ハーレム系ラノベ主人公を修羅場に突き落とすのが愉しくて止められない。 作:夢泉
あわわ…凄く伸びてる……
☆☆☆
その少女の容姿は人並み外れていた。……まぁ、当然といえば当然だ。この俺がダークホース足りえるNewヒロインとして、警察に通報される危険を冒してまでスカウトした人材なのだから。
最も目を引くのは、その特徴的な髪色。一番近い色は銀だと思うが、それを銀髪と称して良いかは甚だ疑問が残る。
銀には違いないのだろう。しかし、やけに透明感があって、どことなく青みがかっていて、光を反射して艶やかな光沢を放つのだ。
例えるならば、そう。まるでダイヤモンドのような髪色。俺の語彙では適切な言葉が浮かばないから、銀髪と称するしかない……そういう髪色をしている。
肌は新雪のように白く、瞳は夜空を閉じ込めたような深い深い蒼。瞳の奥にキラキラと星が瞬いているような、そんな錯覚にすら陥る。
つるぺたでこそあるが、それを補って余りある圧倒的な美。
そんな人外の美貌を有した少女が小さな口を開いて紡いだ言葉は――
「ワシは偽十字 レクシィ。
妹、だと……?
★★★
この少年の言動が不可思議であるのは誰の目にも明らか。それは僅かな会話を交わしただけのワシにすら分かる程であり、長く共にいた今代のノーザンクロスたちは尚更強く感じていることだろう。
そもそも、ワシは10年間ずっと南天にいたし、何なら寝ていた。30年程前にノーザンクロス……初代ノーザンクロスと戦った傷を癒すべく眠りにつくこと10年。起き上がるのが面倒くさかったので10年追加で微睡み、20年ぶりに起きてみると南天と北天の行き来が禁止されていた。
当然、黄道どもに抗議してみたが糠に釘。ブチ切れて喧嘩を売ったが、12対1では多勢に無勢。加えて、何故か“
そのまま10年眠り、目覚めてみれば封鎖は既に解除されていた。故、喜び勇んでジパング観光も兼ねて再戦に来たのだ。
だが、そこで白鳥の力を用いて戦う見知らぬ戦士を目撃、不思議に思ってノーザンクロスを探しても見つからず。あの戦士が力を奪ったに違いない……そう誤解して探し回っていたという経緯がある。
……まさか正体が人間で、しかも表向きは“男”として生きているとは思わなかったが。道理で見つからないはずだ。
なんにせよ、ワシがダイヤモンドクロスとして人前に姿を顕すのは
だというのに、この小童は…偽十字 来栖はワシをノーザンクロスと引き合わせた。探し求めていた存在へと。
これを偶然と片付けるのは流石に無理がある。
だが、そうであるなら尚のこと不可思議極まりない。人間で、幻術詐称の類ではない正真正銘の男で、しかも齢僅か16。そんな小童が、星群少女の事情を当の本人たちよりも把握している……そんな奇妙奇天烈な状況が見えてきてしまうのだから。
無論、未来視や読心といった特殊な力の持ち主である可能性もゼロではない……ないが、やはり性別が問題となってくる。
ともあれ。この少年がワシすら知らない何らかの情報を持ち、未知の目的の為に行動しているのは間違いない。
そうなってくると、決して無視できない重要なことが1つ。それ即ち、少年が
北天、南天、黄道。その大別の中にも複数の派閥や対立が存在する。また、近頃は88の座に属さない未知の星群少女まで確認されているそうだ。暴れ回るだけの劣化星群少女まで存在するらしい。
そうした情勢下にあって、少年が何れの陣営に属しているかは非常に重要だ。なにせ彼は北天・南天双方の情報を把握しているのであり、後々敵対する場合に厄介な存在となりかねない。
……もっとも、その程度のことは“極星機関”とやらも危惧し調べていた。だが結局、いくら調べても何処かの陣営と繋がっている事実は確認されなかったそうだ。
それ故、現状は完全グレーな存在として野放しにされている。迂闊に引き入れれば内部情報が流されてしまう可能性もあるし、かといって手荒な手段は開戦の口実となりかねない。
畢竟、少年が真に所属する陣営が明らかとならない限り、自由にさせておくしか手段がないのだ。泳がせていると言えば聞こえは良いが、実際は打つ手なしの傍観に過ぎない。
これこそが狙いなのだとしたら、少年と彼が属する陣営は実に狡猾で戦上手と言えよう。
そんなわけで。ワシは此処に来た。少年が住む家へ。要求を受け入れなければ暴れ回ると機関の連中を脅して偽りの戸籍を入手して。
全ては少年が所属する陣営を明らかとするため…………
それを知りたいだけなら少年を力で脅して聞き出せば良いだけだ。
ワシからすれば北天や極星機関の事情など関係ない。もっと言えば南天すら正直どうでも良い。開戦の口実になる危険性など知った事か。如何なる陣営であれ、対立するなら正面から戦って叩き潰す。
むしろ、強敵となってくれるのならば望むところ。どんどん暗躍して強大になってくれれば良い。強ければ強い程、打ち倒す喜びは大きくなる。
では何故、此処に来たのか。少年の“妹”と偽ってまで家に上がり込んだのか。
決まっている。
そもそもの話、何故ワシら星群少女が数千年も戦い続けているのか。北天と南天が争い続けているのか。
それには古代の約定やら協定やら法やら、ワシらの使命やら存在理由やら諸々が関わってくる。関わってくるが、全ては些事。無視しようと思えば無視できる些末事に過ぎない。
詰まる所、根幹にあるのは
身も蓋も無く言ってしまえば暇なのだ。暇だから戦っている。ルールやら陣営を定めて戦い続けて来た。
故、ワシは愉しいことを求める。娯楽を求める。悠久の倦怠を吹き飛ばす悦楽を。
加え、少年には1つ恩がある。ワシをノーザンクロスの後継と引き合わせてくれた恩が。
今代のノーザンクロスは未熟極まりないが、将来的な楽しみが出来たのは間違いない。
更に、今の北天で起こっている事態の詳細を把握する必要があるのも事実。
……ワシの
そして、その為には北天における拠点が必要不可欠。人ならざる不老の身であっても、肉の器に縛られている以上は腹も減るし、雨風に晒されれば風邪もひく。故、寝床となる場所を早急に用意しなければならないと思ってはいたのだ。
これら全てを総合的に勘案した結果、ワシは偽十字 来栖の家に居候すると決めた。
この少年の傍にいれば、必ず波乱が起きて面白い。
目的も陣営も分からずとも、それだけはハッキリとわかるのだ。確信できてしまうのだ。
何故なら――
☆☆☆
「――というわけじゃ」
銀髪ロリの話をまとめると、こうだ。
彼女の名前は偽十字 レクシィ。俺とは腹違いの兄妹という関係性らしい。
あっちにふらふら、こっちにふらふら、世界中を放浪して家に帰ろうともしないクソ親父が、どこぞの国で誰ぞとニャンニャンして彼女が誕生したらしい。
それで、なんやかんやあって天涯孤独になった為、紆余曲折を経て晴れて日本国籍を取得。ここに住む許可を貰いにやってきた、と。
ふむふむ。いや、どう考えても怪し過ぎでしょ。たまたま出逢った銀髪のじゃロリが俺の腹違いの妹で、1つ屋根の下で同棲生活スタートとか。
普通に考えて、信じる方がどうかしている内容。……なんだけれど。
「あのクソ親父なら普通にあり得るな」
この一言で全て片付く。奴ならやりかねないという最低最悪の信頼がある。俺の想定を軽々超えて面倒を引き起こすのがマイファーザーなのだ。
いつ何時も自分の欲望が最優先。周りの迷惑なんか考えずに好き勝手して、周囲の人間を振り回すだけ振り回して。それで満足したら去っていく台風みたいなクソ野郎。何があろうともアイツのような人間にだけは絶対になりたくない、そう思いながら日々を
「それで、どうじゃろうか?」
しかし、一つ屋根の下に住む……か。
それは――
★★★
「無論、無理強いはせん。難しければ諦めて野宿をしつつ家を探すとしよう」
こう告げれば、貴様は絶対に否とは言うまい?
長く生きていると色々な事が分かるようになる。例えば、そう。
目的も陣営も不明のままなれど、ワシの竜の鼻は確かに嗅ぎ分けた。感じ取った。
ひたすらに娯楽を求めて彷徨い続ける。至上の悦楽の為なら、如何なる苦痛も労苦も喜んで受け入れる。……そんな
のぅ、偽十字 来栖。
――貴様、根本的にはワシと同類じゃろう?
☆☆☆
「いや、別に良いぞ? ボロだけど、スペースだけは余ってるしな」
――腹違いの妹? 一つ屋根の下? 全然OKです!
「……良いのか?」
「もちのろん。善は急げだ、部屋の準備をしてくるよ」
断る理由なんか一切ない。あるわけがない。
だって、だってさ――
「感謝するのじゃ。それと、己の部屋くらいワシ自ら整えよう。手土産に夕飯を用意してる故、それを食しておれ」
「おぉ、まじか。サンキュー。ただ、それなら尚のこと、2人でやってパパっと終わらせようぜ」
「……何故じゃ?」
「家族ってのは一緒にご飯を食べるものなんだろ? 一緒に食おうぜ、妹よ」
「クク、成程のぅ。相分かったのじゃ、兄上殿」
ずっとずっと足りないと思っていたのだ。今の星のハーレムは同年代だけで構成されていて味気ないと。
修学旅行とかイベントでライバルたちに差を付けられてしまう……そんなヤキモキを代表例に、年の差がある故に生み出される展開は無数にある。この義妹がいれば、それらが楽しめるのだ。断る筈が無いではないか。
そして何より。
今日は最高の日だな。生まれて初めてクソ親父に感謝したかもしれない。
明日から更に楽しくなるぞ……!
簡潔に要約。
自己中な快楽主義者2人が出逢っちゃいました。
【ご報告】
6/19(16:00時点)
オリジナル日間1位
総合日間2位
達成しました。凄く凄く嬉しいです。
全ては皆様の応援のおかげです。ありがとうございます!
ー追記ー
22:00 総合日間1位達成!