ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか   作:ユーグクーロ

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皆様、またしてもお待たせして申し訳ありません。ドーモ、シャチク=サクシャデス

作品投稿の遅延となっていた原因であろうソシャゲをやめてからというもの、筆が乗り始めましたのだでぼちぼちリハビリも兼ねて頑張って行こうと思いますW

久し振りなので少しばかり文字数が少ないのはご容赦ください………


この馬鹿野郎!!

オラリオが黒い煙と爆音に包まれている中、見下ろしの良い建物の屋上にて、一人の男神が腰を下ろして見物していた。

 

「いやぁ、中々に派手に暴れちゃって………これはある意味舞台劇を見るよりも贅沢かもしれないな!」

 

大きな拍手と共に高らかに笑いながら逃げ惑う悲鳴、戦いに勇ましく向かう怒号が入り混じったこの混沌の状況を楽しんでいるように見える神の眼はこの場の誰よりも鋭く輝いている。

 

その背後に足に翼を生やした眷属が颯爽と空中から降り立ち、ゆっくりとその背後まで歩み寄った。

 

「ヘルメス様、そろそろ到着する様子です」

 

「おっと、意外に早かったものだね。じゃあそろそろ………」

 

重くなった腰をゆっくりと持ち上げ、自慢の羽根付き帽子を整えながら笑みを崩さず、眼光の鋭さは次第に強くなってくる。

この場を誰よりも楽しんでいるかもしれない自分の崇拝する神に対し、呆れしか籠っていない溜息が零れてしまっている。

今更ですがと小言染みた愚痴を吐いているが今に始まった事ではないと諦めの表情しか浮かばない。

 

「さてガンダムもとい、刹那君、その輝きに見合うだけの活躍しているところ悪いが………‥‥」

 

帽子の切れ端から覗く視線と共に薄ら笑いが消え、普段の悪ふざけが込められたものから神と呼べる威風へと衣を変え、その先に居る波乱の元凶たる者へとただただ言葉を連ねる。

 

「そろそろ退場願おうか」

 

そう告げた後、ゆっくりと振り返り、眷属と共にその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アストレアファミリアを背にアイズとの競り合いを始めてからどれ程の時間が経過しただろうか。恐らくは2分越えただろうかと思う程度の体感だが程よい緊迫感と集中力によるものなのかより長く感じてしまう。

 

幾久しい戦闘による高揚感が増していくと同時に焦りが滲み始めてくる。

こんな事している場合ではない。一刻も早くベルと合流してウィーネにTomorrowを聴かせなきゃいけないっていうのに目の前にいるモンスタースレイヤーさんは逃がしてくれる気配を一切見せてくれない。

 

「退いてくれ。俺には為すべきことがある…………!」

(もぉ!!いい加減逃がしてよ!こっちはやらなきゃいけない事があるんだから!!)

 

「逃がさないって言った!」

 

鍔迫り合いから強引に引き剥がされ、絶え間なく襲い掛かってくる斬撃を受けながらもアストレア率いる避難民から離れなければ要らぬ被害が増える一方、オラリオの皆さんとの対話なんて夢のまた夢となってしまう。

動けば動くと厄介事ばかり増えてしまうとは………ガンダムライフツライネ。

 

「もう止せ、アイズ・ヴァレンシュタイン………!」

(アイズちゃん!もう止めよって!)

 

「何を!」

 

「もう過去に囚われたまま戦うのはやめろ。こんな事をしても、なにも戻りはしない………!」

(こんなの意味ないって!お母さんも戻ってこないから!)

 

「_____っ!?」

 

「なのに未来まで殺すつもりか、お前は…………!」

(折角のゼノスと人類の和平もお釈迦になっちゃうんだって!わかる!?)

 

「そうやって全てを否定し、可能性まで殺して………お前が欲しかった未来は、本当にそんな世界か…………?」

(そんな嫌々言ったって君の望みが叶わないんだって!!)

 

「わ、私は…………」

 

この翻訳機とはそれなりに長い付き合いではあるが、もう殆ど何処ぞの全身サーベルマンのような言葉に変換されているがこの際無視しておこう。 

 

「お前は一体、何が欲しかったんだ・・・・・・・・・!?」

(ねぇ、君は本当にそれでいいの!?)

 

「黙って!!」

 

説得し続けた筈が、アイズの逆鱗に触れたのだろうか普段は物静かな口調が常だった彼女の言葉に怒りが込められ、気圧されてしまった。

それを皮切りに彼女の周りには黒い炎のような何かが浮かび上がり、次第に広がっていくそれは風の様に吹き荒れていく。

 

「貴方に何が分かるの………私が………私の………」

 

姿勢を極限にまで低くし、次の瞬間には今までの比にはならないの速さで詰め寄って来た。

これには酷く焦った。何せ成す術もなく一方的に吹き飛ばされてしまったからだ。咄嗟の気後れが原因か成す術もなくその斬撃に襲われ、傷を負わずとも後方の壁に激突する形になってしまった。

 

不幸か幸いか痛覚と呼べるものは今のこの肉体に存在しなくとも僅かに重心が揺れてしまい、膝をついてしまった。

 

「奪われたから………取り戻す………だから!」

 

この一瞬が剣姫にとって絶好の好機と判断したのだろう。右手に握りしめた得物が一際黒い波動に包まれながらもう一度攻撃の体勢を整え始める。

 

「私は………何も間違ってなんかいない!」

 

僅かに口角を上げ、その歪んだ笑みからは狂気なんてものが可愛く思える程の何かが孕んでいる。ある意味では一点の曇りもない意志が後に繰り広げる攻撃の凄まじさを予告している。

 

だがいうなればこちらもその瞬間が好機ともいえるだろう。

ほんの一瞬、その紙一重にも等しい隙間を狙って量子テレポートを使ってこの場を脱することが可能だ。

 

ならばここは敢えてダメージを負って身動きが取れない素振りをして機を伺おうとしていたその時だった。

 

「リル______」

 

「もう止めて!アイズちゃん!!」

 

これは予期していなかった。こちらとアイズ、今衝突し合う両者の間に何故かアリーゼが割り込んできたのだ。それもアイズに向けて両手を広げ、こちらを庇うような形でだ。

 

「このモンスターは、ガンダムは_____」

 

だが悲しきことにアイズの放とうとしていた攻撃は最早踏み止まれる段階を超えてしまっていたのか既に放たれた切っ先はアリーゼの胸の中央に迫りつつあった。

 

アイズ本人ももう既に止められる術は無いのか焦りが募った表情で突進しつつある。このままでは間違いなくアイズの剣はアリーゼの胸を貫き、いくら高レベルの冒険者でも致命傷、即死に至る事だろう。

 

そんな惨劇が起きれば最早オラリオとゼノスとの抗争以前にファミリア同士の亀裂が生じてしまう。そうなれば過去に起きたであろう暗黒時代とまではいかないが決定的に協調性と呼べるものは潰えてしまう。対話も、相互理解も夢の又夢となる。

 

なんで………なんでこうも邪魔ばかり………

 

圧縮した粒子を爆発させ、アリーゼの目の前に突出し、アイズの剣撃を片腕で受け止めてみせた。向こうも咄嗟の出来事があったとはいえ、渾身の一撃を受け止められた事に酷く困惑していた。

 

「馬鹿な事を………!!」

(この馬鹿野郎!!)

 

想像を絶する衝撃を受け止めきったとはいえ、その場で荒れ狂う

衝撃を横に薙ぎ払い、勢い余ったアイズの体勢は最早成す術もないに等しい。間髪入れずに蹴りを入れた。

 

僅かばかり何かが折れた感触と共にアイズは少し離れた建物へと吹き飛ばされ、巻き起こる土煙と共にその姿を消した。

 

数秒間の沈黙が過ぎ去る中、今もなお巻き起こる土煙の中で僅かにアイズが倒れこむ姿が確認することが出来た。

 

先程のダメージが気絶するまでに至ったのか、或いは自身が巻き起こした先程のどす黒いものによる影響か、それを知る由もないが起き上がる気配は微塵も感じられない。

 

漸くこの場に到着したリヴェリアがアイズの様子に驚愕し、傍に近寄って介抱をしている。

これで少なくとも執拗に追いかけ回される心配はなさそうだ。

近くにいる冒険者達もその光景を目の当たりにして戦意喪失している者が大半を占めている。

 

これで漸くまともに行動することが出来そうだ。

そう安堵し、一刻も早くベル・クラネルの元に行かなくてはと量子テレポートで飛び立とうしたその瞬間だった。

 

「ま、待って!」

 

またしても少女の声に引き留められた。

振り返るとそこには長い赤髪を靡くように揺らしながらゆっくりと近付くアリーゼの姿があった。アイズとは違い、睨んでくる訳でも刃を突き立てようという素振りも無い。

 

流石にジャガーノートの一件で敵意は無いとちゃんと伝えたお陰か攻撃してくる気配は感じられない。良かったぁ、あれも無駄では無かったのだ。

とはいっても他のアストレアファミリアの皆さんはこちらの出方を伺いながら警戒している。もっと言えば金髪ムッツリエルフちゃんに関しては今にも飛び掛かってきそうで他の団員に羽交い絞めされているよ。

 

「貴方………もしかして………ソ_____」

 

「止せ、アリーゼ・ローヴェル…………」

(いや、今は止めとこうか。アリーゼちゃん)

 

「っ!?」

 

「今は関わるべきではない…………」

(ちょっと立て込んでているからね。また今度にしよっか)

 

「その喋り方、それに私の……名前………じゃあやっぱり貴方は………」

 

何か小言を呟いているようだが、今は構ってあげられる程に余裕はない。少しばかり申し訳ないがここらへんでお暇させて貰おう。俯いてこちらから少しばかり意識が外れている今が好機だ。後ろ向きでゲートに入っていく中、流石に気取られてしまったのか慌てふためきながらこちらに手を突き出して制止を求めていた様だが、もう既に時遅し。

 

「っ!?待って!ソラ_____」

 

何か呼び止めていたようだが、最後まで聞く前にゲートは閉ざされた。一体何を言おうとしていたのだろうか?

 

『エルスクアンタ!聞こえるか!』

 

ゲートを潜り抜けながらそんな疑問を回転させていたら身に付けていた眼晶からフェルズの声が大きく響いてきた。

最後に通信してからまだそんなに時が経っていないというのに懐かしさが込み上げてくる。

 

「フェルズか、すまないが至急ベル・クラネルの所在が知りたい。現在位置を教えて欲しい…………」

(あ、フェルズ?いきなりで悪いんだけどベルが今何処に居るか分かる?)

 

間を入れることなくフェルズと通信を交わしながら再び移動を開始させる。移動中、フェルズからの情報を耳に入れながらも確実に目標に近付いていく。

大半が俺に対するいわれのない愚痴が混ぜ込まれていた。そう言えばリド達からの通信でもフェルズの愚痴が止まらないと内心辟易とした声色で困っていたようだ。全く、これでも一生懸命平和の為に毎日奮闘しているというのに………ガンダム生も楽じゃないね。

 

カスタマーサポートのクレーム対応にも似たやり取りを行いながらも波乱万丈な生き方に勤しむ自分にエールを送り、取り敢えず邁進あるのみと今後の抱負を簡略に済ませた。

 

(あれ?そういえばさっき何を悩んでいたんだっけ?)

 

ふと、先程の出来事を思い浮かべるが、先程自分が何に対して疑問を浮かべていたのか度忘れしてしまった。

まぁ忘れてしまうとなればそう大した物事でも無かったのだろう。きっとその内に思い出すに違いない。

頭の中で燻っていた何かをいとも簡単にバッサリと切り落とし、心の中でもう二度とアイズのようなしつこい奴は現れませんようにと祈りながら俺は本来の目標へ向かって飛び去った。

 

 

 

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