ジナイーダの葬送   作:立花零

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LASTRAVEN

 特攻兵器襲来。

 世界中の大都市が崩壊し、人類の滅亡さえ時間の問題と思われていた。そんな中、三大企業『クレスト』『ミラージュ』『キサラギ』の三社は、利益確保を主目的とした連合統治機構『アライアンス』を設立。瓦礫だけが広がる世界に、新たな秩序が生まれんとしていた。

 半年後。レイヴンであるジャック・Oは、突如として武装勢力『バーテックス』を率い、アライアンス打倒の意を表明。アライアンスへの襲撃予告を全世界に向けて発信し、バーテックスへの合流を呼びかけ始める。

 それに対しアライアンスは、自分たちに敵対しバーテックスに合流したレイヴンたちに懸賞金をかける。しかしそれは、ジャック・Oも同じ考えであった。

 レイヴンたちは互いの懸賞金を狙い、各地で機動兵器『アーマード・コア』を用いた戦闘を展開。二大勢力の戦力は拮抗し、熾烈を極める戦闘の中で多くのレイヴンたちが散っていった。

 そして、バーテックスによるアライアンス襲撃予定時刻まで、残り24時間。

 生き残った22人のレイヴンは、互いの持ちうるすべての力を激突させる。

 

 俺もその一人であった。

 この24時間で、多くのレイヴンを、兵士を殺した。

 

 終わったのか。

 目の前に散らばるアーマード・コアの残骸を前に、コクピットに収まる俺は呟いた。自機の耐久力は半減している。機体を膝立ち姿勢に移行させ、たわんだコクピットハッチを開いて外へはい出る。

 ここは、インターネサイン中枢。

 たった24時間のうちに破壊の限りを尽くした、自立進化型無人兵器・パルヴァライザーの生産拠点であった。

 俺はこの施設を破壊し、パルヴァライザーの再生産を不可能にした。そして脱出直前、突如襲い掛かってきたAC(アーマード・コア)、ファシネイターを撃破。それに登場していた女性レイヴンも殺害したのだった。

「終わり、か」

 なんともあっけない。というより、味気ない。10人以上のレイヴンを、80人以上の兵士を、たった24時間のうちに殺しまわっておいて......

 耳元で着信ブザー。オペレータのシーラ・コードウェルから無線通信。ヘルメットの子機を操作し、通話に出る。

〈終わったのね〉

「ああ、そうだ。終わったさ」

 彼女は深呼吸して

〈ありがとう〉

 小さく呟いた。

「いいや、礼を言うのは俺の方だ」

〈え?〉

「君のオペレートが無ければ、俺は確実に......」

〈やめて〉

 冷ややかな声が、制止する。

〈もうやめましょう。今日だけは〉

「......そうだな」

 俺はバカが付くほど巨大な施設――パルヴァライザー生産用のエネルギー・サーキットや、謎の物質で構成された窓枠などが並んでいる――を見渡す。

 紫色のAC・ファシネイター......だったもの。今は単なる残骸。搭乗者の女レイヴンは死亡。ファシネイターの右腕は、ミラージュ製ハンド・レールガンYWH16HR-PYTHONが握られたままだった。

 愛機・コバルトルビコンの操縦席に戻る。ハッチがうまく閉まらない。どうにもファシネイターのデュアル・ミサイルは近接信管弾頭を搭載していたようで、爆発時の破片がコア周辺の駆動系を駄目にしたようだ。俺はため息交じりに機体を動かす。ファシネイターの右腕をスキャン。ハンド・レールガンを認識させ、機体腕部を物体掌握モードに。自慢の右腕武装・WR04M-PIXIE2は、彼女のYWH13M-NIXの猛攻により失っていた。ハンド・レールガンを掴み上げると、掌のポートに銃把側のコネクタが自動接続。続いてエネルギー・サプライ・ケーブルが接続され、電力供給経路が確保される。

「こいつは形見か、戦利品か......」

 試しに壁に向かって構えてみる。残弾7。ただし砲身の過電損傷が激しい。トリガーを引く。莫大な電力が供給され、三本の砲身が輝く。そしてローレンツ力で加速された弾体が飛ぶ。壁面に着弾。衝撃波と爆発。おそらくこの爆発は、弾体素材が蒸発する際に放出するエネルギーだろう。黒々とした弾痕が穿たれる。

「いいもんだな、ジナイーダ」

 紫色の機体の、残骸を一瞥。そのままインターネサイン中枢を見上げる。

「ところで、どうやってここから出るんだ?」

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