ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか   作:ユーグクーロ

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アーマードコアの最新作が最高過ぎる……………
ガトリングの掃射気持ち良すぎだろ……………






少女の出会い

大樹の迷宮の中、怪物(少女)というべき存在は走っていた。

細い四肢に青白い肌、鋭い爪に妖精(エルフ)と酷似した耳、所々に鱗があって額には特徴的な赤い宝石らしきものが埋め込まれている。

モンスターの証とも呼ぶべき風貌をした存在は体を己の血で染めていた。生暖かく、鈍くも鋭い痛みが動こうが止まろうが絶えず襲い掛かってくる。

怪物(少女)は頭の中で疑問と呼ぶべき言葉を反復していた。

 

_____どうして?

 

怪物(少女)の心の中は恐怖で支配されていた。

訳も分からず奇妙な洞窟の壁から生まれた直後は何もなかった。ここは何処なのか?自分は誰なのか?

教えてくれる者は居ない、自分で知る由もない。だから歩き始めた。ひたすら歩いた。

 

始めに出会った存在は大きな怪物(同族)だった。怪物(少女)は不安に駆られながらも口を開いた。ここは何処かと。

返って来たのは言葉ではなく、大きな爪だった。耳を抑え込んでしまう程の咆哮と共にその鋭利なモノは怪物(少女)肌を切り裂いた。

底なしの混乱と共に怪物(少女)は恐怖という原動力でその場から全力で走り去った。

其処からは様々な怪物(同族)から命を狙われた。

怪物(少女)は抗う術を知らない。故にその身を文字通り削られながらも走り回った。

 

次に出会ったのは人間達だ。

言葉を介さない怪物(同族)とは違い、和気藹々と言葉を交わしていた。自分と姿形が酷似している彼等なら言葉を、気持ちを伝えることが出来る。

ゆっくりと慎重に近付き、出来るだけ相手を驚かさないように接触した。

たすけて。

怪物(少女)はそう告げた。

しかし、返ってきたのは驚愕、混乱、敵意の言葉だった。矢が鱗に飛び掛かってくる。剣がその肌に食い込もうとする。

少女はまた走り去った。

 

_____どうしてっ!?

 

迷宮(ここ)怪物(少女)の居場所は無い。何もかも全て拒まれ、傷付いた異端の小鳥には羽を休ませる場は無い。

眼には見えない、存在しない何かに明確な拒絶の烙印を刻まれた怪物(少女)はとうとう足が崩れてしまった。

それが単なる疲労によるものか、外的な傷によるものなのか、或いはその両方か、どちらにせよ、もう動く気力も体力も残されていない。

そんな時だった。目の前に大きな光が生じたのだ。

明るい緑色の光が小さな粒となって辺りに散り去っていく、なんとも綺麗な光景だった。

その光は徐々に強まっていき、やがて光が終わりを告げるように儚く消え去ってしまう。しかし、それと引き換えに何かが何処からともなく姿を現したのだ。

 

人の形をしていながら人ではない。モンスターと言われればその輝くような姿からは生まれてから出会ってきたそれらとは比べ物にならない程に綺麗で幻想的なもの。

背中と思われる部分からは絶えず光を放ち続けるそれがこちらの存在に気付いているのか、ゆっくりとこちらに振り向いた。

体中に硝子玉のような何かが埋め込まれ、其処から放つ淡い光が光沢を纏う肉体をより際立たせている。

 

そして何よりその存在の顔が露わになる。人の顔に近い形状をしており、目からは常に光を放っており、額からは鋭利な角が飛び出ている。なんとも特徴的だ。

その両目が一瞬だけ酷く輝きを増したと思ったら微動だにしなかったその腕がゆっくりとこちらに向けられてきた。

 

怪物(少女)はもう動けないと確信していた肉体に鞭を打ってまた走り出した。

理由は至って単純、怖いと思ったからからだ。また何かされると本能が訴えて来たからだ。

最早意識と呼べるものは其処にはなく、次に我に戻った時は目の前に人間達が居た。こちらを好奇心という名を、嗜虐という悪意が染まった眼で、怪物(少女)の体を舐め回していた。

 

怪物(少女)はまた走る.

 

モンスターよりも醜く映る彼等から少しでも遠ざかりたい一心で逃走を図るも既に最後の力を振り絞った後の華奢な体では到底逃げることは出来ない。

何の変哲もない地面に足を取られ、無様に地面へと伏してしまった。

自分達が追いかけた獲物が見せた大きな隙を見逃す筈もなく、醜悪な追いかけっこの勝利を確信した人間達は遠くからゆっくりと歩み寄ってくる。

怪物(少女)は決して抗えない残酷な現実を目のあたりにし、これから何をされるのかという恐怖と誰も助けてくれないという絶望感に涙で応えた。

 

_____こわいっ……こわいよ!

 

残された道は目を閉じて現実逃避するしかなかった。視界を暗闇に包み、人間達が近付いてくる複数の足跡を耳で聞くだけだった。

だが次に聞こえてきたのはその人間達が苦痛を混ぜた嗚咽や悲鳴だった。少女は理解出来なかった。何故優位になっている筈の彼等からそんなものが聞こえるのかと。

それを確かめる為に閉ざされた瞼を恐る恐る開き、人間達が来る筈だった方角に視線を向けるとそこには戦いが起こっていた。

 

複数の人数を相手に戦っていたのはたった一人、全身を覆う程の外套を纏い、素早い動きで翻弄し、一人、また一人と薙ぎ倒していく。

向こうも思いもよらなかった襲撃とはいえ時間と共に冷静な判断が出来るようになったのか悪態をつきながらもその手に持つ槍や剣で応戦する。外套のそれは怯むことも、臆することもなく、淡々と応戦していく。

金属が激しくぶつかり合う音も瞬く間に消え、次に映った光景は驚愕させるものだった。

怪物(少女)を追いかけていた人間達は激痛に耐え切れず地面にのたうち回っており、身動きどころか意識があるのか怪しい。

それに相対するように外套を被った何者かは何事もなかったかのように悠然とその場に立ち尽くしている。

 

何故人間達と戦ったのか、仲間じゃないのか、どうして自分を襲わないのか。数えきれない疑問、狐疑を浮かべる事はあれど、怪物(少女)は謎の人物に問いかけることは出来なかった

目の前に居る外套の正体不明者は覆い被さるように隠されたフードの中から金色の輝きを放つ両眼だけが暗闇の中からこちらを覗き込む。

 

今まで遇ってきた驚愕、困惑、敵意、悪意もどれとも違う。分かるのはそれだけ。

ありがとう。

普通であれば感謝を伝えるべきなのだろう。しかし、少女には分からなかった。自分以外の何かを信じていいのか、頼っていいのか、判断出来ずにいた。

挙動不審になってしまった怪物(少女)を他所に外套の者はゆっくりと影の中に後ずさりしていき、溶けるように姿を消した。

 

正体不明の存在が何であれ、少なくとも邪気を孕んだ魔の手から逃れることは出来た。少しの間立ち止まったお陰で疲労に陥った肉体も精神も回復することが出来た。

ゆっくりと立ち上がって少女はその場から離れるように歩き始めた。此処が何処なのか、怪物(少女)は行先も定まらないまま歩き続けた。

 

するとまた誰かの足音がこちらに近付くのが鼓膜を通して危険信号という形で怪物(少女)の頭に酷く訴えかけてきた。

また襲われるかもしれない。そう冷や汗を流す少女は近くにある茂みの中に姿を隠した。少し前の怪物(少女)ならこんな行動は起こさなかっただろう。

だが今は疑心暗鬼によって支配されている心にとっては好奇心よりも恐怖心によって動かされるしかない。

 

細かな切り傷から未だに血の流れが止まる気配はない。乾いたはずの目元からはまた震える涙が零れ溢れてくる。着々と迫りくる気配に震え始める。

そして、怪物(少女)の目の前に気配の正体、白髪に紅い瞳をした少年が現れた。

 

「モンスター……竜女(ヴィーヴル)?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異端児(ゼノス)が休息の場として定期的に使われている隠れ里、オラリオでの出来事や品物を手土産にゼノスの皆に会いに来たのだが、その場に集っていた者達は緊張で固まっていた。

何故なら人間状態の俺が今、怒りを抱いた目をしたグロスに胸元を掴まれているからだ。

 

「どういう事だ!?エルスクアンタ!!」

 

「あの竜女(ヴィーヴル)の件か…………?」

(あー……ひょっとしてさっきの事かな?)

 

「そうだ!お前が人間を殺さずにいたのはこの際もうどうでもいい!問題はあの竜女(同胞)を何故奴等(冒険者)に明け渡すような真似をしたと聞いている!!」

 

「あれ以上の武力介入は害をもたらす…………」

(だって、そうしなきゃ原作通りに進まないんだもん)

 

「害だと!?なら人間共が俺達にしたことはどう説明する!!何もしなければ向こうが付け上がるだけだ!!」

 

「俺達が目指すべきものは対話だ、支配じゃない、だからあの竜女(あの子)を_________」

(そんなことしたら殺し合いの未来しかないよ、だから______)

 

「それを何故だと聞いている!!返答内容によっては貴様でも_____!!」

 

「もういい!!やめろグロス!!」

 

これ以上見るに堪えられなくなったリドが間に割ってグロスの拘束から解放されたが、未だに緊迫した空気は消える気配を感じられない。

 

「___っ!フン!!」

 

見るからに不機嫌な様子を見せつけるグロスはそのまま里の入口へと歩み始め、姿を消すと共に緊張が解れた他のメンバー達はほっと胸を撫でおろした。

別に今回、この様な状況になったのは初めてではない。他の異端児(仲間)が生まれ、連れて来る度にグロスから何故近くに居た人間(目撃者)を始末しなかったとか、どうしてそこまでして向こうに肩入れをするとか迫りくるのが一連の流れだ。その度にまだ覚醒して間もない異端児(ゼノス)が近くであたふたと慌てる光景が生まれる。

 

「エルッち、大丈夫か?」

 

「ああ、問題ない…………」

(大丈夫大丈夫、別に怪我してるわけじゃないから)

 

「けどよ、流石に今回の事については教えてくれねぇか?グロス程じゃねぇけど、どうして異端児(同族)を?」

 

「教えて下さいエルスクアンタ、私だけじゃない、他の皆も気になってます」

 

流石に今回の行動に対して不信感を抱いているのはグロスだけじゃないらしい。周囲を見渡すとリドやレイを始め、疑問に溢れた視線がこちらに一点集中している。

未だに異端児側(こちら)人間側(向こう)には大きな隔たりがあるどころかまだその存在を知る者達は極僅かだ。そんな状況でウィーネの存在はオラリオにとって大きな波紋を呼び込むことになるだろう。

それが異端児編だ。

 

「ベル・クラネルがあの子を守る…………」

(ベル・クラネルが居るから大丈夫!)

 

「ベル……クラネル?え?誰?」

 

「その者は一体………?」

 

「彼が異端児(ゼノス)の存在を大きく変えてくれる筈だ、俺はそれを信じている……………!」

(あいつがきっとどうにかしてくれるって!だから大丈夫!!)

 

グロスとはまた何処かで言い争いにはなりそうだが、ベル・クラネルと会えば考えも多少は変わる。

仲直りすることが出来るのはその時までのお預けという事になるな。

 

そろそろ地上に戻らなければ女神(フレイヤ)の手先に感付かれてしまう。粒子を用いた瞬間移動で宿屋の自室まで戻るとそこにはまたもう一人珍客が待っていた。

誰も居ない暗闇の部屋、僅かに視界が部屋の内装を確認できるのは遠くから差し込む窓から差し込む月と街灯の灯りのみだ。

その中でも前進ボロボロのローブを纏い、立ち尽くすその姿は死神と誤認してもおかしくはない。俺でなきゃ絶叫しちゃうね。

 

「来たか」

 

「フェルズ、見ていたのか…………」

(あー、やっぱりアレ、見ていたよね?)

 

「お前があの竜女(ヴィーヴル)と接触した辺りからな」

 

そのままゆっくりと半ば景観用に置かれていると言われても差し支えのない椅子に腰を下ろし、寛いでいる。骨だけの体となった今でも心労は絶えないようなのか微かに呼吸音からは溜息染みた何かが聞こえてくる。

また小言が襲い掛かってくる。そう思っていたのだが鎮座する愚者からは何も発することなく窓から見える光景をただただ見つめている。

 

「どうした?いつもであれば問い詰めてくる筈だ…………?」

(……また説教をしに来たわけじゃないの?)

 

「いつもならな、だが今回は違う」

 

今回の愚者は至っては冷静な声色で受け返されてしまった。事の発端を起こす本人が言うのもなんだがこうもいつもと違う反応をされてしまうと調子が狂ってしまう。それを他所に愚者は淡々とこちらに視線を戻した。

 

「エルスクアンタ………いや、刹那、今回の件については神ウラノスも静観するという事らしい…………こうなることをお前は気付いていたのか?」

 

「………何の話だ?」

(な、何のことでしょう?)

 

「…………いや、何でもない」

 

少しばかり思考を巡らせているのか少しばかり俯いた後、下ろした腰をすぐに持ち上げ、扉へと進み始める。

 

「こうなった以上、お前にはダンジョンでの行動は暫く控えろ、今後はヘスティアファミリア………主にベル・クラネルとあの竜女(ヴィーヴル)の近くに居てくれ、何があってもすぐに対処できるように……無論、細心の注意を払ってな」

 

「了解した…………」

(あいよー)

 

用事を済ませた愚者は何事もなかったかのように扉の音だけを鳴らして姿を消した。完全に気配が感じられなくなった事を確認した俺は心の中で大いに喜んだ。

漸く………漸く始められる!原作に基づいた通り、異端児(ゼノス)がオラリオの陽の目を浴びることが出来る機会もそうだが、俺が見たい光景はもう一つある。

それは、ウィーネがベルに甘えているという何とも尊い光景を実際にこの目で見届けることだ!!

こちらが介入したことで本来は無い何かしらの問題(アクシデント)が起こる可能性は十分にある!どこぞの乙女座の男を真似ている訳ではないが、二人が仲睦まじくしている光景に邪魔をする者が現れるというならば、阿修羅すら超える存在になってでも排除しなければならない!今だけは尊い存在を守る!!それだけ明確していれば良し!

 

そう意思堅固をELS製の心に刻んだ俺は眠る必要のないこの肉体に大いに感謝しよう。これから作戦を練らなくては……………

 

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