父父の名で帰ってきた   作:アママサ二次創作

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第1話

 転生モノというジャンルがある。何らかの理由で死んだ人間が、違う人物、場合によっては人外のモンスターなどに生まれ変わるというところから始まるファンタジー創作物のジャンルの1つだ。

 

 大抵の場合は、生まれ変わる段階で何かしら特典らしきものを神様から貰っていたり、知識がある状態で人生をやり直せるのでファンタジー世界で強くなって無双出来たりしていて『羨ましいなあ』なんて社畜なりに思っていたりしたのだが。

 

 これは違うと思うのだ。

 

『馬……馬!? 転生ってか畜生道? もしやこの世界は仏教だった……?』

 

 ファンタジー世界の王族や貴族の子ではなく、ダンジョンの奥に住むようなモンスターでもなく。まさかの動物、それもおそらくは現代地球の馬である。これには色々と妄想した身ではあるが流石にびっくりした。

 

「生まれた!」

「すげ、あ、涙が……」

「立たないけど大丈夫か?」

「流石に生まれて1分では立たんって。授業でやったろ?」

 

 何やら若い人間たちが騒いでいるが、若干混乱している俺はそれに気づけずに隣にいる母であろう馬と自分の体を代わる代わる見つめる。

 

 あ、なんかお腹空いた。ってお母さん立ってるからおっぱいに口が届かないぞ? ああ、立てば良いのか。

 

 馬になったせいか妙に単純になった気がする思考に駆られて、震える足を地面に立てて必死に体を持ち上げる。うーん? やっぱ動物って凄いな。いや人間が特に変なのか。生まれてすぐにもう立てそうになるのは凄いぞほんとに。

 

 母親と人間に見守られて立ち上がり、母の乳首に吸い付いて乳をお腹いっぱい飲んだところでようやく思考する余裕が出来た。

 

 あれ、やっぱり馬になってるな? 夢かと思ったけど、やっぱり俺の体が馬になってる。

 

 転生なんて創作物の中の話だと思っていたが、どうやら自分にもそれが何かのバグか怒ってしまったらしい。

 

 しかし馬、馬か。

 

 前世では極普通のサラリーマンをしていたが、その分普通に趣味もあって、アニメやゲームもやっていたが競馬もG1レースのときには競馬場に赴く程度には好んでいた。現代で馬と言ったらやっぱりサラブレッドなのかな、と思うわけだ。

 

 しかしそれにしてはおかしなところもある。

 

「タクヤさんこんにちはー」

「こんちはー」

「おはようございます」

「おーす、いらっしゃい」

 

 この週の半分以上の頻度で世話をしに来てくれるジャージ服の学生達である。普段の世話は担当厩務員であろうタクヤがしてくれるのだが、学生達の実地研修だか体験学習だかに使われているのかこうした学生達がよく来るのである。馬生の母さんも特に気にした様子が無いのでこれがここの普通だということはわかるのだが。

 

 そんな高校あるのか良いなあ、なんて考えていると、俺たちの様子を見ていた学生とタクヤが何か話している。

 

「こいつってもう行先決まってるんすよね?」

「ん? ああ、買ってくれる人は決まってるよ」

「まだ生まれて2週間で決まるって何があったんですか?」

 

 え? もう俺の馬主さん決まってんの? まだそれらしき人を見たことがないのだが。とすると母さんが誰かの持ち馬で、というのも今の話からは無さそうだ。どういうことだ?

 

「俺もあんまり詳しいことは聞いてないんだよな」

「そうなんですか?」

「うん。なんかこの街出身で外に出てた人がヒカリの、ああ、こいつの親父の子供が欲しいって言ってたらしくて」

「え、じゃあ種付からですか」

「うん。まだ海外にいるらしいから世話は俺たちがやってるけど、書類上は母馬もヒカリも所有者はそっちに移ってたはず。だから買うっていうか元からそっちの所有馬か」

 

 どうやら私は知らない間に、というか生まれる前から馬主が決まっていたらしい。これは幸せ、なんだろうか。

 

 いや、まあ馬としてはそれなりに運が良い方だろう。

 

 牧場で生まれた馬の中でも、セリや庭先取引なんかでは売れずにデビューすら出来ない馬も多数いると聞く。その点俺は、親父の七光りではあるがおそらく競争馬としてのデビューまではさせてもらえるはずだ。

 

「……なんでこの馬なんですかね」

「血統的に見ても走らんよなあ」

「おいおい。ここの牧場じゃあそれは通用しないぞ? まあまだ1年のお前らに言うのは厳しいかもしれんけどさ」

「そりゃあ、そうですけど……」

 

 そんなに俺の血統はよろしくないんだろうか。大抵の競走馬というのはいかに走る馬を作るかという目的で種付をしていると聞いていたんだが。あるいはあれだろうか。いわゆるロマン配合、となると年号にもよるが、産駒が走らなかった有名馬の晩年の産駒の可能性もあるな。

 

「そもそもこの牧場にはサンデーサイレンスの血が入った馬なんてほとんどいないだろ? そういうとこなんだよここは」

「それ、ほんとなんですか? 信じられないんですけど」

「今どきSSの血が入ってない馬とかめっちゃ珍しいよな」

「珍しいどころじゃないだろ……」

 

 聞こえてきた会話に耳を疑う。サンデーサイレンスといえば大種牡馬だ。今が現代で言うところの何年になるのかは分からないが、2010年以降は特にその血の入っていない馬はほとんどいない。というかサンデーサイレンスが他の系統の馬をを駆逐してしまったと言っても良い。俺が人間だった頃はその血にサンデーサイレンスが含まれるせいで種付に困る馬も存在していたぐらいだ。

 

 いったいここは、どういう牧場なんだろう。

 

 空きっ腹に母さんの乳首に吸い付きながら、俺はそんな競馬ファンとしては気になってしまうことに思いを巡らせていた。

 

【取り直し】   現在書いているアフターザライトが本作の馬主の方の主人公の第一世代の馬になり、それ以降の世代に何頭も馬が登場していくことになります。馬主の持ち馬は全て架空馬です。 そのアフターザライトのデビュー年を何年にするかをアンケート取ります。デビューは2歳なので、デビュー年の翌年のクラシック世代に割り込んでいきます(勝つかは未定)。これによって史実馬の勝鞍が変わります

  • 2歳で2014年デビュー
  • 2歳で2015年デビュー
  • 2歳で2016年デビュー
  • 2歳で2017年デビュー
  • 2歳で2018年デビュー
  • 2歳で2019年デビュー
  • 2歳で2020年デビュー
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