悪魔の孫は時の王者となって世界最強   作:MTHR

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入間「強大なエネルギーを秘めた神代魔法を手に入れるため、仮面ライダージオウの鈴木入間は仲間達と友に旅を続けていた。シアの家族を探すためにヘルシャー帝国にやって来た入間達が出合ったのは、魔界にいる筈の後輩、クロケル・チマだったのだ」

ユエ「……入間、チマって子とはどんな関係なの?」

入間「どんなって、ただの後輩だけど?」

アメリ「何故クロケルがトータスに来ているのだ?」

入間「それは分かりません……」

アズ「何故、仮面ライダーキカイの力をクロケルが持ったいるのだ!?」

入間「分からないよ!僕も今、驚いているんだから」

チマ「それはですね……」

入間「わーわー!あらすじ紹介でネタバレはダメだよチマちゃん!さぁ、どうなる第85話!」


85話 帝国に何が起きているのか

 クロケル・チマと思わぬ再開を果たし、ゼブラロストスマッシュを撃破し、その被験者がハウリアであることを知った入間達は、騒ぎを避けるために、一時的に鬼の戦艦に戻っていた。

 入間が趣味で取り付けたブリーフィングルームに設置されたソファーの上に、ロストスマッシュになっていたハウリアを寝かせていた。ハウリアの男は、傷が酷かったので神水を使い傷は完治しており、眠りについている。

 

 そして、そのハウリアの目が醒めるまでの間、入間達はチマと話をすることにしていた。

 

「クロケル・チマ。よろしく」

 

 スン…とした無表情で挨拶をするチマ。小さい体ながらも大人びた雰囲気を纏うチマに、自然と光輝達も姿勢をただして自己紹介をする。しかし、彼女達の視線は、帽子を外した彼女の頭部にチラチラと向けられている。

 

 何を隠そう、彼女の頭には、まるで鬼のように鋭く尖った2本の角が生えていたからだ。見るからに亜人(魔界を知らない光輝達の認識)らしき少女の事が気になる彼等をまるっと無視して、入間はチマに尋ねた。

 

「それで……チマちゃん。どうして君がトータスにいたの?それに、さっきの変身は……」

「実は……」

 

 チマの話を要約するとこうだ。

 彼女は、元の世界で姿を消した入間達の安否を心配しつつ、学校の授業に励んでいたのだが、教室移動の際、奇妙なノートを手にした白い服の青年に話し掛けられたそうだ。

 その青年がノートになにかを書き込んだかと思うと、チマは突如として自分の中に得たいの知れないなにかが入り込んでくるような気持ちの悪い感触がしたかと思うと、青年が被っていた帽子を被らされた上でオーロラカーテンでヘルシャー帝国に送り込まれていたらしい。

 初めてとなる人間の世界にチマが混乱していると、突如帝都内に巨大なカニ型の魔物──バケガニ変異態が現れ、帝都を襲い出したのだ。

 チマはどうにかしようかと考えていたところ、突如自身の手に見たことのない瓢箪のアイテムが出現し、それを使い、チマは仮面ライダーシノビとなってバケガニと戦っていたのだという。

 バケガニ以外にも魔物や怪人が現れたのだが、途中で皇帝が舞台を率いて参戦した事あって撃退することが出来た。そして、チマは自身の強さに興味を持たれたガハルドに口説かれたりしながらも、魔物の市街をギルドで売ることで生計を立て、帰るための手段を探しながら宿屋を拠点にして生活していた。そして、買い物に行く際にゼブラロストスマッシュの騒ぎを聞いて駆けつけ、入間と再会したということなのだ。

 

 話を聞いた入間達は、そのチマに未来のライダー後からを渡したと思われる青年の正体や、チマをこの世界に呼び込んだ意味を考えるが、チマにも分からないことを入間達が分かる筈もなく、取り敢えずその青年の事は保留する事にして、入間達はチマにこの世界に来てからの事や、神の真実、そしてバダンの事を洗いざらい話した。

 全ての話を聞くと、チマは納得したように頷いた後、バッと顔を上げた。

 

「…イルマ先輩!」

「ど、どうしたの?」

「私を、先輩のパーティー……バビルに入れてください!!」

「え?」

 

 まさかの提案に、入間は驚きを露にする。

 彼女を放っておくわけには行かないが、旅に同行させる気はなかったので、あくまでま鬼の戦艦に保護するつもりだったからだ。

 

「ほっ、本当に!?危険な旅だよ!?」

「勿論です!まだ未熟なのは分かってますが……私は、イルマ先輩達について行きたいんです!」

「っ!そっか……分かったよ。これからよろしくね、チマちゃん」

「そ、そんな事は……//」

 

 新しい仲間の加入に、入間は心の底から喜びを露にした。彼女の実力は入間もよく知るところであり、彼女が着いてきてくれるなら心強い。

 チマは、入間に笑顔を向けられて、恥ずかしそうに顔を赤くしながらそそそっと入間に寄り添おうとして……

 

バシッ

 

 ユエに遮られた。

 

「……なにするんですか?」

「……馴れ馴れしく入間に触れないで」

 

 周囲の空気がシンと冷たくなる。

 まるで氷河期が到来したような感覚に、入間を含めた面々はブルリと震え上がる。

 まるでヤンキーのようにメンチ切りあっている二人は、ユエが背後に稲妻を纏う龍を、チマが背後に鋭利な氷山を浮かび上がらせながら、静かに口を開いた。

 

「…貴方は、イルマ先輩の何なんですか?」

「私は……」

 

 ユエが自分と入間の関係性を明かそうとした時、かなり広めに造られたブリーフィングルームに、小さく呻くような声が聞こえてきた。

 

「う……ここは……」

「あっ!あの人起きたみたいだよ!」

「よ、よかった!色々聞きたいことがあるし、話を聞いてみよう!!」

 

 呻き声は、ゼブラロストスマッシュだった兎人族だった。ユエとチマの空気に震えていた面々は、この空気を変えるために、その男から話を聞こうと入間が言うと、他の面々も心の底から同意するように首を縦に振った。話を聞く必要があったのは事実のため、ユエとチマは龍と氷山を消失させるが、互いをキッと睨んでいた。

 

「目は醒めたみたいだね。僕の事、分かる?」

「私は確か……って、陛下!?」

 

 朦朧としていた意識がハッキリした兎人族は、入間の姿を見るや否や、素っ頓狂な声を上げた。

 

「な、なぜ、こんなところに陛下が……いや、ここは」

「大雑把に説明すると、パル君の話を聞いてら君を見つけてこの宿屋まで保護したんだよ」

「必滅のバルドフェルドから……陛下、この度は助けて頂き有難うございました!!」

「あー、うん。やっぱり君も二つ名ある系?」

「ハッ!私は光の如き矢で敵を死に追いやる“光矢の…」

「言わなくていいから、先に君に何が起こったのか話してね」

 

 二つ名を名乗るより前に、入間は説明を促した。だって聞くだけ無駄だし。

 

 止められたことに不服そうにしながらも、ハウリアは事の詳細を説明した。

 彼は帝国で暴れまわった後、カムと共に帝国兵を蹴散らし逃亡を図ったのだが、流石に十数人で百人以上の帝国兵に帝都内で完全包囲されてしまっては逃げ切ることはやはり出来ず、全員捕まり城に連行されたそうだ。

 その後、ハウリアは全員牢屋に入れられたそうだが、帝国側はハウリアの実力が余りに常識からかけ離れていることから、彼等の背後に何か陰謀でもあるのではないかと疑っていたそうで、「背後に入るのは誰だ」と拷問・尋問を繰り返していたらしい。

 また、そうでなくても、報告を受けた皇帝陛下がハウリア族を気に入り、帝国軍の手駒として使えないか画策しているようだった。戦闘方法、持っていた武器、その精神性、温厚なハウリアを変えた育成方法、その他にも強者を好む皇帝陛下にとってハウリア族は宝箱のようなものだったのだという。

 

 そして、つい数時間前、彼は衛兵達に牢屋から連れ出され、何時ものように拷問を受けるのだと思っていた彼は、帝国側の思惑を察しているハウリア達は、命尽きるその瞬間まで、帝国側を馬鹿にするように楯突いていたが……何故か、ある部屋に連れ込まれた瞬間、意識を失い、気が付けば入間達に介抱されていたらしい。

 

 話を聞き終えた入間は、手にした黒いボトル…“シマウマロストフルボトル”を見ながら考え込む。

 

「やっぱり帝国に掴まってたんだね……そして、このボトル。先ずはこれを調べることだね」

 

 そういった入間は、あるウォッチを取り出し、ベゼルを回して、ウォッチを起動させた。

 

 

サイクロンジョーカーエクストリーム!

 

 

「さぁ、検索を始めます」

 

 そういった入間は目を瞑り、手を広げて直立不動の姿勢のまま動かなくなってしまう。

 当然、入間の行動が分からない面々は首をかしげる。

 

「えっと……鈴木君?」

地球(ほし)の本棚に入ったんだ。集中させてやれ」

「ほしの本棚?」

 

 愛子が声をかけようとしたのをアメリが制し、聞いたこともない単語に優花達が首をかしげると、その疑問にアスモデウスが答える。

 

「イルマ様は今、精神を地球の記憶にアクセスしている。そこへ行けば、イルマ様はあらゆる情報……事件の真相も、一個人の情報全てを事細かく知ることが出来る」

「なっ、何そのデタラメな能力!?」

 

 そのとんでもない能力に、誰もが驚愕するなか、入間は地球の本棚に精神を移し、検索を始めていた。

 

『最初のキーワードは……「ロストスマッシュ」』

 

 入間が求めている情報へのキーワードを口にすると、数えきれない程あった本と本棚が急激に減っていき、入間は更にキーワードを口にする。

 

『追加キーワード……「シマウマ」「黒」』

 

 本が減る勢いが増し、入間の前に一冊の本が現れた。タイトルは「ZEBRA LOST SMASH」という本で、手にとってパラパラとページを捲ってみると、そこには先程戦ったゼブラロストスマッシュの情報が載ってるだけで、入間が求めていた情報ではなかった。

 

『一つに絞りすぎたね……それなら、キーワードから「シマウマ」を削除』

 

 そう言うと、入間の前に幾つもの本が飛び出してくる。「ロストスマッシュ」と「黒」で検索した結果選出された情報だ。流石にこれ全部読むのは面倒だと、入間が頭を捻っていると、ダメ元である情報をいれてみた。

 

『追加キーワード……「仮面ライダーエボル」』

 

 その瞬間、入間の前に一冊の赤い本が飛び出した。

 それを手に取った入間は、その本を開き、内容に目を通していくと、神妙な面立ちで呟いた。

 

『ビンゴ、みたいだね…』

 

 そして、入間は精神を地球の本棚から現実に戻し、目を開いて口を開いた。

 

「………欲しい情報は得られた。今晩、カム達がいる可能性の高い場所に潜入する。警備は厳重そうだけど、カム達を見つけさえすれば、あとは空間転移で逃げればいいから、特に難しくもないな。潜入するのは僕とユエとシアだけで行くよ。万一に備えて、気配遮断や転移が使える方がいいし。ティオ達は帝都の外にいるパル達のところにいて。直接転移するから」

 

 入間の提案に、アメリ達が頷いた時、光輝が口を挟んできた。

 

「なぁ、鈴木……今更だが、シアさんの家族が帝城に捕まっているんなら、普通に返してくれって頼めばいいんじゃないか?俺は勇者だし……話せば何とかなると思うんだが……」

 

 光輝が、本当に今更なことを言う。

 確かに、光輝の言う通り、勇者である光輝の言葉であればそうそう無下にはできないし、入間自身が力を示して強引な交渉をすることも可能だ。

 だが、

 

「無理だね」

「え?どうして……」

「帝城には、間違いなくバダンの内通者がいるからだよ」

 

 入間から明かされた情報に、ユエ達バビルはその可能性を疑っていた為平然としていたが、光輝達やリリアーナが目を見開く中、入間はシマウマロストフルボトルを光輝達に見せながら説明をする。

 

「ロストボトル……ビルド(戦兎さん)の世界にあるもので、人工的に造り出されたフルボトル。これを使うと、スマッシュ……さっき僕とチマちゃんが戦った怪物になる。僕達以外でこれを持ち込めるとしたら、バダンしかいない。皇帝に掴まった彼がロストスマッシュになってたってことは……」

「帝城に潜んでいるバダンの内通者が、彼をそのロストスマッシュにしたってことね?」

 

 雫が、入間の言葉に続くように自身の推測を口にする。入間はその言葉を肯定するように頷いた。

 

「つまり、城にはバダンの手の者がいるとみて間違いない。若しくは、帝国そのものがバダンの言いなりと化しているとかもあるけど……」

「それは……ないと思います」

 

 リリアーナがそう言う。

 入間としては、帝国に来た頃は皇帝にリリアーナを亡命でもさせて、さっさと彼女とおさらばしようと考えていたのだが、その帝国にバダンの手が回っているならその手段は取れないので、本格的に彼女も連れ回さなければならないことを少し面倒に思いながら、光輝に説明を続ける。

 

「というわけで、向こうには確実にバダンの息が掛かった物がいる。交渉になんて行ったら罠にかけられる可能性大有りだよ。……それに、カム達は不法入国の上に帝国兵を殺してるんだ。ただ返してくれなんて言ったって、聞いてくれる筈がないよ」

 

 その可能性は確かにあると、口をつぐむ光輝。

 

「そこで、もう一つ……アメリさんと先生には、帝都に残っていて下さい」

「ふぇ!?」

 

 入間に名指しされ、アメリをそれを予想していたように頷くが、逆に予想していなかった愛子は目を丸くして混乱し、入間はより分かりやすくするために、ソファーにいるハウリアを指差しながら説明を続ける。

 

「ロストスマッシュにされた彼が帝都で暴れたってたことは……またハウリアがロストスマッシュにされて帝都で暴れたとしてもおかしくない。アメリさんと先生は、そのロストスマッシュの撃退を任せたいんです」

「それなら俺が……」

「いいや、君はダメだよ」

 

 自分が戦うと言い出した光輝の言葉をバッサリと切り捨てる。

 実際、光輝が戦ったとしても、通常のスマッシュよりも高濃度のネビュラガスを投与されて産み出されるロストスマッシュに勝てる筈がないのだが、その事実よりもこっちの方が重要なので、敢えて口には出さずに説明する。

 

「普通のスマッシュなら、倒してからスマッシュを成り立たせているネビュラガスの成分を抜けば良かったんだけど……高濃度のネビュラガスで変身するロストスマッシュは、倒せば変身者の肉体が消滅……つまり、倒せば被験者であるハウリアが死んじゃうんだよ」

「なっ!?」

「で、でも…その人は無事なんだけど……」

 

 恐ろしい事実に光輝達が顔を青ざめるなか、優花は恐る恐るゼブラロストスマッシュにされていたハウリアを指差しながら問いかけると、入間はジーニアスライドウォッチを見せながら答えた。

 

「ロストスマッシュの被験者を助ける方法は、注入されたネビュラガスを中和するしかない。それが出来るのは仮面ライダービルドのジーニアスフォームだけ」

「つまり、帝都に現れたロストスマッシュは、ジーニアスフォームの力を扱える私とアイコが相手にせねばならないということだな」

 

 入間からジーニアスライドウォッチを受けとりながらアメリがそう言う。

 ゲイツもゼインも、共にレジェンドライダーの力を扱える仮面ライダーであり、ゲイツはライドウォッチさえあれば何も問題はない。愛子の扱うゼインは、一度しか使えないというデメリットこそあるが、手は多い方がいい。

 

「先生、どうします?嫌なら断っても構いませんが……」

「っ!そ、それなら任せてください!必ず、シアさんのご家族を元に戻して見せます!」

 

 愛子がやる気満々な様子で答えた。何故かメチャクチャ張り切っている様子だ。ちょっと前まで、頼りない教師だと自分を責めていたので、頼られている事が嬉しいのだろうか……。

 

「アメリさんと先生にしか助けられないなら、そうしなくちゃならない。ならないんだろうけど……」

 

 光輝としては、せっかく付いてきたのだから自分も何かしたいのだろう。先程の亜人奴隷の事もあり、じっとしていられないようで何かを考え込み始めている。

 

 ひじょ~に嫌な予感がしてきた入間は、チラリと雫を見た。そして雫が「あ、これ、ヤバイわ」という表情で光輝を見つめている姿を捉えると、どうやら光輝に暴走の兆候が出ているらしい。

 

 入間は、まさかと思うが、自分達が帝城に侵入する際、光輝が何らかの“余計なお世話”的な行動を起こすのではと考え、仕方なく先手を打つことにした。

 

「ねぇ、天之河君。君に頼みがあるんだけど……」

「っ!!!?なん……だって?鈴木が俺に頼み?……有り得ない……」

 

 入間からの突然の頼みという言葉に光輝は愕然とした表情で硬直する。それは隣の鈴や優花達愛ちゃん護衛隊も同じだった。まるでUMAと街中でばったり遭遇してしまったかの様だ。それくらい入間からの“頼み”というものは、今までの言動からしてあり得なかったのだろう。

 しかし、入間もそれくらいの反応は予想済みなので、ちょっとイラっとしたが、それを表には出さなかった。

 

「あ~、いや、やっぱりいいよ。こんな危険な事頼めないね」

「ま、待てっ、待ってくれ!まずは何をして欲しいのか教えてくれ……」

 

 さも悪いことを言ったという雰囲気であっさり撤回した入間に、むしろ光輝の方が食いついた。

 

「いやね、帝城に侵入するといっても警備は厳重だからね。だから、少しでも成功率を上げるために陽動役をやって欲しかったんだよ。……例えば、さっきの犬耳少年のような亜人を助けるという建前でひと暴れして帝国兵を引き付ける……とかね。それから、万が一ロストスマッシュが現れた場所にアメリさんと先生がいなかった時、被害を出さないためにロストスマッシュを足止めして欲しいと思ってたんだよ」

 

 勿論、警備は厳重だろうが入間達に侵入できない訳が無い。陽動もあれば全く役に立たないわけではないだろうが、特に必要というわけでもない。ロストスマッシュが暴れていようと、アメリか愛子のどちらかが駆けつけるまでの間に帝国がどれだけ被害を被ろうが、入間には関係がないので、これもあまり必要がない。単にそれっぽい理由を適当に考えただけである。

 光輝を無理矢理鬼の戦艦に送り返す事もできだが、時間の無駄以外の何物でもない光輝を送り返す行為と、ほんの僅かでも自分達の利になる行為を天秤にかけた結果、入間は後者を選択した。

 すべきことがなくて暴走するというなら、すべきことを与えてみようと思っただけだ。せめて、俺達も手伝うぞ!とか言って帝城に潜入してこないように……

 

「陽動……足止め……あの子達……やる。やるぞ!鈴木!任せてくれ!」

「引き受けてくれるんだね。流石、“神の使徒”だね」

「…………鈴木」

 

 それなりに関わりのある優花は入間の思惑を悟った様で、ジト目を向けてくる。必然的に、自分達愛ちゃん護衛隊も巻き込まれる未来が見えたのだろう。

 入間はそれをまるっと無視して、“宝物庫”を光らせた。

 

「それじゃあ、君達にはこれを渡しておこうかな」

 

 そう言って入間が取り出したのは、大小様々な大きさのアタッシュケースだった。

 

「鈴木さん、それは……?」

「これは、愛ちゃん護衛隊用に作っていた変身アイテムだよ」

 

 そう言いながら、入間はアタッシュケースの内の一つを開けると、そこには金と紫を貴重としたバックルと、トランプに似たカードが13枚納められていた。

 入間の言葉を聞いて、玉井達は目を見開く。

 

「そ、それって、私達も愛ちゃんや優花っちみたいに変身出来るってこと!?」

「そう考えてくれて構わないよ」

「で、でもよ。何で鈴木が俺達にそんなものを……」

 

 淳史が困惑気味に尋ねると、入間はカリカリと頭を掻きながら答えた。

 

「あくまでも、これは貸すだけだよ。僕達が迷宮にいる間にバダンかエヒトに鬼の戦艦が狙われた時、僕達が大迷宮から出られない可能性はゼロじゃない。その為に自衛の手段だけ渡しとこうと思ったんだよ」

 

 これは、以前入間が考えていた愛子の護衛強化大作戦のレベル2のために用意していたものだが、予想に反して愛子がチートライダーのゼインに変身し、護衛など必要がない状態になった為にお蔵入りとなっていた物だが、愛子達も入間の旅に同行することとなった為、入間の言う通り、愛子がいない間にバダンかエヒトの刺客に襲われるかもしれない彼等に自衛の手段を渡そうと言うことにしたのだ。

 

「……それに、君達には絶対に死んで欲しくない先生がいるからね。何もかもとは言わないけど、少しくらいなら手を貸すよ」

「!鈴木君……」

 

 黙って入間の話を聞いていた愛子が、入間のその言葉に感無量といった様子で潤んだ瞳を入間に向けた。

 入間は、一人一人にアタッシュケースを手渡していく。

 

「宮崎さんには、“レンゲルバックル”とクラブのスートの“ラウズカード”だよ。ラウズアブゾーバーは用意してなかったけど、それ単体でも結構強いから」

「このカード、蜘蛛?あ、ありがとう……」

「菅原さんには、このライアの“カードデッキ”を上げるよ。下手したら食い殺されるから、気を付けてね」

「ちょっと待って!食い殺されるって何!?」

「玉井君には、この“風双剣翠風(ふうそうけんはやて)”と“猿飛忍者伝ワンダーライドブック”。取り扱い要注意だよ」

「これ、剣と本?こいつでどうやって変身すんだ?」

「使い方は後で教えるよ。それで、相川くんは取りあえず“アクセルドライバー”と“アクセルメモリ”で、仁村君は……“ブレンドライバー”でいいや」

「「おい、何か俺たち適当じゃねぇか!?」」

 

 明らかに適当に選びましたというような表情で、相川昇と仁村明人に変身アイテムを投げ渡した後、入間はリリアーナ、光輝、雫、鈴に視線を向けると、溜め息と共に四つのアタッシュケースを取り出した。

 

「はぁ……まぁ、余ってたからいいか」

「えっ!?」

「鈴達にもくれるの!?」

 

 まさか、自分達にもくれることに、入間の自分達に対する態度から想像だにしていなかった雫達が驚くなか、入間は少し顔をしかめながら答える。

 

「リリアーナさんは別に渡しても良いけどね……でも、勇者パーティーは勘違いしないでね。これはカム達を救出するまでの間貸すだけで、後で絶対に返してもらうから。勇者が帝都で暴れる訳にもいかいし、ミッドチルダで技術をぬす……共有してもらった“非殺傷設定”の実験がてら使ってみて」

「鈴木君、もしかして後半の理由が本音だったりする?」

「ってか、鈴木。アンタ、今なのはさん達の世界の技術盗んだって言いそうにならなかった!?」

 

 入間が出したのは少し前にユエ、アメリ、シア、ミレディ、ティオ、アスモデウス、ミュウ、クララ、レミア、優花のメンバーと共に巻き込まれたトータスや魔界とも違う異世界で手に入れた技術を組み込んだ試作品のベルトだ。

 しかし、非殺傷を組み込めたはいいが、その結果非殺傷にすると本来のスペックよりと大幅に弱体化してしまうと言う欠陥があり、お蔵入りになっていたのだが、折角改造したベルトを無駄にするのは勿体ないし、トータスの基準ならば十分すぎる程のチートのため、光輝達に一時的にベルトを貸し出すことにしたのだ。

 正直、フルフェイスタイプのマスクでも作って正体を隠す(笑)の手も考えたが……それだと光輝が聖剣でも使ったりすれば確実にバレるだろう。

 

 入間はリリアーナに“Gデンオウベルト”と“ライダーパス”が納められたアタッシュケースをリリアーナに差し出す。

 

「リリアーナさんはこれ使ってしっかり働いてくださいね。こういう時、少しでも仕事しないと鬼の戦艦から追い出しますから」

「は、はい!分かりました!!」

「勇者(笑)には、君にピッタリな“戦国ドライバー”と“ゴールデンロックシード”をあげましょう」

「……なぁ、今、勇者の後に何かつけなかったか?」

「八重樫さん。貴方はこの“ゲネシスドライバー”と“メロンエナジーロックシード”です」

「これ……メロン?」

「谷口さん。貴方は戦国ドライバーに“ドングリロックシード”です。ドングリの仮面ライダーの力、存分に使ってね!」

「……ねぇ、鈴木君って、もしかして鈴のこと嫌いなの?そうなの?」

 

 勇者パーティーにもベルトを渡し終えると、今度はチマが手を上げて入間に声をかけた。

 

「イルマ先輩!私、仮面ライダーシノビにもなれるので、隠密も出来ます!私も帝城に同行してみた方が……」

「……必要ない。私達3人だけで十分」

「ちょっ、ユエ!?」

 

 チマの提案を、ユエは鼻で笑った。

 

「…何で、貴方にそんな事を決められなくちゃいけないの?貴方はイルマ先輩の何なんですか?」

 

 それに入間が慌てるなか、ユエは不適な笑みを浮かべ、無表情ながらもジト目を向けてくるチマに……とんでもない爆弾を落とした。

 

「……私はユエ。入間の“1番”の恋人」

 

 その言葉に、チマは氷の彫刻のように固まった。




・ライダー採用理由

菅原妙子/仮面ライダーライア
→鞭繋がり。

宮崎奈々/仮面ライダーレンゲル
→氷繋がり。

玉井淳史/仮面ライダー剣斬
→風と双剣繋がり。

相川昇/仮面ライダーアクセル
→バイク好きだから。

仁村明人/仮面ライダーブレン
→メガネ。

リリアーナ・S・B・ハイリヒ/仮面ライダーG電王
→結界繋がり。

天之河光輝/仮面ライダーマルス
→何故マルスが選ばれたのか、分かるかな?

八重樫雫/仮面ライダー斬月・真
→作者の趣味。

谷口鈴/仮面ライダーグリドン
→マジで適当。


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