ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか   作:ユーグクーロ

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大分遅れてしまったがガンダムWのリメイクOPを見て発狂したのは俺だけじゃない筈………


GNY-001

 ゼウスファミリア並びにヘラファミリアがオラリオから立ち退き、闇派閥(イヴィルス)が跋扈することとなった混沌の時代、平穏を求めて対抗する為に日夜問わずアストレアファミリアを含めた各勢力が衝突、紛争が繰り広げられていた。

 

 流血が絶える日々はなく、酷ければ死者が出る事もそう珍しくはなかった。

 

 だが、ある日を境に被害状況は瞬く間に減っていった。

 

 闇夜に紛れた闇派閥(イヴィルス)の悪事が産声を上げる前に次々と摘み取られたからだ。

 

 ガネーシャファミリアが捕縛した実行担当の末端であろう者達に尋問をすると皆口を揃えてこう告げる。

 

 

 

 

 

『バケモノ』が襲ってきたと。

 

 

 

 

 

 夜空に浮かぶ星々を縫うように、一筋の光が軌跡を描かれた時、それは突如として何処からともなく現れたとのことだ。

 

 全身に見たことがない鎧を身に纏った何かが問答無用で闇派閥(イヴィルス)に武力介入、これを鎮圧し、街の警備部隊が駆けつける頃には既に姿を消しているとのことだ。

 

 その不可解な一連の出来事、そして悪を挫く正義のような存在に住民達から次第にこう呼ばれるようになった。

 

 

『星屑』と。

 

 

 そして今日も今日とて懲りもせずに工業区にて不穏な動きがあるという情報を聞きつけ、アリーゼを始めとし、輝夜、ライラ、リオンの4人組は現場へと駆けていた。

 

「また懲りもせずに連中は暇なのかぁ?」

 

「黙って走ることに集中して下さいライラ。今は一刻を争う時です」

 

「へいへい」

 

 怠惰な姿勢を指摘するリオンに悪怯れる様子が微塵もないライラは両手の平を広げた。

 

「でもリオンの言う通りよ。今は何としても闇派閥(イヴィルス)の蛮行を止めて出来る限り被害を抑える必要があるわ」

 

 普段は盛大な天然発言を常に発している団長もこういう時は立場相応の言動を取っている。

 

「団長はん、気構えるんはええけど多分無駄足になるんとちがう?」

 

 極東特有の訛りで語りかける輝夜は上を見上げてみろと空に指を差した。

 

 見上げるとそこには一筋の大きな光の線が確認された。

 

「あれは!?」

 

「お星様のご登場ってか?」

 

 次の瞬間、目的地であった工業区の方角から大きな爆発と光が観測された。

 

「皆、急ぐわよ!」

 

 団長の号令と共に気を引き締めたリオン達は直ぐ様足を動かし始めた。

 

 近づく度に爆音や、鋭い鋼が衝突する音が幾重にも響いてくる。

 

 始めの爆発からアリーゼ達が到着するのに5分と掛からなかった筈だというのに現場は既に祭りの後、そこには何人ものローブを身に纏った者達が地面に伏せていた。それも1人や2人でない、ざっと見ただけでも10人以上はいるであろう集団をだ。

 

 死んでいる……訳ではなさそうだが致命傷を避けているようだが身動きが取れない程度には痛めつけられている模様だ。

 

 そしてその先にこの惨状を生み出した存在が居た。

 

「あれは…………?」

 

 後ろ姿からでも確認できる限り、白を基調に瑠璃色との2色に染められた鎧を全身に纏った者が悠然として立っており、あちこちに戦闘によって生み出された炎がその存在を不気味に際立たせている。

 

 すると相手が気付いたのかゆっくりとこちらに向き始めた。

 

 今まで見たことがない形状の鎧、顔さえも覆い隠す兜、右腕には大きな刃が腕から生えているかのような形で取り付けられている、大きな金属音と共に折り畳まれ、収納された。何から何まで異質、異様である。

 

「これをやったのは貴方なの?」

 

「………………」

 

 意を決し、問い掛けるも鎧の者は黙秘のままだった。

 

「貴方は何者なの? 所属しているファミリアは?」

 

 再度投げ掛けるも正体不明の鎧はただ呆然とこちらを見つめているだけ。

 

 少しの間を空き、鎧の者は一言も介さず、何処かへと立ち去ろうとしたが、その足並みはすぐに止まった。

 

「何処に行かれるおつもりで?」

 

 鎧の者の行く手にはいつの間にか先回りしていた輝夜が腰元に帯びた刀へ手を添えながらゆっくりと立ち回り、牽制する。

 

「…………」

 

 依然鎧の者は沈黙を貫いていた。その静寂と相反する形でその場にいたアストレアファミリアの全員が鼓膜に鼓動を感じるくらいに緊迫している。

 

 周りを見渡す限り倒れている闇派閥(イヴィルス)の構成員と思われる連中はこの者に敗れたに違いない。

 

 レベルやステータスを抜きにしても十数人はいるであろう戦力たった数分足らずで制圧したのだ。それもたった1人で。

 

「ぐ…………この…………」

 

 視界の端から微かにしか聞こえないが怨嗟が込められた声が震え上がるように響いた。

 

「化け物がぁぁぁ!!」

 

 倒された闇派閥(イヴィルス)の生き残りが最後の力を振り絞って立ち上がったのだろう。両手に握られた剣を腰に固定する形で鎧の者に突進を始めた。

 

 最悪にも鎧の者の真後ろからの死角という最悪な立ち位置だ。

 

 反対にいる輝夜は勿論、こちらからも今から走り出したとしても届かない距離でもある。幾ら全身に鎧を纏っていたとしても防ぎきれるかどうか。

 

「危ない!」

 

 そう警告するも鎧の者は微動だにせず、直立したままだ。

 未だこの状況に気付いていないのかと思うも既に時遅しと刃が突き刺さろうとするその刹那。

 

 金属音の激しい衝突音が響き渡り、アリーゼの目の前に何かが突き刺さった。

 

 注視するとそれはたった今、闇派閥(イヴィルス)の残党が持っていた筈の剣だった。

 

 再び視線を戻すと残党の者が痛みで悶えているのか両手が震え、棒立ちで狼狽えている。

 そしてその目の前には対面する形で右手から露出した剣を構え、空高く突き上げていた鎧の者が居る。

 

「あ……あれ? 何が…………」

 

 未だに何が起きたのか理解が追いついていない残党に対し、鎧の者は躊躇いがなかった。

 

 今度は左手で右腰部に備えられている剣を取り出しつつ、そのまま流れるように斜めに切り上げた。

 

 次の瞬間には残党の胸から出血と共に後方へと吹き飛ばされる。

 

 その光景を見届けた鎧の者は淡々と刃を納め、再び不動の意思を見せる。

 

「おいアリーゼ、どうする? こいつかなりヤバそうだ」

 

 ライラが小声で耳打ちをしてくるが実際のところどう対処すれば良いのか考え倦ねる。

 

 そもそもこの者は味方なのか? それとも闇派閥(イヴィルス)とは違った第三勢力なのか? 

 考えれば考える程沼に嵌りそうな感覚に陥る。

 

 重い空気の中、沈黙を破ったのは鎧の者からだった。

 

 体のあちこちからコルク栓を引き抜く様な音と共に手の平程度の円柱の形をした何かが複数飛び出し、周囲に転がった。

 

「っ!? 全員後ろに飛べ!」

 

 真っ先に怒号染みた大声を上げたのはライラだった。

 

 その警告に皆即座に対応、鎧の者から更に距離を取った。

 その直後、周囲に撒き散らされた円柱の物体から煙が吹き出し、辺り一帯が徐々に埋め尽くされていき、視界が遮られていく。

 

「クソが!」

 

 これに対処しなくてはとライラが懐から素早く爆弾を取り出し、鎧の者が立っていたであろう位置に投げた。

 

 数秒後に大きな爆発音と暴風が一帯を纏わりつく煙を吹き飛ばすも既にその中心地から鎧の者の姿は消えていた。

 

「やった……のですか?」

 

「いや、手応えの無さから完全に逃げられちまったな」

 

 何から何までイレギュラーな光景に戸惑うリューを他所にライラは仕留め損なったことに舌打ちをする。

 

「…………今はガネーシャファミリアが来るまで闇派閥(イヴィルス)拘束と住民達の安全確保が最優先よ。火消しを急いで!」

 

 その後、アストレアファミリアの調査の結果では当区画に潜伏していた闇派閥(イヴィルス)は掃討、建物の損害を除けば総合的に死者数並び、近隣住民に直接的な被害は無かったという。

 

 だが正義を掲げる少女達の心の中には晴れることのない疑惑が生まれ、なんとも言い表せない気持ちだけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鎧の者が襲撃を防いでから数時間後。

 

 ギルド本部にて各ファミリアの代表が集い議論が行われていた。しかし、今回に限っては闇派閥(イヴィルス)とは別件の内容だった。

 

「さて、今回皆がこの場に召集された議題については闇派閥(イヴィルス)の襲撃も含めて既に耳にしていることだろう」

 

 ロキファミリア団長、及び議会進行役でもあるフィンが議論の切り口に触れ始めた。

 

「例のギルド倉庫についてじゃな」

 

 相槌の様に傍らに居るファミリアのガレスが付け加え、それに勇者(ブレイバー)が頷いた。

 

「今から少し前、倉庫から超硬金属(アダマンタイト)が大量に盗まれた。始めは闇派閥(イヴィルス)による犯行かと思われたが現在に至るまで連中が大量に使った形跡はない」

 

 事の発端は街の中心部ギルドが管轄している冒険者に関わる物資全般を貯蓄している倉庫が襲撃‥‥‥というよりも窃盗に遭うという前代未聞の事件が発生した。

 

 場所が場所なだけに警戒は厳重、それこそ熟練(ベテラン)冒険者が複数人掛かりで襲わない限り物資を奪われる心配がない程にだ。

 

 にも拘らず、窃盗犯は警備の者を無力化する程度に制圧し、件の鉱物を奪取した後、早々に退散したとのこと。

 襲われた者からの自重聴取によると複数の魔道具(マジックアイテム)の使用し、警備の者を睡眠、気絶させ制圧。内容の中には何の脈絡も無い所に成人男性向けの書物が落ちていたり、動き回る箱を目撃したなどと可笑しなものも含まれていたが、その後の足取りはまるで更地の様に痕跡が掴めない。たった一人でこのような芸当を行うには無理がある。

 

 結果、現場検証からするに単独犯に見せかけた組織的な犯行ではないかという答えしか得れていない。

 

「各々の調査による定期報告の述べて欲しいのだが…………」

 

 そう告げながら各代表を見渡すも誰も挙手する気配は無い。

 

「手掛かりすら無しか…………ヘルメスファミリアですらそれらしい情報は無しかい?」

 

 言葉の矛先がヘルメスファミリア代表‥‥‥代理であるアスフィが首を横に振る。

 

「いえ、こちらからは何も。ただ‥‥‥」

 

 またしても収穫無しかと思いきやアスフィの口振りが場の空気を変える。

 

「先日、アストレアファミリアが接触した例の存在、その者について気になったことが」

 

「例の『星屑』の事かい?」

 

 周囲の空気がどよめいた。

 

 悪しき者を討ち、己の名前すら明かさず、夜明けと共に姿を消す謎に包まれた存在。

 

 彼の者が出現する前に決まって流れ星のような現象が起きることからそのようなあだ名が呼称され、始めは正義(アストレア)の使いかと疑われた時もあった。

 

「ええ、ガネーシャファミリアの調査に同行して例の奇妙な鎧、その破片と思われるものが手に入りました」

 

 その言葉を耳にし、勇者(ブレイバー)の眉が動きを見せた。

 

「結果は?」

 

「鑑定の結果、同じ超硬金属(アダマンタイト)と判明しました」

 

 その場にいた者達はアスフィの報告を耳にし、更なる動揺を隠せなかった。

 

「つまり件の窃盗事件は鎧の者の犯行だと?」

 

「そればかりはなんとも、なにもあの鉱石はギルドだけ所有している訳ではありません。あくまで可能性があるというだけです」

 

 これは仮説に過ぎないと主張したヘルメスファミリア団長代理は以上ですと腰を下ろした。

 

 それを踏まえて各々身内同士で様々な考察、疑惑が渦巻いていく。

 もしその仮説が当たっているのならばなぜそのような蛮行を働きながらオラリオ(こちら)側を助力するような真似をするのか。どんな真意、目的があるのか。

 

 最早議論が進まない状況に陥った雰囲気を打ち砕くように手を叩いた。

 

「これ以上の憶測はかえって危険だ。この議題については次の進展があるまで保留としよう」

 

 その一言を皮切りに議題は粛々と幕を閉じた。

 

 各ファミリアが自分達のホームへと帰路を辿る中、アストレアファミリア団長、アリーゼもその場を後にしようとしたその時だった。

 

「アリーゼ、ちょっといいかい?」

 

「何かしら?」

 

「先の襲撃の件についてだがちょっと個人的に聞きたいことがあってね」

 

「あら、てっきり逢瀬の誘いかと思ったわ♪ でももしそうだったらライラにも悪いし、いきなりは困っちゃうわね!」

 

「勘弁して欲しいなアリーゼ。帰ったらティオネを宥めるのが大変になってしまう」

 

 半分冗談めいたフィンの反応と後ろに控えている光を失った瞳で凝視してくるマゾネスの姿がちらりと見えた。本題に入ろうとフィンがわざと咳き込む。

 

「アリーゼ、君達は鎧の者に遭遇したとのことだが、君はどう感じた?」

 

「どうって?」

 

「鎧の者が敵か、味方か…………」

 

 フィンの問いかけにおちゃらけたアリーゼの面持ちが真剣なものになる。うーんと小さく唸り声を挙げながら腕を組みながら思慮を深めるとすぐに普段の明るい笑顔に変わる。

 

「分からないわ! まったく!」

 

 その返答に流石の勇者(フィン)も苦笑いを浮かべた。

 

「でも、闇派閥(イヴィルス)のような嫌な空気は感じなかったの、だから…………」

 

「だから?」

 

「先ずはお友達になってみたいわ! きっと私達みたいに平和をこよなく愛する恥ずかしがり屋さんよ! きっとね!」

 

「全く、君らしいね…………」

 

 再び勇者(フィン)苦笑いが場の終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、ヘルメスファミリアのホーム、主神ヘルメスが書類整理を行っている私室にて部屋の主は悠々と座っていた。

 部屋周辺の人払いを命じた事によりアスフィの愚痴と怒号を除けば元からの静けさがより強調される。

 

「計画の形が纏まって以来、昨夜も『彼』は動いたようだな」

 

「えぇ、今のところアリーゼ達にはうまく誤魔化せているけれど、いつまでも続けられる保証はないわ」

 

 ヘルメスと対面する形で客人用の椅子に腰を下ろしている正義の女神アストレアは差し出された紅茶を口に運び、一息つく。

 

「灯台下暗しとはよく言ったものだ。取り敢えずアスフィには勇者(ブレイバー)達にうまく誤魔化せるように嘘交じりの報告(シナリオ)を渡してある。暫くはどうとでもなるさ」

 

 手元に用意された紅茶を静かに啜り、一息つきながらも悪戯好きの男神からは終始笑みが滲み出ている。

 

「それにしても始め聞いた時は正気かと思ったものだ。まさかギルドお膝元への泥棒、その片棒を担がされるとは誰が思うだろうか」

 

「でもそのお陰で街の被害も想定以上に抑えられているのも事実」

 

「まぁ、元々そういう取引だったから漸く実りが得られたというのが現状さ」

 

「ええ、そうね」

 

 二人が対談する最中、ゆっくりと扉が開く。

 

 入室者の顔を見たヘルメスは影を帯びた笑みを崩さず両手を広げた。

 

「さて、役者も到着したことだし、早速これからの段取りについてこっちも議論しようじゃないか。なぁ? 『星屑』よ」




補足

ガンダムアストレア

顔面にはTYPE−Fの仕様と同様に素性を隠す意味を含めマスク状の装甲がが施されている。

本機は諸事情によりGN粒子の使用量に限りがある為、戦闘時のビーム兵器は一切使えない形となっている。よって武装は質量兵器となる接近戦用の武装のみという構成である。

原作と異なる部分と言えば本来のエクシアが使用する筈のGNロングブレイド&GNショートブレイドを腰部にマウント、更に撹乱、撤退用にスモークグレネードが細部に増設された仕様となった。
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