エヴァは、次々と氷の刃を造り出すと共に、迫ってくるキスショットに対して、瞬時に放っていく。
その氷の刃に対して、キスショットは、心渡の刃を構え、斬り裂く。
魔法によって造り出された氷の刃は、心渡によって、次々と斬り裂かれていく。
その刀の動きは、見えず、気付いたときには、既に斬られているのだ。
しかし──―。
「──―ッ!?」
次の瞬間には、エヴァの顔に驚愕が浮かんでいた。
それも当然だろう。
なにしろ、今まさにエヴァが放った無数の氷の刃の内の一つが、突如として粉々になって砕け散ったのだから。
それはまるで、氷でできた壁でも通り過ぎたかのように。
しかし、エヴァもまた多くの時を生きた吸血鬼。すぐに動揺を収めて、再び攻撃に転じる。
無数の氷の刃を放つ。
今度は、さっきよりもさらに速く。
一秒間に五発。
そんな速度で放たれた氷の刃は、しかしやはり、キスショットの前では無力だった。
またもやキスショットが動いたのかすらわからないうちに、全ての氷の刃が斬り裂かれる。いや……それだけじゃない。
氷の刃を放ったと同時に、すでにエヴァは次の手を打っていたようだ。
「──っ!」
突然、キスショットの足下から、巨大な影が飛び出してきた。
そう──、それは、京都の建物であった。
エヴァが、その指から出した糸。
それによって、京都の街中に張り巡らされていた、いくつもの建造物が、一気に宙へと浮き上がったのだ。
それら全てが、一瞬にして、空中にて分解し、真っ直ぐとキスショットへと襲い掛かる。
「ほぅ、考えたな」
魔の物ならば、あらゆる全てを斬り裂く事が出来る心渡。
だが、その建物は、魔ではなく、実在した存在。
だからこそ、心渡では斬り裂く事ができない。
しかし、キスショットの余裕の笑みを浮かべながら、走って行く。
襲い掛かる建物を全て避けているわけではなく、あえて無視しているようだった。
そして──。
「……ッ!?」
そのことに気付いていないわけがないエヴァだったが、それでも彼女は攻撃を緩めなかった。
彼女の持つ最大の武器である、氷結系の魔法の連続使用。
それこそ、この技の真骨頂だ。
エヴァは、その両手を頭上に掲げると、そこに巨大な魔力を集中させていった。
「…………」
それが、必殺の一撃だとわかったのだろう。
キスショットは、初めて構えを取った。
左手を前に突き出すように、腰を落とし、右手は柄を握っているだけのような状態。
居合抜きの構え。
「いいぞ、受けて立とうではないか」
そう言うなり、キスショットは消えた。
否、消えたように見えた。
それほどまでに速い動きだったのだ。
エヴァは、キスショットの動きについていけず、反応が遅れる。
まずいと思った時にはもう遅い。
キスショットは既に刀を振り抜いていた。
「ちぃっ……!」
だがエヴァもまた、咄嵯の判断で身体強化を行い、自らの肉体を硬化させた。
それでどうにか、致命傷だけは防ぐ事ができたようだ。
だが、エヴァの腕からは血が流れ出している。
「勝負あったようだな」
「そのようだな」
それと共に、戦いは終わりを告げた。
「えっと一撃だけで?」
「一撃で十分だ、むしろ、あのまま斬り裂いていれば、私は消滅していた」
そのエヴァの一言と共に、ため息を吐く。
「……この京都の中心となる神社にて、奴らは儀式を行っている。その儀式を阻止すれば、九尾は助けられる」
「そうか、ありがとう」
エヴァは、そのまま決闘での約束を守るように呟く。
それに対して渡も受け止めると共に感謝を伝える。
そして。
「なぇ、エヴァ」
「なんだ?」
「お前、もしも、どこにも居場所がないんだったら、俺達の所へ来るか?」
その一言は、エヴァは驚きに目を見開く。
「……今は無理だ、私は、約束を守らなければ、ならないからな」
「そうか、それじゃ」
その言葉と共に、俺は懐にある人形を投げる。
「とりあえず、約束の一つだ」
「あぁ、感謝する」
その言葉と共に、エヴァは、そこから姿を消した。
「信頼しているのか」
「なんとなくだけどな、それよりも、今は急ごう」
「そうだな」
ドラルクの作戦は
-
笛で渡達を呼ぶ
-
鬼舞辻を噛んで、支配下に
-
下剋上しそうな鬼達を仲間にする
-
アーカードの旦那を呼ぼう