魔法少女リリカルなのはA's〜紅い蛇と魔導神〜   作:ZERO 紅 零

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データベース 
八神はやて
彼女
9歳
誕生日 6月4日
足に原因不明の障害を抱えながらも「父の友人」を名乗る人物の庇護を受けながら1人で生活していた。
不遇な境遇に置かれながらも前向きで、優しい心を持った少女。


第二話

 

 闇の書の守護騎士、ヴォルケンリッターが八神家に受け入れられて数日。彼らに常識を理解させることにはやて、そしてメビウスは力を注いだ。というのも、メビウスもこの世界の常識を理解することにはあまり時間をかけなかったが、彼ら4人は時代の差からかなりの時間を要し、理解させた。近代的な電化製品の使い方、公共交通機関の使用方法、買い物の仕方。多くを学ぶ彼らは戸惑いを見せていたが、次第にその硬かった表情柔らかくなっていた。そして何より、彼らが表情を柔らかくさせたのははやてのこの一言。

 

 

 

はやて「蒐集? そんなもんいらへんよ。やらんでよろしい」

 

 

 

 ヴォルケンリッターも、はやてが蒐集を望まないことに驚いていたが、はやて曰く「他人に迷惑はかけてはいけない」だそうだ。蒐集をしないばかりか、ヴォルケンリッターははやてからすれば普通の人間と同等。なので、主として2つ目以降に命じたのは

 

「武器はしまうこと。服は着ること。食事はとること。」

 

 彼女達も最初こそ戸惑いを見せた。しかし、今ではその平穏を享受している。

 

 

 

ヴィータ「はやてっ! 買い物行こう!」

 

 

 

はやて「はいはい、ヴィータ。ちょっと待って~」

 

 

 

 メビウスにとっては少し騒がしくなった程度。しかし、はやてにとってはまた家族が増えたということで、喜びの笑みが増えていた。旧世界にいた頃、少しでも平和だった時間に見せる彼らの笑顔にソレはとてもよく似ている。

 

 

 

メビウス「……(みんな…)」

 

 

 

シグナム「どうしたメビウス」

 

 

 

メビウス「……何がだ?」

 

 

 

シグナム「いや、少し笑っている気がしてな」

 

 

 

 シグナムに言われ、めんどいは自分の頬を触った。確かに、自然と笑みがこぼれていた。はやての笑み、はやての喜びが、かつての仲間のアークや、多くの仲間が見せる笑みに似ていたからかもしれない。メビウスは静かにその賑やかなひと時を味わっていた。

 

 

 

 

 

午後

 

 

 

シグナム「時にメビウス、私と戦ってみないか?」

 

 

 

 相変わらず家でくつろぐヴォルケンリッターとメビウスだったが、メビウスはシグナムにこんなことを言われた。彼女も平和を享受しても騎士。日々の鍛錬を怠らず、今日も庭で木刀を使って素振りをしていた。その素振りを終えてからのこの一言である。

 

 

 

メビウス「何?」

 

 

 

シグナム「別に決闘ではない。簡単に身体を動かすだけだ」

 

 

 

 言いながらメビウスに傍らに置いていた木刀を投げてよこす。どうやら最初からそのつもりでいたらしく、木刀が2本あったらしい。

 

 

 

シグナム「私の剣が、魔導士なのに剣を使うお前にどこまで通じるか……試してみたい。それに、相手がいないと剣が鈍るのでな」

 

 

 

シャマル「諦めたほうがいいわよメビウス、シグナムは戦闘狂(バトルマニア)だから」

 

 

 

 シャマルが洗濯物を干しながら言う。戦闘狂と聞いて、メビウスは自分の世界にいた戦士達を思い出した。自分を倒すために身体を強化(主に過去にあったライセン)してまで挑んできた者たちを。メビウスも思うものがあったのか、木刀を握って庭へ出た。

 

 

 

メビウス「わかった、受けて立とう、私も鈍るのは困るからな」

 

 

 

シグナム「そうこなくてはな」

 

 

 

 シグナムは嬉しそうにニヤリと笑い、同じように剣を構える。思えばシグナムが誰かと戦うのは正体不明の男達以来。魔導神である彼がカンを鈍らせるには相当な時間がかかるが、戦ったのは数週間前。たいした差ではない。

 

 

 

シグナム「いくぞ!」

 

 

 

メビウス「来い!」バチバチ

 

 

 

 シグナムが駆け出し、剣を振り下ろした。上段から振り下ろされた木刀をメビウスは自分の持つ木刀を横にして受け止める。左足を軸に、体を横にして一閃。そのまま脇腹へと木刀が向かって行くが、シグナムはそれを受ける前に一歩下がってソレを回避する。

 

 

 

メビウス「……やるな(やはりできる。ライセンと同等か、それ以上か)」

 

 

 

シグナム「ふっ、伊達に烈火の将を名乗ってはいないさ(私の一閃を捌き、攻撃に転じるとは……)」

 

 

 

 互いにその実力を再認識した所で、戦闘が再開される。仕掛けるのは再びシグナム。防戦から反撃に転じるメビウス。互いにその強烈な一撃を与えては防ぎ、与えては防ぐ。

 

 

 

メビウス「ふんっ!」

 

 

 

シグナム「はあっ!」

 

 

 

 木刀が混じり合い、音が鳴る。二人の攻防はどちらも引けをとらず、そんな光景を他の3人が見つめていた。ちなみに現在、はやては自室でお勉強中である。

 

 

 

ヴィータ「すげぇ……シグナムと互角かよ」

 

 

 

ザフィーラ「いや、それ以上だな」

 

 

 

 ヴィータは感嘆の声を漏らすが、ザフィーラが静かにそう付け加える。ちなみに、現在ザフィーラはオオカミの姿となり、魔力の消費量を抑えている。ソレはさておき、確かにヴィータの言うとおり互いに互角の戦いをしているように見える。だが、ザフィーラはメビウスの足元に注目した。

 

 

 

ザフィーラ「よく見ろ、メビウスはあの場所から動いていないぞ」

 

 

 

 そう、シグナムはさまざまな角度から攻撃をするが、メビウスはその場で左足を軸にして動くだけで、その場から離れず、防御しながら反撃をしている。実力は確かに互角だが、技量としてはシグナムよりメビウスが上のようだ。

 

 

 

シャマル「ほんとね。気が付かなかったわ」

 

 

 

ヴィータ「あれだけの鮮麗な動き、いったいどれだけの時と死線を潜り抜けてきたのか」

 

 

 

 彼ら4人からすれば、メビウスは異世界から迷い込んだ単なる魔道士という認識。しかし、ザフィーラ達は知らない。メビウスがかつて世界を侵略として戦い、そして神羅神として他の仲間達のために幾多の危険を冒して戦いに身を投じていたことを

 

 

 

シグナム「はああっ!」

 

 

 

メビウス「つああっ!」

 

 

 

 二人の渾身の一撃が激突し、そして均衡する。だが、その時である。その戦いを終わらせる事態が発生した。

 

 

 

――バキッ!

 

 

 

 互いに持っていた木刀が悲鳴を上げのだ。木刀は滅多に折れたりしないのだが、メビウスとシグナムの攻撃に耐えられなかったのだろう。そんな様子に、洗濯を終えたシャマルがあらあらと声も漏らす。

 

 

 

シグナム「これじゃあ勝負は引き分けね」

 

 

 

メビウス「……まぁ、仕方がない」

 

 

 

シグナム「……」

 

 

 

 シグナムはびっしょりと汗を掻きながら、もっと戦いたかったと残念な様子。メビウスは汗を掻くことはない。そして彼もまた、どこかまだ戦いを続けたかったという様子が伺える。今まで何かを守るために剣を取っていたメビウスだが、今回のように互いの技量を見せ合う戦いはメビウスにとって初めてだった。

 

 

 

シグナム「どうだったメビウス、私の剣は」

 

 

 

メビウス「そうだね、強い。いや、まだまだ強くなるかもね…(あの人と同じ)」

 

 

 

 メビウスはそう言った。自分と互角に渡り合える魔道士否魔導王はそういない。さらに言えば、人間に近い魔力生命体のヴォルケンリッターが互角に戦えていることにゼロは感心しながらも、彼女がこの先まだまだ強くなるという確信も同時に得ていた。するとそこへ、勉強を終えたはやて

 

 

 

はやて「ふぅー……やっと勉強終わった……」

 

 

 

 

 

 

 今日の勉強はやや多めに取ったらしく、はやてにしては少し珍しい具合に疲れているように見える。小学生の勉強を見る程度なら簡単にできる。そんな様子で庭を見ると、はやてが驚きの声を上げる。

 

 

 

はやて「って、シグナム汗だくやん! どないしたん!?」

 

 

 

シグナム「はい、少しメビウスと運動を」

 

 

 

 運動というか、言っていた割には決闘に近いものだった気がしなくもない。まあ、木刀が折れている当たりを見てはやては察したのか、苦笑いを浮かべていた。

 

はやて「そ、そうなんか……ほんならヴィータ、買い物行こか?」

 

 

 

ヴィータ「うんっ……!」

 

 

 

 こうしてはやてはヴィータとシャマルを連れ、買い物へと出かけることとなった。シグナムもリビングへと上がり、タオルで顔を拭く。

 

 

 

シグナム「私はシャワーを浴びてくる。メビウス、今の戦い……またやろうな」

 

 

 

メビウス「…わかった。」

 

 

 

 メビウスは折れた木刀を置き、空を見上げる。前にも感じた視線を、またしても感じ取ったからだ。魔法陣を作り出し杖を取り魔力調整をする

 

 

 

メビウス「……」

 

 

 

ザフィーラ「どうした、メビウス」

 

 

 

メビウス「まただ」

 

 

ザフィーラ「……?」

 

 

 

メビウス「見張られている」

 

 

 

ザフィーラ「何っ……!?」

 

 

 

 ザフィーラは今まで魔力消費を抑えるために狼の姿をしていたが、驚いて人型になり、構えを取った。

 

 

 

メビウス「……お前たちが目覚める少し前、一度その視線に会った」

 

 

ザフィーラ「なんだと!?主は大丈夫なのか!?」

 

 

 

メビウス「監視対象はあいつかもしれんが、「狙い」は私のようだ」

 

 

 

 自分の命を狙う者がどこかにいる。そしてはやてを監視している。しかし、二人の様子に気がついたのか、そのメビウスの感じ取っていた気配は消える。

 

 

 

メビウス「……消えたな」

 

 

 

 ザフィーラは屋根の上に飛び上がり、メビウスもそれに続く。無論、それを近所の人間に見られないよう、ザフィーラが周囲に結界を張ってからだ。そのはやての家から一件離れた家の屋根の上でザフィーラが止まる。

 

 

 

ザフィーラ「む……わずかだが転移魔法の後があるな」

 

 

 

メビウス「転移魔法……」

 

 

 

ザフィーラ「ああ、私達が出来るあれだ」

 

 

 

メビウス「……そうか」

 

 

 

 メビウスがたずねると、ザフィーラが頷く。

 

 

 

ザフィーラ「うむ、だが一体誰が……?」

 

 

 

 謎の監視に疑問を抱くザフィーラ。この時から、少しずつ、少しずつ、運命の歯車は軋み始める。後に、その軋みによって紅き蛇と魔導神は再び戦いの中へと戻ることになる。しかし、この時のメビウスたちはまだそれを知らない……

 

紅き蛇は目覚めようとしている




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シグナム

「ヴォルケンリッター」の将。「烈火の将 剣の騎士シグナム」。4人のリーダー格で、実際に「リーダー」と呼ばれている場面もある。

真っすぐで武人的な女性。熱血な部分もあり、厳しくそして苛烈な気性の持ち主。凛々しい風貌で、20歳前後くらいに見える外見。基本的には男勝りな口調でタメ口だが、家族として接するはやてや目上の者などに対しては常に敬語を崩さない(「主はやて」と呼ぶ)。しかし、はやての優しさに安らぎを得ているのは他の騎士と同様。和食、入浴が好き。巨乳のため、はやての胸部マッサージを時々受けることがある
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