ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか 作:ユーグクーロ
ご理解の方お願いします!!
評価者
忍刀さん
アヴェニールさん
Wa002009ドラゴンフライさん
魔王ドミノさん
評価ありがとぅございます!!
僕は今、神様を前に固唾を飲んで座っていた。
理由は至って簡単だ。隣りにいる異色の少女のことについて問い詰められている。
「改めて聞くけど、ベル君、
普段は活気あふれた振る舞いをする神様も事の重大さに比例してその表情は険しくなっている。当然だ、不安に駆られ、弱々しくもしっかりと僕の袖を握りしめている少女が人ではない、モンスターだ。
冒険者がモンスターを地上に連れてきた。それは絶対に有り得ないこと、あってはならない事なのだ。
ましてや匿って欲しいなどと自身の眷属がそのモンスターを助けたいなどと懇願すればこの反応は至極当たり前なのだから。
取り敢えずはダンジョンであったことを包み隠さず神様に伝えた。全てを聞き終えた神様は驚きと共にどう判断すべきか俯く。
険しい顔を浮かべ、再び異形の少女を見つめた後、閉ざされた口はゆっくりと開かれた。
「………今後どうするかはもう少し時間をくれ、ボクの方でも色々と調べてみる」
「それじゃあ___」
「ああ、この子を保護しよう」
神様の慈愛の返事に喜ぶも待てというように手で制止されてしまう。
「けどベル君?忘れないでくれ、今のオラリオではガンダムの件で冒険者達がかなり神経質になっている………もし、この子の存在が明るみになれば…………分かるね?」
神様はあり得るかもしれない未来を僕に啓示を下した。この子が冒険者………それこそロキファミリアを始めとしたガンダムを追跡している者達がいる。万が一にでも見つかればそこから迅速に人を伝っていく。それは僕の冒険者としての生命線の全てを断たれること、ヴェルフやリリ、命さん達にも同様の罰が下される。
そして、神様はそんな眷属達を擁護したとして一生後ろ指を指されるか最悪このオラリオから追放される可能性だってある。
そんな何一つ利益にもならない大きな博打を皆にしてくれと僕はお願いしているんだと再認識される。
「はい………でも、僕は…………」
改めて事の重大さに体が震える。肩が竦んでしまう。それでも………………
「見捨てたくないんです・・・・・・・・・この子を!」
はっきりと宣言した僕に神様は綻ぶように笑みを浮かべてくれた。ファミリアの皆、リリだけは仕方がないと顔には出ているが僕の言葉に納得してくれた。
その後異形の少女、ウィーネと名付けた彼女をヘスティアファミリアに迎え入れた瞬間だった。
だがそんな喜びも束の間、僕達は困難な壁にぶつかっていた。
ファミリア総出であれやこれやと細やかな手掛かりが見つかればとモンスターに関する資料を漁りまくった。
信頼できる人物達にそれとなく聞き込みを行ってみたりもした。
ありとあらゆる可能性に縋ったが、結果は皆無と虚しい結末に終わるだけだった。最終手段として唯一、同じく喋るモンスター…………ガンダムに会ってみれば何か答えは得られるかもしれないと思ったが、ウィーネを置いてそんな真似は出来ないし、まして連れて行こうにも先日神様にも言われていた通りダンジョン内ではガンダムを捕縛する為に構成された冒険者達が巡回している。
八方塞がりな状況に陥ったヘスティアファミリアは皆項垂れている。
僕個人もどうしていいか分からなくなってしまい、街中で歩いてる。後はリリが詳しくは教えてはくれなかったけど、ある場所で情報収取。ヴェルフはギルドで冒険者の世間話から何かしらのきっかけがが得られるかもしれないと出掛けて行った。どちらにせよ、あとは二人を期待するしかなくなった。
「本当………どうしよっか…………」
「???」
竈火の館、人目の心配がない箱の世界で窓を通して空を見上げながら今後の事に危機感を募らせることしか出来なかった。
時と場所は変わり、深夜の手前、住人達が寝静まる頃、ベルとヘスティアを除くファミリアのメンバーが集まっていた。二人はウィーネを寝かしつける為、一足先にベルの寝室に向かっている。
静まり返った居室にてウィーネの尖った爪を手入れする為に使用した道具を仕舞うヴェルフと壁に背を預けるリリだけが残っていた。
「ギルドで張り込んでみたがそれらしい情報は得られなかった」
「リリもです……………」
面目ないと言うように伏してしまう。
二人は悩んでいた。ウィーネはどうして、どうやって生まれてきたのか、何故人の言葉を話すことが出来るのか、人のように怯え、笑うのか。
「ヘスティア様は…………いえ、神様達は
「ガンダム…………か?」
相槌を打ったヴェルフにリリは沈黙の肯定を返す。
「知っている上で何かを隠しているに違いありません、現にガンダムに関してもそうです、オラリオで暮らしてきたリリですらその存在に気付くことすらなかったなんて…………表に出てしまえば不味い何かを抱え込んでいる筈です」
「それにもし、彼女の存在がリリ達に危険をもたらすとなったら…………その時は」
「切り捨てて、見殺しにするか?」
ヴェルフがその後の結末をあっさりと代弁した。正直、神アポロンとの
だがそれ以前に団長が大のお人好し、それが人助けとなれば意地でもやり遂げようという頑固者でもある。そしてかつてファミリアが駆け出しで会った頃に暗闇の中に居た自分を救ってくれた恩人による願いともあれば、どのみちリリには拒否権など無かった。
「………………」
ヴェルフは溜息を吐いた。ファミリアの中で今後の未来を据え、憎まれ役が必要だと認識している
「自分でも納得していないって顔しているぞ?」
「あくまで現実を見ているだけです…………いずれ露見してしまう、
ここ数日の非現実的な暮らしも相まってヴェルフはその事実に何も答えることが出来なくなっていた。
「
暗闇の中、空となっている檻が積み重なっている空間で億劫そうに声を上げる
「19階層で見つけたんだがその、何者かが邪魔してきやがって………すまねぇ、ディックス」
「またか………チッ!」
「標的は歩くのもやっとの状態の上、たった一人の襲撃に敢え無く返り討ち………何してんだてめぇ等、売れば変態貴族どもに吹っ掛けて大金が手に入っただろうに、それに!ここ最近邪魔が入って碌な収穫がねぇときた………何か裏があるな」
頭に
「化け物どもは捕まらねぇ、正体不明の
ここ数年、男達はこれといった収穫を得られず焦っていた。ダンジョンにて喋るモンスターを捕縛し、資金源を担っていた彼等にとって現在、アストレアファミリア、ロキファミリア、フレイヤファミリアによる三つの有力派閥、ガンダム捕縛の為に構成された第一級冒険者のパーティーがあちらこちらに巡回しているお陰で邪な行為を行っている男たちにとってかなり劣悪な環境に身を置いている。
元を正せば始めは何の問題もなく事が進んでいたものの、男が言う
その状況下での
「
そいつに『怪物趣味』なんて
「ど、どうしましょうか…………?」
「狼狽えるんじゃねぇ、お前等は
「一部の奴等が騒いでんのに、誰も仕留めたって名乗りを上げねぇ………その
男がニヤリと不気味な笑みを浮かべながら部屋の中で最も薄暗い場所に焦点を合わせると其処には紺色の髪と眼をし、黒を基調とした装束に見え包んだ神が笑みを返す。
「おいおい、俺はお前の主神だぜ?こき使うつもりかよ?」
「
「退屈せずに済むじゃないですかぁ、違いますかねぇ?」
「仕方ねぇなぁ…………」
娯楽というものに飢えている神々にとっては拒否する理由は無い。重くなったであろう腰をゆっくりと上げ、猫背の姿勢のまま己の眷属を背に通路へと足を進める。
「今度は俺を笑わせろよぉ、ディックス?」
「ご期待とやらには応えて見せますよ?」
魔石光によって石材が敷き詰められた巨大な空間に人と神の間には無言の薄い笑みを浮かべ、一つの影が伸びた。
竈火の館、
「ヘスティアからは聞いていたけど………実際に見てみると、もう驚くことしか出来ないわね」
「人を襲わないモンスター………意思疎通が出来るとは、驚きだな」
「命から話は何度か聞いたことがあるが、まさか同じような存在が他にも存在するとはな」
他にも集まったカケミカヅチ様、ミアハ様もヘスティアの背中に隠れるウィーネを前に唖然と佇んでいた。
神様が最も信頼できるご友人でもある神々をお呼びしたヘスティアは以前、ウィーネを連れて来た時のように神妙な表情で心当たりはないかと問い掛けていた。
しかし、その言葉に三人は難しい顔を浮かべ、首を横に振った。やはりウィーネの存在は神々ですら
「
「うむ、以前に聞いた事があるガンダムの件といい、この子といい、今のオラリオは私達では計り知れない事が裏で起きているのは間違いないな」
「その鍵を握っているのはやはり…………ギルドか」
ギルド、その単語に僕は大きく反応した。
それこそエイナさん達のような一般職員ですら知りえない
今の僕達が求める理想的な答えがきっとここにあるだろう。だがそれは大きなリスクも孕んでいる。ウィーネの存在を逆に知らせてしまう可能性だって大いにある。
ファミリアの立場もそうだし、喋るモンスターという奇妙な存在を調べる為に連れていかれてしまうかもしれない。そう思うとあらぬ不安が頭の中から襲い掛かってくる。
ここ数日、ウィーネと出会ってからというものこれといった有益なモノは得られることは無かったが、ギルドに探りを入れるという作戦は損得の幅が大き過ぎると宥められ、神様は断念せざる負えないという形で切り捨てた。
「なら、ベル君達にはウィーネ君を連れてダンジョンに行ってもらうしかない、もうこれ以上は地上で得られる情報には限りがある」
「それしかないのは分かるが…………しかし、良いのか?今のダンジョンにはアストレアやロキ、フレイヤの
今現在、ダンジョンにはモンスターと
もし、今の僕達がどの派閥にぶつかっても敗北を迎えるのは避けられない。ウィーネが不安の声を上げる中、僕達にはその道を進むことしか出来なかった。