Re:Roseliart Online 作:ユイトアクエリア
side 燐子&あこ
『もうすぐだよりんりん!SAOの正式リリース!』
「うん。楽しみ、だね」
りんりん、と呼ばれた彼女の名は白金燐子。Roseliaと呼ばれるバンドのキーボード担当。
そして、幼さが残る声でそう呼んだのは宇田川あこ。同じくRoseliaのドラム担当。
『あこ、もうドキドキが止まらないよ~!』
「うん...私もだよ...。」
『あ!いつでもログインできるように準備しとかなきゃ!』
「あ、そうだね。私も、用意しておこう...」
『じゃありんりん!また
「うん。またね、あこちゃん」
携帯をベッドの上に置き、ナーヴギアをもって一息つく燐子。
2人はSAOのβテストに運よく当選しており、優先購入権を獲得していた。
最初は2人だけ、という話だったのだが、あこが、
「みなさんもやりましょうよ!きっと楽しいですよ!」
と、半ば強引に誘った結果、SAOをRoselia5人でプレイすることとなった。
ナーヴギア、及びSAOも運よく買えたようだった。
「皆さん、大丈夫でしょうか...」
事前にグループチャットの方で、
『ログインが完了したら、噴水の近くにいてください』
『私とあこちゃんは、現実と同じような見た目をしているので、すぐ分かると思います(*^^*)』
彼女の懸念点は、心配なのは噴水に集まれるか、では無くログインが5人でできることである。
βテスターでは無い他の3人は、ゲームという文化にあまり触れてきていないからだ。
「あっ、時間が...」
時計を見ると、1時になる二分前だった。
ナーヴギアを被り、目を閉じる。そして自分を異世界の住人へと変化させる言葉を唱える。
「リンク・スタート」
side友希那&リサ&紗夜
「リサ、これはここに入れるのであっているのかしら」
「うん、OKだよ!それと紗夜、前はこっちね?」
「わ、わかっています。ですが、何分初めて触るものなので...」
Roselia、非βテスター組は、リサの家に集合し、SAOをプレイするための初期設定を行っていた。
メッセージだと見る・送るという動作で手間を取られるため、また電話だとどこがどうという詳細が分からないために、このような形が取られた。
「それにしても、不思議ね」
「え?何が?」
「頭を覆うだけなのに、自分の体を触らせられるなんて。」
「キャリブレーション、と言っていましたからね。調整する、の意の通り、自分のアバターが違和感なく動くようにするための工程なのでしょう」
紗夜の博識っぷりに感動を覚えてからふと時計を見ると、あと1分で1時になるというところだった。
「あ、やば!そろそろログインするよ!」
リサの声に3人はいっせいにナーヴギアを被って、言葉を放つ。
「「「リンク・スタート!」」」
「あっ...」
目線を上げる。そこにはβの時と変わらない景色があった。
アインクラッドの地を再び冒険できる、とある種の感度を覚えていると、
「りんり〜ん!!」
向こうの方から、名を呼びながら駆け寄ってくる女の子...《Ako》がいた。
「あこちゃん。さっきぶり」
「うん!友希那さん達はまだかなぁ?」
「もう少ししたら来るよ、きっと」
伝え忘れていたが、彼女の名前は《RinRin》。
あこの方は、本当は別のゲームで使っている名前にしようかと考えたそうだが、漢字が使えず、長くなってしまうのでこの形に落ち着いたようだ。
「あなたが、《RinRin》?」
ふと、背中の方から声が聞こえた。
身長は同じぐらいの女性。見覚えがないので首を傾げていると、その女性を追いかけてきたであろう2人と目が合った。
「わぁ〜!そんなそっくりにできるんだ〜!」
「想像以上に似ていました、驚きです」
「あ、もしかして、湊さんに氷川さん、今井さん、ですか?」
「そうだよ〜☆あ、でも、ここじゃリアルネーム禁止なんだよね」
ということはさっきの女性が友希那ということになる。
「ここでの名前は《Yukina》と言うわ。こっちは《Sayo》、こっちは《Lisa》よ。改めて、よろしく」
ーーここでのとか言うけどリアルネームそのままなのはどうかと思います。
とは言わない。自分の親友もそうなのだから、そこを付かれてしまったらいけない。
現実とは違うが、それでも美しい声で自己、他己紹介を済ませ、RinRinの指導の元フレンド、パーティ登録を済ませる。
「それじゃあ、みなさん集まったので、簡単なところからレクチャーしたいと思います。(`・ω・´)」
「この世界の攻撃システムはめちゃめちゃわかりやすいから、見てればみなさんすぐ理解できると思います!」
「まずは、さっき買ったレイピアを、右手の装備欄に持っていってください。それで、装備された状態になります。」
「RinRin!質問!」
「はい、どうぞいm...Lisaさん。」
「これ絶対装備しなきゃダメ?」
「装備していないと、ソードスキルが発動しないんです。だから、必ず装備しておきましょう( *˙ω˙*)و 」
「はーい!」
それから小1時間、RinRinによるレクチャーを受けた3人は、フィールドに出てモブを倒した。
「意外と疲れるのね、これ」
「精神面に疲労が溜まっている気がします」
「時間的にそろそろ落ちよっか?私お風呂入りた〜い」
と、Lisaが言った時の時刻は5時半の五分前。
「じゃあ...今日はこの辺りにしておきましょうか」
「はーい!」
「私とAkoちゃんは、9時辺りにもう1度、ログインする予定なので、もし時間があれば、一緒にやりましょう!」
「えぇ」
「わかりました」
「今日はありがとね、2人とも☆」
メインメニューを開いて、《log out》のボタンを探す...が、見つからない。
「ねぇRinRin?ログアウト、あった?」
「ううん。皆さん、ログアウトのボタンは...」
「ないわね」
「見当たりませんね」
「う〜んないね〜...」
そう言いながらLisaはGMコールを試している。
「ダメ、繋がんない」
そう言った瞬間、体が青い光に包まれた。
「うわっ!なにこれ!?」
「これって転移の時の!?でもAko、コマンド言ってないよ!?」
そうして光が収まった頃には、噴水の近くに戻っていた。
「強制転移...説明かな...」
この状況下でもRinRinは、なぜ転移したのか状況を整理、推理していた。
しかし、それに気を取られ、空の様子が変わったことに気づいたのは、他のプレイヤーより遅れてだった。
空に浮かぶ、赤ローブ。顔がなく、どことなく不気味だ。
「RinRin...」
「大丈夫だよ、Akoちゃん」
くっついてきた親友を抱き寄せ、自他ともに緊張を緩和する。
『プレイヤーの諸君』
「...!?」
誰かが息を飲んだような気がした。
『...私の世界へようこそ。』
「私の、世界...?」
その日、青薔薇はデスゲームに遭遇した。