HarryPotter 魔法省魔法法執行部公安局   作:Firebolt08

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11話後半にハリー達の列車での会話を加筆しています。


13話 現場検証&呼び出し

アメリカでのドラゴン騒ぎを片付けたばかりのミケルセンはここ最近で一番最悪な気分だった。

それもその筈、帰国して早々に仕事で訪れた先は北海の真ん中。三角状の要塞が聳え立つ忌まわしきその島はアズカバン。

 

イカれ野郎とクズ野郎に黒いボロ雑巾の見本市。闇の魔法使いのテーマパークである。

 

船に同乗していたのはスクリムジョールとヤックスリーとその他、数名。ブラック脱獄の手掛かりを探す為にウィゼンガモットの一部勢力によるゴリ押しで派遣されたのだ。

 

「ここまで躍起になるとはかなり焦ってるんですね。既に何度にわたって調査は行わているというのに」ミケルセンはヤックスリーが少し離れた所で話し込んでいるのを一瞥しながら口を開く。上陸した段階で吐く息は白かった。心身共に寒気を覚える。

 

「形だけでも動かして仕事をした気分を味わいたいのだろう。執行部まで巻き込むとは」

スクリムジョールは呼び出したライオンの守護霊を従えながら一瞥というよりヤックスリーの方を睨みつけていた。

 

「嫌がらせも兼ねてるでしょうね」

 

「全くの同意見だ」

 

生きてるのかかなり心配になる顔色のアズカバン常駐の職員とご丁寧に案内を申し出たクソ吸魂鬼2匹に従ってカビ臭く、腐った雑草が所々生えてる廊下を抜けて変に踏んだ感触が柔らかい階段を上がっていくとシリウス・ブラックが投獄されていた牢へと到着した。途中で初めて来たのであろうヤックスリー御一行の1人が吐き気でリタイアしていた。

 

「現場はそのままなんですよね」

 

「はい。脱獄以降に修繕や清掃なども含めて一切の手を加えておりません。彼らも同様です」

ミケルセンの問いかけに職員は横の吸魂鬼を示しながら答えた。

 

スクリムジョールが杖を軽く振ると牢全体の壁や床にオレンジ色の光が通ったがそれだけだった。

 

「報告通り、何か魔法を使った痕跡もないようですな」

 

「つまり誰かが脱獄を手引きした訳ではない訳だな」

それまで静かにしていたヤックスリーが口を開いた。それにスクリムジョールはあからさまに嫌な態度が顔に出ていたが

 

「そうでしょうな」

とぶっきらぼうに肯定していた。

 

「となると...」

ミケルセンはこんな場所で息を大きく吸う真似はしたくなかったが...

 

「この中ではスティーブンがいちばん詳しいと思うが」

 

「お褒めの言葉をどうも、コーバン」

ミケルセンは杖を逆さに持って口に当てて呪文を唱えると先端に思いっきり息を吹き込んだ。

「Appare Vestigium!(足跡 現れよ)」

 

杖の持ち手がラッパのように広がり、黄金食の光が老全体に広がると床にブラックの足跡が浮かび上がる。足跡を辿っていくとそれは部屋の隅で完全に途切れていた。

 

他に足跡も牢を出た足跡もない。これにはその場の全員が首を傾げるしかなかった。

 

「アテが外れたか...」

とブツクサ呟いたヤックスリーは目撃者がいないか話を聞くといって更に上の階へと階段を登っていった。

 

これに厄介払いができたとばかりにスクリムジョールはミケルセンに所見を求めた。

「何か分かった事はあるか」

 

「この魔法で追跡できない場合には大まかに3つあります。ひとつはかなり過去のもの。時期が空きすぎると遡れません。ふたつめに反対呪文で痕跡を消されていた場合」

 

「だがさっき魔法が使用された痕跡はなかった」

 

「3つめは対象が姿形を変えた場合です」

 

「ポリジュース薬か」

 

「魔法薬の可能性は否めませんが入れ替わった人間がいないので無理筋ですね」

 

「問題はそこだな。何も記録がない」

 

「...変身術では痕跡が残りますが、、、、動物もどきなら、その限りではないでしょう」

 

「奴が未登録のアニメーガスだというのか...?!」

 

「あくまで可能性の話です。何の根拠もない」

 

「いや、だがそれなら吸血鬼といい不可解な点の説明は付く。その可能性に気付けただけでもここに来た甲斐があるというものだ」

 

「ならいいんですが」

 

すると上から”収穫ナシ“と顔に書いてあったヤックスリーが戻ってきた。このまま全員で引き上げる形になるだろう。ここで一泊するなら泳いで帰ったほうがマシというものだ。

 

「何か分かった事はあるか」

先に切り出したのはヤックスリーだった。

 

「さっぱりだ。こうなるといよいよブラックに白旗を上げた方が早いかもしれんな」

 

「闇祓い局の局長がそのような物言いとは。些か問題ではないのか?」

 

「そちらはどうだったのだ」

 

「特に共有できる話もなければ手掛かりもなしだ。元よりまともに喋れる人間の方が少ない連中に期待はしていなかったが」

 

「そうでしょうな。仕事を投げて上の階の部屋を内見していたのではないかとこちらも少々心配していたのですが杞憂だったようだ」

 

バチバチである。ミケルセンはそのやり取りを涼しい顔で聞いていたがヤックスリーの後ろに控えていた数名はスクリムジョールの獲物を睨み付ける獅子の如くの表情にかなり居心地悪そうにしていた。

 

帰りの船では常に張り詰めた空気に船長は冷や汗を流していたがミケルセンが当たり障りもない世間話を始めたことで若干それは緩和された。

その後もスクリムジョールとヤックスリーが口を開く事はなかったが。

 

*  *  *

 

ホグワーツ特急でのディメンター襲撃を乗り越えたハリー達はホグスミート駅に到着するとハグリッドと遠くから挨拶だけ交わし馬車に乗り込んだ。すると降りた時にマルフォイ御一行が再びやってきた。

 

「ポッター気絶したんだって?それをロングボトムから聞いた僕は心配で心配で!大丈夫だったかい?」皮肉である。

 

「失せろマルフォイ」

 

「ウィーズリー、君も気絶したのかい?気絶する前にお手洗いは済ませていたんだろうね」

好調である。そのまま(君の家には着替えを買う余裕はないからねぇ)と続けようとしたがそうはいかなかった。

ロンが顔を真っ赤にしているのに対してハリーは少し首を傾けるだけでニコニコして涼しい顔をしていたのだ。この状況下で無言で笑顔の人間は無視できない怖さがある。ジニーはハリーの横に並ぶと列車の時よりも凄みを感じる冷たい目でマルフォイを静かに睨んでいた。続けておもむろにローブから何かを取り出すとジニー。右手には黒いカバーの本が握られている。ちなみに書店で購入した、ただのメモ帳である。8冊セットで1冊づつ色が違う商品で安売りしていたのをハリーがジニーにプレゼントしたものだ。

 

ところがマルフォイはそれを見ると急に静かになって冷や汗を流して何歩か後退りして今度は後ろに控えていたクラッブにぶつかっていた。

 

ドラコ・マルフォイは夏休みの間に父と母が秘密の部屋について話しているのを偶然聞いてしまったのだ。それは狼狽と後悔を滲ませる父の悲痛な声とそんな父をはっきりと責めていた母の強い叱責が廊下を歩いている時に聞こえてしまった為だ。

 

「どうしたんだい?」

緊張が走る中、次の馬車から降りたルーピン先生が騒ぎに気付いて穏やかな声で尋ねた。

 

「何でもないですよ先生。マルフォイが列車での話を聞いてわざわざ僕の事を心配してくれたんです」ハリーは穏やかな声で皮肉を返した。

 

 

「そうなのかい?」

 

「えーと、いえこれで失礼します。先生」

マルフォイは引き攣った声で雑な返事をするとクラッブとゴイルを引き連れて足速に城の石段を登っていった。

 

ロンは舌を出しながらマルフォイ達を見送ったがルーピン先生の手前だと思い出して舌を引っ込めると同時にハーマイオニーにどつかれていた。

 

黙々と石段を上がって大広間にゾロゾロと入っていく流れに身を任せていた時だった。

 

「ポッター!ウィーズリー!2人とも私の所においでなさい!」

ハリーとジニーは驚きを隠せずに振り向いた。ちなみに少し離れた所でフレッドとジョージが一瞬、マクゴナガル先生に目線を向けたがすぐにオレたちじゃないなとリーとの会話を再開した。

ロンは名前を呼ばれた時にビクッと体を震わせるほどで遅れて振り向いた。

 

「あぁ失礼、Mr.ウィーズリーはグレンジャーと行ってよろしい」

その鶴の一声にロンはよっしゃ!とガッツポーズしそうな勢いでハリーの肩をドンマイ!と言わんばかりに軽く叩いて再び振り返ると妹を心配する素振りはあったが軽快な足取りでハーマイオニーとみんながいる列に戻っていった。

 

「そんなに心配そうな顔をしなくてよろしいポッター、Ms.ウィーズリー。ちょっと私の事務室で話があるだけです」

その言葉にハリーとジニーは顔を見合わせると少し緊張の糸が溶けた。

 

マクゴナガル先生に付いて行ってやがて事務室に着くと部屋の暖炉の火がパチパチと時折、小さい音を鳴らしながら勢いよく燃えていた。蝋燭の火と相まって暖かい色に包まれている小さい空間は心地よかった。

 

マクゴナガル先生はハリーとジニーに3人掛けだろうかアンティーク調の小さめのソファに座るように促した。

 

「ふたりとも紅茶で構いませんか」

ポッドを持ちながら先生は穏やかな口調で言った。その声色にハリーは僅かに残してた警戒を解くと揃って頷くようにジニーと返事をした。

 

お湯を注ぐ音を合図に茶葉の香りが鼻をくすぐる。先生が杖を撫でるように優しく振るとティーカップはチョコレートが置かれている目の前の机にコトンと音を立てて収まった。向こう側の椅子に先生も腰掛けると穏やかな口調で切り出した。

 

「ルーピン先生が前もってフクロウ便をくださいました。まずは無事で何よりです」

 

ハリーは自分が気絶した話だと悟ると顔が熱を持ってジンジンとする感覚を覚えた。それだけでも恥ずかしいがジニーに膝枕されて介抱されていた事を鮮明に思い出すとこの話は今すぐにでも終わらせたかった。

 

「僕、大丈夫です。他に話がないならこれで」

 

ハリーがそう言うと同時にマダム・ポンフリーが入室。去年のコンビを見るや否やまた貴方達かとなっていたがそれをマクゴナガル先生は吸魂鬼が原因だと代わりに釈明していた。

 

「ディメンターを学校に放つなんて魔法省は何を考えているのかしら」

 

「校長先生が仰るには大臣やスティーブン...執行部がこれでも数を削ってくれたそうなのよ」

 

「それじゃ場合によっては今より多い数がホグワーツに送り込まれてたというの?」

ポンフリーはゾッとするばかりに反応した。

 

これには全員が同じ思いを抱いたようでハリーは心に流れ込んでくるような寒気を感じたし、ジニーは無意識にハリーのローブの袖を掴んでいた。

 

「本当に大丈夫なのですかポッター」

 

「はい。ルーピン先生がチョコを配ってくださいましたし、今は何ともありません」

 

その言葉で去年に続いて防衛術の教師に恵まれたとマクゴナガル先生とポンフリーは好意的な反応を示した。

 

「Ms.ウィーズリー、貴方はどうですか」

 

ジニーは気絶こそしなかったが他の人より強い影響を受けていた。去年の悍ましい出来事を鑑みればそれは当然だろう。それもあってハリーと一緒に呼び出されたのだ。

 

「私も大丈夫です」

その声は気丈なものではっきりとした物言いだった。

 

その様子に2人を医務室に送るのは逆効果だと判断した教師陣はいつでも相談に乗ると締め括ってハリーとジニーは大広間に返された。

 

「新学期早々に呼び出されてビックリしちゃった」

 

「ごめんねジニー。何だか巻き込んじゃったような形になってしまって」

 

「きっと私だけでも呼び出されていたわ。だからハリーが一緒で良かっt..たわ......」

語尾を言い切ると同時にジニーは顔から湯気が出るように頬を赤く染めてしまっていた。

 

「ありがとうジニー」

ハリーはチョコを食べた時なんかよりずっと心が温かくなる感覚を覚えながら大広間に続く階段を登っていった。

 

 

 

 




誤字、脱字は随時、修正して参ります。
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