久しぶりすぎてなんか懐かしい
相変わらずのクオリティですけどね、それではどうぞ
午前二時とある廃工場にて
闇夜に星が輝き誰もが夢を見る時刻に一人の男がそこにいた
その男はなにをするわけでもなく、静かに空を仰いでいた
「よくここがわかったな」
「ここは九鬼が管理してる実験場だ、使う事はほとんどなくなったけどな」
その男の背後にはいつのまにか一人のメイドが立っていた
名は忍足あずみ、元傭兵で辞めた際に九鬼に雇われる
とあるテロ事件から九鬼英雄に一目ぼれしている
1000人近くいる従者部隊の頼れるリーダーでもある
「お前もあの学園にいたとはな、正直驚いた」
「・・・あたいもさ、まさか死神が陽の光を浴びてるとは思わなかったからな」
その男は大きなため息をついた後、あずみの方へ振り返る
「なら俺も女王蜂と呼んだ方がいいか?」
「ふざけんなよ、なんでお前がここにいるんだ答えろ」
「ここには人が来ないからないい修行場なんだ」
「ふざけるなと言ったはずだ」
あずみは小太刀を構えて男の首元に突きつけた
声や表情は冷静に見えるもののその目は強い憎しみの念と不安が映っていた
「じいちゃんの遺言で友人だった学園長が直々に俺のところに来たんだ
それで俺はあの場所から抜け出せた」
「あの場所で死神として過ごしたのはお前の意思か?」
「そんなわけ無いだろ、生きるためには仕方なかった」
「・・・その言葉に偽りは無いな?」
「もちろんだ」
しばしの沈黙の後、あずみは突きつけていた小太刀を鞘に収めた
「お前は死神に、夜会に戻るつもりはないんだな?」
「ああ」
「なら黒崎涼介いくつか質問に答えてもらおうか」
「拒否権は」
「なしだ、まず一つめ死神だったおまえがどうやって十年間生き延びた」
「水なんかはその辺に落ちてるもので摂取してた、食い物は『灰虎』が不定期だが
どこからか調達をしてきた奴を・・・」
涼介の言葉を聞いたあずみは再び涼介に詰め寄った
「九鬼の危険人物リストの中でもトップクラスの危険人物だぞ」
「だろうな、金さえもらえればなんでもする裏の万事屋って言ってたからな」
「居場所はどこだ」
「知らん、最後に会ったのは二年前だからな」
「そうか・・・なら最後に一つ聞かせろ」
二刀の小太刀を抜き、構えをとったあずみは先ほどの質問より
声量を上げて威嚇するように言い放った
「あの時夜会であたいを見逃したのは何故だ、答えろ」
「あの時のお前に俺と似た何かを感じたからだ」
「・・・本当にそれだけか?」
「全部正直に答えた、俺はもう帰るぞ」
いつの間にか自分の背後に回りこんでいた涼介に頭を軽く触れられたあずみは
それを振りほどこうと斬撃をくりだすが、そこにはもう涼介の姿はなかった
一人になったあずみは全身の力が抜けていき、その場に座り込み
そして七年前に起きたことを鮮明に思い出した恐怖で体が小刻みに震えていた
七年前のある日、夜会にいる殺人鬼を討伐してほしいとの依頼を受けた
その依頼を受けたのは確実に敵を仕留めることからついた異名 女王蜂
名実共に名の知れた傭兵であった女王蜂は任務に向かった
そこで味わったのは任務完了の喜びではなく己の死という絶望だった
いかなる攻撃も全てを切り伏せられ、指一本すらまともに動かせられなくなっていた
紅に染まる腕が自分の体に伸びたとき女王蜂は死を覚悟した
だがその小さな鬼は瀕死になった女王蜂の頭をそっと撫でて立ち去った
その数分後に駆けつけた仲間によって女王蜂は救出され夜会を脱出
その数年後に女王蜂は傭兵を裏の世界で生きていく事を辞めた
「・・・お前のせいで嫌なもん思い出しちまったじゃねーか」
大きく深呼吸をしてからゆっくりと立ち上がったあずみは
スカートについたホコリを振り落とし帰路につく
「他人のこと言える立場じゃあねえがこの街はあまりにも危険すぎる
ビルに帰ったら臨時会議だなこりゃ」
また一つまた一つと増えていく懸念事項といつまでたっても実らない主との恋愛に
頭を抱え「ハァ」と口にだしてしまうほどのため息をついた
失踪をはさむようなペースで更新していて
この小説に最終回を迎える日はくるのだろうか・・・