ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか   作:ユーグクーロ

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今回の評価者!


ディザスター・ラグナロックさん


コレクトマン


評価して頂きありがとうございます!!


異端児

リューさんとアリーゼさん、アイシャさんに別行動を行うという危険行為をした僕達を咎めることはあれど、二言三言言い切った後はこちらの心境を察してくれたのか何も言わなくなった。

僕達無事地上に辿り着き、地上へと帰還した。

 

『報酬は要らないよ、これは借りにしておく』

 

『クラネルさん、何か困ったことがあれば相談してください、微力ながら力になります』

 

『たまにはこっちに顔出して頂戴!じゃなきゃリューが寂しい顔してこっちも反応しづらいからね!』

 

爽やかに笑顔で去るアリーゼさんにそれを赤面で自分の団長に問い詰めるように追いかけるリューさん、それを面白おかしく見終え、その場を後にするアイシャさん、残された僕はファミリアと別行動がしたいとお願いして人気のない都市の街路を辿りながらゆっくりとホームに足を進めた。

今回のダンジョン攻略もとい、情報収集には何も得られず、それどころか返って余計に混乱するような出来事に出会ってしまったからだ。

あの正体不明の人なのかモンスターなのか分からない程の出鱈目な強さ、そして何よりあの者の言葉だ。

 

『真実を知りたければ、もう一度来い…………』

 

確かにそう言った。

 

僕達の事を知っている。僕達の知らない事を知っている。ガンダムには会えなかったけれど、またしても新しいきっかけと共に謎は深まってしまった。

どれだけ頭の中を整理しても余計に滅茶苦茶になる一方だ。

 

「おー、ラッキー……おーい、リトルルーキー」

 

「…………?」

 

声を掛けられた方に顔を向けるとそこには見たことのない神様がヘラヘラと不気味に笑いながら鎮座していた。

 

「えっと……僕に、何か御用ですか?」

 

「ひいっ、そう警戒しないでくれよ、つっても無理かぁ、胡散臭ぇもんなぁ、神々(俺ら)

 

昇格(ランクアップ)してからというもの、他の冒険者に限らず神々にも絡まれることは度々起きていた。だけど、今回の相手はそういう意図はないように見える。何処か狡猾で、蛇のように忍び寄ってくる。

 

「俺の名はイケロス、よろしくなぁ」

 

「イケロス、様ですか?それで、僕に何か………」

 

「それがよぉ、生意気なガキどもに顎で使われている最中なんだよぉ」

 

自身の眷属への文句を垂れ流しながらイケロスと名乗った男神は僕の周囲をぐるぐると回って品定めするかのようにジロジロと見てくる。意図が読めない会話を聞いているうちに『変な神様に捕まりそうになったらすぐに逃げるんだぞー』という主神の教えを思い出し、その場からどうにか立ち去ろうか言葉を選んでいると………

 

「喋る竜女(ヴィーヴル)って______」

 

「お、いたいた」

 

イケロス様の言葉を遮ったのは羽根つきの帽子が特徴の同じく男神ヘルメスが優しい笑みを浮かべながら立っていた。

 

「ヘ、ヘルメス様?」

 

「ベル君、行っていいよ」

 

「え………」

 

「ちょっと其処に居るイケロスを探していてね、()()()()がここに居るって教えてくれたんだ」

 

帽子の鍔を撫でながらゆっくりと歩み寄ってくるヘルメス様は柔らかい笑みを絶やさないままだ。

 

「さぁ、ベル君」

 

「す、すいません………失礼します」

 

ヘルメス様の突然の助け舟を受け入れるようにそそくさとその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベル・クラネルとの衝突という形でゼノスへの招待を送ったは良いもの、肝心の彼らが果たしてこの誘いに乗ってくれるか一抹の不安だった。

原作におけるレイのように穏便に済ませることは出来なかったが、肝心の内容はしっかりと伝えることが出来た筈だ。

 

現に俺は今、ヘスティアファミリアから抜け出してしまったウィーネをこっそり後ろから追跡している。

言い訳しているように聞こえるかもしれないが、これはストーカーではない、決してだ。

 

太陽も姿を隠し始めた頃、街の人達は一日の終わりを祝うように、労うように、酒を酌み交わす者も居れば、家族の元に帰ろうとする者、動きは様々だが賑わい、景色の一部としてに同化している。

 

そんな人間世界の中では極々当たり前の風景にとって何もかも初めてなウィーネにとってはとても新鮮で不安と焦燥に駆られている。唯一とよりにしているベル・クラネルを探しているのだろう、涙目になりながら周辺に視線を泳がせている。

 

そんな中、ふと少女の足が止まった。

何か気付いたのかある方向に目を止めている。その線を辿っていくと荷馬車の下で子供の姿が駆け回る姿がある。どうやらここでウィーネの存在が街の者達の衆目に晒される場所らしい。

何の罪もない純粋無垢な少女がモンスターという定義に掛けられ、迫害される。

 

少女は何故自分が苦痛を味わうのか分からず、感謝も伝えられず、石を投げつけられ、罵倒を浴びせられ、追い出されてしまう。

 

『今回はあくまで監視ということだ、決して表に出てはならない、竜女(ヴィーヴル)に関してはヘスティアファミリアの者達に任せ、頃合いを見てこちらと接触させる』

 

そんな光景を思い返しながらフェルズから伝えられた警告が記憶の片隅から顔を覗かせてくる。

 

『お前の存在が街の表舞台に出てしまってはそれこそ何が起こるか分からない、いいか、絶対に派手な事はするなよ?』

 

再三にもわたる忠告が否応なしで耳の中に残っていたらしい、人の姿を得て、オラリオに住む前に聞かされた言葉だ。

フェルズの言い分は理解できるし、至極真っ当、妥当な事実だ。一時の感情で動いてしまっては更に被害が広まってしまう。現にガンダムとしてダンジョン内で頻繁に活動してしまったが為にオラリオの冒険者勢力から目を付けられる形で異端児(ゼノス)としての立場は大きく追い詰められてしまったのだ。今こそ本来の姿ではないにしろ、これ以上目立ってしまえばそれこそ地上での活動が潰えてしまう。

 

そう頭の中では理解していた筈なのに、見て見ぬ振りをしていれば良かったのに、俺は既にウィーネとその場に居合わせた子供を庇うように荷物と支えていた。

 

全て押さえ込めれた訳じゃない。ウィーネ達に覆い被さろうとしていた物以外は大きな衝突音と共に周囲の喧騒を搔き消した。

 

「お、おい!荷物が崩れたぞ!!」

 

周囲にいた者達は俺達を中心に群集は形成され、それに比例するように視線が集まってくる。そのまま傾いている荷物をゆっくりと寝かせ、無事事なきを得られたのだが、後ろにいるウィーネは突然の介入に戸惑いを隠せずにいる。

 

「無事か………?」

(大丈夫?)

 

怪我を負う事は避けられた筈だが、念の為に確認を取ろうと反応を伺うがその琥珀色の瞳は未だに状況が理解出来ていないのか呆けたままだ。

 

「無事かと聞いている…………」

(もしもし?聞こえてる?)

 

「え………あ……うぅ…」

 

二度目の声掛けで漸く意識が戻ったのかと思いきや、どう対応していいのか分からないのか右往左往に視線を送っている。ダンジョンで追いかけられたことによる人間不信なのか、ただ単にヘスティアファミリアの者達以外との交流が無いただの人見知りによるものなのかは定かではないが、このままでは埒が明かない。

 

最悪の場合、混乱の渦に巻き込まれて泣き出す可能性もある。一刻も早くこの状況から離脱しなければ。

 

「ウィーネ!!?」

 

群衆の中から白髪の青年ベル・クラネルが飛び出してきた。

 

「ベル!!」

 

ウィーネも漸く会いたいと焦がれていた人物に会え、表情が一際明るくなる。不安に駆られた者同士、強く抱きしめ何事もなくとは言い難いが無事に再会出来たことに喜びあっている。

良し、場の雰囲気に紛れ込んで早々に立ち去ることにしよう。

未だ群衆の視線を幾つか受けているが混乱に乗じて隙間を縫うように路地へと入り込むことにした。つい忘れがちになってしまうが今も現在進行形でフレイアファミリアの者達から監視、尾行はされている。

この騒動に介入したことはかなりの痛手だ。こちらがヘスティアファミリアに何らかの関心が持っているとあの美神の耳に入ることだ。

だが向こうにはこちらの正体は掴めていない今はさほど問題ではない。これからは一般人としての立ち振る舞いを行っていけば下手に手出しはしてこない筈だ。

 

「あ、あの!!」

 

不意に後ろから声を掛けられた。振り向くとそこには少しばかり息が乱れているベル・クラネルが駆け寄って来たのだ。後ろには部外者に見られないようにフードを深く被ったウィーネを中心に他の団員達が囲んでいる。

 

「貴方が助けたと近くに居た方から聞きました!あの、本当にありがとうございます!」

 

深く頭を下げ、感謝の意を述べてきた少年を横目で確認しながら目の前の集団に会釈してその場から立ち去った。

ここから先、オラリオは未曽有の混乱に陥るだろう。そうすればここに留まる必要もない、この姿で会う事はもうないだろう。

フェルズに頼んでいた情報収集も終わりに近づいている。そろそろこちら側も()()()に出向かなくては…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は命さんと春姫さんも同行していたお陰でそこまで苦戦することは無いのだが、リヴィアの街からはモンスターと戦う事は無かった。

理由は至って簡単、この間の外套(マント)の者が率先して迫りくるモンスターを殲滅していたからだ。

最初は驚いたものだ。街を出てすぐの所に待ち構えていた。始めは僕もそうだがヴェルフ、リリも最大限に警戒した。だが向こうは警戒するどころかただただ立ち尽くしていた。

こちらに背を向け、当たり障りのない距離を保ちながら歩き始めたのだ。

 

この者は何を教えようというのだろう?

殺意や敵意がある訳でもなく、ただ近くに存在し、こちらへと近寄ってくる。

その言葉の全てを信じた訳じゃない。ただこのままじゃ何も得られないという惰性もあったのも否定しきれないけれど、一つの可能性に縋ってみたくもなった。

 

折角アリーゼさんにリューさん、アイシャさんの力を借りていたのにも関わらず、空回りしていく僕達は呆然とその背中についていく。

 

「………」

 

「ウィーネ、大丈夫?」

 

外套(マント)の者を見た途端に怯え始め終始僕の後ろに身を隠している。聞けば冒険者達に襲われるところに姿を現し、その者達を撃退したと聞いてはいるけれどその真意は定かではない。

こちらの様子を気に掛けることもなくただ淡々と目の前の道を歩き続けている。

 

「あ、あの!」

 

何も知らないこちらがあれこれ憶測を立ててもキリがない。意を決して案内人に声を掛けるとこちらに少しだけ振り向いてくれた。

横目だけれどこちらに視線を向けて、何だ?と言うようにこちらを見続けている。

 

「貴方は一体何者なんです?どうして僕達にこんな真似を」

 

「……………」

 

目の前を歩く外套(マント)の者は答えるつもりなど無いのか、無言のまま歩き続ける。剣を交えた時のあの雰囲気、どこか…………ガンダムに似ているような気がしたのだけれど、同じ仲間ではないのかな?

 

「俺には…………」

 

「え?」

 

「俺には見たい景色がある…………」

 

「見たい景色?」

 

「…………」

 

たった一言、案内人を担う外套(マント)の者はそう答えた。そして、暫く歩き続けていると外套(マント)の者はピタリと足を止めた。洞窟の途中、道半ばの所でだ。

何かあったのだろうかと察していると壁に向かって指を刺したのだ。

 

何もない。何の変哲もない長方形の広間だった。案内人はそこで立ち止まり、こちらに振り向いた。

 

「ここだ…………」

 

目的地に到着したとそう告げる案内人だが特にこれといって先に繋がる入口も通路も存在しない。ヴェルフ達も疑惑と困惑を露わにしている。

 

「ここって………何にもねぇじゃねぇか」

 

「一体、どういうことなのでしょう?」

 

罠か?待ち伏せか?奇襲か?そう警戒し始める仲間達を他所に

ウィーネが数歩、僕の前に歩き出し何かに対して耳を傾けていた。

 

「聞こえる………」

 

僕達がウィーネの言葉に振り返る。皆で顔を合わせ、耳を澄ませ、意識を集中させると…………

 

「~~~♪~~♪」

 

歌が聞こえてきた。集中すればするほどその歌声はより鮮明になっていく。

そして、聞き覚えがある。たった一度しかないけど、どんな歌よりも印象が強く頭の中に深く刻まれたあの歌が………

 

「これって………ガンダムの?」

 

そこから先はウィーネが指し示す場所、壁に食い込まれた石英(クォーツ)を破壊するとそこには人ひとり入るには窮屈なものだったが小さな穴が姿を現した。

 

「これは………」

 

再び外套(マント)の者に視線を向けると向こうは小さく頷く形で返事を返した。

もう一度仲間達にも顔を合わせると折角ここまで来たんだからこのまま進もうと決意を刻んだ表情が確認された。

僕はゆっくりとその小さな穴を睨み、意を決して入り込んだ。そこに待っていたのは____________

 

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