Re:Roseliart Online 作:ユイトアクエリア
「ダメージ平気?毒とか貰ってない?」
YuitoはRinRin達の方に振り返って回復ポーションを投げながら言う。
「は、はい。大丈夫です。Yuitoさんこそ、無事...ですか?」
「俺もあいつも平気...そういやまだいたな、忘れてた」
Yuitoはそう言うと低い体制のダッシュをしながらホリゾンタルのモーションをとる。
弱点だけを正確にターゲットしながら、確実にホリゾンタルを当て続ける。
そこまで多くなかったネペントだが、一瞬にしていなくなる。
「...これで、一通り片付いたかな?」
「お疲れ、じゃあ、俺はこれで...」
Yuitoを労うや否や、Kiritoはクエストを発注した家の方へ行ってしまった。
「...まぁ、いいか。引き留めるのも野暮だし」
「いいん、ですか?」
「...どっちみち、1層のボス戦で顔を合わせそうだしな」
Kiritoの背中に、悲しみが見えたのは気のせいだろうと、Yuitoはかぶりを振った。
「あの人、大丈夫かな...」
クエストフラグがある民家で、Lisaは呟く。
というのも、何かを受け取って向こうの部屋に入って行った、黒髪の少年が出てこない。
「人にはそれぞれあるのだから、放っておけばいいじゃない」
「でもさー...ちょっと心配だよ...」
リサの性格は変わらずね、とYukinaが零した直後、玄関の扉が開いた。
「あ、おかえり皆」
「お疲れ様」
LisaとYukinaは平静を装ってパーティメンバーを出迎えた。
「...やっぱ、先に来てるよなぁ」
「そう、ですね。24時間経ってから、また来ないと」
クエストはいつでも受けれるが、報酬はそうはいかない。
と、再びドアの音が響く。
向こうの部屋から出てきた、黒髪のプレイヤーと、Yuitoの目が合った。
「...Kirito?」
「っ...じゃあな」
足早に去っていったkiritoを、誰も追えなかった。
しばらくの無言空間を打ち消すかのように、Lisaが呟く。
「さっきの人、何か貰ってから10分ぐらいずっと向こうの部屋にいて...」
「...何か、クエストが進んだのか?」
「でも、森の秘薬クエストは剣を貰ったら終わりですよ?」
「じゃあ、一体...」
クエストを進めてないYuitoがドアを弄っても、びくともしない。
やはり、クリアした後に何かある。
「...まぁ、今ここで考えてもしょうがないな。明日の今ぐらいの時間、もう一回来よう」
「分かりました。最初は、Yuitoさんでいいですか?」
「俺でいいの?そちらの3人から先でもいいよ」
RinRinとYuitoはお互いに譲り合う。
と、Sayoが口を開く。
「では、武器の耐久値が少ない順に決めましょう」
「いい考えだ。俺は...あっぶね、230」
「私は...1000はありますね」
「あこもです!」
「私も700はあります、ですので、一番はYuitoさんということで、よろしいですね?」
「分かった。ありがとう」
順番は決めたが、結局明日にならねば報酬は受け取れない。
「とりあえずその辺の宿とって、レベリングしながら受け取りに来よう」
「分かりました」
「...寝れないな」
体は疲れているはずなのに、眠気はちっとも来ない。
何が理由なのか、わからない。
「...あの、顔は」
Kiritoが見せたあの顔。
あの部屋に、何があったのか。
「...ちょっと、レベリングするか」
心に残ったもやもやを打ち消すように、布団を剥いで部屋を飛び出した。
勿論、他の宿泊者には迷惑がかからないように。
「っ...!」
夕方辺りのネペント乱獲で俺のレベルは8に達したが、まだまだ安心するには程遠い。
デスゲームになった今、このゲームに安全マージンなんてものはあってないようなものだ。
どれだけレベルが上がっても、死ぬ確率が低くなるだけ。
「また、上がった」
ポイントをAGI,STRに振り、ネペント狩りを再開する。
弱点を切れれば一撃、そうじゃなくても2撃で倒せるので、耐久値は心配するほどじゃない。
だけど、残りも心もとないので、一応もう一本買った。
レベリングするためだけに使うので、必要経費と考えよう。
「...戻るか」
程よい疲れと倦怠感を感じながら、宿に戻る。
自分にあてがわれた部屋に入り、ベッドに身を倒すと、すぐに眠気が襲ってきた。
それに抗うことなく、意識を手放した。