ハーレム系ラノベ主人公を修羅場に突き落とすのが愉しくて止められない。 作:夢泉
【お詫びと訂正】
1章9話(18ページ目)『ホイホイ死者蘇生するとドキドキがバイバイするので、コロコロして止めたゼウスさんは間違っていない。』
が、編集時のミスで1時間(7/06/23:30頃~7/07/00:30頃)ほど、今回の話と全く同じ内容になっていました。
大変申し訳ございません。
今は直っており、内容が丸ごと変更して(復元して)あります。お手数ですが、読んでいない方はそちらを先にお読みください。
★★★
「それで何をしに来たのじゃ。ヒューカス。ヒューカス・アスクレピオス」
淡い紫色のサイドテール。アメジストの瞳。
そして、何よりインパクトのある
一見すれば、2周りは大きいブカブカの白衣を、きちっとボタンを留めて着ている……
が、それは
露出した胸元に、艶めかしく見え隠れする生足。……そう。この女は、白衣の下に何1つ身に着けていない。
“叡智の象徴たる衣服”の下に“知性の欠片も無い痴態”――それこそが彼女の在り方。
「ごめんなのさ。生憎と、今日は君に用があって来たんじゃないんだ、
「――成程、
そうか。
よりにもよって、その呼び名を口にするとは。
良く分かった。永劫の生に飽いて、遥々知己の元へ殺されに来たのだな。
それならそうと早く言え。とびきりの苦痛を与えて噛み殺してやろう。
「おお、怖い! でも怒った顔も可愛いね! 昔みたいに乗って乗られて、夜の大航海に出港する?」
「妙な言い回しをするでない。貴様とそのような関係性になった覚えはないのじゃ」
「酷い!
……ちっ。調子が狂う。
あぁ、ようやっと思い出した。久しく会わなかった故に忘れていた。
この女は
へびつかい座の星群少女ヒューカス・アスクレピオス。
其は黄道13星座の一角にして、仲間外れの除け者。
そして、
「……相も変わらず頭のイカレタ芝居を続けておるようじゃな。それほど
「さてね。数千年間、途切れず継続した芝居は芝居なのかな?」
――愚者として生き、愚者として死ぬ、
「ワシが知るか。少なくとも、今の貴様は頭の先から爪の先まで、変態以外の何者にも見えぬがな」
「にはは! そりゃ重畳! 愚生には最高の誉め言葉なのさ!」
良くもまぁ、難儀な生き方を飽きもせず続けるものだ。ワシなら数刻と持たない。そこだけは、素直に賞賛しよう。
が。
コイツの性根も生き方もどうでも良い。知己も過去も関係ない。目的も経緯も知った事か。
今この瞬間、問題とすべきは1つだけ。
「先程、貴様はワシに用がある訳ではない。そう宣ったな。それは即ち――」
「うん、そうさ。この家の家主に……偽十字 来栖くんに用があって来たのさ」
「殺す」
ワシの獲物に手出しするというのなら、容赦なく殺す。それだけだ。
★★★
ほほーう。これはこれは
想像以上に御執心みたいだね、我らが船は。
さっきの冗談……“船”呼び時の殺気も本物だったが、これは比較にならない。
言葉での脅しだけだった最初とは異なり、今はダイヤモンドの剣が愚生の喉元に突き付けられている。
けれど――
「……そこまでにして~頂けますか~?」
「やはり居ったか、
「いちお~、こんなヒトでも~。私にとっては~『先生』なので~」
――突如として出現した幼女が止める。
金剛の剣を掴んで止めたのは、若草色のショートヘアーをした幼女。ツチノコを模した緑色の着ぐるみが愛らしい。
ふっふっふ。流石は我が『生徒』にして護衛、“へび座”のサぺアちゃん。
「にははは! これぞ愚生の誇る最強の盾にして矛! たとえ君でも容易に突破は出来ないいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!???」
「うるさいです~。守ってもらえるのが~当たり前とか~、思ってんじゃねぇぞです~」
ぐふ。まさか
見事な尻尾の一撃だったぜ……。
「あー、また散らかっ……そうじゃ! よし、貴様ら此処に居ても良いぞ! 代わりに、全部お主らの仕業にするのじゃ! これでワシは叱られなくて済む! 我ながら最高の名案じゃな!」
「なんか~良く分かりませんが~。すっごく怠そうですね~。私は離脱するので~、あとは先生に押し付けます~」
最後に、そんな会話が聞こえて愚生の意識は途絶えた。
☆☆☆
「……この惨状は一体全体どういうことだ?」
遊園地インパクト後のギスギスを堪能し、新たなヒロインまで見つけて。
ウキウキルンルン気分で帰ってきたら、家の中が凄まじい事になっていた。泥棒がダース単位で入って来た感じである。
クソ親父が一銭も生活費を出さないせいで、極貧生活が続いた我が家にはロクな家具も無い。
そんな我が家に盗む価値の有るものなんて……いや、1つだけある。2階の俺の部屋、押し入れの奥。そこには、我がバイブルが存在する。
俺の原点にして根源。何百回と繰り返して読み、重要な箇所には線を引いたし、思いついたアイデアを乱雑に書き連ねもした書物。
この俺に「ハーレム」と「修羅場」の素晴らしさを教えてくれた、
「レクシィ、大丈夫か? 何があった?」
……とまぁ、心を落ち着けるための冗談はこのくらいで良い。
第一、あれは既に俺ですら解読不可能な程にボロボロになっていて――じゃなくて。
今はマイシスターの安否確認だ。本当に泥棒が入ったのなら、彼女が恐ろしい目にあった可能性がある。
一見すると彼女の身体に怪我は無い。涙の跡も無いし、着衣の乱れも無さそうだが……。
「聞いて欲しいのじゃ兄上! 郵便物かと思って扉を開けたら、そこに転がっている変態が押しかけて来たのじゃ! 無力化には成功したんじゃが、この通り家の中は滅茶苦茶になってしまったのじゃ!」
なにそれ怖い。どういう状況か全くわからんけど、普通にヤバ過ぎない?
レクシィの指差す先には、白衣姿の……え? よくよく見たら白衣しか着てなくない? あの下、完全な真っ裸じゃない?
こんな変態が突撃して来たなんてヤバ過ぎる。
常識では考えられない。アンビ○バボーに応募したいくらいだ。
「お前は何とも無いんだな? 大丈夫なんだな?」
「心配してくれて有難うなのじゃ、兄上。この通りワシは無傷。何ともないのじゃ」
ふむ。心配させまいと嘘を吐いている、という感じでは無さそうだな。一先ずは安心だ。
しかし、今回は奇跡。ただの女の変態だったから何とかなっただけ。
か弱い少女に過ぎないマイシスター。仮に屈強な男が押しかけてきたら為す術もあるまい。
今度からは絶対に鍵を開けないようにさせなければ。
「……はっ! 意識が飛んでいたのさ!」
さて、と。この変態、どうしてくれようか。
正直なところ、警察は呼びたくないんだよな。クソ親父のせいで少々面倒な事になる。
……本当、どこまでいっても迷惑しかかけない奴だ。
「おい。さっさと出て行け変態」
「ん!? 君はもしかして偽十字 来栖くんなのさ!?」
「さっさと出て行けと言っているんだ」
なぜ俺の名前を、とか今はどうでもいい。
無事であろうとも、レクシィはきっと大きなショックを受けているはず。
その心のケアをしなければならず、こんな変態は早々に外へ追い出したいのだ。
「いやいや、一先ずは話を聞いて欲しいのさ」
「生憎だが。白衣一枚しか羽織ってない変質者。そんな奴の言葉を聞く耳は持ち合わせてない」
「……ん? じゃあ聞くけどさ。こういう格好は嫌いかい?」
「いや、嫌いではないけれども。むしろ好きだけれども」
「ほらねー!」
「黙れ変質者。何が“ほらねー”だ。さっさと俺の家から出て行け」
「んぎゃーー! イダダダっ!! 愚生の髪がああ!! 引っ張られるぅううう!!」
正直、女の子に手荒な真似をするのは主義に反するが。
しかし、相手が犯罪者なら話は別だ。髪を引っ張ってでも外に放り出そう。
「聞いて欲しいのさ! 愚生は君の父親、偽十字
「よし、なら容赦いらないな」
「なんでなのさ!?」
「あのクソ親父の知り合いとか、100%クソしかありえない」
俺は自らの父親を世界で最も忌み嫌っている。
どれくらいかと言えば、鏡に映った自分の顔を見て強烈な殺意を覚えるくらい。
遺伝子の悪戯とでも呼ぶべきか、災厄とでも呼ぶべきか。俺の顔はクソ親父と瓜二つ。鏡でも水面でも、映った自分の顔を見ると粉々にしてしまいたくなるのだ。
それ程に俺は奴を嫌っている。どんな嫌な人間でも、あのクソ親父と比べれば聖人に見える。
そんなクソ親父の知り合いなら、情け容赦など要らない。
「違う、違う! 知り合いといっても、憎き存在として知っているってこと! 愚生も被害者の一人だよ!」
「……何だって?」