ダンジョンにELSクアンタが居るのは間違っているだろうか 作:ユーグクーロ
「了解!トランザム!!」
「このクソッタレがぁぁぁぁ!!」
これからは1週間毎に投稿していくので時間の合間を縫ってストックを作れるように頑張っていきたいと思います!
前回発表出来なかった評価者の皆様
カリスカリスさん
Sallowさん
イボッチさん
アセリアさん
shibaさん
もこさん
面白そうな小説探すマン
ちんちん(鐘の音)さん
カクッさん
仮面ライダーっていいよねさん
ごくりんさん
傭兵ひろしさん(←まさかこのユーザー名が居ることにびっくりW)
よくゑたる人さん
二世さん
Hunter IXAさん
モチモチこしあんさん
評価してくださり、ありがとうございます!!!
未知のモンスター………ガンダムに遭遇し、剣を交え、実感と共に理解した。
高い知能、変幻自在の能力、今まで戦ってきたモンスターの中で一番実力のある存在だ。
おまけに不思議な魔法を使ってダガーのような何かを複数操り、襲い掛かってくる。
だが、どうしてか拭いきれない違和感が剣を鈍らせてしまう。
目の前にいるこのガンダムというモンスターの実力を考慮してもどれもこれも攻撃に殺意どころか敵意すら感じない。
さっき戦っていたモンスター達もそうだ。
誰かが怪我をすればそれを心配し、寄り添う。
誰かが傷つけばそれに対して怒りを露わにして向かってくる。
まるで冒険者の………人のように振舞っている彼等を見てると頭がおかしくなってしまいそうだ。
違う、モンスターはもっと残酷で、人が呼ぶような感情なんて持ち合わせていない。
なら、今もこうして私と戦っているモンスターは何なんだろう?
対話をしよう。
分かり合おう。
そんな言葉を投げ掛けてくる。
戦う毎に迷いが生まれてしまう……苛立ちを覚えてしまう。
モンスターは敵、倒さなきゃいけない敵………そうでなきゃ私は………
さっさと終わらせよう…………
襲い掛かる複数のダガーから僅かな隙を見つけ、渾身の突きで動きを止めようとしたその瞬間だった。
目の前に居たはずのガンダムの姿が消えていた。
当たったと確信したのにも関わらずデスペレートの切っ先は空を切るだけだった。
だが聞こえてくる。
金属の響く音、周囲に舞い散る光の粒子、そしてガンダムが先程とは比較にならない程の速さで飛び回っている。
「____っ!?エアリアル!!」
それだけじゃない、飛び回っていた短剣すら光をより一層強く放ち、反応するのがやっとの速度で襲い掛かってくる。
それらを回避しようとするも少しずづ鎧や衣服が削られていき、剣で応えようにも弾き返されてしまう。
それとは別に高速移動するガンダムが旋回し、こちらへ一直線に突進してくる。
「リル・ラファ____!!」
乱れつつある呼吸を無理矢理抑え込み、タイミングを見計らって切り裂こうとするも、それを上回る動きで回避され、手に握っていた剣が宙を舞って地面に突き刺さったと認識したのは数秒後の話だった。
そして通り過ぎた標的を追いかけようと振り返るとそこには既にこちらの喉元へ光る刃の切っ先を突き付けていた。
それだけではない。先程から飛び交っていたモンスターの短剣達は私の周りを囲んでいる。
先程までは全力ではなかったというのか。
たった……たった数秒の出来事で、狩る側から狩られる側に置き換えられてしまった。
これがこのモンスターの、本当の実力だというのならきっと
圧倒的な強さ、これがガンダムの本当の実力……………
ここから起きることはただ一つ、向けられた刃が無慈悲なまでに私の体へ食い込み、突き破るだろう。そんな最悪な結末が訪れると思うと嫌な汗が喉元を垂れていく。
それがダンジョンにて弱肉強食の世界に潜りこんだ敗北者の末路…………
しかし、拭いきれない恐怖と絶望感に堪えつつも一向に痛みは襲ってこない。それどころか完全に捉えたであろうモンスターはその刃を納めた。
「どう………して……?」
「言った筈だ、俺が望むのは対話だ………殲滅じゃない…………」
まるで鎧のようなその顔からは表情を読み取ることは出来ない。
ただただ、光り輝くその両目がこちらを捉えているだけだ。
怒りも、悲しみも、喜びも、憂いも、何一つ分からないままにも関わらず、敵意だけが無いことが伝わってくる。
それがより一層心の中をかき乱してくる。
「お前の過去に何があったかは分からないが、それを捨てろとは言わない………だがいつまでもお前の中で孕んでいるその黒い物を吐き出さない限り、いずれ大切なものたちも………自分自身も失うことになる…………」
目の前で浮遊するモンスターはそう諭すように静かな口調で話しかけてくる。
「貴方は…………一体何なの…………何を知ってるの?」
「……………」
目の前に居るモンスターはこちらの質問に答えることなく再び光の中へと消えてしまった。
ただ一人、暗闇に取り残されてしまった。
誰も居ない孤独の中に…………
剣姫との闘いから逃れ、再び隠れ里に戻った俺は目の前の悲惨な状況に絶句してしまった。
血だらけになって苦痛に悶え苦しむ者、仲間の治療にあちこちへと奔走する者、あとこちらを睨んでくるフェルズ、骨だから分からないけど。
荒げる声が洞穴に響き渡る中、俺は出来る限り天井を仰ぎ、圧力をかけてくるスケルトンから逃れる術がないのか頭の中のエンジンを思いっきり回しているところだ。
「これからどうするべきか………」
(さて………どうしたもんかな?)
「そうだな、お前が冒険者に…それもロキファミリアの者に見つかってさえいなければ事態はもっと丸く収まっただろうな」
フェルズはそう嫌味を言いながら真後ろから凄まじい眼力でこちらを刺し殺しそうな勢いだ。眼球が無いから分からないけど。
「結局、冒険者は自分達の事しか考えていないのだ」
フェルズからの追撃を逃れるように声の主に視線を向けると顰めっ面で胡座をかいているガーゴイルのグロスが居た。
「エルスクアンタ、何故あの冒険者を始末しなかった、口封じすればこんな面倒事にはならなかった筈だ!」
慌ただしかったゼノスのメンバーはグロスの言葉に耳を傾け始めたのか静けさを取り戻していく、そんな中、リーダー格であるリドがグロスを睨み始める。
「おいグロス!エルっちは____!」
「対話をする為に殺さなかったと?馬鹿馬鹿しい!あんな奴等が耳を傾けるなんてことを考える方がそもそも間違っているのだ!」
「グロス!!」
「お前だってそうだろうリド!俺達がどれだけ人間共に裏切られたと思ってる!!」
「そ…それは_______!」
グロスの発言に反発していたリドは渋々口を閉ざした。
リド達もまた俺とは別に冒険者達とは幾度も接触を図り、対話の機会を試みたのだが、結局は何も変わらなかった、だから今もこの現状が続いている結果を物語っている。
それどころかこちらの意図を利用し、罠を張っていた者すら現れる始末だ。
グロスが極度の人間不信になってしまうのも理解できない大きな理由となってしまった。
「いいか?地上に居る人間は自分達の行っていることが全て正しいと思っている!だから
完全に口を塞がれてしまったリドと協力していたメンバー達の顔には大きな影が纏うようになってしまった。
皆、心の中では諦めかけているのだろうか…………
対話なんて夢物語ではないかと、空想の出来事でしかないと………
「エルスクアンタ、俺は別にお前の事が嫌いじゃない、お前がここに来てから数年の間は仲間が命を落とすことは無くなった…………だが!貴様のその理念だけは納得出来ん!!」
グロスと彼の考えに近いメンバーは立ち上がり、ゆっくりと洞窟の外へ姿を消していった。
それを切っ掛けに重い空気から解放された他の者達は束の間の安堵の息を吐いている。
俺がフェルズを通してゼノスに加わった当時はまだそこまで人間嫌いな素振りは無かったのだが、長い期間何も成果を得られずに痺れを切らしてしまったのが今のグロス達だ。
その様子は原作と遜色ないと言っても差し支えないだろう。
「すまねぇエルっち………グロス達も悪気があるわけじゃないんだ」
「大丈夫だ、其処まで安易に解決できるものではないと覚悟はしていた…………」
(まぁ、そう簡単に対話出来たら苦労はしてないもんなぁ……)
そしてその場に居合わせる皆はぎこちなくも再び負傷者の治療、別の隠れ里への撤退を始めた。だがその表情から暗い影が消え去ることはなく、戸惑いが拭いきれていないのが理解できる。
こうしている間にもアイズは地上に戻り、ロキファミリアにはもちろん、ギルドにも俺の存在が明るみになり、ガンダムを捕えようと躍起になる冒険者達は破竹の勢いで増えていくだろう。
「難しいものだな…………」
(ほんと……どうしたものか………)
平穏が取り戻しつつあるオラリオの状況を鑑みれば、このままいけば冒険者達のダンジョン攻略は活発化するのは目に見えている。
当然、ガンダムを捕縛、或いは討伐も視野に入れ、ロキファミリアとフレイヤファミリアを始めとした戦力に余裕のある派閥が積極的に参加してくるだろう。
もしそうなれば俺一人で対処すること自体は何も問題は無い。
だが今は
数年前は人数もそこまで多い訳ではなかったがそれももうすでに50体近くと大所帯になりつつあるのだ。数こそ増えてきているが実力のある者はほんの十数名程度、中には駆け出しの冒険者にすら狩られてしまう個体さえいる。
とてもじゃないが庇いきるには少しばかり厳しい。
本格的に手詰まり状態の最中一度大きく咳払いしたフェルズはその場に居る者達全員に聞こえるように声を大にした。
「皆聞いてくれ!エルスクアンタが発見された今、オラリオでは冒険者達によるガンダム捕縛の動きによって極めて厳重な捜索体制が敷かれることになるだろう!よってエルスクアンタはより深い階層へと移動、我等も暫くの間はダンジョンでの移動以外は必要最低限のものとする!」
その言葉を耳にしたゼノスメンバーから盛大なブーイングが引き起こされた。
「そりゃあんまりだぜ!」
「派手に動くなってのは分かるがなんでそれがエルっちと別れることになるんだよ!!」
「質問は受け付けない!無論、拒否権も無い!」
「横暴!」
「圧政!」
「独裁!」
「骨!!!」
様々なクレームがぶつけられる中、一段と冷静なフェルズは落ち着けと再び大きな声で遮る。
元は賢者ということもあるが流石は今まで皆を束ねていただけはある。
「皆の気持ちも分からない訳ではない、だがそこまでしないといけない程に事態は逼迫しているのだ、理解してくれ!あと骨って言った奴は誰だ!!名乗り出ろ!!」
フェルズVSゼノスメンバーの長い議論の末、俺とリド達は緊急を要する事態になる時以外は別行動することが採用された。
しかし、そうなってしまえばベル・クラネルとの接触も、そしてウィーネとの邂逅が何時になるのか分からなくなってしまった。
無念だ…………………
他にもやっておきたいことはたくさんあったのだが、こうなってしまっては一時断念せざる負えない。
はぁ……早くベル達に会ってみたいもんだ……………
場所はロキファミリアの拠点のとある一室で私は中央に立っていた。そしてその目の前には金髪の
「アイズ、君が遭遇したモンスターというのはこの手配書に書かれている存在………ガンダムで間違いないね?」
「うん………」
力なく答えた少女にロキファミリアの筆頭、
「数年前に現れた未知のモンスター……………そうか、また現れたんだね」
両手を組んでいるものあまり悩ましいような表情は浮かべていない。それどころか好機を狙っているかのように薄っすらと口角を曲げている。
「楽しそうだな、フィン」
「そうかい?こう見えても驚いてはいるんだよ?いつの間にか忽然と姿を消した所為で徒労に終わったのだからね、今回は逃がすつもりは無いよ」
近くで腕組をしている緑色の長髪、
「しかし、なぜまた都市伝説みたいな存在がまた現れたんじゃろうな」
もう片方には巨大なバトルアックスを杖代わりにしているドワーフことガレス・ランドロックが己の髭を撫でていた。
ドワーフ特有の屈強な肉体もあるだろうが、その重厚感あふれる様に相応しく
「僕にも皆目見当がつかないが、そう遠くない内に何か大きな事が起こるというのは間違いないだろうね」
今、ここに団長を始めとしたロキファミリアの最高峰がすべて募っている。この3人の存在だけで、事の重大さがより鮮明にされているだろう。
何せいつも通りにダンジョンでの報告を済ませ、早くこの体に圧し掛かる疲労感を拭い去りたいのだが、この場に居る3人が急に眼の色を変えたのだ。
あろうかことか他の団員達を取り払って今に至る。
「取り敢えずは、いつこのガンダムが行動を起こしても対応できるように策を練っておきたい。先ずは_______」
幹部のみで構成された議会の渦中に取り残された私は逃れる術が思いつかず、ただただ棒立ちすることしか出来なかった………いまいち内容が入ってこない。
『お前の過去に何があったかは分からないが、それを捨てろとは言わない………だがいつまでもお前の中で孕んでいるその黒い物を吐き出さない限り、いずれ大切なものたちも………自分自身も失うことになる…………』
最後に言われたあの言葉だけが今でも頭の中で何度も跳ね返り続けている。
(私の中の………黒い物………また……失っちゃうの?)
色々と気になる事はあるが、ダンジョンに……モンスターの亜種達を見たからか、ガンダムとの戦闘で疲れたのかは分からないが、今だけはどうでもよく感じてしまう…………
(ガンダム…………)