HarryPotter 魔法省魔法法執行部公安局 作:Firebolt08
とりあえず書き殴りました。
一度、談話室に戻ったハリーはローブを部屋に置いてネクタイを外した。シャツとズボンでなるべく作業がしやすい格好になるとロンと別れて寮室を出て階段を降りると談話室にいたジニーが近付いてきた。あまり明るい表情ではなかったが間違いなくハリーのシャツ姿を拝んでいた。
「やぁジニー、どうかしたかい」
「そのこれから、ば…罰則なの?」
「スネイプ先生とミケルセン先生と一緒に暴れ柳の包帯を替えるんだ。すぐに行かなくちゃならないけど何かあった?」
ジニーは一旦、口を開いたが押し黙ると小さい声で言った。
「うん大丈夫。気を付けて…」
「ありがとうジニー。それじゃ行ってくるよ。その…話したいことがあったらいつでも大丈夫だからその時は遠慮しないで相談して?ハーマイオニーでも僕でも力になるよ。もちろんロンもね」
少し笑って頷いたジニーに見送られながら談話室を出るとマクゴナガル先生が待っていた。城の外に出て庭に行くと包帯やら薬品の山を運んでいる姿が見えた。
ミケルセンは伸縮自由な脚立をいくつか置いて丁寧に包帯を取り外し始めた。スネイプはコブに座りながら薬品の確認をしていた。スネイプは顔をあげるとやって来たハリーに気付いた。コブに枝を乗せて立ち上がった。
「ご到着のようだなポッター」
「スネイプ先生こんばんは…」
「ほぉ。何故こんな時間に我輩がここに居るのかを承知の上でこんばんはと言ったのかね?」
「すいません」ごもっともではあるが流石に理不尽だとハリーは思った。
「セブルス」
ミケルセンが嫌味を諌めるように上から名前を呼ぶ。それを無視したスネイプは説明に移った。
「さてと…今回の作業だが我々が薬品に浸したガーゼや包帯を巻いたらその上にこちらの乾いた包帯と添え木をしていくのが主な仕事となる。質問はあるかね」
「ありません」
「よろしい。くれぐれも作業に手を抜かないようにすることだポッター。これも説明しておこう。この根元のコブは暴れ柳が文字通り暴れ出さない為に抑えておく場所だ。この作業において最も注意を払うべき点といえる。もし、やる気のない緩慢な動きを少しでも見せれば我輩も眠気を誘われて、ついうっかりとこのコブから離れてしまうやもしれん」
「それだと私も巻き込まれるんだが」上からミケルセンの声が聞こえる。
「………」
「なるほど一石二鳥って事か。ハリー、そこの包帯を無理ない範囲で持って来てくれるかな」
ミケルセンはわざとらしく悲しげな声で納得するとハリーに上がってくるように促した。
ハリーが脚立を上がると自然と横に広がった脚立は充分に落ち着いて作業ができるサイズになった。
それからスネイプが杖で薬品に浸したガーゼや包帯を杖でミケルセンの元まで浮かべてミケルセンが手作業で巻いたり貼る。そこにハリーが添え木や包帯を重ねていく作業が始まった。暴れ柳にしばかれたくなかったハリーは焦って失敗しないように気を付けながら出来る限り早く作業するように心がけた。途中でスネイプとミケルセンが役割を交代した時にハリーは息が止まる思いだったが黙々と真面目に作業していたので顔は不機嫌そのものであったスネイプもそこから特に文句は言わなかった。何時間か経った頃に全ての枝の治療が済むとミケルセンに寮まで送ってもらったハリーはそのままベッドに倒れ込んだ。
* * *
機嫌の悪いフィルチに捕まったり、絶命日パーティーの帰りにハリーだけが悍ましい声を聞いてそれを辿ったらフィルチの猫が石にされた現場に居合わせたり何かと運のないハリーだったが10月が過ぎ、秘密の部屋が開かれたという血文字の一件から数日が経った。あの件以降、不思議とジニーの様子が気になっていたハリーはなるべく声をかけていたが最近はどこかジニーの反応がよそよそしくなっていた。パーシーや兄弟が声をかけてもそれは変わらなかった。
そんな中、マルフォイを容疑者としたハリー達は談話室にポリジュース薬で潜入して話を聞くという算段を立てたが肝心の本が禁書の棚で手詰まりとなった。殆ど断念していたが最後にダメ元でミケルセンに頼んでみることにした。
「その…どうしても気になる内容で」
「………ポリジュース薬かい?」
その返しにハーマイオニーは口を閉じてしまい、後ろのハリーとロンもあちゃーという顔をしていた。
「スリザリンの談話室や職員室かで何か話を聞けたらって感じかな」
見抜かれている。そこでハリーは思い切って言ってみることにした。
「僕たち、マルフォイが怪しいと思って」
「ハリー…!」ハーマイオニーが咎めるようにハリーの名前を呼んだ。
「なるほどね…発言から垣間見える思想なんかは事件や部屋の伝説に沿ってるからかい?着眼点は悪くないが彼ではないよ」
「もしかして既に調べてたりするんですか?」
「調べる程でもないけどあるゆる可能性に対して確認は当然、取っている。君たちも荷物検査を受けただろう?生徒を疑うような真似はしたくないけどこればかりはね。魔法省でも出来ることは少ないが動いている」
「じゃあやっぱり怪物がやったの?」
「人ではない存在の可能性も含めて先生方は目を光らせている。今のところ収穫はないけどね。その上で申し訳ないけどこの本の許可は出せないよ。ポリジュース薬を作るには校則をかなり破るだろうからね」
「はい…すいません」
「それに鬼と化したモリーがホグワーツに乗り込んで君を引っ張って連れ帰る姿はできれば見たくない」
「うっ…それはいやです」ロンは容易に想像がついて怯えた顔つきになった。
「だろ?警戒するのも正しいし、事件について気になるのも当然だがあまり無茶はしないように。去年のように上手くいく保証はないからね」
ミケルセンとの話で分かったことは都市伝説が本当かもしれないことと未だ犯人に検討がついていないことだった。ただマルフォイや自分たち下級生では起こせない事件だというのがはっきりとした。
土曜のクイディッチの試合でハリーはブラッジャーにストーカーされた。あまりにおかしな挙動にフーチ先生も度々、笛を鳴らして確認していたがその時だけ、もとに戻っているのだ。なんら異常が確認できない。それからも同じことが続いてフーチ先生はそのブラッジャーをしまって試合を再開した。それから少しは平和だったがすぐにもうひとつのブラッジャーもハリーをストーカーし始め、没試合になる前にスニッチを取って試合こそは勝ったもののハリーは腕を骨折してしまった。スニッチを取ってからも止まらないブラッジャーをフーチ先生とミケルセンが破壊したことでようやく競技場は落ち着きを取り戻した。その後、打撲を理由に大事を取って医務室に一泊させられたハリー。医務室は静かなものだったがなんとなく寝れずにいると石にされたコリンクリービーが運ばれ、秘密の部屋が再び開かれたというダンブルドアの言葉を聞いた。
* * *
遂に生徒に被害が及んでから1週間が経った頃、フリットウィックの提案で決闘クラブが開催されることになった。生徒達の自衛意識を少しは高められたらという目的だ。
「今日は授業終わりで皆さんお疲れの中、よく来てくれました。有志の先生方で決闘もとい防衛クラブを始めるお許しを校長先生から頂きましたので僭越ながら元ではありますが決闘チャンピオンの私とミケルセン先生にスネイプ先生で初回は進めさせて頂きますよ」
ミケルセンは浅く一礼したがスネイプは微動だにしなかった。
「まずは簡単に作法を紹介してから私たちがお手本をお見せしたいと思います。おふたりにお願いしてもよいですかな。最初は武装解除呪文辺りからお願いします」
フリットウィックに促された2人は舞台に上がる。現役の闇払いである防衛術の教授と闇の魔術に関する専門家でもある魔法薬学教授の決闘。
夢のドリームマッチに上級生を中心に盛り上がる声が上がる。スリザリンやグリフィンドールに限らず我こそがと最前列で見ようと生徒は中央に集まり出した。ウィーズリー兄弟はどっちが勝つか仲間内で賭けようとし、ハリー達はどっちが勝つか冷静に予想しつつも場合によってはスネイプがぶっ飛ばされるのを見れるかもしれないという残酷な期待を胸に抱いていた。
スネイプとミケルセンは向き合って一礼した。お互い無駄のない所作である。
「ご覧のように、決闘においては作法に従って杖を構えます。三つ数えて最初の術をかけます。当然、相手に致命的な傷や死をもたらす呪文は禁止です」
フリットウィックの解説が続く。
「いち……に……さん」
フリットウィックのカウントの直後、先に動いたのはスネイプだった。
「Ex……pelliarmus!!」
彼が武装解除呪文を叫ぶと目も眩むような紅の閃光が凄まじい速さで走った。
ミケルセンは内心少しだけ焦りつつ、ギリギリ杖でいなすと呪文は明後日の方向に飛んでいき、大広間のかなり高い壁の部分に焦げ跡が付く。ミケルセンは少し苦笑いをしていた。
「…今のが武装解除の術です!基本的には当たった相手は杖やその他武器が手元を離れて文字通り武装解除されます。今のように威力が強いと当たった際に本人が飛ばされる場合もありますので生徒の皆さんは練習の際は気を付けるように!それでは続きをお願いします」
来た…!生徒達は始まったと言わんばかりに舞台に釘付けになった。
それから武装解除呪文や失神呪文の応酬が始まる。最初は声に出していたふたりだったが段々と無言になり、呪文が放たれる速さがヒートアップしていく。
呪文をいなす為に振った杖の動きをそのまま利用して反撃し始めた所でほぼノータイムで閃光が飛び交い始めた。
するとミケルセンが少しタイミングをずらし、呪文を身体で避ける。さっきまでの呪文ラリーの流れを断ち切られたスネイプは咄嗟に防御呪文を展開する。
連続して放たれた閃光を防ぐとスネイプは斬撃を放った。
ミケルセンはそれを捌くも着ていたコートはバッサリ切られた。これは後でスネイプに文句を言った。
趣向を変えて人体に影響のない炎呪文を連続して放つミケルセン。スネイプはローブを脱ぎ捨てながらそれを盾状に変形させ、炎を受け止める。杖を頭の上で一回転させると炎に包まれたローブに魔法を上乗せしてそれを放った。結果的にローブが燃えて灰になったのでスネイプは後でミケルセンに嫌味を言った。
ミケルセンは杖を持つ手に左手を重ねてこねるような動きをしてから素早く腕を振ると迫っていた燃え盛るローブは沢山の小鳥へと姿を変え、彼の周りを漂った。
生徒達はおー!と感嘆の声を上げ、パラパラと拍手した。
Oppugno(襲え)
ミケルセンが無言呪文で杖を振ると小鳥が一斉にスネイプの元へと向かっていった。大量の小鳥に襲われたスネイプは杖で順次跳ね除けていく。そこにミケルセンが叩き込んだ武装解除呪文をギリギリでいなしたところでフリットウィック先生の「そこまで!」という声が響いた。
一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手と歓声が上がった。ミケルセンとスネイプの両者を称えるものである。テンションマックスで盛り上がる生徒達だったが上級生の一部は本職の実力に若干引いていた。
フリットウィック先生が「素晴らしいお手本を見せてくれました!」という興奮冷めやらぬ声で言ったが、参考には全くならないというのが生徒全員で一致していた。
それからハリーはマルフォイと組まされ、武装解除や失神呪文と防衛呪文を基本にするように言われたルールを早々に破って呪いあっていた。周りも含めて無秩序になってきたタイミングで教師陣はすぐにストップをかけた。初回の締めくくりとして何組か中央でモデルを募り、上級生の何組かの決闘を見学して終わりを迎えると思ったが最後にハリーとマルフォイですることになった。
そこでマルフォイがカウント中に放った蛇はまっすぐとハリーに向かってきた。スネイプがすぐに追い払おうとしたが先にハリーが蛇と話して落ち着かせていた。
蛇を使って誰かを襲っているわけでもなかったが蛇語を話している所を他の生徒達は畏怖の目を向けていた。スネイプがすぐに蛇を消し去るとミケルセンはハリー達を促して大広間から一緒に出た。フリットウィックは初回の決闘クラブの終わりを告げて稀ではあるが蛇語が喋れる者はいると説明してダンブルドア校長も喋ることができるとフォローを入れたがそれから生徒達がハリーに疑いの目を向けるのを辞めるには至らなかった。
フレッドとジョージがむしろネタにしてくれたことはハリーにとってありがたい話だったがジニーはかなり気にしているようだった。ハリーはジニーの様子がかなり心配だったが今の自分が話しかけてもあまりいいことにはならないと思っていたので無理に近付かなかった。
* * *
それから継承者は動きを見せなかった。コリンクリービーの一件以降に被害は出ていないのだ。それは喜んでいいことだったが教師陣は手がかりを掴めないということも意味していた。
ある日、水漏れがひどいことになっていたマートルの住むトイレでハリーは日記帳を拾った。それはトム・M・リドルという人物のものだった。それは白紙だったインクを通して意思疎通ができる代物で秘密の部屋について聞いたハリーはとある記憶を見せられた。
それをロンとハーマイオニーに話し、3人で議論を重ねたがイースター休暇に3年生からの選択科目を選ぶ課題にも悩まされていた。クイディッチの練習もあり、忙しくしていたが日記の話も選択科目もぴったりな相談相手がいるとなってクイディッチの試合前日ではあったが先生の予定も空いてる夕方に3人は防衛術の教室を訪れた。
「紅茶で構わないかな」
「ありがとうございます。それで選択科目のことで聞きたいことがあるんです」まず話を切り出したのはハーマイオニーだった。
「そうか、2年生はこの時期だったね」
「あの全部の科目を選択する事は可能なんでしょうか?」
このひと言にロンはドン引きしていたがハリーは被っている時間割を見て確かに気になるとは思った。
「できない事はないよ。特例でそういう方法が認められているんだ」
「どんな方法ですか?」
「非常に特殊な方法とだけ。あまり漏らしていい話じゃないんだ。そして、私個人としてはその手段を取るのはあまりおすすめしない」
「何か危険を伴うんですか?」
「ある意味でね。ミスグレンジャーなら問題なく実行できると思うがまぁとにかくその方法は疲れるんだ。これは経験談だよ。だから取れる科目は取って被っている授業はどちらかを諦めるのが無難だと私は思うね。そうだね…決めるのは勿論、君だがマグル学と占い学に関しては無理に取る必要はないかもしれない」
「でも…」
「マグル学は魔法使いの視点からマグルについて学べる魅力があると言えるがかなりね…勘違いが多いんだ。昔に比べると改善されてきたが道のりは遠い。結局は正しくマグル社会を認識しているかどうかなんだよ」
「確かにそう言われると納得してしまいます。でも占い学もですか?」
「数占いというのもあっただろう。数占いが理系、占い学は文系というイメージを持つといい。占い学はやや抽象的なんだ。感覚的な部分に重きを置いてるから肌に合わない人も少なくない」
「なんとなく先生の言いたい事はわかる気がします。もう少し、考えてみますね」
「そうするといい。マクゴナガル先生ともよく話し合うようにね。男子2人は大丈夫かい?」
「話を聞いてマグル学は取らないと決めました」
「数占いはやめときます」
ハーマイオニーとは真逆の感想でミケルセンは思わず笑った。
「他にも聞きたいことがあると言ってたね」
「あー…そのできればここに留めておいてほしい話なんですけど」
「話にもよるが可能な限り、約束しよう」
それからハリーは拾った日記と記憶を見せられたことを話した。静かに相槌を打ちながら聞いてたミケルセンだったがトムリドルの名前を出した時に表情を変えると部屋の空気は一変した。
「今なんて言った?名前だ」ミケルセンはかなり急いだ口調で尋ねた。
「えっと…トムリドルです」
「ミドルネームは書いてあったか?」
「たしかMだったと思います」
「m…マールヴォロか…その日記は今どこにある」
「寮部屋の寝室にあります」
「寮部屋に案内してくれ」
困惑した3人だったが質問に答えてくれそうな様子ではなかったので小走りで寮室に向かうことになった。
談話室を抜けて部屋に着いたがそこにはパニック状態のネビルと荒らされた寝室があった。深刻な表情をしたミケルセンが寝室に向けて杖ををゆっくり振った。滅茶苦茶になった家具やベッドが治っていき、部屋は元通りになったが日記は出てこなかった。
「先生…あの日記に何か」
「……かなり危険な代物である可能性がある。これは周りに口外してはいけないよ。この件は私の方で…先生方が調べる。ダンブルドア校長にも当然伝えると約束しよう。ハリーは明日のクイディッチに集中するんだ。試合が終わってからならいくらでも質問に来て構わないから」
「分かりました。部屋を治してもらってありがとうございました」
「いいんだ。日記のことを知らせてくれてありがとう」
疑問は大いに残ったハリーだったが気持ちを切り替えるように言い聞かせて眠りについた。無事に朝を迎えてクイディッチに臨もうとしたが試合は中止された。試合前に別れたハーマイオニーが石にされたのだ。
誤字脱字は気づき次第、修正して参ります。