ハーレム系ラノベ主人公を修羅場に突き落とすのが愉しくて止められない。   作:夢泉

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9点評価と感想…!? 感謝感激です!
ありがとうございます!






2話:シリアスな場面で呑気に日常の話題を持ち出してくる奴、現実にいたら相当ウザくて仕方がない。

 

「アストロラーベ・フィールド展開!」

 

 白髪の少女、白鳥 星の一言で世界が変わる。

 昼から夜へ。日常から非日常へ。

 雲一つない晴天は満天の星空へと塗り替えられた。

 この領域は、名をアストロラーベ・フィールド。彼女たち星群(せいぐん)少女のみが展開できる特殊な空間にして、彼女たちが命を懸けて戦う戦場だ。

 

「あの日の傷を星に変えて! 白き翼で北天に舞う!」

 

 白髪の少女の言葉に呼応するように、造られた星空の中で9つの光が一際強く輝いた。

 星々は白い光の線で結ばれていき、1つの星座を象っていく。

 その星座、『はくちょう座』が完成した時――

 

「変身っ! 星群少女『キュクノス・リグリア』!」

 

 ――少女は消え、戦士が舞う。純白のドレスに身を包んだ戦士が。

 

「鼓動せよ、牽牛の心臓。羽ばたけ、荒鷲の翼」

 

 黒髪の少女、鷲平(わしひら) 韻子(いんこ)が歌うように紡げば、11の星が輝き、繋がり、『わし座』が形成される。

 そして――

 

「変身、星群少女『アルタイル・イーグル』」

 

 ――青い羽衣を翼のように広げ、蒼き少女が降り立つ。

 

「悲劇のヒロインも哀しみの音色もオレには似合わねぇ! 引き離されたら飛んできゃ良い! 誰より速く、力強く!」

 

 桃色髪の少女、鷹刈(たかかり) 麻琴(まこと)が吼えれば、5つの星が『琴座』を描き――

 

「変身、星群少女『ベガ・バルチャー』!」

 

 ――桃色の羽衣を拳に巻き付け、紅き少女が飛び立つ。

 

「逃げるだけの力でも誰かを守れるです! そう教えてくれた人たちがいるのです! だから…! だから、てうは逃げずに戦うのです!」

 

 茶髪の少女、狐咲(こざき) てうがフンスと意気込めば、5つの星がグネグネ曲がりながらも真っ直ぐに『こぎつね座』となって――

 

「変身、星群少女『テウメッサ』!」

 

 ――耳と尻尾をはやした狐少女が宙を跳ねる。

 

「時は金なり。最短最速で片を付けさせて頂きますわ」

 

 金髪の少女、時金(ときかね) 貨月(かげつ)が高らかに宣言すれば、6つの星が煌めき『とけい座』として時を刻み始め――

 

「変身、星群少女『タイム・イズ・マネー』!」

 

 ――黄金のラバースーツに身を包んだ、金色の戦士が君臨する。

 

 ここに5人の戦士が揃った。

 星が最後に一層強く光るように。流星が燃えながら煌めくように。

 死と隣り合わせの闘争の中、彼女たちは誰より美しく輝く。

 

 

★★★

 

 

「ひゃあああああああ! この力はスゲェ! まさにチート! 俺は主人公になったんだぁああああ!」

 

 悲鳴が聞こえた方へ向かえば、案の定。

 適正も無いのに無理矢理AE…アステリズム・エネルギーを摂取してしまった人が暴れている。

 壊された遊具は…メリーゴーランド1つ。倒れている人が2人。生死・怪我の詳細は共に不明。

 悔しい。少しだけ遅かった。守り切れなかった。

 でも。普段よりずっと被害は少ない。ボクたちが近くに居たから、直ぐにアストロラーベ・フィールドを展開できたから。

 この固定された領域内なら、これ以上の被害は出ない。ボクたちの命が尽きない限りは。

 

「今まで俺を見下していた奴らぁああああ! 俺より幸せな奴らぁあああ縺ゅ≠あ!! 全員、ぜ繧いん、縺カ縺」縺薙o縺励※縺医∴縺医∴縺医∴!!!!」

 

 あぁ。

 もう人格の崩壊が始まってしまっている。……この人は、もう手遅れだ。

 真っ黒な泥…『ダークマター』が体中から溢れ出して元の姿を判別する事も出来ないけれど、恐らく大人の男性。

 AEの力は年若い少女の…それも適正のある極々一部の者にしか扱えない。大人の男性なんて絶対に無理。ましてや、彼に渡されたであろう劣化版…いや、失敗作なら尚更。

 ……悔しくて、辛い。こうなる前に彼を救えなかったことが何より悲しい。

 

「わりぃが、オレに譲ってくれねぇか。奴は一発殴らねぇと気が済まねぇ」

「構いませんわ。ただし2分以内で頼みますわよ」

 

 やり切れぬ思いに折り合いをつけていたら、いつのまにか話がまとまっていた。

 麻琴ちゃん……否、ベガ・バルチャーが桃色の羽衣を手にグルグルと……グローブのように巻きつけて前へ出る。

 

「へっ、1分もいらねぇよ!」

 

 そして。高く高く跳躍すると、そのまま上空から――

 

「必殺! コンドォォォォォォォル・パーンチッ!!!!」

「縺ェ繧薙□縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠!!!!!??????」

 

 桃色の流星が炸裂し、その一撃で戦闘は終了した。

 

 

★★★

 

 

「相変わらずパッとしない妙なネーミングの必殺技ですのね」

「ハヤブサのキャプテン様リスペクトに決まってんだろうが! てか、『タイム・イズ・マネー』なんてヘンテコな名前のテメェにだけは言われたくねぇよ!」

「あら? これが時金家の唯一絶対の家訓でしてよ。恥じる必要などありませんわ」

「それを名前にするのが変だっつってんだよ!」

 

 周囲に他の敵性存在がいないか、何か黒幕への手掛かりはないか、そういったことを調べて帰ってくると、ベガ・バルチャー(   麻琴ちゃん   )タイム・イズ・マネー(   貨月ちゃん   )が何やら言い合っていた。

 まぁ、いつものことではある。あの二人は事あるごとに衝突してばかり。

 ……でも、戦闘の時の息はピッタリだし、何やかんや言っても信頼し合っているのは傍目にも明らか。2人とも素直じゃないだけなんだよね。

 そんな心温まる光景を尻目に、テウメッサ(てうちゃん)アルタイル・イーグル(   韻子ちゃん   )と情報を共有していく。

 

「一応、倒れていた人たちは、無事。治療すれば、大丈夫」

「そっかぁ、良かった。……あの暴れていた人は?」

「死んでは、いない。けど、生きているとも、言わない。言えない」

「………………そっか」

「機関への連絡はしておいた、です! 後処理、治療、記憶処理諸々全て恙なく。到着までフィールドは維持されたし……とのこと、です!」

「ありがとう、てうちゃん」

「えへへ~、です!」

 

 苦々しいモノも残るけど、それでも普段よりずっと軽い。

 被害がずっとずっと少なかったから。

 

「もしかして、だけど。彼は、偽十字 来栖は、これを狙っている? 襲撃があることを、知っていて、それで」

「……まさか。彼は正真正銘一般人の()()高校生だよ。AEにだって関われる訳ない」

「そうだと、良い。でも、警戒は、忘れちゃ駄目」

「…………うん、そうだね」

 

 そうして。

 嫌なモノを飲み干して、また日常へ戻って行こうとして――

 

「見つけたのじゃ! 喰らい尽くすは、金剛の(あぎと)反正(はんせい)、星群少女『ドラゴンボーン』!」

 

 ――銀髪の少女の声で再び非日常が加速していく。

 

 

★★★

 

 

 少女は一瞬で竜となった。

 全身が()()()()()()()()()()で出来た、全長10メートルはくだらない()()…ティラノサウルスに。

 

『GaAAAAAAAAAAAAA!!!!』

「なんッだよ、コイツは!」

「恐らくは()()()の星群少女ですわね!」

「おいおい、それって南天の!」

「えぇ! 南天最強の一角! 最も硬き者、不動の金剛竜に違いありませんわ!」

 

 軽口を叩き合いながらも、息の合ったコンビネーション、怒涛の連続攻撃で攻め立てる2人。

 でも、金剛の竜はビクともしない。全ての攻撃がまるで効いていないかのよう……いや、実際に効いていないのだろう。

 

「そもそも竜骨って船の部品じゃねぇのかよ! っぶね…!」

「滅茶苦茶なのは毎度のこと! そんなの今更ですわ! くっ…!」

 

 対して、向こうの攻撃は正に必殺。あの巨体に眠るパワーと、硬く鋭利なダイヤモンドの牙。一度でも噛まれれば絶体絶命。

 そもそも、タックルされるだけで無事では済まない。

 ……つまり、出し惜しみをしている場合じゃない。なんで襲って来たのかとか、全部全部分からないことだらけだけど。そんなのは後回しだ。

 

「ベガ! アルタイル! サマー・トライアングルで決めよう…っ! テウメッサとタイムは発動までの時間を稼いで…!」

「へへっ! そう来なくっちゃな…!」

「愛の、共同作業」

「時間稼ぎは任せて、です!」

(わたくし)の時間は高いですわよ! なるべく早く終わらせて下さいまし!」

 

 正直、この技が通じるかどうかも分からない。

 なにせ相手は南天最強の一角。正真正銘の怪物。

 それでも、ボクたちは……ボクはこんな所で終わるわけにはいかないから。

 ボクに力を託してくれた2代目『ノーザンクロス』、『キュクノス・ヒュリエ』の想いに応えるためにも……!

 

「じゃあ、いくよ……!」

 

 そうして。

 ボクたちの最大火力の大技、その発動へ繋げようとして――

 

「……え?」

 

 ――そのタイミングでボクの電話が鳴った。

 そして、何を隠そう、この着信音は親友の来栖だ。

 まぁ、普通は出るわけがない。命懸けの戦闘中に電話になんか応じるわけがない。

 けれど。

 

「……えっと、どうしよう?」

「…………出た方が、良い。これまでの、アレコレを、考えると」

 

 アルタイルの言葉に、各々戦闘を続けながらも全員が大きく頷く。

 そう。彼には謎の信頼がある。

 こういう時の彼は、いつだって重要な情報を投下していくのだ。

 日常100%の会話をしながら、謎の言い回しで状況打開のヒントを残していく。

 だから、今日もボクは。足止めを他の星群少女に任せて。

 戦闘中にも拘わらず、通話を繋げた。

 

 

☆☆☆

 

 

「やーやー! マイフレンド! どうだい、調子は!?」

『どうだいも何も、修羅場真っ最中だよ……!』

 

 おー! 想定通りに修羅場ったらしいな!

 重畳重畳。親友の修羅場で飯が美味い!

 だが、それを声音にも言葉にも絶対に出さない! 悟らせない! 絶交されたら楽しめないからな!

 

「修羅場……? あぁ、そうそう。そっちに銀髪のロリっ子が向かったんだがな。チケットなんか持ってないはずだって気付いてさ。そっちで何とか上手くやってあげて欲しいんだわ」

 

 本来ならデート相手選びからの全員集合という2段階の修羅場で終わる予定だったのだが、そこにダークホース参入という3段階目まで用意できたのだ。

 忘れずに伝えておいて、ちゃんと合流してもらわねばならない。まぁ、時金のマネーパワーがあれば問題なかろう。

 

「え? もしかして来栖の知り合いなの……?」

「ありゃ? もう合流してたのか?」

「合流といえば、合流してるけど……」

 

 なんだ。何がどうなったのか不明過ぎるけど、グッジョブだ。

 言葉の歯切れが悪くて言いよどむ感じは、間違いなく眼前で修羅場を目の当たりにして当惑しているが故の反応だろう。

 ニヤニヤが止まらないぜ。

 

「合流してるなら良かった。その子、悪い子じゃ絶対にないからさ。仲良くしてやってくれると助かるわ」

「悪い子じゃ、ない……?」

 

 おや。変な反応だな。

 なるほど、泥棒猫メスガキムーブで飛ばしまくったんだな。そら第一印象も悪くなっちゃうのも無理ないわ。

 このままでは銀髪のじゃロリがヒロインレースから脱落してしまいかねない。

 というわけで、少し背中を押してやるとしよう。何かしらの因縁が過去にあった感じだったので、それを上手く利用する方向で。

 

「――あ、そういえば、お前に何かを盗まれたとか言ってたぞ。駄目じゃないか、どうせハートでも盗んだんだろ、罪作りな奴だな!」

『盗む……?』

「そうそう。確かにそう言ったぜ、お前の写真に写ってた星型の首飾りを見て――」

『そうか……! ありがとう、来栖! 今は忙しいから切るね!』

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ふひっ。

 これは? これはこれはこれは??

 これは間違いなく大成功ですね! ありがとうございます!

 今の反応、100%過去の出来事を思い出した感じじゃん。ポッと出のヒロインが実は……的な展開じゃん。ダークホース現るじゃん。

 これは明日、学校で人間関係の変化を観察するのが愉しくなりそうだな!

 

 ただ、ちょっと後ろの音が激しすぎる気がしたんだけども。

 あの遊園地は、そんなに激しいアトラクションがあるのだろうか?

 それとも、殴り合い上等のキャットファイト修羅場に突入しているのだろうか?

 流石に怪我人がでちゃうのは勘弁してほしんだけどな。でないと、俺が心の底から楽しめなくなっちゃう。

 

 

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