翌朝、優がベッドで目覚めた時にはもう文はいなかった。
太陽も眠っている朝早くから新聞配達に出かけているのである。
それはいつもどおりのことであり、特段気になることではなかった。
ちゃぶ台の上にはいつもどおり朝ごはんが置かれていた。
優は朝早く起きて一人で食べているのである。
食べ終わると、自分で片付けをし、服を着替えて外出していった。
その途中、優はある少女と出会った。
その少女の名前は河城にとり。
幻想郷の山に住んでいる河童である。
「よう。少年。」
「おはよう。」
「今日は一人かい?」
「うん。」
「そうか。ところで、君は天狗の弟なんだろ?」
「うん。そうだけど・・・」
「じゃあ、これやるよ。」
そう言うと、にとりはポケットからある物を取り出した。
「これは何?」
「まあ、簡単に言えばカメラだよ。」
「え?でも僕まだ飛べないよ?」
「大丈夫だって。ほら、そこに立ってみな。」
優は言われたとおりにそこに立った。
「こう?」
「そうそう。じゃあ撮るよー」
カシャッという音が鳴り響いた。「はい。終わり。」
「今のは何?」
「写真だよ。」
「へぇ~。」
「あとで現像してあげるから楽しみにしときな。」
「うん!」
「じゃあ、私はまだ用事があるから。」
「わかった。バイバ~イ!」
優はその写真をとても気に入ったようだ。
家に帰った後、優はその写真を眺めてニコニコしていた。
その様子を見た文は思わず笑みを浮かべてしまった。
「そんなに嬉しいんだ。」
「うん!」
「そっか。そうだ!いいこと思いついた!」
文は手をパンと叩いた。
「私と二人で写真を撮りましょう!」
「いいの!?」
「もちろん!」
それから二人は写真撮影を始めた。
優は最初、緊張していたがすぐに慣れたようだ。
「よし。今度は私が優君を抱っこする番だ!」
「わ~い!」
「よいしょっと。」
文は優を抱きかかえた。
「じゃあ、いくよ。はいチーズ!」
パシャリ!
「うむ。良い感じだ。」
文は満足げに微笑んでいる。
「ねえ。もう一枚やってもいい?」
「いいよ。」
その後、何度も撮影会が行われた。
二人はとても幸せそうな顔をしている。
こうして、楽しい一日が終わった。
翌日、優が目を覚ますと文の姿はなかった。
その代わり、机の上に置き手紙があった。
そこには、「少し出かけてきます。」と書かれていた。
そして、その日の夜になっても文は帰ってこなかった。
優は心配になって探しに出かけた。
しかし、どこを探しても見つからない。
優は途方に暮れていた。するとその時、空から声が聞こえてきた。
「おーい。おーい。」
見上げると、文がこちらに向かって飛んできていた。
「お姉ちゃん!!」
優は文のもとへ駆け寄った。
「ただいま。」
「おかえりなさい!」
「ごめんね。心配かけちゃって。」
「大丈夫だった?」
「うん。何も問題はないよ。」
「よかった・・・」
優はホッとした様子を見せている。