ハイスクールV✕7   作:ボルメテウスさん

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封印された想い出

 日本のどこかにある廃墟。既に住人が存在せず、夜の闇に支配されている街。

 

 その街の外れに、大きな建物があった。それはまるで城のような大きさの建物だった。

 

 だが、それは城ではない。

 

 なぜならば、かつて、山だったからだ。

 

 戦いの余波によって、崩れ、その形はまるで城を思わせる形になっているからだ。

 

 そんな荒れ果てた場所を、二人の吸血鬼が戦っていた。

 

 一人は金髪の女性。

 

 血を思わせる赤いドレスを身に纏い、その手には刀を持つ。

 

 女性の名前はキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。

 

 鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼と呼ばれた吸血鬼だ。

 

 もうひとりは、鎧を身に纏っている。

 

 全身を鎧に身に纏い、鎧のあらゆる箇所には鎖で巻かれている。

 

 その鎧の名はキバ。

 

 とある吸血鬼の王の為に造られた鎧であり、鎖は、その力を制御する為の物である。

 

 そして、その手に持つ剣もまた鎖で巻かれている。

 

 本来ならば、美しい刀身は、鎖によって、見るも無残な姿へと変わり果てていた。

 

 しかし、それでもなお、その剣からは美しさを感じる事ができるだろう。

 

 キバの持つ武器──―魔皇剣・ザンバットソード。

 

 それこそが、この剣の名であった。

 

 そして、キスショットの持つ刀もまた、ザンバットソードとは違った魅力を持っていた。

 

 その名は心渡。

 

 元々は、キスショットの眷属が所有していた日本刀であったが、今、キスショットの手にあった。

 

「はぁ、渡。無駄だと分からないのか」

 

 そう、キスショットは、目の前にいるキバに問いかける。

 

 それは、キバを身に纏っている男の名前である。

 

「どんなにお前が私を止めても変わらん。お前が人を守ったとしても、吸血鬼に対して、憎しみを持つ者は襲う」

 

「だから、人を殺し続けるのか」

 

 キバの言葉に、キスショットは答える。

 

 キスショットの目的は人間を守る事ではない。

 

 ただ、自分が生きる為に人間の血を飲むだけだ。

 

 その為には、多くの犠牲が必要だと考えている。

 

 そして、人間は自分以外の者を虐げて生きようとする者達もいるのだ。

 

 だからこそ、多くの人間を殺す必要があると考えていた。

 

 しかし、それを渡は。

 

「それでも、俺は信じたい。父さんが言っていた言葉を」

 

 その一言と共に、ザンバットソードを振った。

 

 その一撃により、周囲にある瓦礫が崩れ落ちていく。

 

「ならば、仕方ない」

 

 その言葉と共にキスショットもまた構える。

 

「貴様を徹底的に痛めつける。痛めつけた後、貴様の血を飲み、眷属とする。

 

 悪いが、私は欲しい物は徹底的に動くつもりだ」

 

 その言葉と同時にキスショットは動いた。

 

 キスショットの身体能力は高く、一瞬にしてキバとの距離を詰めると刀を放つ。

 

 だが、それに対して、キバもまたザンバットソードを振るう。

 

 ザンバットソードと心渡。

 

 二つの刃が激突すると共に、山は崩れ去る。

 

 それは、後に地図から消えた、小さな島で起きた戦い。

 

 ふと、あの時の出来事を思い出した。

 

 なぜ、あの時の事を思い出したのか。

 

 それは、あの時と同じぐらいに、真剣な目で、忍がこちらを見ていたからだ。

 

「渡よ、大変な情報を見つけてしまった」

 

 そう言いながら、忍は俺にスマホを見せつけてきた。

 

 その、スマホは、彼女がよく行くドーナツ店のクーポンであり、どうやら今日はそれが半額になるらしい。

 

「そうか、凄い情報だな」

 

「何を呑気な事を言っておる! この店では今月一杯、クーポンを使えば全てのドーナツが一個百円で食べられるのだぞ!」

 

「ああ……それは確かに凄いな」

 

 しかし、忍の興奮とは裏腹に俺は特に感動しなかった。

 

「何を言っておる、早く行くぞ」

 

「行くか、それで、誰の金で食べるつもりだ」

 

「そんなの、渡の金に決まっているだろ」

 

 そう、まるで当然の事のように言うと、忍はさっさと歩き出した。

 

「いや、何を言っているんだ、俺は行くつもりはないぞ」

 

 そんな、当たり前の事に何を言うのかと言うように首を傾げる忍を見て、俺は溜息をつく。

 

 彼女は、時々こういう事を言い出すのだ。

 

「はぁ、まったく、渡よ、こんな機会はないのだぞ。私達は普段、渡されている小遣いしか使う事が出来ないだろう?」

 

「まあ、そうだな」

 

「そして、儂は残念ながら、既に小遣いはなくなってしまった。ならば、ドーナツを食べるには、渡の金が頼りなのだ」

 

「…………」

 

 別に、そこまで必死になって食べたいわけではないのだが……。

 

「というわけで、渡よ、金を寄越せ」

 

「断る」

 

 即答だった。

 

 すると、忍は不機嫌そうな顔になり、俺に向かって手を伸ばす。

 

「何を言っているのだ、儂とお主は二人で一人。

 

 ならば、お主の小遣いは儂の物でも有るはずだ」

 

「いや、無いからな……」

 

 そう言っても、忍の手が伸びてくる事は変わらない。

 

「それに、儂には多くの借りがあるじゃろ。それを返して貰おうと思ってな」

 

「借り」

 

 それに対して、俺はすぐに思い出してしまう。

 

 忍には、よく世話になっているし、何かあれば助けてもらってもいる。

 

 だから、彼女の言葉に対して反論する事は難しい。

 

 だが、それでも俺は財布に手を伸ばしたりはしない。

 

「はぁ、5個までだぞ」

 

「よしっ」

 

 仕方ないので、妥協案を出すと、忍はとても嬉しそうにした。

 

 ……まあ、いいか。

 

 ドーナツ屋へと、向かった。

 

 その時だった。

 

「いやぁ、こんな所でまさか、会えるとはねぇ」

 

「……」

 

 聞こえた声。

 

 それと共に振り返ってみてみれば、そこにいたのは金髪の青年。

 

 そいつには、見覚えがあった。

 

「久し振りだね、ここで、何の用だ?」

 

「なに、仕事を頼まれてね。なかなかに厄介な仕事で同僚もかなり面倒だけどね」

 

「あっそ、悪いけど、俺はこれからドーナツを買いに行くから」

 

「まったく、つれないねぇ、まぁ良いけど」

 

 そう、俺はすぐに立ち去ろうとする。

 

「だけど、今回の1件、またお前を巻き込むからな。その時は頼りにしているよ、キバ」

 

「本当に厄介な事だな、エピソード」

 

 そう、俺達はそのまま立ち去る事にした。

ドラルクの作戦は

  • 笛で渡達を呼ぶ
  • 鬼舞辻を噛んで、支配下に
  • 下剋上しそうな鬼達を仲間にする
  • アーカードの旦那を呼ぼう
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