迫真転移! ~異世界の主人公と化した先輩!~   作:ゼフィガルド

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 小説家鯖にて他の人が書籍化やら何やらを決めていると親に話してみた所。カッチャマから言われたこと。

「アンタも書いているんやろ? 何書いとるんや?」
「ヒーローが犯罪者を殺戮したり、人間が他種族の弾圧をしたり報復したりする話ぃ……ですかね」

 批判されました。


第8話:こんなんじゃ商売になんないよ~ 商品価値0と認識された先輩!

 蜥蜴人(リザードマン)は名前の通り、爬虫類の特性を併せ持つ亜人である。近くの木に張り付くと、体表が風景に溶け込むようにして染まっていく。

 先程、女から奪い取った短剣を口に咥えると。彼は全身を使って、木登りを始めた。重力を無視する様にして駆け上がり、周囲を見渡す。

 

「ホラホラホラホラホラ!」

「ギヒ。ガヒャ。フヒヒ!」

 

 鈴木は戦斧を振るう男と渡り合っていた。彼らの戦闘の余波は凄まじく、周囲の木々を圧し折り、逃げ遅れたクッソ憐れなインム君達は挽肉になっていた。

 彼と渡り合えるだけの強さを持っていることに戦慄する一方、トルノは以前の話を思い出していた。豚人(オーク)達の住処に侵入して来た冒険者達を抹殺した件についてだ。

 

「(冒険者達の戦力にも開きはあるんでしょう。でも、ここまでの開きがあるとは思えない)」

 

 思考が冴え渡って行く。自分達を葬ろうとしたトラップは魔術の類だったが、姿を現した者達は前衛ばかりだった。つまり、後衛やサポート職も何処かに潜んでいるはずだ。

 トラップを仕掛ける周到さも考えて、容易く見つかる様な真似はしないハズ。だが、ここは蜥蜴人(リザードマン)にとっては家の中と呼んでも差支えの無い場所。

 

「(辺りにはいない。でも、そんなはずがない。単純な潜伏じゃなくて、姿を消す魔術でも使っているんでしょうか? だったら)」

 

 舌を出して頻りに動かした。まるで周囲の空気を舐るかのような所作には意味がある。湿度や風向きを知る以外にも臭いや味をも補足できる。

 他の生物達の怯えやストレスに混じって、明らかに異質な空気。興奮した時に多分に発生する何かを感じ取っていた。―――我々の世界ではホルモンと呼ばれる分泌物である。

 

「はぇ~。すっごい、大きい」

 

 目には見えないとしても、そこにいるという証さえあれば容易い。木から降り、全身を這わせるようにして深く沈みこみ、目的の場所へと向かう。

 道中には幾重ものトラップが仕掛けられていた。原始的な物から、魔道具(アーティファクト)を駆使した物から様々だったが、いずれもトルノにしてみれば児戯にも等しかった。

 

「へ~」

 

 精神的な余裕と優位を取り戻した彼は、仕掛けられたトラップの作りに感心しつつ。やがて、下手人である後衛職の者達に辿り着いていた。装いからして『術士』と『ヒーラー』らしき者達だった。

 ただ、彼らも無能ではなく。野性的な直観が反応したのか、移動を始めていた。が、ソレらを逃すトルノではない。

 

「不味いですよ!」

 

 地を這い、壁を伝い。彼らが移動を始めるよりも前に、術士の喉笛を掻き切っていた。あまりにも滑らかな動作に、死の間際における抵抗すら許さなかった。

 ヒーラーの男も取り乱すことなく、近接戦闘用のメイスを構えて振りかぶっていた。しかし、白兵戦はトルノに分があった。

 

「うぉおおおおおおお!」

「頂きまーす」

 

 腰を捻り、尻尾を鞭のように扱って相手の手からメイスを弾き落した。続けざまに水平に構えたナイフを突き出し、肋骨の隙間を縫って心臓を貫いた。

 

「ぬぅううううう!!」

 

 しかし、ヒーラーの男は崩れ落ちることは無かった。生命の危機に瀕したことにより、勃起したモノに呼応するようにして傷口が塞がって行く。致命傷を与えたと思い、油断していたトルノは殴り飛ばされた。

 

「ぐぅ……」

「(不味いですよ)」

 

 だが、心臓を貫かれたダメージは少なくはなく、ヒーラーの男もよろめいた。次に行動を許せば殺される。何とかして動かなければ、と思い視線を上げた先。

 樹上には、彼らの戦いの余波で多数の仲間を失ったインム君が目を光らせていた。いずれも歯を剥き出しにて、敵意を露わにしていた。

 

「ヴォー・・・!!」

 

 普段はクソザコだが、弱った獲物に対しては強気に行くスタンスは人間の尺度で言えばクズだが、大自然においては聡明な考えだった。

 弱ったヒーラーの首筋に噛みつき、引っ掻く。予想外の攻撃に跪いたのは致命的とも言える、好きだった。トルノは急いで駆け出し、喉笛を掻き切った。

 

「マ“ッ」

 

 先の心臓と同じ様に塞ぐことは出来ず、男は崩れ落ちた。集まったインム君達は恨みを晴らす様にして、遺体を食い散らかしていた。

 

「自然を蔑ろにした災厄って、こう言うことだったんですね……」

 

 自然の怒りとも言える光景を一瞥した後、トルノは今も戦っている鈴木の元へと向かった。

 

~~

 

「硬くなってんぜ?」

 

 トルノが後衛を排除した動きは直ぐに表れた。先程まで、拮抗状態だったが戦いが、大きく鈴木に傾いていた。

 斧男の動きは精彩を欠き、徐々に攻撃を捌けなくなり始めていた。やがて、得物である戦斧を弾き飛ばされた。

 

「ホラホラホラホラ!」

 

 鈴木の拳が肉体へと突き刺さる。皮膚を突き破り、砕かれた骨が臓器へと突き刺さる。明らかな致命傷だったが、男から闘志は消えていなかった。彼は面を上げ、鈴木を見た。

 浅黒く焼けた肌。異様に小さい目。不細工。気のせいでなければ、顔面は汚い。小汚い。不細工。良く見れば、筋肉も均整がとれている訳でもなく、何処か不自然な印象を受けた。

 

「あ……」

「ファッ!?」

 

 途端に、先程まで滾っていた意思が削ぎ落とされて行くような気がした。自分はどうしてこの様なことをしているのか? 何故、こんなことになるまで戦っていたのか? 

 これまた、彼の意思に呼応するようにして分身が萎れていく。すると、不思議なことに今までのダメージが噴き出た様に、全身の筋肉が萎びて、体の各所から血が噴き出して力尽きた。

 

「これもうわかんねぇな」

 

 残った遺体は、先ほどの屈強な男とは思えない位に貧弱な物になり果てていた。一体、何が起きたというのだろうか?

 

「鈴木さん! 大丈夫ですか!?」

「多少はね?」

 

 程なくして、トルノも駆けつけて来た。足元に転がる萎びた死体を見て驚きもしたが、それ以上に優先したいことがあった。

 

「早く、僕らの拠点に向かいましょう。仲間が心配です!」

「おかのした」

 

 襲って来た人間達を始末し、周囲に脅威が残っていないかを慎重に確認しながら、追手が居ないかも確かめつつ、トルノ達は拠点へと向かった。

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