迫真転移! ~異世界の主人公と化した先輩!~   作:ゼフィガルド

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超探偵レインコードが面白いですね。もしも、二次創作をするなら2章に関した話で何か詩を書きたい。……いや、第0章ことプロローグに関する話で書いても面白そうですね。


第9話:復讐者と化した先輩

 冒険者と言う名の奴隷商人達を排除し、トルノ達は無事に仲間と再会できたか。と言われれば、答えはNOだった。

 

「そんな……」

 

 見慣れていたハズの拠点では異様な光景が広がっていた。蜥蜴人(リザードマン)達は壁に磔にされており、身体が激しく変形していた。いずれも眼球が抉り取られていた。殆どの者は事切れていた。

 

「頭に来ますよ!」

 

 一体、彼らが何をしたというのだろうか? 豚人(オーク)の件と言い、殺されなければならない程のことをしたというのか。

 まだ、助かる者はいないか。縋る様にして声を掛けて回ると、たった一人だけ生存者がいた。傷口の深さからして、長くはないだろうが。

 

「その声、トルノか?」

「何があったんですか!?」

 

 冒険者達が狼藉を働いたとしても、ここまで猟奇的な光景にはならない。誰が、何の為に、こんなことをしたのか?

 

「ば、化け物だ。俺達を磔にして、女子供は奴隷として調教すると言って連れ去ったんだ……その後、俺達に『祝福』をと」

 

 くりぬかれた眼球と祝福。これらが何を意味しているかは直ぐに理解した。

 追手なども無かったので、見逃してくれたと思っていた。実際、彼らの執念はストーカーめいて執拗で冷酷だった。

 

「やべぇよ、やべぇよ」

「トルノ。連れ去られた女子供を助けてやってくれ。頼んだ、ぞ……」

 

 男は二度と目を覚ますことは無かった。洞窟内は息が詰まりそうになるほどの静寂に包まれていた。彼らの日常は奪い取られたのだ。

 そんな沈黙を打ち破ったのは、拍手だった。振り返れば奇妙な出で立ちをした男がいた。全身に張り付く様なボンテージスーツを着用しており、顔の上半分は布で覆っている。上半身は屈強な物だったが、下半身は貧弱だったのでヤジロベーの様な印象を受けた。

 

「仲間から託された意志ってか。感動的で嗤っちゃうぜ」

「なんだって?」

 

 普段は冷静なトルノが飛び掛かろうとしたが、鈴木が手で制した。見れば、彼の頬には冷や汗が伝っていた。

 

「誰だよ」

「本日、蜥蜴人(リザードマン)の祝福を監修させて頂きました『タクヤ』と申します」

「お前が、皆を!! どうしてこんなことを!?」

「陛下に弓を引いた奴らはさ……。糞だよ! 糞!! ガハハ!!!」

 

 BBという世界における人間の醜さ、傲慢の全てを体現したかのような言葉だった。タクヤが手にした鞭を振るうと、背後からゾロゾロと蜥蜴人(リザードマン)が現れた。

 彼らの眼球は一様にして巨大であり、身体の一部が盛り上がったり、変形したり、肥大化していた。

 

「み、皆?」

「トルノ、お前も早くこっちに来い。その狭苦しい住処で死んでいるのは、出来損ないどもだ」

「そうだ。祝福に耐え切れずに死んだ奴らと今まで同胞だったという事実が憎らしく思えるほどだ」

「GO陛下に使えることこそが至上の歓びだ。さぁ、早く。そんな小さな目では何も見えないだろう。お前も祝福を受けるべきだ」

 

 恐ろしい光景だった。先日まで仲間だと思っていた者達が、同胞を貶し、下手人に与している。まるで、悪夢を見ている様だった。

 今まで信じて来たモノが次々と奪われたトルノは絶望に沈んでいた。戦う意思も見せず、跪いた彼を見ながらタクヤは思う。

 

「(落ちたな)」

 

 相手を恐怖と絶望で叩きのめし、自らの意思や気力を奪い。祝福と共に救い上げる手法を得意としているタクヤに付けられた二つ名は『調教師』であった。

 もしも、トルノが単身で来ていれば提案を受け入れていただろう。だが、今の彼は1人では無かった。

 

「悔い改めて」

 

 鈴木が飛び出し、タクヤの顔面を吹き飛ばさんと拳を振るう。しかし、傍に控えていたリザードマンが身代わりとなって、頭部を散らしていた。

 

「マジムカツクなこいつぅ・・・。お前ら、やれ!」

「はい!」

 

 トルノの同胞だった者達が一切に襲い掛かって来る。その際、鈴木は彼に視線を送っていた。倒してしまっても良いのかと?

 もしかすれば、戻す方法はあるかもしれない。数少ない生き残りである彼らを助けたい。―—―そんな感傷は捨てるべきだ。

 

「鈴木さん! やって下さい!」

「良いよ! 来いよ!」

 

 道中で戦った戦斧使いの冒険者よりはるかに弱かった。襲い掛かって来る彼らの頭部をねじ切り、心臓を貫き、胴体を両断した。タクヤは逃げる素振りすら見せず、終始笑みを浮かべていた。

 

「おっ・・すぅっげ・・・」

「死んで、どうぞ」

 

 他者の命を何とも思わない人間は、同じ様にぞんざいに扱われるべきだ。

 怒りを乗せた拳を振るおうとして、直後にタクヤの背後から巨大な豚が現れた。先程すれ違った赤豚と白豚かと思っていたが違う。何故なら、彼は言葉が喋れたからだ。

 

「鈴、木、さま?」

「ファッ!?」

 

 見た目は身体の各所が隆起した巨大な豚だったが、異様に肥大化した眼球が特徴的だった。そして、その声色は聞き覚えのある物だった。

 

「わだ、す、スー、ヴ、です。痛い、ん、です、からだ、とても、痛い、ん、です。助け、て、下さい」

 

 どうやって? 怪物や暴漢が現れたなら幾らでも対処できるだろうが、こんな状態になった相手を治療する方法なんて分かる訳が無かった。

 

「俺はそんなさ・・・殺すほど悪魔じゃねぇんだよ。どうちゅる?」

 

 鈴木やトルノの苦悩と絶望を嘲笑うかのような嗜虐心に満ちた問いかけだった。だが、スーヴは事態も分からないまま暴れ続けていた。

 

「いた“い! いた”い! いた“いん”ですよ! 助け、て! 助けて! 鈴木、さま!」

 

 自分の体が傷つくのも気にせずに暴れ回る。先のリザードマン達の様に自分達を狙っている訳では無いので、この場を去ることも考えた。だが、と鈴木は踏みとどまった。

 

「暴れるなよ。暴れるなよ」

 

 これ以上、暴れて傷付く必要はない。鈴木はスーヴの体に飛び移った。途中、幾度も振り落とされそうになりながらも頭部付近に辿りついた。

 

「鈴、木、さま」

「お前のことが好きだったんだよ」

 

 スーヴ。この世界に来た自分に、初めて優しくしてくれた存在。彼らを守るために戦ったことが、この世界と関わっていく原因を作った。

 彼が、この様に改造されたのは自分達が行った報復が原因だろう。とすれば、あのアジトに居た豚人(オーク)達は全員処分されと思っても良さそうだった。

 自分達には彼を治療する手立ても無く、痛みに苦しめる位なら。鈴木はスーヴだった物の頭部に拳を打ち込んだ。分厚い皮膚を突き破り、堅牢な頭骨を破壊して、中身がぶちまけられた。

 

「いや、だ、死に“た、くな……」

 

 どうして? と、問いかけるようにして一度だけ鈴木を睨んで。スーヴは力尽きた。

 タクヤも既に逃走しており、相対する脅威をすべて退けたというのに、この場には勝利の余韻に浸れる物は何一つして無かった。彼らは呆然と立ち尽くしていた。

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