HarryPotter 魔法省魔法法執行部公安局 作:Firebolt08
ハリーとロンがジニーに肩を貸しながら扉を開くと中にはウィーズリー夫妻とダンブルドア、マクゴナガルが一斉にこちらを見た。
一瞬、静寂が訪れた部屋はモリーの娘の名前を叫ぶ声だけが響いた。モリーとアーサーは娘に駆け寄って抱きしめた。ハリーは一歩引いてその様子を見守りながら視線はダンブルドアに移っていた。
するとアーサーはロンを思いっきり抱きしめ、ロンは照れくさそうにしながら「息苦しいよパパ」と返事をしていた。その様子に笑いそうになったハリーだったがその瞬間にモリーに抱きしめられ、もちろん嬉しかったが本当に息苦しかった。
モリーは感謝と何が起きたのかをハリーに尋ねた。それにマクゴナガル先生も同意した。
ハリーは秘密の部屋で何があったのか、どうやって脱出したのかを語った。トムリドルとの会話はこの時、あまり話に出さなかった。するとダンブルドアは口を開いた。
「ハリー、日記は見つかったかの?」
「はい。これです」
ハリーは穴が空き、焼けこげたぼろぼろの日記を出した。
ダンブルドアはそれを手に取るとページを捲ったり、しばらく観察すると
「見事じゃ…これがヴォルデモート卿が今年、秘密の部屋を開くのに使った鍵そのものだったのじゃろう」
ダンブルドアはトムリドルとヴォルデモートについて語ったがモリーはそれと娘に何の関わりがあるのか全く分からなかった。
しかし、その疑問に答えたのはジニーだった。ジニーは日記に何をして何をされたのか泣きながら語った。途中でダンブルドアは話を中断してジニーに今すぐに医務室に行くように勧め、扉を開けた。
続けてダンブルドアはマンドレイク薬で治療が済んだことを伝え、ハリーとロンに校則を破ったら退学処分というのを撤回して特別功労賞を授与すると宣言した。
それからウィーズリー夫妻にジニーとロンは医務室に行くべく部屋を出て、宴を催すとキッチンに知らせに行くためにマクゴナガルもその場を後にして残ったのはハリーとダンブルドアのみになった。ダンブルドアはハリーを労うと座るように促した。
「それでハリー。トムリドルと会った訳じゃな」
「はい……ーー
それからハリーは自分がヴォルデモートと似ていると言われたことを打ち明けた。それにダンブルドアはゴドリックの谷でヴォルデモートの一部がハリーに移ってしまったのだと説明した。それからも会話が続いたが最後にハリーは聞きたいことがあった。
「奴が言ったんです。僕はジニーに惹かれているって、何かに引き寄せられているようだって」
「ハリー…それについてもわしは答えることができる。じゃがそれはひとつの可能性じゃ。聞かなくても何ら支障もないじゃろう。それでも聞きたいかの?」
「聞かせてください」
「この1年、ホグワーツに入学して早い段階でジネブラウィーズリーはトムリドルによって蝕まれていったのじゃと思う。最初は誰もが気付かないほどじゃったが段々とヴォルデモート卿によって体や意識が乗っ取られるほどに侵食が進んでいた彼女に君が親愛とは別の言葉に出来ない親近感を覚えるのは無理のない事じゃろう」
「それってさっき言ってたヴォルデモートの一部が…?」
「どちらも同じ存在から生み出されれたものじゃ。気付かぬうちにそれ同士が引き合っていた可能性がある。故にそれを感じ取ったヴォルデモート卿は引き寄せられているという言葉を使ったのやもしれん」
「じゃあ僕が見ていたのはジニーじゃなくてヴォルデモートだったんですか…」
「おっとそれはちと早まった考えじゃのハリー。今言ったのはあくまでも私の推測でひとつの可能性じゃ。確かにきっかけのひとつにはなっていたかもしれん。しかしじゃしかし…君が人一倍優しく、親友やその妹を大切に思い、他の人では気付きにくい心の機敏を読み取っていたのだとワシは思う。君の彼女を想う気持ちに他者の意思はどこにも介在しないとだけ言っておくとしよう。君だけの美しい想いに他ならない。この答えで満足してくれるかね」
「はい…」ハリーはその回答で相談していたことを自覚して途端に恥ずかしくなった。顔が熱くなるのを感じる。ところがそんな甘酸っぱいことを考えるどころではなくなった。
ルシウスマルフォイが血相を変えて部屋に入ってきたのである。
「ダッ…ダンブルドア!息子が…!ドラコが!何かの間違いなんでしょう!私を誘き出す為の罠だと」ルシウス・マルフォイは不安定な足取りでダンブルドアに縋るように迫った。ナルシッサと共にホグワーツにすっ飛んできたルシウスは医務室に案内されたが石にされたドラコを見るのがあまりに怖く、先に校長に会おうと妻と分かれてここに来ていた。
「今晩は、ルシウス。ドラコは今、医務室でマンドレイク薬で治療の真っ最中じゃろう。今頃、一緒に来たナルシッサ夫人が面会しているのではないかの」
「そんな…」
ルシウスは校長室で膝から崩れ落ちんばかりだった。サラサラの白髪もどこか乱れて顔には冷や汗が滲んでいた。
口の開かないルシウスにダンブルドアは他の理事に戻ってくるように頼まれたことや日記をハリーとロンが見つけて解決したこと。ミケルセンがスリザリンの生徒を身を挺して守ろうとしたことを簡潔に伝えてこう続けた。
「ルシウス、これでよく分かったじゃろう。ヴォルデモート卿に仲間意識や他者を尊重する気概も何もない。純血思想などは奴にとって都合のいい旗印に過ぎないのじゃ。スリザリンの継承者を名乗りながら邪魔なものを消す為にスリザリンの生徒が大勢いた中で襲った」
「それは」
「スティーブンが居なければ自分の息子は襲われなかったとでも?それはあまりに無責任な考えじゃ。彼は狙いが自分だと悟りながら生徒の避難を優先させたのじゃ。あの状況で死者がいないのは奇跡と言ってもいいじゃろう。そして、ドラコは転んだ友人を助け起こす為に行動した結果、石になってしまった。私はそう聞いておる」
「……………わっ…私は」
「この破壊された日記は何も語らぬ。その上で忠告しよう。ヴォルデモート卿の昔の学用品をばら撒くのはもうやめるべきじゃ。そして、身の振り方を今一度、考えるべきじゃ」
ダンブルドアは破壊された日記を掲げると穏やかながら冷たい口調で言った。
「証拠は…」
「ない。だが同じことを繰り返せば誰よりもアーサー・ウィーズリーや公安局が入手先を突き止めるじゃろう」
ここで自分がこの場で言う事が正しいか葛藤したハリーだったが口を開いた。
「ドビーが学期前に家に来て警告してくれたんです。ホグワーツに戻ってはならないって。ずっと怯えながら自分で体を痛め付けて」
ドビーは小さく悲鳴をあげて縮こまり、ルシウスは顔を怒りで染めた。
「なっ…何だと」
「分かっていたんじゃないんですか。ヴォルデモートの本性が何か、あなたよりも。ドビーは僕を心配してくれたように仕えていた主人とその息子も心配していたんじゃないですか?あなたの企みがうまく行けば場合によっては人が死ぬ。それに息子が巻き込まれない保障もない。実際マルフォ…ドラコは巻き込まれた。貴方が今まで虐げてきた、しもべ妖精がいかに主人に忠実だったか、あなたはは知るべきだ」
すると怒りから呆けた表情になったルシウスはしばらくドビーやハリー、ダンブルドアに目線を移しながらしばらく押し黙ると意を決したように手袋を外してそれをドビーに投げた。
「洋服だドビー。これからは好きに、自由にするがいい…私はこれで失礼する。息子に会わなければ」
そう言い残すと回復した息子に会う為にルシウスは部屋を後にしていった。
手袋を渡されてしばらく動かなかったドビーは既に部屋を出た主人に小さく感謝を述べるとハリーに話しかけた。
「ハリー・ポッター!あなたのお陰です!」
「ごめんねドビー。この場で言うべきか分からなかったのに無責任だった」
「とんでもありません。あなたの言葉が私を自由にしてくれたのですから!ですがハリーポッターに謝らないといけないことがあります」
「駅の通路を塞いだり、ブラッジャーでハリーを狙ったことかの?」
「そうでございますダンブルドア校長様。わたくしはとんでもないことをしてしまいました」
「君だったんだね…」
それからドビーと別れてダンブルドアに見送られながら部屋を後にしたハリーは医務室に向かった。隅のベッドで両親に抱き締められてボケーとしているドラコ・マルフォイと目が合った。ハリーに見られていることに気付いたドラコは頬を赤くしながら顔を背けた。
ルシウスは目線をずらしたがナルシッサはハリーと目が合うとバツが悪そうではあったが僅かに会釈をした。ハリーも会釈を返して先に進むとウィーズリー家とハーマイオニーが揃っていた。
ハーマイオニーと再会のハグと言葉を交わすとベッドから出てきたジニーはハリーの元へ歩いてきた。
「私、ハリーが何度も話しかけてくれて嬉しかった。あのほんとにごめんなさい」
「ありがとう。気にしてないよジニー。僕も最後の最後まで肝心なところには気付けなくてごめんね」
「いいの。お兄ちゃん達と同じ以上に心配してくれたでしょ。あのだからこれからは迷惑じゃなければいっぱい話したい。それで夏休み中に手紙送ったりしていいか聞こうと思って」
「勿論!どんな話も聞かせて絶対返事書くから。あの家はいるだけで気が滅入るんだ…それともし可能だったら電話をくれたら嬉しいよ。改めてこれからもよろしくね。学校でもいつでも話そう」
「うん!私からもがんばって話しかけるから…」
「大歓迎だよ」
耐えきれなかったモリーは泣きながらふたりをまとめて抱きしめた。
抱きしめる強さに少し息苦しくなったハリーはジニーと至近距離で目が合う。気付くとハリーは彼女の涙を拭っていた。ハリーが我に帰るとジニーは隠れ穴で最初に出会った時よりも真っ赤な顔になり、俯いていてしまった。パーシーはその場面を微笑ましく見ていたがアーサーとロンはそうはいかなかった。アーサーは娘とハリーの様子は微笑ましく嬉しいものだったが父親としてどこか複雑なものがあった。ロンはただただ渋い顔になっていたがハーマイオニーに小突かれていた。フレッドとジョージは穏やかに見守っていたが内心ではこれからどうやっていじり倒そうか考えていた。しかし、先にその標的は彼女が居ると後に判明したパーシーへ向けられる事になる。
* * *
「調子はどうかねスティーブン」
「お陰様で…ご迷惑をおかけしました。ですが…やはり防衛術の教授は2度とごめんですね」
「うむ…生きていて何よりじゃ。そして、わしがいない間、生徒を守ってくれたこと本当に感謝している」
「生徒は私を狙った襲撃に巻き込まれたようなもんですからね…死者が出なかった事は不幸中の幸いですよ」
「そして…これがその日記じゃ」
「これに私はしてやられた訳だ。引退を考えるべきかもしれませんね」
「恐ろしいことを言うもんじゃのうスティーブン。して…どう思う?」
「既に紙屑と化していますがかなり高度な…悍ましいほどに見事な品だと」
「同感じゃよ。これの日記はジネブラウィーズリーの魂を喰らい、復活を成し遂げる寸前まで至っていた」
「魂ですか」
「そうじゃ」
「まさか……………分霊箱?」
「その可能性が高いとわしは考えている。そして……去年、君とわしで城を調査した時に見つけたこの、レイブンクローの髪飾り…」
そう言うとダンブルドアは後頭部出張ヴォルデモートが何か仕掛けてないか城を確認しとこう調査の3回目で偶然発見した部屋にあった髪飾りを出した。高度な闇の魔術が施されていた髪飾りは回収され、箱に封印して校長室で保管していたのだ。
「わしはこれが日記と同じ類のものだと考えておる」
「同じ忌避感を感じますね。ですがこれもなんて、あれは複数作ることを想定してないはずだ」
「その通り。ひとつ作るだけでも人としての価値が著しく損なわれる代物じゃ。それを複数など…どんな代償を払うことになるか想像も付かぬ。あのゲラート・グリンデルバルドでさえも手を出さなかった手法…じゃが、奴の不死性とあの霞のような姿と辻褄が合う。これがそうなのか確かめるには」
そう言うとダンブルドアは髪飾りを床に置いて、ゴドリックグリフィンドールの剣を構えた。意を決したようにそれを振り下ろすと髪飾りはドス黒い液体と煙を吐き出し、恐ろしい悲鳴が校長室に響き渡った。それが静かになると恐る恐るダンブルドアがそれを拾い上げる真っ二つに切られて、ただの壊れた髪飾りになっていた。
「こうするのが手っ取り早い。残念ながら当たりじゃったようじゃの」
「ゴドリックグリフィンドールの剣なら分霊箱の破壊ができる?」
「正確にはバジリスクの毒を吸収したゴブリン製のこの剣ならじゃろう。バジリスクの毒や熟達した魔法使いによる死の呪文、悪霊の火など毒は毒を持って制すと言う訳じゃな」
「問題は…これがあと幾つあるのか、そして何処にあるのかという事じゃよ」
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