父父の名で帰ってきた   作:アママサ二次創作

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馬の内面もちゃんと書いていくことにしました。ぶっ飛んだキャラにはならないかもしれないけど頑張ります。






話に出てくるトレーニング云々は完全に捏造設定です!!! 妄想です!!! 


第2話

『本日も良い天気ですなあ』

 

 パカラッパカラッとアスファルト、じゃないななんだこれ。アスファルトっぽいけど色と柔らかさが違う地面の上を軽く跳ねるように歩く。

 

『もう、坊や? あんまりはしゃぐと危ないわよ?』

『はーい』

 

 言われてぴょんぴょん跳ねていたのをあくまで足を高く上げつつも歩いてる範疇にする。後ろからついてきてくれている母さんは注意はしてくるものの、俺がその色のついた地面の上から出ないのを見て一応見守ってくれている。

 

 前々から不思議に思ってたんだよな。ここの牧場、なんでか放牧場の外に出歩いてる馬多くない? って。今日それを不思議に思って母さんと一緒に入れられていた小さな放牧場から出ようとすると、なんと母さんが止めるのではなくついてきたのだ。

 

 母さんの言うところによると、どうやらここのエリアに放牧されている馬達は、このオレンジ色に色のついた*1地面の上ならばある程度自由に出歩いても怒られないらしい。

 

 何だそりゃ、というかそもそも馬が自由に出歩くって何だ?

 

 そう思ったので、今はそれをいざ確認するために歩いている。

 

『おかあさーん、外歩いてる馬いる』

『あー、そうね。うん。僕は勝手に出ては駄目よ?』

『なんで?』

『この柵の中が私たちの場所だからよ。ちゃんと覚えておいてね? 柵の外に勝手に出ては駄目よ?』

『勝手じゃなかったら良いの?』

『人間と一緒なら良いわ』

 

 通りかかった放牧場にいた仔馬が母親と会話しているのが聞こえる。なんかごめんねママさん。悪いお手本見せちゃって。

 

 んん、にしてもやっぱり、馬が放牧場から出るっておかしいよな? 出てもいい場所なんて普通に考えたら必要無いはずだし。母さんに聞いてみるか、にしても割と見守ってくれているので今更聞きづらい。

 

「おわー!?!! ライト外出てる!!?」

「ばっか声でかい……! 驚かせたらどうすんの!?」

「2人とも落ち着けよ。……あ、もしもしタクヤさん、ライトが放牧場出てるんですけど」

 

 と思っていると、正面の方からいつも面倒を見てくれる3人組が歩いてきた。

 

「走って近づくなよ……! ビビらせたら逃げるぞ!」

「わかってる……!」

 

 何やら俺に用事があるようなので立ち止まって見守っていると、近寄ってきた3人組のうち電話していない方の男の子が俺に寄り添うように立って首筋を撫でてくる。女の子の方は母さんの方に行って、同じように撫でつつ俺の方へと母さんを誘導してきた。

 

「ふう……暴れなくて良かった」

「タクヤさんが綱持ってきてくれるから待っとけって」

「いややっぱり何回見ても外馬が歩いてるの慣れねえわ」

 

 うーん、ここから連れ戻されるのか? それは少々困る、いやまあ困りはしないが、結局何故こんな風になっているのかがわからないままである。

 

「おーい、持ってきたぞー」

 

 そう言って厩務員をしてくれているタクヤが持ってきた綱をかけられて、ゆっくりと元の放牧場へと引っ張られていった。

 

『母さん、結局なんで出ても良かったの?』

『行って良い場所と行っては行けない場所を覚えるためよ』

 

 どういうこと? と首を傾げていると、母さんではなくタクヤが学生達に説明している声が聞こえてきた。

 

「よその牧場と違って、ここは馬との共生を意識してるからな。牧場にいてもらうのが一番だとわかってても、普通に馬が出歩いてるだろ?」

「まあ、そうですね」

「高校のグラウンドに来てたときはなんの冗談かと思いました」

 

 何かとんでもない会話してる気がする。馬が高校のグラウンドに遊びに行くって何? ていうか厩務員とか無しで出歩いてるの? それ大丈夫?

 

「ただそういう生活をしてても、街の外に出ていかれたり車の走る道路に行かれるのはまずいわけだ。そこで、馬の歩ける場所を示すためのこの地面ってわけだ」

「あちこちにしいてるオレンジの地面ってそういう意味?」

「意味あるんですか?」

「ちゃんと調べたわけじゃないが、オレンジの地面があるとそっちを通るように誘導されるみたいだから、そういう意味では効果がちゃんとあるらしい」

「建物がオレンジだったりするのも同じ意味ですか?」

「おう。街の中のオレンジのものは近づいて良いものって認識を馬に持ってもらうってわけだ」

 

 そんな事出来るの? という疑問があるが、確かに今の俺も目の前でオレンジの道が曲がっててそのさきが黒いアスファルトだったらオレンジについていきそうだなと思ってしまった。

 

 そう考えると、ここは生まれたての幼駒に牧場というものと自分たちのいるべき場所を教える段階の設備なんだろう。

 

『外に出ても良いけど気をつけなさい、ライト』

『出てもいいなら気をつける!』

 

 はあ、とため息を吐きそうな雰囲気を出す母さんには申し訳ないが、この少し奇妙な牧場をかなり気になっているのだ。なので今度は幼駒用のエリアから別の場所に移されたら脱走してみようと思っている。もちろん安全第1だけどな!

 

「まあ、だから実はここで脱走されてもそんな気にしないでも良いんだよ」

「はあー……学校の方の牧場とは違うんですね」

「あっちはお前さんらみたいな学生が外でもやってけるように普通のやり方を教えてんだよ。育ててる馬も基本地方で走る予定の奴らだし」

「ここで育ったら常識狂いそう」

「他の子はだいたいここ生まれの子だから、3年間かけて感覚の矯正してるんだよ。逆にお前さんらみたいに外から来た子は、ここに就職する場合を考えてここに慣らしてる。だからお前さんらだけ課外授業扱いでここ来てるだろ」

 

 ほーん? 何やら面白そうな話をしているな? 

 

 俺は今が馬なので、走ったり跳んだりするのは大好きである。体に思考が引っ張られてるというわけだ。

 

 だがそれとは別として、人間としての俺だった頃の記憶と嗜好もある。そしてそれは馬の運動大好きな思考とは真反対で、何かを学んだり作ったりするという、頭を使うことが好きだったのだ。

 

 なのでここの牧場がどういう特殊性を持っているか、というのは、単純な好奇心以上に、学ぶことが好きな人間としての俺の思考が知りたいと思っているのである。

 

『外ってなんだ?』

 

 伝わらないだろうが、軽くいななきながら柵にもたれかかっているタクヤにすりつくようにして撫でてもらう。

 

「おう、人懐っこいやつだな、よしよし」

「タクヤさん、あっちで育ててる馬が地方に行く馬ばっかりってことは、こことは違う普通の牧場でも馬がやっていけるようにしてる、ってことですか?」

「そういうこと。特に幼駒の時期はな。下手に慣らして習慣になると駄目だ。大人になるとものわかりが良くなるから多少場所が変わってもすぐ馴染んでくれるんだが」

「ライトは? もう馬主さんいるって言ってたけど、それならあっちに合流させるべきなんじゃないんですか?」

 

 あ、ちなみに俺、幼名をいただきました。改めまして、母リボンパーマーの産駒の『ライト』と申します。名前の由来は親父の血統から来ているらしい。

 

 ライトっていうと、英語だと光とかだからそういう系統の名前だと思うのだが。俺の知ってる限りだとエイシンフラッシュとか、古い馬にはなるけどエレクトロキューショニストっていう馬が海外にいたらしいがそのエレクトロも電気っぽいし、後はカルストンライトオもそのままライトが入ってる。

 

 まあ結局分からないが、競馬というブラッド・スポーツを走る定めである以上、父のことも母のことも、そしてそのご先祖様もいつかは知りたいなと思うわけだ。

 

 それにしても。

 

『よし、走ってくるー!!』

 

「あ、こら急に跳ねるな! 危ないだろ」

 

 まだ幼いからか、あるいは馬になったからか。考えるのは結構好きだったはずなのに、あんまり考えていると体がムズムズしてきて走りたくなってしまう。普通に1人で考え事をしていても落ち着かないことがあるのは考えものだ。

 

「おーおー元気だなおい」

「ライトバネ結構すごくないですか?」

「凄いな。幼駒でこんだけ跳ねるのは見たこと無い。まあ中央とかなら普通にいるかもしれんけどな」

「すっごい楽しそう。うわ体柔らか」

 

 ジャンプジャンプジャンプである! そして合間に牧草!

 

 競走馬に生まれたからには走る練習をしておいて損は無いだろうと、運動するときは自分なりに目標を持ってやることにしている。

 

 運動と言っても、ただ走るだけが芸じゃない。そもそもサラブレッドの足がガラスの足で、消耗品であるというのは競馬は嗜む程度だった俺ですら知っている話だ。だからこそ、鍛えるために走り込みなんてことはあんまりしたくない。いつかは必要だろうが、まだ体が出来ていない今は別である。

 

 そこで俺が編み出したのが、この全身運動だ。

 

 ぴょーんと高く飛び跳ね、そのまま降りるのではなく空中で体を捻って別の場所に降りる。言ってみれば、全身を躍動させることで足だけでなく胴体や首にも負荷をかけようという魂胆だ。あんまりトレーニングには詳しくないが、人で出来そうなことを色々と流用してやっていくしかない。これもイメージはバービージャンプとかから取ってきている。

 

『うおーーーーー!!!』

 

 そして何より動くのたーのしー!! やっぱ思い切り動ける体は最高だな!!

 

「これもうメイン放牧場出しても良いんじゃないですか?」

「だなあ。ちょっと上と相談しておくわ」

「地方で走る馬なのにここに慣らして良いんですか?」

「馬主さんがここの牧場のコンセプト好きみたいでな。いずれはよそに行くけどそれまではって。1回父親と同じ放牧場に入れて、それから本放牧に移す感じだな」

「私たちのすることはありますか?」

「まああいつを題材にここのやり方を学んで、いつも通りレポートだな。タイミングの見極めとかは俺も教えるから」

 

 何やらタクヤと学生さんたちが相談しているが、気にせず俺は跳ね回る。母さんが呆れた表情で座りながら見ているが、仔馬の元気の良さは止まらないのである。

*1
馬の視界では赤が見えてないらしいけど、結局はっきりとは判明していないらしいので特に気にせず人間の視界と同じ色で表現します。

【取り直し】   現在書いているアフターザライトが本作の馬主の方の主人公の第一世代の馬になり、それ以降の世代に何頭も馬が登場していくことになります。馬主の持ち馬は全て架空馬です。 そのアフターザライトのデビュー年を何年にするかをアンケート取ります。デビューは2歳なので、デビュー年の翌年のクラシック世代に割り込んでいきます(勝つかは未定)。これによって史実馬の勝鞍が変わります

  • 2歳で2014年デビュー
  • 2歳で2015年デビュー
  • 2歳で2016年デビュー
  • 2歳で2017年デビュー
  • 2歳で2018年デビュー
  • 2歳で2019年デビュー
  • 2歳で2020年デビュー
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