ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか   作:ユーグクーロ

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最近感想欄の返信ができなくて申し訳ない…………
今だけリアルがちょっと忙しくてね……………

今回の評価者

シナモン97さん


ともはたはたさん


にゃんこ太郎さん


マッサさん


池ポチャさん


評価ありがとうございます!!そして誤字脱字を報告してくださっている方々にもいつも感謝しております!!


歓迎

「ベルっち達と出会えた事に乾杯!!」

 

ダンジョンのとある一室で僕達は鮮烈を覚えていた。赤い蜥蜴人(リザードマン)改め、リドと名乗るモンスターの掛け声と共に周りにいる多種多様な同族達が手にしている木製のジョッキを掲げると同時に逞しい咆哮が洞窟特有の反響で響き渡る。

燃え盛る焚火を中心に僕達ヘスティアファミリアとモンスター達による宴だ。

 

「ほらほら!ベルっちも呑みなって♪」

 

「ど、どうも、すいませんさっきは思いっきり殴ってしまって…………」

 

「気にすんなって、こっちが無理矢理仕掛けて来たんだ、それに鱗だってまた生えるし」

 

豪胆に腰を据えている蜥蜴人(リザードマン)は鱗が剥がれた部分を撫でながらそう答えてくれた。

最初こそ人のように触れ合ってくる対応に驚きはしたもの、すぐにその違和感は拭い去られた。

ガンダムに出会った時の印象があまりにも大きかったのだろうか。彼らの表情が読み取れるようになるのもそう難しくは無かった。

 

この洞穴で最初に遭遇したときは剣を交え、咆哮のぶつけ合いをしていた筈なのに今は杯を交え、笑い合っている。

冒険者とモンスター、ダンジョンでは殺し合いをしている筈の二つの存在がだ。

他の皆も場の流れに流され、半ば強引に開かれた宴に身を投じている。

 

「それでね!それでね!ベルがね!」

 

「楽しそうですね、ウィーネ」

 

「うん!!」

 

元から人見知りという部分もあったけれど、始めこそ僕の後ろに隠れていたウィーネも同じ仲間と触れ合うことが出来てすっかり打ち解け合っている。

ヘスティアファミリア以外であんな無邪気に笑っている様子を見ているとどこか嬉しくて、寂しいように思えてしまう。

だからこそ、ウィーネとの出会いから生じた謎がより引き立つ。

 

「あ、あの………貴方達は、ウィーネは、何なんです………?」

 

目の前の光景に意識が引っ張られてしまうが時間と共に冷静に判断が出来るようになってきた。武装し、なおかつ高い知性も合わせて喋ることも出来る。

まるで人と対面しているかのような錯覚を覚えてしまった。

恐る恐る質問をしてみるとリドは即答した。

 

「俺達は異端児(ゼノス)だ」

 

異端児(ゼノス)?」

 

聞いてみれば話はこうだ。

自分達が生まれたのはいつだったのか、どうしてそうなったのかは定かではない。ただ分かっていたのは自分が同じ存在(他のモンスター)とは似て異なるものだということ。

そしてその存在をオラリオに存在する神々の中でも最古参であるウラノス様が自分達の存在を知り、手助けしてもらっているらしい。

それ以降、組織として自立出来るようになってからは自分達の手で同胞を受け入れているようだ。ウィーネに接触してきた時もただ単に守ろうとしていただけらしい。端的に言えばこちらが早とちりしてしまったということだ。

 

「信じられねぇ………ギルドがこの事を知っていただと?」

 

「そして、その存在を擁護していた………一体どうして………?」

 

「まぁ、積もる話はお互い沢山あるだろうけどよ、今はこの宴を楽しんでからでも遅くはねぇだろ?おい!誰かもっと酒と食い物持ってこい!!ベルっち達との出会いだ!じゃんじゃん騒ごうぜぇ!!」

 

元から他の異端児(ゼノス)の者達に質問攻めされていたのにも関わらず、リドの掛け声を皮切りにより一層押しかけて来る。

 

ヴェルフはこの状況を未だに受け止めることが出来ないのか目一杯、酒の力を借りようとしているけどその効果はいまいち得られていない。その隣では体格の小さい小人族(パルゥム)のリリが益々縮こまって周囲にいる異形の存在に身構えている。

春姫さんと命さんに関しては極東由来の独特な服装や鎧に興味を持っているのか一部の女性………と思える集団に囲まれてあれやこれやと聞かれている。

 

そして僕もリドから地上でも珍しい食べ物を進められたりして、兎に角、奇妙な宴会は暫く続いた。

次第にその環境に慣れ始めて来たのかリド達に対する疑問、端的に言えば好奇心に近いものだが質問を返す余裕が生まれてきた。

 

「そういえばどうして僕の名前を知っているんです?まだ名乗っていなかったと思うけど?」

 

「ん?ああ、エルッち……じゃなくてエルスクアンタっていう俺達の仲間が教えてくれたんだ」

 

「えるす……くあんた?」

 

聞き覚えのない名前と共に更に謎が深まってきた。リドさん達の仲間(同じ異端児)、なのだろう。ならどうやって知りえたのか、ダンジョン内で感じた視線の主はその者からなのだろうか。僕は前のめりになりながらその続きを問いただした。

 

「ち、因みにどんな方なんです?」

 

「ん?どんなって………ガンダムだぜ?」

 

「ガッ___!!?」

 

あっさりとその答えが返された。とてつもない事実と共に。つい素っ頓狂な声が出てしまった。僕だけじゃない、ファミリアの皆もその単語が耳に入ったのか視線はリドに集まる。

異端児(ゼノス)のメンバーが事細かに教えてくれた。

まだ異端児(ゼノス)が組織として発足したばかりの頃、ガンダム…………後に自らをエルスクアンタと名乗る者と出会ったらしい。

数年前、異端児(ゼノス)そのものが方針も定まっていない頃の話だ。

 

彼は初対面の同胞に対し、驚愕するどころかこう言ったのだ。人と、他者と分かり合いたいと。

そこからだった。本格的に地上に居る者達との『相互理解』というものを求め始めたのは。

 

「相互……理解………?」

 

「そう、他者と分かり合う、お互いが傷つけあうような争いを失くして平穏に暮らす、それが俺達異端児(ゼノス)の生きる指針ってなった訳だ」

 

「分かり……合う…………」

 

そういえばあの時、ダンジョンでガンダムは対話を求めるような発言はしていた。だが今でもウィーネのように冒険者からただの異形のモンスターとして刃を向けられている始末だ。

僕がこのオラリオに足を踏み入れるずっと前から…………戦ってきたのだろうか?

 

「え?何?聞かされてねぇのか?エルッちに?」

 

膠着してしまった僕達に困惑しているリドさんに僕はぎこちなく頷き返した。

 

「まったく、エルッちの奴、肝心な事を伝えてねぇな」

 

「言葉足らずなのは彼らしいと言えば、それまでですが………」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!?」

 

仲間同士で呆れた表情を浮かべる二人に僕は驚きが隠せないでいた。確かに言われてみれば納得は出来る。モンスターでありながら会話を始めとした高度な知能、第一級冒険者にも引けを取らない戦闘力、どれもこれもみんなここに居る異端児(ゼノス)と同じ共通点がある。

ましてやガンダムはダンジョンのどの階層にも出没するとのこと、ならここに居るリドさん達に会わない方がおかしい話だ。今回ダンジョンに潜った理由の一つでもあるガンダムとの接触、それが目の前の出来事があまりにも衝撃的ですっかり頭の中から抜け落ちてしまっていた。

 

「ガンダ……その、エルスクアンタというモンスターもここに居るんですか!?」

 

「たまに連絡することはあるんだが………」

 

「といっても今は少し………()()()()に居るから会うのは難しいかと」

 

「あ…………そうですか…………」

 

つい思わぬ言葉に取り乱していたのか立ち膝状態からすとんと腰が落ちてしまった。その反応にリドさん達は苦笑いを浮かべていた。

 

「まぁそう気を落とすなよベルっち」

 

がはは!と豪胆に笑うリドさんに背中を叩かれながらも複雑な気持ちが拭いきれない。

 

「………そういえば、あの外套(マント)を被った方は何処に行かれたのでしょうか?同じ異端児(ゼノス)なんですよね?」

 

リリがふと気になったかふと周囲を見渡している。確かに見渡してみれば宴に興じる群衆の中にその姿は見当たらない。

 

「そういえば確かに…………あの、僕達をここまで案内してくれた方は?」

 

「ん!?あ、えっと………だな」

 

「か、彼はですね…………」

 

「???」

 

「奴なら他にもやらなければならい事がある為、この場を後にした」

 

途端に歯切れが悪くなった彼等に対し、疑問の言葉が尽きない僕達の後ろから答えが飛んできた。振り向くとそこにはボロボロのローブを纏った何かが暗闇から姿を現したのだ。

 

「フェ、フェルズ!来ていたのか!」

 

「あぁ、奴から連絡が届いてな、どうやら無事に接触は果たせたようだ」

 

フェルズと呼ばれた者はゆっくりとこちらに影で見えない顔をこちらに向け、改めて自己紹介を始めた。

 

「初めましてだな、ベル・クラネル、そしてヘスティアファミリアの者達よ」

 

「あの、貴方は?」

 

「私はフェルズ……そうだな、かつては賢者と呼ばれていた愚者だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラリオの中央、代表的な建造物であるバベルの塔、その最上階の一室でフレイアはいつも通り、豪奢な椅子に体を預けながら鬱屈とした態度で街を眺めていた。

傍に置かれているテーブルの上に置かれている上物の葡萄酒(ワイン)が注がれたグラスをゆっくりと手にし、円を描くように揺らしている。

 

「オッタル、ここ最近、あの子の様子はどうかしら?」

 

「特にこれといって変わりはないようですが、ダンジョンでの攻略が以前と比べて少ないかと」

 

イシュタルファミリアとの抗争が終えた後、あまり顔を合わせる機会が減ってしまった事に日頃の鬱屈が溜まっていくのがさらに加速している。オッタルを弄る事すら焼け石に水と思えるくらいには。

ここ最近、浮かない顔を見かけるところを見るにまた何かしらの問題に直面したのだろう。理由こそ知れないがあの子の事だからきっと何かしらの形でこちらの耳に届くことになるだろう

 

「………()()()は?」

 

「そちらも怪しい所は確認されなかったようです、宿屋に篭る事が多いようですが………」

 

「あら、どうかしたの?」

 

どこか言葉を濁すような言い方に街を眺めていた視線を側面に立っている眷属(オッタル)に向ける。美を司る女神を前に猪人(ボアズ)はただ淡々と口頭を述べる。

 

「先日、街中で騒動が起きたようです、荷車の縄が千切れ、その近くに居た子供に襲い掛かるところを()()()が助けたとのことです」

 

「それが?」

 

「監視していた者によると10M(メドル)も離れた場所から動き始めたとのことです、それも冒険者でもない限りとても一人では支えきれない程の荷を軽々と…………当時監視を務めていたアレンが目撃しています」

 

普通に考えれば人助けなどなにもおかしくは無い。人というのは個々の力に関しては無力に等しいのだ。だからこそ助け合う、寄り添う、支え合う。

それがただの人か、神々から恩恵を預かった冒険者かによって異なる。

老若男女問わずその強さは損なうどころか偉業を成すたびに強さを増す。オッタルの報告が正しいというのなら彼の者は人でありながら何か力を隠しているか、ギルドが人目には出せない何かを抱きかかえているとしか考えれない。

 

「前にギルドの冒険者登録を調べても確認できなかったと言ったわよね?」

 

「はい、少なくとも冒険者ではないのは確かです」

 

「そう……………恐らくはウラノス辺りが隠していそうね、必要であれば問い質せばいいわ、ヘルメスの動き方も気になるけれど、今は引き続き監視を続けなさい、もし何かしら妙な事があればすぐに知らせるように」

 

「承知しました」

 

短絡的なやり取りを行ったオッタルは一礼した後、部屋から退室する。

それを見届けてから再び街の景色を視界に収め、一人愉悦に浸っていた。

 

「本当、退屈する暇も無くなって来たわね……フフフ………」

 

 

 

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