Re:Roseliart Online   作:ユイトアクエリア

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5 青薔薇の危機

RinRinとAko、Sayoは森の秘薬クエストを受領後、リトルネペントがポップする森へダッシュしていくYuitoを追いかけて、同じ森までやってきた。

しかし...

 

「ど、どうしよう...見失ってしまいました...」

「会話が終わった瞬間に駆け出していきましたね...」

 

森に着いた時、すでにYuitoの姿はなかった。

プレイヤーもモンスターも見当たらない、鬱蒼とした森の中で3人は立ち止まった。

 

「うだが...Akoさんの言っていた食虫植物のようなモンスター、なかなか見かけませんね...」

「う~ん...もう森の中なんだから、出てきてもおかしくないと思うんだけどなぁ...」

 

三人が頭を抱えだした瞬間、近くでモンスターがポップする音が響いた。

 

「...!皆さん、構えてください!!」

「これが、リトルネペント...」

「気を付けてくださいSayoさん!あいつ、武器が壊れやすくなる液吐いてくるので!!」

「それと、あのモンスターは、口と茎の接合部が弱点になってます!!」

 

リトルネペント総ポップ数、6。さっきまでのパーティであれば一人一体相手をすればよかったが、YukinaとLisaはさっきの家で留守番をしている。

 

「皆さん!ここは一体ずつ抑えましょう!」

 

RinRinの号令で、三人はそれぞれ違う個体に向けて走っていく。

 

「はぁっ!!」

 

気合の入った声を発しながら、RinRinは単発水平切り《ホリゾンタル》をリトルネペントの弱点に当てる。

弱点というだけあって、ほかの部位より与えられるダメージが多い。場合によっては一撃即死というのも十分にあり得る、が。

 

「...!三割弱...!」

 

しかし、それはあくまで敵Mobよりレベルがはるかに高ければの話。この場にいるプレイヤーの今のレベルは1。対してリトルネペントは3。

 

「あと二回で、いける!!」

 

しかし、裏を返せばレベル差があってもそれだけ与えられるということ。

RinRinは弱点だけを正確に叩き、ネペントを屠る。

そして、残りの手付かずのネペントたちのほうに向かおうとして、固まった。

 

ーー増えてる...それに実付きまで...!

 

実付きとは赤い風船のような実が口の後ろから伸びた部分についているネペントの呼称。

戦闘力的にはノーマルと大差ないので倒そうと思えば倒せるのだが、その実がただの飾りじゃないことをRinRinはよく知っている。

あの実を割ると、周囲から来れるだけのネペントが大量に来てしまうのだ。

別に実を割らずに倒せばいいのだが、意図的に実を割らせようとしてくる動きをしてくるため、不用意に近づけない。

 

放っておいても危険、かといって割ってしまえばもっと危険。

どうしたら...と言う思考は、誰かが走ってくるような音によって中断された。。

 

「...!そいつは...!」

 

誰かの忠告する声が聞こえる。

その声を無視して、人影は飛び上がる。

よく見れば、剣を肩に担いでいる。

そこから放てるスキルは、垂直切り《バーチカル》しかない。

つまり、あの人影は実付きに向かって垂直切りを放とうとしている。

 

「ダメ...!」

「うぉらぁっ!!」

 

RinRinが叫ぶのと、人影が気合を入った声を上げるのは、ほぼ同時だった。

その後、少し遅れて届いた着地音が、RinRinの意識を引き戻した。

 

「悪い、置いていっちまった」

 

こちらに謝りながら立ち上がったのは、さっき家を全力疾走で飛び出していったYuitoだった。

 


 

「邪魔邪魔!!」

 

そういやRinRinさんたち置いてきちゃったんだっけ、と考える間にも、俺の足は走り続け、俺の腕はホリゾンタルの構えを取り続けては切り捨てていく。

 

「...お前器用だな...」

 

隣にいたKiritoがつぶやく。

今の俺のソードスキル発動状態を見てのことだろうが、別にこれは難しくない。

俺だけはぐれてパーティメンバーがモンスターに群がられてる時によくやったものだ。

と、そんな話ではない。

現在俺たちはマップを見ながら森を走り回っている。

自分たちの分の胚珠は既に取れているので、さっきの家に戻れば報酬はもらえる。

しかし、わざわざパーティを組んでもらったのに自然解消的な感じで別れるのもどうかと思い、今に至る。

何体目かのネペントを切り捨てていくと、視界が開け、そこに五体、俺らに後ろを向けているネペントを確認した。

リトルネペントは人間でいうところの『目』に該当する部分がなく、バックアタックや奇襲は成功しない。

 

「そのままそっち向いててくれよなぁ...頼むぜ...?」

 

しかしそれは、誰かにヘイトが向いていなければ、の話だ。

故に俺は、今出せる最高のスピードで距離を詰めて、ジャンプして飛び上がり、ホリゾンタルではなく片手垂直切り《バーチカル》のモーションを取る。

 

「あっ...!バカ!そいつは実付きだ!」

 

俺のバーチカルの構えを見てKiritoが叫ぶ。

実がついている奴にバーチカルは禁忌といってもいい。

頭の後ろに実があるので、垂直切りでは実にもカスってしまいかねない。

しかも今俺が切ろうとしているのは、実付きの真後ろ。

つまり、超危険ってわけだ。

 

「へっ!そんなこと、わかってらぁに!!」

 

もちろん、ネペントをタゲっているプレイヤーにも、もちろん俺にも、危害が加わらないように実付きを倒す術はある。

あ(・)る(・)か(・)ら(・)、バ(・)ー(・)チ(・)カ(・)ル(・)を(・)打(・)つ(・)。

 

「うぉらぁっ!!」

 

実にぎりぎり当たらない部分を始点として、根元のほうまで一直線を描く。

実を割らず、さらに弱点を切れて、なおかつ重力加速度によるパワーの増加。

後は単純に作業ゲーと化したネペント狩りによるレベル差。

速度の乗った俺のバーチカルは、実付きを一発で屠った。

 

 

 

 

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