サブタイトルの元ネタは、魔法少女リリカルなのは無印編の第一話『それは不思議な出会いなの?』からです。
コラボしている作品を知らないという方々は、先に下のリンクから読んでもらうと分かりやすいと思われます。
作者もお気に入り登録をして読んでいる作品なのでお勧めです。
ゼインのヒーローアカデミア
↓
https://syosetu.org/novel/343046/
ゼインの世界渡り
↓
https://syosetu.org/novel/344015/
愛子「わ、私もこのコラボに登場させてもらっています!非戦闘職の私が活躍できるかは分かりませんが……精一杯頑張るラビ!」
入間「……どうしたんですか、その語尾?」
愛子「す、すすす鈴木君!?ち、違いますからね!断じて、ボケに走りたくなったとか、そんなんじゃないですからねぇっ!!」
入間「さぁ、愛ちゃん先生のボケは置いておいて、コラボ回の第一話をどうぞ!」
愛子「聞いてくださいよぉ!鈴木く~~ん!!」
ep.1 それはあり得ない出会いなの?
轟々と風が唸り、直下の地面が一瞬で後方へと流れていく。
帝国から解放された亜人族達は、自分達が今体験していることが本当に現実なのか、それを確かめる為に何度も自分の頬をつねってはその痛みに涙目になっていた。そして、夢から覚めないなぁ~と妙に落ち着いた気持ちで、再び、非現実的な光景を眺めるのだった。現実逃避ともいうが。
彼等は、現在、入間が飛ばす鬼の戦艦に搭乗し、一時の空の旅を体験しているのである。
破格の規模を誇る鬼の戦艦だが、攻撃のための設備重視のために数千人の亜人を確保する設備は本来なかったのだが、空間魔法とエグゼイド系ライダーの“ステージセレクト”の技術によりにより、一部の区画の空間を歪め、亜人達を収容できる施設を作っていたのだ。
「あぁ~!また負けたぁ~!」
「……またミレディが最下位」
「そう言うユエさんもミレディさんの1つ上ですよね?」
「チマちゃん、あんまりユエを挑発しないで上げてね…」
そして、その鬼の戦艦の持ち主である入間は、新たにバビルのメンバーに加わったクロケル・チマの親睦会を兼ねて、クララに用意してもらった機器でゲーム大会を開催していた。何度目かのプレイで全て最下位になったミレディが絶叫を上げると、ユエがなぜか得意気になり、それをチマが指摘して二人の間に飛び散りそうだった火花を入間は先んじて制した。
「鈴木君、ここにいたんですね」
「あれ、愛子さん。どうしましたか?」
レーシングゲームで三位の記録を納めた入間に声が掛けられた。愛子と優花である。
今鬼の戦艦には、入間達バビルの他に、フェアベルゲンにて長老衆に宣誓するために同乗したヘルシャー帝国新女帝のリリアーナと光輝達勇者パーティーと、愛子と優花率いる愛ちゃん護衛隊の面々もいるのだが、彼等は亜人族の子供達に鬼の戦艦を案内したり、帝国で深く刻まれた傷を少しでも癒すためのメンタルケアを勤めている筈だったので、何かあったのかと入間は視線で問う。その視線に気付いた愛子は、首を降りながら、入間にある目のを見せた。
「実は、このカードについて相談しようかと思いまして……」
そう言いながら愛子が差し出したのは、女性や少年の顔が印刷されたカードだった。それを受け取った入間はその絵柄を見て目を見開く。
「これって…!」
「?……あっ」
「これは、タカマチのカードではないか。何故こんなものを?」
興味を抱いて入間の手元を覗き込んだユエ達も、そのカードを目にして驚きを露にすると、アメリは何処でこのカードを手にいれたのかと尋ね、愛子は、帝国を襲ったガーディアンと対峙しているときに、ダークディケイドが現れ、ガーディアンを全滅させながらこのカードを渡してきたことを伝えた。
「あのデモンサンダーがねぇ……」
「イルマ様に襲い掛かってきたあの愚か者が、何のつもりなのでしょうか……」
「分からぬが、頭の片隅に覚えておいた方がいいかもしれぬのぅ」
全くの筋違いな恨みで襲われ、なんやかんやで見逃すことになった事を思いだし、入間さ苦笑しながらゼインカードを彼女に返した。
「まぁ、調べた限りじゃそのカードに異常はないみたいですし、使っても問題ないですよ」
「そうですか……使うのには少し抵抗ありますけど、ありがとうございます」
ゼインカードを使うにはカードをバラバラに裁断せねばならず、何度か使っているとは言えその行為に罪悪感がある愛子は、このカードを使う時になったらこの顔を裁断せねばならないのかと苦笑いする。
「けど、鈴木君や園部さんは、このゼインカードの人達を知ってるんですね……この方達と面識があるんですか?」
そう尋ねられて、チマを除くバビルの面々と優花は顔を合わせて苦笑いした。
あの時の出来事は、入間達にとってもかなり印象に残る経験だった。
何せ、入間はそこで、魔界や人間界やトーマスとも違う異世界で、“別の仮面ライダーに変身する別の世界の自分自身”と出会い、共闘したり戦ったりと大忙しの日々を送ったのだから……。
「……ん?」
その時、入間の懐から光が溢れだした。
何事かと、入間が懐を探ってみると、それはブランクのライドウォッチだった。ブランクのライドウォッチにライダーの力が宿る時と似た現象に、ユエ達も入間の手元に注目すると……
「ッ!?」
ブランクウォッチから溢れだした光線が、空間に『穴』を空けた。その穴の向こうに禍々しい景色が広がったかと思うと、その穴が広がりだした。
「この穴は……うわっ!?」
「…んっ!?」
「くっ!?」
「ひゃぁっ!?」
「わわっ!?」
「ぬぅ!?」
「あ~~れ~~!?」
「なんですか!?」
「こ、これは…!?」
「あ、愛ちゃん先生!」
入間達が見構えるよりも速く、その穴は入間達と愛子と優花を呑み込んだ。
「鈴木君、ちょっといいかし………あら、部屋を違えたかしら?」
その時、亜人達に鬼の戦艦の案内を終えた雫が、光輝達と共に入間達がいた部屋にやってきた。
しかし、その部屋にはつけっぱなしのテレビゲームとゲーム機器以外、何も残されていなかった。
「ここは……!?」
入間達が目を開けると、そこに広がっていたのは、荒れ果てた町並みだった。分厚い雲で覆い隠された空に、あちこちには倒壊した建物が並んでいる。かつて整備されていたと思われる歩道はボロボロで、あちこちに瓦礫が錯乱していた。そして何よりも目に止まるのは、あちこちに建設されたキノコのように天井が大きく広がった赤い光を放つ建物だった。
辺りを見渡してみると、バビルのメンバーも、突如として辺りの景色が変わったことに驚きを露にして辺りを見渡している。
「……入間、これって」
「どうやら、またみたいだね」
ユエの言葉に、入間は自分達が別の世界に飛ばされたことを看破し、ため息を吐いた。これでもう五度目の異世界転移なので、混乱することなどあり得ない。
「な、何なんですかここは……」
「日本、じゃなわよね……?」
「先生と園部さんも…」
ここにいるのは、バビルのメンバー九人だけでなく、近くにいたことであの穴に吸い込まれた愛子と優花も立っていた。
『ギギッ!』
『ギイッ!』
その時、鳴き声のような声と共に、入間達の前に、【コンバットロイド】と呼ばれる赤と黒の戦闘兵士の軍勢と、【デッドマン】【ギフテリアン】【ヘルギフテリアン】と呼ばれる怪物達が無数に現れた。
コンバットロイドの一人が、入間達に気付いたような声を上げると、その怪人達は武器や爪を構え、入間達に向けて走り出した。
「イルマ先輩、あの連中…!」
「穏やかな連中じゃないね……皆、行くよ!」
「…ん!」
「無論だ!」
「はいですぅ!」
「まっかせてよ!」
「心得ました!!」
「承知!」
「オッケー!」
「は、はい!」
「うん!」
チマの言葉に、入間は向こうは敵意ありと認識し、仲間達に声をかけながらジクウドライバーを取り出して装着し、ユエ達も頷きながらベルトを装着すると、入間達は変身の構えを取った。
「「「「「「「「「「「変身ッ!!」」」」」」」」」」」
ジオウ、ウィザード、ゲイツ、エグゼイド、ゴースト、ウォズ、龍騎、ツクヨミ、シノビ、ゼイン、エターナルに変身すると、変身の衝撃波でコンバットロイドや悪魔達は一瞬だけ動きを止めると、ジオウ達は走り出した。
「はぁ!!」
ジオウの蹴りが戦闘にいたコンバットロイドを蹴り飛ばし、ほかのコンバットロイドを巻き込ませて進軍を送らせると、“ラファイア”を放ち、コンバットロイド軍の後ろにいた背後にいたバッタ・デッドマンを丸焼きにし、バッタ・デッドマンは爆発を起こした。
すると、爆炎の向こうから、複数のデッドマンが飛び出してジオウに襲い掛かろうとした瞬間、
虚空に出現した魔法陣から飛び出した鎖がデッドマン達に巻き付き、その場から動けなくしてしまった。ウィザードの魔法だ。
「“落牢”!」
そこへ、ゴーストが土属性上級攻撃魔法を放ち、デッドマンは一瞬にして石の彫刻へと変えられ、ガンガンセイバー・ガンモードの銃撃でそのデッドマンの石像が破壊される。
「はぁっ!」
「“
「“嵐焔風塵”」
「忍法・火遁の術!」
エターナル、ウォズ、龍騎、シノビが各々の能力を発動し、炎の竜巻を発生させ、コンバットロイドの軍勢を灰も残さずに燃やし尽くしてしまう。
「はぁっ!」
「たぁっ!」
「とりゃあっ!!」
ゲイツ、ゼイン、ツクヨミは、武器を使わない格闘戦でコンバットロイドを圧倒していた。アメリやクララは兎も角、元々戦闘職でないゆえに戦闘経験が皆無だった愛子も、ゼインの力を手に入れてからの短期間でかなり成長したようであり、複数人で襲い掛かってくるコンバットロイド軍を前にしても、無駄のない動きで殴り飛ばしていた。
その時、一部のコンバットロイドが銃を構えるのを見て、ジオウはジュウモードのジカンギレードにフォーゼウォッチを装填する。
重厚から放たれたミサイルが、コンバットロイドやデッドマンを一斉に吹き飛ばす。
しかし、ミサイル程度では大したダメージにならないギフテリアンやヘルギフテリアンといった悪魔軍が、唸り声を上げながら津波のように突撃してくるのを見て、ジオウはため息を吐いた。
「全く、同じ顔を何個も何個も……」
愚痴るように呟きながら、ジオウはケンモードに切り替えたジカンギレードを構えて走り出した。
ジオウ達がコンバットロイドやデッドマン達と戦いを繰り広げている場所柄数キロメートル程離れた崖の上に、銀色に揺らめくオーロラが現れた。
オーロラが少しだけ移動をすると、オーロラから一人の男が現れた。
「悪意の気配を感じてみれば……どうやらこの世界は、悪意に侵食されているようですね」
白髪の男は、分厚い雲に包まれた空と、あちこちに建設された異様なタワーを目にしてそう呟いた男は、突如響き渡った爆音を耳にして、その爆心地に目を向けた。
そこには、無数のコンバットロイドと悪魔達と攻防戦を繰り広げている11人の仮面ライダーの姿だった。
「あれは仮面ライダーですね。なかなかの善意を感じますが、何故エターナルからも……ん?」
ダークライダーであるエターナルからも善意を感じることに疑問を持っていた男は、悪魔達と戦っているライダーのうちの一人──愛子が変身したゼインを目にすると、驚いたように目を見開くが、少し思案すると、納得したように頷いた。
「……成る程、あれは別次元のゼインというわけですか。彼らへの興味は尽きませんが、先ずは悪意を持つ連中を滅ぼすとしましょう」
そう言って、男はその戦場に向かって歩きだした。
一方、コンバットロイドと悪魔達と戦っていたジオウ達は、騒然とする戦場の中でやけに響き渡る足音を耳にし、そちらに視線を向けると、そこには白髪の男がこちらに向けて歩いてくる姿だった。
ジオウは、ギフテリアンの刃をジカンギレードで受け止めながら、その男に声をかけた。
「ちょっ、そこの人!危ないですよ!」
ジオウがそう言うが、白髪の男はあるものを取り出し、腰に巻き付けると、誰もが仮面の下で目を見開いた。
「あれって……ゼインドライバー!?」
そう、それは、
「貴方、何者ですか……?」
ジオウが驚きを隠せない様子で男の名前を訪ねると、男は淡々とした口調で名乗った。
「……私の名前は、
そう言いながら、白髪の男──【善井正義】は、ゼインプログライズキーを起動した。
プログライズキーを起動すると、正義の背後に都心の光景が映った青い光球とファンタジー世界の光景が映った赤色の光球が出現し、正義はプログライズキーをドライバーに装填する。
「変身」
背後の光球が正義と同化し、高速道路のタイムラプス映像が背後で流れると、正義の体が鎧と仮面に包まれ、姿を変えた。
白と銀をメインに差し色の金と水色をあしらった高貴さを感じられ、マントをはためかせる聖騎士や救世主に似た外見。頭部のデザインが笑顔に近いモノが見え隠れしており、目の上部には眉のように^の形が、顎にはV字型のモールドがある金色のライン。
その姿はまさに……
「ぜ、ゼインに……なっちゃいましたよ……」
「嘘でしょ……!?」
カードが裁断され、ゼインプログライズキーを押し込むと、ゼインの手に、蝙蝠の装飾がある赤と黒と金を基調とした刀身が光の加減で七色に輝く剣──“ザンバットソード”が出現する。
同時に、コンバットロイドや悪魔達が、ゼインを驚異と認識したように唸り声をあげながらゼインに突撃し始めると、ゼインはザンバットソードの蝙蝠“ザンバットバット”をスライドさせて刀身を磨ぐと、怪人軍に向けて歩きだす。
「はぁっ!」
『ギギッ!?』
『ギイッ!?』
すれ違い様にザンバットソードを一閃し、複数体のコンバットロイドを切り裂いた。
更に、2体のデッドマンが襲いかかるが、ゼインはザンバットバットをスライドさせて再び刀身を磨ぐと、デッドマンの攻撃を流れるような動きで回避し、ザンバットソードを一閃してデッドマンを切り裂いた。
爆発を背に受けながら、ゼインは次々と、多種多様なデッドマンが迫ってくるのを目にし、ドライバーに装填されたプログライズキーを再び押し込む。
ザンバットバットで刀身を研磨することで切れ味が極限にまで高まり、蓄積された魔皇力により刀身が真っ赤に発光すると、ゼインは走り出す。
「……はぁ!」
すれ違い様に次々とデッドマンを切り裂いていくと、切り裂かれたデッドマンは次々とその体をガラスのように固められる。
そして、全てのデッドマンを切り裂いたゼインは、再度ザンバットバットで刀身を磨ぐと、赤い光が収まり、ザンバットバットを元の位置に戻した瞬間、デッドマン達は一斉に大爆発を起こした。
すると、今度は複数のギフテリアンが、両腕のフェアグドと呼ばれる剣から✕字の斬撃を放ってくると、ゼインは新たなゼインカードを取り出した。
「あの、カードは……?」
それを見た
カードが裁断され、地面に落ちると、プログライズキーを押し込む。
「“ウインクバリア”」
中央に大型の青色、右上と左下に白い小型の四芒星がついている四芒星型の盾を展開し、ゼインはギフテリアンの斬撃を防ぐと、続くように新たな技を発動させる。
「“プリキュア・ウインククレッシェンド”」
ゼインの周囲に青い四芒星が現れると、その四芒星から青い極太のビームが放たれる。ギフテリアンの群れに降り注いだ光線は、まるで光の柱のようにギフテリアン達を呑み込むと、たちまちギフテリアン達は悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。
「す、凄い…!」
敵を一切寄せ付けないゼインの圧倒的な力に、
その時、ギフテリアンの一体が、フェアグドを構えて飛びかかってきた。
「忍法・氷遁の術!」
地面を伝うように発生した氷が、ギフテリアンを吹き飛ばした。
「チマさん!」
「…アイコさん。驚きたいのは分かりますが、今は戦いに集中してください」
自身の名を呼ぶ
腰に巻き付けられていたシノビドライバーのメンキョカイデンプレートが消失すると、シノビドライバーの左右に赤と青の?マークを模した装飾が現れた。
待機音が響き、シノビが新たに取り出したビックリマークを模したアイテム──“クイズトッパー”が、クエスチョンマークの形に変形する。
「変身」
その言葉と共に、シノビはクイズトッパーを、腰の“クイズドライバー”にセットした。
背後にレール状のエフェクトに大きな○と✕が表示されると、無数の?マークに包まれたシノビが姿を変え、背後の○と✕が収縮して胸部装甲に張り付くと、変身が完了された。
チマが新しく変身したのは、頭にはオレンジ色のクエスチョンマーク、胸には「○」と「×」の文字、さらに右半身に赤、左半身に青のクエスチョンマークが数多く描かれている仮面ライダーだ。
「凍える世界、答えろ正解。仮面ライダー…クイズ!」
【仮面ライダークイズ】に変身したチマは名乗りを上げると同時に、ギフテリアン達に向けて声を上げる。
「問題。貴方達は私達に勝てる……マルか、バツか?」
その瞬間、辺りに時計の秒針のような音が響き渡り、ギフテリアン達は戸惑ったように動きを止め、互いの顔を見たり、答えに迷ったりしている。
「正解は……バツです」
『『『『『『グォオオオオッ!!?』』』』』』
その瞬間、ギフテリアン達の体に凄まじい電力が走り、ギフテリアン達は悲鳴を上げながら爆発を起こした。
「……成る程、あの方はゼインカードとは別のシステムで複数のライダーに変身できるというわけですか」
シノビがクイズになる光景を目にしていたゼインはそう呟きながら、あるカードを取り出し、ゼインドライバーに装填・裁断した。
カードの力をものにしたゼインは高く跳躍すると、空中でコマのようにクルクルと回転して、ギフテリアンの群れに強烈な蹴りを食らわせた。
「はぁ!」
『グァアアアアッ!!?』
ゼインは更に連続でキックを繰り出すと、蹴り飛ばされたギフテリアンは仲間を巻き込みながら地面を転がる。
それを見て、ゼインは新たなゼインカードを取り出し、ゼインドライバーに装填すると、ハイドエグゼキューターを引いた。
截断されたカードが地面を落ちると、ゼインの隣に、黒を基調として、要所要所にはピンクや白の装飾がアクセントとして配置コスチュームを着たボーイッシュな少女──【キュアブラック】が現れた。
ゼインは出現したキュアブラックと手を繋ぎ、共に片手を天にかざすと、キュアブラックには黒、ゼインには白の稲妻が降り注ぎ、二人はギフテリアンの軍勢に向けて手をかざした。
「穢れのない美しき善意が……」
「邪悪な心を打ち砕く!」
「「“プリキュア・マーブルスクリュー”」」
二人の手から放たれた白黒二色の光線が、螺旋を描いて一条の渦となり、ギフテリアンを呑み込む。ギフテリアン達は爆発を起こした。
「あの人、強いね……よし、僕も負けてられないな!」
ギフテリアンを相手にしながらゼインの戦いを観察していたジオウはそう言いながら、ライドウォッチホルダーから銀と赤のライドウォッチを取り出し、ベゼルを回して起動した。
ベルトにウォッチをセットし、一回転させる。
【リュウソウレッド】を模した赤い鎧に、両肩は“リュウソウチェンジャー”を模した装甲を纏い、仮面に「リュウソウジャー」という文字が書かれた【仮面ライダージオウ・リュウソウジャーアーマー】に変身すると、新たに装備した“リュウソウケン”でギフテリアン達を一閃する。
そして、ジオウは“ノビソウル”を取り出してナイトモードにすると、それをリュウソウケンにセットする。
リュウソウケンの刀身が伸び、まるで鞭のように振るわれた伸縮自在の刃が、ヘルギフテリアンの軍勢を切り裂き、爆発を起こさせた。
すると、体色が違うギフテリアン(TRUE)の軍勢と、他の悪魔達とは一際違う覇気を放つヘルギフテリアンが迫ってくるのを目にする。恐らく、あの軍勢を倒せばこの場は切り抜けられる。
「私が動きを止めます!」
最初に動き出したのは
それをゼインドライバーに装填し、ライドエグゼキューターを引くと、そのカードが細かく裁断される。
カードが裁断されて地面を落ちると、
「縛れ、“鋼の軛”!!」
周囲に出現した魔法陣から剣山の如く光の針が飛び出し、ギフテリアン達を突き刺して拘束する。
「雑魚を一気に片付けるぞ!」
「んっ!」
「はいですぅ!」
「任せてよ!」
「ええ!」
「承知!」
「オッケー!!」
「うん!」
龍のエネルギーが、炎の斬撃が、ピンク色の衝撃波が、巨大な眼魂型のエネルギーが、緑の衝撃波が、灼熱の炎が炸裂した瞬間、月の光を纏うツクヨミ、○と✕のエネルギーの機動に沿って急降下するクイズ、蒼炎を纏うエターナルの三人のキックが炸裂したことで、地面に磔にされていたギフテリアン達は盛大な爆発を起こした。
「残るは一体だけですね」
爆風に押されて後退したヘルギフテリアンを見ながらゼインは再び新たなゼインカードを取り出し、それを装填して裁断する。
ゼインの手に“フラワーエコーワンド”と呼ばれる魔法の杖が出現すると、その杖にリンクルストーン・エメラルドが装填される。
周囲に無数の花を咲き、その花から飛び出した光がフラワーエコーワンドに収束すると、ゼインは花弁が開いたフラワーエコーワンドで∞を描くと、そのマークが二つに分かれ、花が咲いた二つのリングに変化する。
「“プリキュア・エメラルド・リンカネーション”」
フラワーエコーワンドから桃色の光線が飛び出し、二つの輪が飛び出す。
やがて、ヘルギフテリアンの体がチューリップの花弁に包まれると、その二つの輪がチューリップの先端部分を縛るように収縮すると、チューリップが内側から大爆発を起こした。
『グゥ……ッ!』
からだの一部を欠損させていたヘルギフテリアンだが、その瞬間、抉られた箇所から、蜥蜴の尻尾のように身体が再生された。
「流石にしぶといですね」
そう言って、ゼインは新たなゼインカードを取り出した瞬間、ヘルギフテリアンは一瞬でゼインの目の前に現れる。ゼインは、流石にこの距離ではカードを装填する暇はないと対処をしようとした時、別の音声が聞こえた。
ゼインの背後から凄まじい光が発生し、その逆行を浴びたヘルギフテリアンは眼を焼かれるような光に眼を抑えて怯むと、ゼインはヘルギフテリアンの鳩尾に拳を叩き込んで殴り飛ばした。
ゼインが光源の方を振り替えると、そこにはリュウソウケンを構えたジオウが立っていた。
「貴方は……」
「余計なお世話でしたか?」
ジオウの言葉に答えず、ゼインは手にしていたゼインゼインカードをゼインドライバーで裁断する。
「……ん!?」
その音声にジオウが妙な感覚を覚えて反応を示した瞬間、ゼインは空高く飛び上がる。
「“ひろがるウィングアタック”」
空を飛んだゼインは、夕焼けの空をバックに高速飛行で空を飛び、ゼインはヘルギフテリアンに体当たりを御見舞いした。
『グァアアアアッ!!?』
翼のエフェクトを浮かび上がらせながら体当たりが直撃したヘルギフテリアンは地面をゴロゴロと転がる。しかし、体を大半が抉られても、ヘルギフテリアンは体を再生させ、立ち上がった。
「僕の覇道…お見せします!!」
それを見たジオウは、ベルトのロックを外し、ドライバーを回転させる。
必殺技を発動すると、ジオウの手に“リュウソウカリバー”が出現し、ジオウはリュウソウケンに“レッドリュウソウル”を、リュウソウカリバーに“メラメラソウル”を装填すると、レバーを操作してソウルを飲み込ませる。
リュウソウケンに赤い光、リュウソウカリバーに虹色の光が集まると、ゼインは一枚のゼインカードを取り出し、ドライバーに装填してレバーを引いた。
カードが裁断され、ゼインの手に4つの電仮面が一つになった大剣──“デンカメンソード”が出現する。
デンカメンソードから金色の線路が飛び出すと、ゼインはその上にのり、線路の上を滑るように、ヘルギフテリアン突撃すると、ゼインの周囲にデンライナーゴウカ、デンライナーイスルギ、デンライナーレッコウ、デンライナーイカヅチのオーラが現れ、ゼインと共に爆走する。
同時に、ジオウは二つの剣を振り抜き、飛び出した斬撃が【ティラミーゴ】と【ディメボルケーノ】の頭を模した形に変わると、2体の騎士竜の頭はデンライナー達と並行してヘルギフテリアンに迫り、ヘルギフテリアンに食らい付いた。
「“電車斬り”」
『ウァアアアアアアッ!!!!』
その瞬間、4つのデンライナーと共に迫ったゼインが、デンカメンソードの一閃により、ヘルギフテリアンは肉片一つ残らずに大爆発を起こした。
爆炎を背に受けたゼインが振り替えると、そこには此方を見つめているジオウ達の姿があった。
夜。
分厚い雲に月も星も隠され、一つの光りもない森の中で、焚き火を囲うように座っている者達がいた。入間達と正義だ。
悪魔の軍勢を打ち倒した後、町には他にもコンバットロイドや悪魔達がいることを感知した入間達は、今は情報を整理する必要があると撤退を選択し、人気のない森の中で野宿をする事にし、同時にお互いの事を話し合うことにしていた。
「成る程、貴方達は突然この世界に来て、その原因も分からないと……」
「そんな感じですね。正義さんは?」
「私は自らここに来たのですよ。他の世界にも侵食せんばかりの悪意を感じて、それを駆逐するためにね」
「成る程。それなら、なんで僕たちはここに来たんだろう……」
お互いの名前を教え合ったところで、何故ここに来たのかを知ると、入間達は、自分達と同じ様にこの世界に来た何故自分達がこの世界に来たのか頭を捻っていると、そこに新たな声が入ってきた。
「どうやら……時空の歪みが広がりつつあるらしい」
一同がその声がした方に目を向けると、そこには首に下げたマゼンタのトイカメラで自分達の姿を写す白髪の青年と、金髪紅眼の美女が、共に大木に背中を預けながら立っていた。
「士さん……」
「ディケイドですか……」
白髪の青年──門矢士の名前を呟く入間と正義。アメリもまた、予想外の人物の姿に驚いていたが、その隣にいる金髪の美女──デモンサンダーを目にし、鋭い眼で問い掛けた。
「デモンサンダー……何故お前がカドヤツカサと一緒にいる?」
「……別に、私が誰と一緒にいようとアンタ達には関係ないでしょ?コイツの旅についていくって、そう決めたんだから」
「その声……貴方、もしかして!?」
アメリの問い掛けに、デモンサンダーはそっぽを向きながら答え、その声を聞いた愛子は、彼女が定刻で自分達を助けてくれたダークディケイドであると察して眼を見開く。
そんな中、士はトイカメラで入間達を写しながら、口を開く。
「この世界は、本来は仮面ライダーが存在しない世界だった。そこへ、バダンが復活させたギフによって、世界が支配されたことまでは調べがついている」
「ギフ?それって確か……」
「仮面ライダーリバイスが戦っていた地球外生命体ですね」
「……地球外生命体?またそんなのが相手なの……」
士から与えられた情報に入間が記憶の海から情報を思い出そうとすると、正義が先に答えた。
それを聞いて、ユエはエボルトに続いてまた地球外生命体が相手なのかとため息を吐いた。
「にしても、ライダーのいない世界にギフが……これもバダンが勢力を広げていると言うことか?」
「俺は今、その答えを探している。だが、俺は原因は別にあると睨んでいる」
アメリの言葉に士は腕を組みながら否定とも取れる言葉を口にする。
「鎧武達に倒されたバダンが復活したのはあくまで副産物……。本来ならお前達と交わる筈がなかったソイツがお前達と出会うことになったのも、バダンを復活させた何かが原因の可能性が高い」
「ほぅ、それだけの悪意が潜んでいると言うことですか……」
士の言葉に、正義は顎に手を当てながら思案していると、アスモデウスが入間に声をかけた。
「……イルマ様。今はまだ見ぬ敵の事よりも、これからどうするのかと言うことではないかと思われます」
「そうだね……先ずは、この世界を支配しているギフを倒すことかな」
ギフを倒しても、生き残った人間や復興のために何をすべきかなど、倒したから世界が平和になることはないだろう。この世界の行く末がどうなると入間には関係ないし、知ったことではないが、バダンを倒すのとは話が別だ。世界の全てを救うなんて大層なことをする気はないが、それだけの戦力がいるなら、ここで倒しておいた方がいいだろう。
ユエ達も同じ意見なようで、入間の視線を受け、コクリと頷いた。
「でしたら私も同行しましょう。そもそも、私はこの世界の悪意を駆逐するために来たのですから」
そして、その戦いに正義も参戦する意思を示した。
彼の強さは先ほどの戦いで分かっているつもりなので、入間達は特に反対意見を出すことはなかった。
「それなら、ここから西に向かった先にある一際デカいタワーに行ってこい。ギフはそこにいる」
士はそう言うと、背中を預けていた木から離れ、森の奥へと歩き出す。彼の前にオーロラカーテンが現れたのを見て、デモンサンダーも慌てて士の背中を追いかけていく。
「あっ!待ちなさいよ、士!?」
「離れろ」
士の右腕に抱きつこうとしたデモンサンダーを振り払いつつ、士とデモンサンダーはオーロラカーテンの向こうへと消えていった。
「…西かぁ。それなら、さっさと潰すべきか」
「いや待て、イルマ。敵の本拠地なら、少し警戒すべきだ。先ずは情報を集めた方がよいのではないか?」
「……確かに、そうですね。じゃあこれだ」
アメリの言葉に一理あるなと頷いた入間は、“宝物庫”から自販機状態の“ライドベンダー”を召喚すると、セルメダルを挿入してボタンを押し、何本かの缶を出すと、その内の一つのプルタブを開いた。
その缶が入間の手の上で“タカカンドロイド”に変形すると、連動するようにバッタの形をした“バッタカンドロイド”、タコの姿をした“タコカンドロイド”に変形し、カンドロイド達は一斉に飛び出していった。
「カンドロイドですか……」
「魔力紙兵隊より、こっちの方が情報収集に向いてるからね」
魔力紙兵隊は、使用している魔力を辿って位置の特定は出来るが、リアルタイムの映像を見ることは出来ないため、今回、入間は大量に保持していてハイテクであるカンドロイドの使用を選んだのだ。
「それにしても、アメリさんとアリスさんでしたね。貴方方は中々に冷静な判断力をお持ちのようですね」
「む?そうか?」
「……私をアリスと呼ぶな」
入間にこれからの事を尋ねたアスモデウスや、突然異世界に呼ばれたと言う異常事態でも冷静に状況を判断できるアメリの思慮深さに正義は関心を示すが、アメリは首をかしげ、名前で呼ばれるのが苦手なアスモデウスはそっけなく答えた。
「じゃあ、今日はここで野宿だね。シア達は、野営の準備をしておいて。僕はユエと一緒にやる事があるから」
入間の指示に、疑問顔を向けるシア達。
「?ユエさんと何処にいくんですか?……ハッ!?まさか、ユエさんとしっぽりねっとりする気ですか!?いつもみたいに!いつもみたいにっ!!」
「なっ!?イルマ!?お前こんな状況で何考えてる!?恋人とはいえモラルというものがあるんだぞ!!」
「い、イルマ先輩!流石にTPOを弁えないと……」
「イルマ様!今回ばかりは空気を読んでください!」
「ダ、ダメです!ダメダメ!未成年なのに!エッチなのは行けないと思います!」
「鈴木!アンタこんな時に何考えてんのよ!」
「あー!イルマちズルい!私も遊びたーい!」
「するわけないでしょ!あと、クララに至っては見当違いだよね!?」
「…入間くん。仲睦まじいのは良いことですが、皆さんがそう言うのも無理ありませんよ」
「正義くんも勘違いしてる!?僕って、どんだけ空気読めない奴だと思われてるの!?」
シアの邪推と、それに敏感に反応するアメリとチマに、アスモデウスも注意し、大声を上げる愛子と優花、話をよく分かっていないクララが声を上げると、入間はツッコミを入れるが、シア達の言葉を真に受けた正義の言葉に更にツッコミをいれる。
「ププッ!ねぇねぇ、今どんな気持ち?世界を救う救世主が色情魔に思われてる気持ちって?しかも日頃の行いのせいで否定できる要素が皆無なのって?プギャー☆」
「ウザいッ!」
「はきゅっ!?」
入間は、そんな光景に眼を光らせたミレディがウザい顔で全力で入間をからかい、それにイラッとした入間が拳骨を落とすと、ミレディは頭にたんこぶを作って地面に倒れる。
「あぁ~ん!ユエばかりズルいのじゃ!ご主人様よ、妾も参戦したいのじゃ!乳の大きさならばユエに圧勝じゃ!存分に妾の体を堪能し……」
「なわけないでしょ!!」
「あひぃ~ん♡」
自分も参戦したいと、放漫な乳房を揺らして主張するティオに、入間は破裂するような音が響く強烈なビンタをお見舞いする。崩れ落ちたティオは、赤く腫れた頬を抑えながら幸せそうにハァハァしており、それを見た正義はジッとティオとミレディを見つめてから、アメリとアスモデウスに問い掛けた。
「……この二人、本当に仮面ライダーなのですか?」
「いや、そうなんだが……」
「すまんが慣れてくれ」
バビルきっての常識人達は、至極当然な反応をする正義の言葉に全く反論できない。
尤も、アスモデウスも入間が絡むとこの二人と似たようなことになるのだが……
すると、入間の袖がクイクイと引っ張られた。そちらを見れば、頬を染めたユエが上目遣いで入間を見ている。
「……お外でするの?」
「いや、しないから」
「……じゃあ、何処かに入る?」
「いや、場所の問題じゃないから。そこから離れて」
「……むぅ、わかった。この後に備える」
「この後って、明日のことを言ってるんだよね?そういう意味だよね?」
ユエの冗談が冴え渡る。……冗談のはずだ。例え、妖艶な雰囲気で舌舐りしていたとしても、その瞳が獲物を狙う野生の狼を彷彿とさせる鋭さを持っていたとしても、それは演技に違いないのだ。
「皆、いい加減にしてよ……ユエと二人なのは、万が一にでもギフの刺客が来ないように、この辺りを
「それ、ユエさんが行く必要は……」
「……魔術の練習。上級魔術はまだまだ上手く使えないから」
オルクス時代から、ユエと入間は互いに使える魔術や魔法を教えあっていたことがある。その結果、ユエの魔法を入間が使えたことはあっても、ユエが入間の魔術を使えるようになった事はなかった。魔術と魔法では形式が根本的に異なるからだ。
旅に出てからもちょくちょく練習し、最近になって、
その意図を聞いて頷いたシア達は、雑踏の中に消えていった入間とユエを見送っていった。
その数時間後、入間から渡された“宝物庫”からテントや調理器具を用意していたシア達の元へ、妙にツヤツヤしたユエとどこかやつれた入間が戻って来た。
「随分とお楽しみだったみたいですね?」
「入間……まさかお前が、下手な嘘をついて逢い引きを楽しむような獣だったとはな……」
「ユエさん、ツヤツヤしてますね?何をしてもらったんですか?」
シア、アメリ、チマが抑揚のない声で声をかける。その迫力は、ミレディや正義でさえ気圧されてしまう恐ろしいものだった。
「……何を勘違いしてるんですか。ユエがツヤツヤしてるのは、僕の血を吸ったからですよ?」
「「「へ?」」」
シア達の勘違いを察した入間が、呆れた様子で事実を伝える。それを聞いたシアとアメリとチマが揃って間抜け顔になった。
「…まさか、本当にユエを抱いていたとでも思ってたんですか?皆、僕を盛りのついた犬かなにかとでも思ってたの?」
入間のジト目に、視線を明後日の方向へ泳がせるシア達。
「はぁ……それで、畑山先生と園部さんはどうします?この辺りにいれば、少なくとも見つかる可能性は少ないと思いますが……」
「そ、それは……やります!少なくとも、この有り様を見ていて、放ってはおけませんし……」
「…私もやるわ。世界がこんな風になってるのを見てなにも感じないほど薄情じゃないし」
愛子と優花も参戦の意思を示した。入間としても、ハルツィナ樹海の迷宮に挑む時、少なくとも彼女達にはそれ相応の実力をつけてほしいと思っていたので、ギフの配下として大量にいるであろうコンバットロイドやデッドマンの相手はちょうど良いと考えた。
すると、正義は思い出したように優花を声をかけた。
「そういえば、園部優花さん。貴方が変身するのは、仮面ライダーエターナルでしたね?」
「え?はい。鈴木にロストドライバーとガイアメモリを貰いましたけど……」
「では、本来の仮面ライダーエターナル……大道克巳の事は知っていますか?」
正義の言葉に、優花は首を振ると、正義は自身の知る仮面ライダーエターナルの歴史を語り始める。
「エターナルは悪の仮面ライダー……ダークライダーの悪意の歴史に燦然と輝いてます。死体から蘇生されたNEVERと呼ばれる兵士で、風都と呼ばれる街に住む人々を抹殺し、不死身の怪物に変えようとした……正に死神と言う二つ名に相応しいものでした。エターナルの使う26本のT2ガイアメモリも、その気になれば世界の一つや二つ永遠に破壊できると言う危険極まりない代物です」
「す、鈴木!アンタなんでそんなもの渡したのよ!?」
明かされたエターナルのとんでもない歴史に優花は仰天し、それを渡した張本人である入間に、何故そんな危険物を渡したのか問い詰めると、宝物庫から食材を出していた入間はなんでもないように答える。
「別に、
入間の言葉に、優花は眼を見開く。そして正義も、入間の言葉に頷きながら優花に声をかける。
「鈴木さんの言う通りです。善は悪となり、悪は善となる。貴方も、これから善に生きるエターナルとして励みなさい」
「は、はい……」
優花はエターナルメモリを見ながら頷くと、今度は愛子が正義に話し掛けた。
「あの……善井さん、でよろしいですか?」
「構いませんよ。それで、どうしました?」
「その…さっきの戦いで、かなり沢山のゼインカードを使っていましたが、大丈夫なんですか?」
ゼインがゼインカードを使用すると、そのカードは機密保持と乱用防止のために裁断されて使えなくなる。普段からあまりカードを乱用することを避け、同じゼインに変身する愛子だからこそ、正義が変身したゼインがあの戦闘でかなりのカードを使っていたことを尋ねていた。
「それなら、この通り問題ありませんよ」
そう言いながら、正義は数枚のカードを取り出した。
そのカードに描かれていたのは、間違いなく、先程ゼインが使用して裁断した筈のキバ、電王、キュアホワイト、キュアブラック、キュアフェリーチェ、キュアウィング、キュアウインクのゼインカードであった。
「それ、さっき使った筈なのに……」
「…それもそうだけど、この女の子のカードはなに?」
愛子が眼を見開くなかで、チマはそのカードの内、女の子や男の子の素顔が描かれているカードを眼にしながら問い掛ける。
「それはプリキュア……。平たく言えば、仮面ライダーとはまた別の世界に存在するヒーローですよ」
「プリキュア、かぁ……」
「どうしましたか、イルマ様?」
「イルマち?まっかちゃん?シアシア?ミレりん?どったの?」
そこで、バビルの面々は入間、アメリ、シア、ミレディの四人が難しい表情をしながらプリキュアのカードを見ていたことに気づき、代表してクララが尋ねる。
「いや……プリキュアなどと言う戦士は今始めて知ったんだが……何故か私は、このキュアフェリーチェという戦士だけ、知らない感じがしなくてな……」
「アメリさんもですか?私も、なんだかこのキュアウインクに既視感があって……」
「ミレディさんは、このキュアホワイトかなぁ……」
「僕はこのキュアウィングっていうのに……」
(……そう言えば、入間くんの声ってツバサに似ていますね)
アメリはキュアフェリーチェ、シアはキュアウインク、ミレディはキュアホワイト、入間はキュアウィングのカードを見ながら、どう説明すれば良いのか分からないというような表情で答える。
そこで、正義は入間の声が、かつて共に戦い自らの手で葬ったプリキュアの一人、【キュアウィング】こと【夕凪ツバサ】に非常に似ている……まるで“中の人”が同じなように声質が似ていることに気付いた。
しかし、ツバサと入間はなんの関係もない赤の他人だし、正義には関係のないことなので、正義は愛子の質問に答えた。
「私はカードのデータにバックアップを取っているので、使用したカードも後で復元できますからね」
「そんなことが出きるんですね……」
「愛子さんは出来ないのですか?」
「はい……使えばそれっきりなんです」
「成る程……それなら、脳内にバックアップを作ることをお勧めします。ゼインドライバーにいるゼインにそれを頼めば簡単に……」
「あっ!いえ、私のドライバーにはゼインはないんです……」
「……何?」
同じゼインの変身者だからか、それとも愛子の声が、正義が愛している人物と非常に似ているためか、僅かながら親近感を抱いていた愛子の予想だにしない言葉に正義は眼を見開き、愛子は自身が仮面ライダーになった経緯と、自分の使うドライバーの詳細を伝えた。
「ゼインを悪用ですか。忌々しい……」
ゼインドライバーのAIを取り外し、愛子が入間を抹殺するための兵器として利用していたことを知り、正義は自分とは関係のない異世界の事とはいえ不機嫌になった。
「……じゃあ、正義は使っても兵器なの?」
「下手したら意識を乗っ取られるって聞いたけど……」
「?まさやん、元気ペコペコになっちゃうの?飴ちゃんいる?」
ユエ、チマ、クララが問い掛ける。背が小さく、小学生と見間違えてしまうようだが、それでも美少女と呼べるだけの美容をした少女3人に顔を寄せられた正義は、彼女達の姿を一別すると、一歩後ろに下がった。
「うっ……私はゼインに適正があります。それを使えば、私はゼインに頼らずとも自分の意思で戦えますから……」
「……?何?」
「私達がどうかしましたか?」
表情を歪めながら一歩下がる正義に、ユエ達三人が顔を寄せて尋ねると、正義は非常に言いにくそうな表情で答えた。
「その……貴方達の容姿が、子供のもので……」
「……誰が子供だ!」
「私はもう○○歳です!」
「アタシ子供じゃないもん!!」
正義の言葉に、ユエ達は余計なお世話だと言わんばかりに怒声を上げた。ただでさえ、バビルにはアメリやシアやティオのようなナイスバディの持ち主が仲間内にいるため、割りと自身の体型を気にしていたので、正義の言葉は地雷だった。
「まぁまぁ……正義さんも悪気がある訳じゃないんだし、明日の戦いもあるし、ごはん食べようよ」
そこで、バビルのリーダーである入間が制止の言葉を掛ける。その言葉で、正義に詰め寄っていたユエ達は、渋々といった表情で引き下がった。
すると、調理台の前に立った入間は、卵の入った箱に手を寄せると……
「えいっ!」
なんと、殻に入ったままの卵をボウルに叩き付けたのだ。ベチィィンッと言う音と共に、粉々になった殻と卵でボウルの中が満たされる。
「おいっ、イルマ!」
予想外すぎる入間の行動にバビルの面々やアメリが眼を見開いていると、アメリが声を上げ……
「塩加えてみないか?」
塩が入った袋をひっくり返し、ボウルの中に塩の山が作られ始める。
バビルの面々と正義が悟る。この二人、料理させちゃダメなタイプの人間だと。
「……イルマ、アメリ。これ、刻んでいれてみる?」
「あっ、いいね!」
そこへ、ユエがヘラを持って入間とアメリの援護に回る。もはや食べ物でもないものを刻もうと言う発言に、アスモデウス達の頬がひきつる。
(このままじゃ不味いですね……!)
そこで、ギフとの戦いの前に死ぬわけにはいかないと正義が動いた。
「皆さん、ここは私が作りますよ」
入間達の手から調理器具を奪い取ると、入間、アメリ、ユエを押し退けて調理台の前に立って料理を始めた。入間達がなにか手伝おうかと言うが、それはアスモデウス達によって阻止された。
数十分後、屋外用のテーブルの上に、手の込んだ料理の数々が並べられた。
バビルの面々と愛子と優花は「おぉ~」という声を上げ、皆一様に一口食べると、次の瞬間、一同は夢中になって手を動かした。
「気に入っていただけましたか?」
「はい、これすごく美味しいです!」
正義の言葉にウサミミをピコピコさせながら家事万能ウサギのシアが答え、飲食店の娘である優花もブンブンと首を縦に振った。
「僕も手伝ったのにな……」
「「「「「「「大丈夫です(じゃ/だよ)」」」」」」」
「即答過ぎやしないか…?」
「……何故?」
「貴方達は少し自分の家事スキルを疑った方がいいですね」
仲間達から辛辣な評価をされる理由が分からずにキョトンとしている入間、アメリ、ユエの姿に、正義もそう言わざるを得なかった。
夜が明けたら、強大な敵と相対することになるとは思えない、のほほんとした空気だった。
次回はギフとの対決になります。
感想、評価お待ちしております。
本作での雫と鈴はどうしたいと思いますか?
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二人とも救済
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二人ともBAD END
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雫のみ救済
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鈴のみ救済