とある神谷の幻想創造 神の右席編   作:nozomu7

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超能力者の戦い

「逃げて、はまづら、みんな」

 

 滝壺は、話すのも辛そうな様子で言った。

 

「このままじゃ、みんな捕まる。だから、逃げて」

 

 ふざけんな、という浜面の小さな呟きが、海鳥の耳に聞こえた。

 

「はまづら」

「黙ってろ」

 

 彼はそれだけ言うと、彼女の体を担ぎ直した。

 

 絹旗も黒夜も、自分の能力で再び空気中の窒素を集め始める。霧丘もナイフを取り出し、それまでずっと黙って逃げ隠れていたフレンダもまた、携帯式の小型ミサイルを取り出した。

 

 だが、彼らの体力もあまり残されていなかった。

 

 体調不良の滝壺はもちろん、浜面だって、今日1日でかなりの疲労が蓄積している。また、他のメンバーにしても、暗部暮らしが長いために体力こそあるものの、ここまで波乱万丈な一日など、そうそうあるわけではない。基本的に仕事があるときだけ呼び出され、その場その場で仕事をすることが普通なのだ。

 

 その間、後ろからはカチャカチャと、銃器の金属音が近づいてくる。

 

「最初は私が一気に爆弾を仕掛けるから、他のみんなはその後の隙を狙ってほしい訳よ」

「了解。拳銃以外のまともな中距離攻撃ができるのは、このメンバーじゃアタシとフレンダだもんな」

 

 フレンダと海鳥がその手に各々の武器を構える。

 

 そして、ついにその銃口が彼らに向けられる。

 

 戦闘向けの大能力者(レベル4)は3人。それだけでいえばかなりの戦力だ。しかし、彼らの様子からして、どんな能力者相手でも確実に暗殺できるような訓練を積まされているはず。

 

(良くて五分五分……最悪、超全滅でしょうか)

 

 最愛と海鳥は一度だけその手首のミサンガに視線を落としたが、しかし改めて目の前の相手を見据えた。

 

 狙うなら、最高のタイミングで。

 

 この状況ではもはや、相手が一斉に撃とうとするために集中力を高めるその直前に、一気に畳みかけて動揺を誘うしかない。

 

 絶体絶命。

 

 そのはずだった。

 

 

 

 しかし次の瞬間、無数の閃光が追手たちを薙ぎ払い、彼らの脅威を払い去った。

 

 

 

 その光景を見て。

 

 浜面は安堵した。何者か分からないが、とりあえず目の前の敵を葬ってくれたことに。

 

 フレンダと霧丘は唖然とした。援護が入ったことにではなく、使われたその能力と、その持ち主の存在に。

 

 最愛と海鳥は警戒した。これから再び始まる、泥沼の如き死闘を予感して。

 

「……はーまづらぁ……」

 

 一言。

 

 それだけで、その場にいた全員の背筋に寒いものが走った。

 

原子崩し(メルトダウナー)』。電子を波でも粒子でもない状態で操る能力で、使用者は学園都市にも1人しかいない……貴重な第4位の超能力(レベル5)であった。

 

 そして、その使用者は……かつて浜面仕上が、単独で撃破しているはずであった。

 

 その女の右目はなかった。

 

 その女の左腕はちぎれていた。

 

 そして、失ったその赤い眼窩の奥から、その左肩からは凶暴な光がほとばしっていた。その莫大なエネルギーが、不気味な音を立てる。

 

 浜面は、枯れ切った喉からその名を呼んだ。

 

「麦野、沈利……ッ!」

「こんなチンケな野郎どもに命狙われているんじゃないわよ。お前はこの私が上下左右に裂いてブチ殺すって決めているんだからさあ!」

 

 ぞわり、と浜面の全身を嫌な予感が襲った。

 

 先ほどまでのものを凌駕する、真なる絶望が彼らを呑み込んでいく。

 

 

 

 

 

『グループ』の彼らの前には、打ちのめされた潮岸がいる。

 

 自慢の駆動鎧(パワードスーツ)は、海原のトラウィスカルパンテクウトリの槍によってバラバラにされてしまったのだ。

 

「俺たちの身内を守るためにできることは、2つある」

 

 一方通行(アクセラレータ)が告げた。

 

 ひとつは、ここで『ドラゴン』について知っている限りの情報を吐いてしまうこと。もうひとつは、その腹に刺さっているナイフで、さらにハラワタを抉りだして交渉を起こすこと。

 

「『ドラゴン』か……推測はできているかね」

「まさか、『実は私も知らないのだよ』などと抜かすつもりじゃねェだろォな」

「だとすれば、気が楽だったんだがね」

 

 潮岸は、その正体を知ってしまった。そして、だからこそ悩んでいた。

 

 彼の言う「知らない方がいい」というのは、安っぽい脅しではなく、心からの言葉であるという。

 

 それを聞いた上で、一方通行は尋ねた。

 

「『ドラゴン』とは何だ? いったいどこにいる?」

 

 土御門と海原の話では、それは『天使』の隠語であるという。そして、そこから連想されるものは、9月30日に見たあの光の翼だ。

 

「……何を言っている」

 

 しかし、潮岸はこう言った。

 

 全く見当違いのことを真顔で語る者が、おかしくてたまらないといった様子だった。

 

 

 

「『ドラゴン』はどこにでもいる。ほら、今は君の後ろにいるだろう」

 

 

 

 一瞬の空白があった。

 

 しかし、直後にゴツン、と鈍い音がした。

 

「土御門?」

 

 返事はなかった。

 

 彼だけではない。結標も、海原も、倒れていた。1人1人が並外れた戦闘能力を持っているはずの『グループ』のメンバーが、一方通行を除いて一瞬で倒されていた。

 

 反撃の機会すら、与えられなかった。いや、そもそも彼らは攻撃されたことに気付く瞬間すら、あったのだろうか。

 

 そして、一方通行は、見た。

 

「ヒューズ=カザキリではない。あれは、単なる製造ラインにすぎない」

 

 そこまで言った潮岸は失血のためかそのまま気を失ってしまうが、そちらを振り返ることすら一方通行にはできなかった。

 

 金色の長い髪。

 

 光り輝くような長身と、その肢体を包むゆったりとした白い布の装束。見方によっては女性に見えなくもないその者の顔つきは、喜怒哀楽のすべてを含んでいながら、それでいて人間の持つ感情とは異なるものが垣間見えた。

 

「――『ドラゴン』か」

 

 その対象は、口を開く。

 

「その呼び名も間違いではない。天使という記号にも対応している」

 

 地球外知的生命体だとか、聖守護天使、あるいはシークレットチーフの真なる者、などという仰々しい言葉に比べれば、ずっと本質には近い。しかし、そこまで認めておきながら、『それ』は異なる名を名乗った。

 

「かつて、クロウリーと呼ばれた変わり者の魔術師に、必要な知識を必要な分だけ授けた者――『エイワス』、と」

 

 エイワス。

 

 そう名乗った目の前の存在に対して、一方通行は注意深く観察した。

 

 あれだけ追い求めてきたにも拘わらず、次のアクションへと思考が繋がらなかった。自分たち『グループ』はあくまでも情報を使って取引を行う方針で動いていたので、いきなり現物が目の前に現れるとは、全くの予想外だったのだ。

 

「不思議そうな顔をしているな。私がこうして現れたことが、そこまで不可解か?」

 

 当り前だ。

 

 今まで学園都市がひた隠しにしてきた存在が、どうしていきなり目の前に現れるというのだろうか。

 

「潮岸の使い走りか? 増援にしちゃ遅すぎだな」

「本気で言っているのか」

 

 一方通行はいくつか考えた中で最も合理的な可能性を選んでみたが、即座に否定されてしまった。しかし、そのように明確な意思表示をされているにもかかわらず、何を考えているのかさっぱりわからない。

 

 彼は黙ることで、自分の言葉を否定した。そして、今度はなぜこのタイミングで向こうから現れたのか、に思考を巡らせる。

 

「君に一定の価値を認め、それによって……ちょっと興味がわいたから、だよ」

 

 彼は気軽な様子で言った。

 

 少なくとも、『ドラゴン』、否、エイワスは統括理事会の連中にも操作できるものではないらしい、と一方通行は考える。潮岸の努力をこんなにもあっさりと無駄にするように、出現したのだから。

 

 そして、同時に警戒心を高めてもいた。その程度の認識で、他のメンバー3人の意識を一瞬で奪うだけの実力があるという事に他ならないのだから。

 

(どォする……?)

 

 今まで殺意を持った人間なら何人とも戦って来たし、その中には木原数多や垣根帝督のような、実際に『反射』の壁を抜けて攻撃を通してきた猛者もいた。

 

 だが、エイワスはそんな奴らとも異なっていた。そもそも、一方通行の前に突如として現れたのにも関わらず、そこに敵意も悪意もない存在というのは珍しいのだ。

 

 まずは、目の前の存在がどのような役割を担っているのかを知ることが、先決だろう。

 

 そんなことを考えていると、エイワスは初めて感情を見せた。そのフラットな顔に、驚いたような表情をつくったのだ。

 

「私の予想とは異なる結果だな。てっきり、仲間をやられた腹いせに突撃を行い、3秒で地面に付しているものだとばかり思っていたよ」

「……その一言の方が、引き金にはピッタリだがな」

 

 一方通行は低い声で応じた。彼にとって『グループ』というものは、利用価値だけでつながっている集団なのだ。

 

「オマエは何なンだ? どうして『ドラゴン』なんてコードネームで匿われてやがる」

「そこから説明しなければならないのか。正体なんて、大したものではない。ちょっとしたhboie在abというだけなんだが……」

 

 エイワスの言葉が、ブレた。

 

 それも、単に音にノイズが混じるようなものではない。そもそもの、音源の方向そのものからブレが生じている。

 

「……しまったな、この程度の『意味』すらも表現できないのか、この世界は」

 

 少々回り道をすることになる、とエイワスは言い、語り始めた。

 

 ヒューズ=カザキリ。

 

 あれは人工的な『天使』などと呼ばれる存在であるが、その本質は少し異なり、エイワスを出現させるための製造ラインのようなものであるという。

 

『AIM拡散力場』という『塩水』に、『ヒューズ=カザキリ』という『小さな塩の結晶』を入れることによって、『エイワス』という『大きな塩の結晶』を生み出した……と、エイワスはたとえ話を持ち出しながら語った。

 

「生まれたと言うよりuy顕idvifが正しいか、くそ、言葉が追いつかない。生まれたのではなく現出したとでも言っておこうか。厳密には違うがそれ以外に表現できない」

 

 読めない。

 

 この怪物の考えが、感情が。しかも、エイワスは自分が倒されることにすら恐怖を抱いていないようだ。たとえこの地球上の全ての動植物が滅んだとしても、1万年や10万年をかけて再び新たな生命がこの地球上を埋め尽くすことと同じように、たとえエイワスは自分が消し去られたとしても、1万年でも10万年でもかけて再びこの地球上に現れればよい、否、現出することにすら、大した意味を感じていない。

 

 何もしない一方通行に、エイワスはさらに言った。

 

「おや、それで良いのかね。先に行っておくが、君が負の意味でその実力を信じているアレイスターは、決して完全な存在ではないというのに」

「何だと?」

「彼の立てる計画には、すでにいくつかの綻びが生じているということだよ」

 

 彼はプランにイレギュラーな現象が発生するたびに、それを逆手にとって自分が有利になるように計画を修正し、行動している。しかし、それでも少しずつ亀裂は大きくなっていることには変わりない。

 

 そして、その行き着く先は……

 

「――そう、計画の要となっている打ち止め(ラストオーダー)が、このままではいずれ必ず『崩壊』するだろう、とかね。ま、単なるクローンなんだから、同じ機能を持った個体を作り直せばそれで済む話なのかもしれないが」

 

 その単語だけで十分だった。

 

 最優先事項によって全ての不安材料は取り消され、一方通行の行動は決定された。

 

 

 

 

 

 かつて浜面の手によって倒されたとばかり思っていた、麦野沈利。しかし予想を裏切って再び現れた彼女の手から、恐ろしい光線がほとばしる。

 

 逃げろ、と叫ぶ暇もなく、浜面はとっさの判断で滝壺を突き飛ばすと同時に、自身も横に跳んだ。

 

 その判断は、正解だっただろう。なぜなら、その直後に2人がいたその金属製の通路には、オレンジ色の滝ができていたからだ。

 

 滝壺を最愛が回収し、一斉に全員が走り出す。

 

「絹旗!」

 

 だが、明らかに麦野は浜面を標的に定めている。そんな中で、滝壺を抱えている最愛と一緒に行動するつもりは、浜面にはなかった。

 

「どっか近くの、隠れることができるような場所を探しておいてくれ! あとで連絡がついてから合流する!」

「ちょ、浜面は……」

 

 一緒に行きたいに決まっている。だが、そんなことができるわけがない。

 

 まずは、この化物を何とかするしかない。

 

「アタシが残ろう」

 

 海鳥はそう言うと、浜面の近くに駆け寄った。

 

「『攻撃性』に特化した私は、防御には決定的に向かないからな。逃走の中で、滝壺とアンタの次に足手まといになるのは、この私だ」

 

 絹旗と霧丘は能力を発動するだけで銃弾を防ぐことが可能であるし、フレンダも爆弾をうまく使えば目くらましなどの応用が可能だ。

 

「……分かった。気をつけて」

「結局、こうなるのよ……」

 

 霧丘はいつものクールな表情でありながらもエールを送り、そしてフレンダは疲れたような顔をしながら、背中を向けた。

 

「黒夜、超頼みますよ」

「安心しろ。第一位の人格を基にした開発は伊達じゃないさ」

 

 海鳥は獰猛な笑みを浮かべ、そしてその両手を重ねて前方に出した。

 

「まずは、こういう使い方もできるってことを見せてやるよ」

 

 その手に、窒素が集められていく。

 

 そして。

 

 

 

 ゴバァ! と、麦野に向かって暴風が引き起こされた。

 

 

 

 海鳥のやったことは『窒素爆槍の生成に伴う気流の操作』を利用した、暴風の発生だ。彼女たちの能力は元々風力使い(エアロシューター)の系統であり、扱い方によってはこのような応用も可能なのである。

 

 しかし、その暴風に完全に巻き込まれるよりも先に、麦野は2人の視界から消え失せていた。原子崩しを放ったその反動を利用して、ロケットエンジンを利用したかのように移動したのだ。

 

 そのわずかな猶予を利用して、他のメンバーはその場から消え失せる。そして、浜面はまず物陰に隠れると、自分の拳銃の弾丸の残りを確認していた。

 

(くそくそくそくそ!)

 

 どうして、この場面で彼女が出てくるのだ。

 

 しかし、そのことに苛立ちと悔しさを感じている余裕すら、彼にはない。ちらりと後ろを確認すると、その場から飛び去った。

 

 直後に、ゴバッ! と灼熱の光線が、金属製の通路をオレンジ色に染めていった。

 

「がっ!」

 

 足場を失った浜面は、下の通路へと落下していく。3メートルほど落ちたものの、そこは再び空中の通路だった。

 

 かなり広大な空間。彼の下には、複数の小型の戦闘機が並べられていた。ざっと見ても20機以上ある。恐らく、航空専門の第二十三学区に移動していたのだろう。

 

 カツン、という足音が聞こえた。浜面が落ちてきた連絡通路の方向からだった。

 

 そして、再びドバッ! と閃光が走る。しかしその直後に、金属音が鳴り響いた。続いて、爆音も。

 

(麦野が俺を狙ったその瞬間に、一斉に攻撃をしかけたのか!)

 

 彼女の能力は、攻撃力が高い反面、使用者も正しく使用しなければ何らかの悪影響を被る可能性がある。そのために、狙いを定めるその一瞬は、かなり神経を集中させているはずだ。

 

 その瞬間を狙って攻撃するのは、非常に正しかった。

 

 しかし、

 

「……殺されたいのは、1人だけじゃないみたいねえ!」

 

 視界の隅で金髪の少女が跳んだその次の瞬間、灼熱の閃光が彼女が先ほどまでいた場所を貫通した。

 

「フレンダ!」

「置き土産ってわけよ! 次からは期待しないよーに!」

 

 彼女はそれだけ言うと、走り去っていった。

 

 そして次の瞬間、麦野めがけて再び暴風が発生する。

 

「さっさと逃げろ、バカ!」

 

 海鳥はそれだけ言うと、その場から跳んで姿を消した。

 

 彼女の言うとおりだ。今考えるべきことは、滝壺を安全な場所へ退避させるまでの時間を稼ぐこと。幸いにも、麦野の最大の目的は、無能力者であるにもかかわらず、撃破してきた自分であるのだから。

 

 その戦いに、滝壺を巻き込むわけにはいかないのだ。浜面は駆けだした。

 

「どうして私が生き返ったか分かんなくてパニクってんのかしら? サイボーグ、クローニング、それともナノデバイス☆ 当てることができたらボーナスやってもいいけど、どうせお前にゃわかんないわよね、馬鹿っぽいし」

 

 麦野がそう話している最中にも、ゴバッ! ドバッ! と何回か光線が放たれる。その余波だけで、震えあがってしまうほどの恐怖がそこにはあった。

 

「ま、『冥土返し(ヘヴンキャンセラー)』とかいう偏屈な医者が残した『負の遺産』の応用らしいけどさ。油脂系の『溶ける骨組み』を使って肉体のベースを整えたうえで、急速な細胞分裂を促しているんだと。ま、今はそんなことどうでもいいか」

 

 今はあんたの泣き顔見る方が楽しいし、と彼女は気楽な調子で言った。

 

 浜面は一気に空中の階段を一段飛ばしで駆け下りる。途中で自分の背後を打ち抜かれたが、その直前に空中へ跳び上がったために、なんとか当たらずにすんだ。

 

「おおおおおおおっ!?」

 

 だが、それによって発生した炎が近くにあった燃料に着火したようで、爆風によって浜面の体は勢いよく放りだされた。爆炎と爆風によって麦野の視界が遮られたのは、不幸中の幸いだろう。

 

 どうする。

 

 逃げながら彼は考えた。

 

 以前、彼はなんとか彼女を撃退することに成功している。しかし、それはあくまでも彼女が油断していたことに加えて、様々な幸運が重なっていたことに助けられていたのだと、浜面は思い知らされた。

 

 そして、今の彼にそんな幸運が再び舞い降りる可能性は少ない。

 

「麦野沈利……」

 

 浜面は立ち止まる。

 

 諦めたのではない。もう一度、自分自身の力で立ち上がったのだ。

 

 

 

「どうやら、一度殺した程度じゃ足りなかったみたいだな」

 

 

 

 正真正銘、無能力者(レベル0)のチンピラである男が、滝壺理后という少女を守るために。

 

 浜面仕上は、第4位の超能力者の前に立ちはだかった。

 

 

 

 

 

 一方通行はチョーカーの電極のスイッチを入れた。これによって、学園都市最強の能力がいつでも使用できるようになるのだ。

 

(……上等じゃねェか)

 

 彼は、脚力のベクトルを操作して前に出た。彼の前では、あらゆる攻撃は反射され、ただの投擲も、いや、軽く触れることでさえ絶大な破壊力を持つようになるのだ。

 

(……AIM拡散力場の塊だが天使だが知らねェが、悪意を持ってあのガキの害になるってンなら、容赦はしねェ!)

 

 そして、彼は逃げようとしないエイワスの胸に自分の指先を突き出した。このままその胸に突き刺し、そしてベクトルを操って、エイワスの体内から破壊する。

 

 そのつもりだったのだが。

 

 

 

 ドバッ! と。

 

 直後に正体不明の攻撃が、一方通行の体を斜め一閃に切り裂いた。

 

 

 

 彼がそのことを自覚した時には、その衝撃で体は後ろに転がされていた。信じられないほどの量の血が、上半身の傷口だけではなく、口や鼻からも流れている。理解ができなかった。

 

 これは、今までの上条当麻や木原数多、垣根帝督のような、なんらかのトリックを用いて『反射』の壁をすり抜けているのではない。

 

 明らかに異質で、攻撃を受けた後になっても、自分の身に何が起こったのかを理解できなかった。

 

「しまった。これはこちらの落ち度だな」

 

 対して、エイワスはのんびりとした調子であった。その背中には、いつのまにか異様な翼が生えている。単純な金色とも違う、青ざめた輝きを持つプラチナ……言葉として成立していないのかもしれないが、一方通行にはこれ以上にうまい表現が思い浮かばなかった。目の前で見ているのにもかかわらず、理解できないことに強い違和感を覚える。

 

「アレイスターめ、sn構bozl用ウイルスに何か細工をしたな。打ち止めを経由した私のbeuo顕dnmに、自己防衛bseou能gbuを埋め込んだか。いやはや、すまない。自殺防止装置のようなものをnbspg加npisrしたらしい」

 

 ますます言葉が支離滅裂になってきているエイワスであるが、その場に倒れている一方通行にも変化があった。

 

 その瞳がまがまがしい赤に染まり、倒れたまま、その手が床を掴み取る。

 

 

 

「abeoughabaeougbao殺wobnoweuferya……ッ!」

 

 

 

 ブワッ! と、その背中から黒い翼が出現した。

 

 一方通行は、重力を無視した動きでゆらりと立ち上がる。

 

「――汝の欲する所を為せ。それが汝の法とならん、か」

 

 しかし、それを見たエイワスは首を横に振った。

 

 『法の書』を記した、とある魔術師の言葉を口にしながら。

 

「残念ながら、それはrgg時ri代piregjが違うな。君のは所詮、オシリスの頃のtsg力nopheだ。その程度ではホルスを生きる私にhosef敵qierdないよ」

 

 次の瞬間、二色の翼が交わり、そして黒い翼だけが一方的に断ち切られた。

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