な城だったものに目を向けることもなく振り返り、アナザーディケイドに向かって走り出した。
インフィニットジオウが振り下ろすサイキョージカンギレードを、アナザーディケイドは片手で受け止めるが、重すぎたのか後退する。
『入間君に私を攻撃させるなんて……!本当にあの泥棒猫達は酷い女だよね!でも大丈夫だよ入間君!多少傷付けちゃっても必ず私が治療して上げるから、我慢してね!!』
そう言いながら、アナザーディケイドは再び出現させたオーロラカーテンから【仮面ライダーG4】【仮面ライダー幽汽】【仮面ライダーレイ】【仮面ライダー風魔】を出現させ、一斉にインフィニットジオウに突撃させる。
「悪いけど、いくら僕でも自分で始めたことを最後までやり遂げられないような人はお断りだよ!」
そう言いながらレリーフをタッチしたインフィニットジオウは、前方に【仮面ライダーG3-X】【仮面ライダーレンゲル】【仮面ライダードライブ】【仮面ライダースペクター】を召喚し、4人のライダーはアナザーディケイドが突撃させたダークライダー達の行く手を阻む。
「せいっ!」
『うぁっ!?』
ダークライダー達の相手をライダー達に任せたインフィニットジオウは瞬間移動を発動させ、アナザーディケイドを目にも止まらぬ速さで切り付けていく。
アナザーライダーの中でも最強クラスのアナザーディケイドだが、インフィニットジオウはその上を行く破格のスペックのライダー。支援系である香織と歴戦の戦士である入間では、変身者の戦闘スキルの差からも、インフィニットジオウが優勢になるのは当然の事だった。
「香織……!鈴木君……やめて……やめてよぉ……!」
怪物となった香織が想い人に傷つけられていく姿に、雫は香織が怪物になっていて悪行を重ねていると分かっていながらも、インフィニットジオウに制止の言葉を投げ掛けずにはいられない。
しかし、インフィニットジオウなそれで止まるはずがない。ある程度アナザーディケイドにダメージを与えたインフィニットジオウはサイキョージカンギレードを地面に突き刺すと、ベルトを操作する。
「これで、貴方がとらえた人達を解放する!!」
飛び上がったインフィニットジオウは、周囲にクウガからガッチャードまでの仮面ライダーの幻影を出現させ、空中でその幻影を自身の体に収束させて蒼い光を放つと、アナザーディケイドに向けて急降下し、必殺のキックを繰り出そうとした、その時だった。
「やめて!!鈴木君!!!」
「ッ!?」
“無拍子”を発動してアナザーディケイドとインフィニットジオウの間に割り込んだ雫が、目に涙を溜めながら両手を伸ばし、アナザーディケイドを庇ったのだ。
インフィニットジオウはその展開に驚愕するが、咄嗟に折り曲げていた左足を動かして、キックのために突き出していた右足を蹴飛ばした。
急遽蹴りを中断させたことで、インフィニットジオウのキックが雫に直撃することはなかったが、バランスを崩したインフィニットジオウはアナザーディケイドと雫の直ぐそばで転倒した。
「うぐっ!?」
「す、鈴木君……」
「君……いったい何をして……ッ!?」
戸惑う雫にインフィニットジオウが声をかけようとした時、アナザーディケイドが腰の血走った眼球にも見える生物的な意匠のベルト型部位を中心に腕を一瞬クロスさせ、右足に禍々しいマゼンタのオーラを纏わせたのを見た。
インフィニットジオウは瞬間移動でその場から退避しようとしたが、アナザーディケイドがマゼンタのオーラを纏う回し蹴りを繰り出そうとし、その蹴りの軌道の上にいた雫を見ると、インフィニットジオウは驚異的な速度で思考を回転させる。
このままインフィニットジオウだけで逃げるならば造作もないが、それは雫を見殺しにすることを前提とした選択肢だ。この場で見捨ててもいいかと考えたインフィニットジオウだが……G電王と戦うゼインの姿を見て、雫の腕を掴んだ。
そのまま、何が起こったのかも分かっていない雫を引き寄せ、インフィニットジオウが雫を抱き締めたのと、アナザーディケイドの回し蹴りが放たれたのはほぼ同時だった。
「うぁあああああっ!!!」
「きゃあああああっ!!?」
アナザーディケイドの蹴りが背中に直撃し、インフィニットジオウは雫を抱き締めたまま、カード状のエフェクトを残しながら吹き飛ばされ、勢い良く壁に叩き付けられた。
「イルマッ!!!」
「ご主人様!!!」
「「鈴木(君)ッ!!!」」
「雫ぅッ!!!」
爆発を起こしたインフィニットジオウが地面に崩れ落ち、変身が解除されるのを見て、ゲイツリバイブ、龍騎サバイブ、ゼイン、エターナルが入間の名を呼び、未だに動けない光輝は雫の名を呼ぶ。
すると、アナザーディケイドがゆっくりと歩き出すのを目にしたゼインは倒れる入間と雫のもとに駆けつけようとするが、そこにG電王が立ちはだかる。
「ッ!退いてください!!」
ゼインは強引に押し通ろうと、右足に蒼いミサイルランチャーをマテリアライズし、G電王にミサイルを発射する。
迫りくるミサイルに対し、G電王は“ライダーパス”をGデンオウベルトにかざす。
「うあっ!?」
G電王の周囲にドーム状のバリアが出現し、ゼインの放ったミサイルを防ぎ、デンガッシャーから赤と青の光弾を放ち、それが直撃したゼインは地面を転がった。
『フフフ……それじゃあ、入間君。これからゆっくり、私と一緒に愛を育もうね♡』
「誰が…!」
「か、香織……」
入間の前まで歩みよったアナザーディケイドが、入間を掴み上げようとした時……
「私の恋人から離れろ!!」
『うわぁああああっ!!?』
緑色の雷の龍がアナザーディケイドに襲い掛かり、アナザーディケイドは地面を転がると同時に、入間の元に一人の影が降り立った。
「入間、無事!?」
「ユエ……」
それは、入間の恋人であるユエが変身した仮面ライダーウィザード・ハリケーンドラゴンだった。それに続くように、エグゼイド、ウォズ、ゴースト、ツクヨミが、王蛇サバイブやダークライダー、鵺怪人を相手にしているのを目にした。
『この泥棒猫め……!』
「……ふざけた事を言わないで。イルマの恋人は私」
起き上がったアナザーディケイドが忌々しげにウィザードを睨み付け、ウィザードはウィザーソードガンを手にしながら冷たく言い放つ。
入間の恋人という発言に、アナザーディケイドはギリッと歯を食い縛った時、彼女の耳に低い声が聞こえてきた。
『白崎香織、活動はここまでだ』
『はぁ?』
その声をかけたのは、先程から動かずにいたアークゼロワンだった。
アナザーディケイドは、何故アークゼロワンからそんなことを言われなければならないのかと答えようとしたが、続けて放たれたアークゼロワンの言葉に、ピタリと動きを止めた。
『お前にアナザーライダーの力を与えたのは、我々バダンだ。お前が我々に協力すれば、お前の望みを叶えてやれる、と言ったらどうする?』
『……』
悪魔の囁きとも呼べる言葉に、アナザーディケイドは黙り込み、しばらく考え込むと、アークゼロワンの言葉に答えた。
『……良いよ。貴方達に協力して上げる』
『そうか。ならば、この場は一旦引くぞ』
アナザーディケイドの返事を聞いたアークゼロワンの背後にオーロラカーテンが現れると、鵺怪人やダークライダー、ワームやロイミュード達もアークゼロワンのもとへ集まっていく。
「…クロックアップ」
「うおっ!!?」
パンチホッパーはクロックアップを発動させ、王蛇サバイブの体を掴むと、目にも止まらぬ速さでオーロラカーテンの向こうへと消えていった。それに続くようにダークライダーや怪人達もオーロラカーテンの向こうへと消えていき、アークゼロワンとアナザーディケイド、鵺怪人もオーロラの向こうへの歩いていく。
「香織!行っちゃダメ!!」
「待って……待って!恵里!恵里!!」
雫と鈴の声も届かず、アナザーディケイドと鵺怪人は、アークゼロワンと共にオーロラの向こうへと消えてしまった。
やがて、彼らの姿が銀色の向こうに消えていくのと同時に、オーロラカーテンは一瞬にして消え去り、雫が伸ばした手は空を切る。
「そんな……」
「おい、貴様!」
「ッ!?」
雫が呆然とアナザーディケイドが消えていった場所を見つめていると、変身を解除したアメリが雫の胸ぐらを掴み、勢い良く自分のもとへ引き寄せ、キッと彼女を睨み付けた。自分より20cmも背が高い美女に睨まれて雫がビクッと怯えていると、同じく変身を解いたシアが声を張り上げた。
「皆さん!上からなにか来ます!!」
“未来視”が発動したシアの声を聞き、入間達は空を見上げる。
そこには、夜空に赤い線と煙の尾を引きながら王都に落下する物体だった。長い棒のような形状のそれは、トータスに存在しない筈の現代兵器──ミサイルだ。
「ッ!皆、防御するよ!!」
「分かった!」
それ見た入間達は、第六感が働くまま、まさかミサイルが飛んでくるとは思わずに呆然としている愛子や愛ちゃん護衛隊、去ってしまった香織と恵里に放心している雫と鈴、動けない光輝、自失呆然としているリリアーナを囲むように立った。
「「“
「“
「「「“聖絶”!!」」」
入間、アメリ、ユエ、ミレディ、ティオがチーム全体を覆うタイプの障壁を張り、それを包むようにアスモデウスの炎がドーム全体を包み込む。
その瞬間、空を飛んでいたミサイル──プルトンロケットが突如軌道を変え、王都のメインストリートに墜落した瞬間、プルトンロケットが爆発を起こした。
その瞬間、その地点を中心に発生した爆炎が王都全体を包み込む様にドーム型に広がり、全てを焼き尽くす地獄の業火の如き熱波と衝撃波が王国に襲い掛かる。
その衝撃波は入間達のもとにも届き、入間達は吹き飛ばされてなるものかと障壁に魔力を送り続け、愛子や優花達は障壁の向こうから聞こえる爆音と爆炎に悲鳴を上げることしか出来ない。
しばらくしてから、衝撃波が収まり、入間は咄嗟にコズミックステイツウォッチを使い、開かれたワープゲートに仲間達が飛び込み、ワープゲートが何なのか分からずに困惑している愛子達を放り込むと、自身もワープゲートに入り込んだ。
光のゲートを抜けると同時に、浮遊感が入間を襲う。入間は重力操作で浮かび上がると、周囲に目を向ける。そこには、同じくゲートを抜けた先で、重力魔法で空を飛ぶユエとミレディ、翼を出して飛ぶティオとアスモデウス、アスモデウスの背中に乗るクララ、マシントルネイダー・スライダーモードに乗るシア、そして“ブースタートライドロン”に受け止められた愛子達とリリアーナの姿があった。
ワープドライブとブースタートライドロンに混乱していた愛子達だったが、命は助かったのだと安堵のため息を吐いたのも束の間、ブースタートライドロンのボンネットや天井の上から見える光景に、顔を蒼くした。
「あ、あぁ……そんな……」
「嘘、だろ……」
リリアーナは膝から崩れ落ち、光輝も信じられないと言うような声を漏らす。雫や愛子達は、声を上げられないでいた。
バビルの面々は、呆然とはしなかったが、バダンが造り出した兵器によってもたらされた惨劇に舌を巻いた。
「これは……すごい花火だね」
「……ん。国が丸ごとなくなった」
入間とユエがそう呟く。
彼らの視線の先では、ハイリヒ王国があった場所で、とてつもなく巨大なキノコ曇が立ち上り、爆心地である王国は、最早原型を留めている建物がひとつもなく、隕石が落下したような巨大すぎるクレーターが作られていた。
ハイリヒ王国。
聖教教会の傀儡と成り果てた栄えある国は、異世界の侵略者達の手により、立ったの一時間で、その長い歴史に終わりを向かえたのだった。
第七章は、後日談としてもう少しだけ続きます。
感想、評価お待ちしております。