この物語は竜王と呼ばれる黄金竜サラディンがいかに国を興したかの物語である
私ことサラディンが自己認知を得たのはいつのころだろうか
幼竜として赤竜の国に雄の竜として卵から産まれた
産まれたドラゴンは近くにある卵を食す
弟妹とも呼べる仲間を最初に産まれたドラゴンが食うことにより栄養を得て竜として最初の成長することができるのだそうだ
サラディンは運が悪かった
いや、良かったのかもしれない
最初に産まれたドラゴンが他の弟妹を食べている間に産まれてきたのだ
サラディンは弟妹を食べる姉に恐怖し、巣穴から逃げ出したのだ
巣穴から逃げたサラディンが目撃したのは竜達の住む世界だった
赤い色の大きな竜達が魚を食べたり、湖で体を洗ったり、空を飛んだりしながら巨大な木々の様々な場所に巣を作り住んでいた
世界はとても明るく見えた
この時のサラディンは1メートルもない幼竜であり、地上は100メートルも下であった
サラディンは背後から迫る強大な気配に気がつかなかった
GRAAAAAAA
サラディンの母竜のザラである
ザラはサラディンを見て落胆した
幼竜は兄弟姉妹を食べることで大きく成長するのだ
それこそ25メートルくらいには一気に大きくなる
しかし、巣から乗り出しているサラディンは1メートルしかない
母親であるザラは巣の中を覗き込む
すると弟妹を食べ尽くした姉の竜が眠っていた
母親であるザラはそれを見て安堵すると共に、サラディンを改めて見る
自分の子供で間違いないが、息子は弟妹を食べること無く小さいままである
そして奥には大きな娘が眠っている
竜には掟があった
兄弟姉妹を食べなかったドラゴンを育ててはならない
ザラはサラディンを見続ける
「ピーピー」
サラディンは小さく、弱々しく鳴き続ける
ザラは一度目をつぶると、大きな翼を羽ばたかせ、サラディンを巣から風圧で叩き落としたのだった
「はっはっはっ!」
小さな翼を一生懸命に羽ばたかせて必死に飛ぼうとする
「死ぬ死ぬ死ぬ!!」
転生したら竜だった。地面に激突して死にました(完)
「なってたまるかぁぁぁぁ!!」
バスッ
サラディンこと大空光明(おおぞら こうめい)は背中から生える翼を必死に動かして飛ぼうと頑張った
しかし幼竜がまともに飛ぶことなど不可能である
少し頭が回るならばグライダーのように滑空することは可能だったかもしれないが、パニックになっているサラディンにそんなことを考えられるわけもなく地面に落ちてしまう
ただサラディンを天は見捨てていなかった
サラディンは肥溜めの中……竜の糞の中に落ちた
運が良かったのは竜の糞が硬くなく柔らかかったことであり、それがクッションとなり奇跡的に生きながらえることに成功したのだ
「くっせぇ……いてぇ……でも死んでねぇ」
どうにかこうにかサラディンは糞から脱出して近くの湖で体を洗う
「……俺、本当に竜になってる」
大空光明 35歳
高校卒業後自衛官候補生として入り、普通科で2任期勤めた後、親のやっていた牧場を引き継いで畜産農家をしていた
畜産農家なので米を作りながら、その藁を牛に食わせることで藁代を少し浮かせつつ米を販売することで副収入を得ながら本命の牛の売買をすることで生計を立てていた
そんな家族経営の牧場なんて飼えても200頭が限界である
良くてトントン、悪くて赤字の世界であり、光明が自衛隊時代に必死に貯めた数百万は牛の自動餌やりの機械の導入で消し飛び、せめて農大でも出ていれば良かったかもなと思いながらも自衛隊で鍛えた肉体で牛と戦ってきた
しかし、そんな光明の牧場に悲劇が襲う
その地域で牛の病気が発生し、光明の牛には感染しなかったが、牛の値段が風評被害で牛に値段が付かなくなってしまったのだ
75万で買った牛が育てても50万にしかならなかったのだ
大赤字である
保険で少しは補てんされたがそんな状態が2年も続くと経営体力も残って居らず、元々あった大きな借金が更に膨れ上がってしまい、全部の牛、牛舎、土地、家全て売っても億近い借金が残るという悲惨さ……それでもめげずに光明は頑張った
頑張って頑張って頑張って……死んだ
牛に体当たりされて運悪く牛の部屋を仕切る鉄パイプに頭を強打した挙げ句1t近い牛に踏まれて亡くなってしまったのだ
ここまでが光明の前世である
『ということで君は亡くなってしまったのだ』
魂だけとなった光明は市役所の様な場所で下級の神様に前世の行いなどを問われていた
簡易版閻魔の裁判みたいな感じである
『さて、不明な点は無いかな?』
「親父は! お袋はどうなる!」
『君が亡くなった後に牧場や土地、牛や家等を全て売った上で車の中で練炭自殺をしたよ』
「そ、そんなぁ……あんまりじゃないですか……神様……」
『でも君35歳まで生きたんだから他の生物的には長生きだと思うよ。あ、でも君親より早く亡くなった親不孝者だし、家畜に携わって何頭もの牛を屠殺するために育ててきたから畜生道ね』
「は、はぁ!? 神様、俺達牛飼い全員駄目じゃないですか! そんな馬鹿な話がありますか!」
『人間から人間に転生なんてほぼあり得ないから、あ、ベジタリアンだったら大丈夫とか言う問題でも無いからね。というか畜生道でもまだましだよ。転生できるんだから。最近の人間はさ、徳が薄くなってるから転生前に刑罰を与える事が多いんだよ。ま、そんな事例を君に言ったところでしょうがないけどね』
「う、うぅ……そんなぁ」
『まあでも君が常に頑張ってき生きてきたのは確認した。真面目で少し頭が固い所はあるけれど誠実で実直……来世でも頑張れば良い生活ができる種族への転生を許可しよう。あ、そういえば交わりの世界が良いな。うん。そうしよう』
「交わりの……世界?」
『はいこれ、交わりの世界の概要のパンフレット。転生の特典は記憶の保持と言語理解にしょうがな。それ以上は君の魂のキャパを超えてしまうだろうし……読み終わったらサインちょうだいね。それをもって転生とするよ』
50ページ程の教科書の様な物には【交わりの世界】【知能生物向け】と見出しが書かれていた
「何々」
【星、国について】
その世界はこちらの世界の理とは別の世界である
その世界は複数個の星によって成り立っている
星は宇宙にあるような星ではなく生物が生きるための空間と呼ぶべき物であり、大小様々な星が存在する
星は球体ではない
世界の端は異空間になっている
広い星でも地球のユーラシア大陸程の大きさしかなく、大抵の場合星に1~10の国の原則となっている
勿論例外もありオーストラリア程の大きさの星に35個もの国が乱立している所もある
星には様々な秘宝が幾つも埋まっている
それらの秘宝の中にはダンジョンを形成したり、星を作ったり、近くの他の星に移動することができたりする
大国は幾つもの星を領有していたり、属国化させていたりする
ただ大抵の場合星の距離と送り込める物質の量により独立してしまうので原則のようになる
【秘宝】
星は秘宝を産み出し、秘宝により星ができる
星が作る秘宝はダンジョンの中で稀に出現する
秘宝には大きさである程度ランク付けできる
小(小石サイズ) あなたにスキルを与えるでしょう
中(テニスボールサイズ) ダンジョンを新たに創ることができるでしょう
大(バレーボールサイズ) 星の移動が可能になるでしょう
特大 大きさに応じた新たな星ができるでしょう
【ダンジョン】
ダンジョンは大きく別けて2つある
1つは採集のダンジョンで資源を発掘したり採集したりする場所
もう1つはモンスターが湧くが財宝だったり希少物、マジックアイテム……そして秘宝が出てくるダンジョン
【世界観】
一部特異な技術はあるものの地球よりも遅れている
様々な種族が暮らしており、その為種族間の差別もある
言語を話すことができ、人形の者を人類とする
他種族とでは子供ができにくいということはない
また普通の生活に魔法が有るため技術の発展が緩やかである
「なるほどなぁ……まぁ不思議な世界ってのはわかった。見落としは……無さそうだな。でも俺人類じゃないっぽいんだよなぁ」
人類だったら面白い世界なのにと思いながらも光明は次の人生? も真面目に誠実に生きながらもゆっくりと暮らしたいなぁと思うのだった
大空光明とサインを書くとフッと光明の魂は消えてしまった
「で、転生したらこれかよ」
体を洗いながら辺りの様子を見渡す
赤い色のドラゴン達が沢山暮らしている
しかし自分の体は薄い黄色である
そして頭になぜかサラディンという新たな名前が思い浮かぶ
「全く不思議な世界だな本当に」
サラディンは湖にプカプカ浮かびながら次の事を考える
「さてどうするか……このままだと栄養失調で死ぬなぁ……湖には……お、魚居るじゃん捕まえられるかな?」
湖は澄んでおり、湖の底まで見ることができる
そこそこの数の魚が生息しているが、大きさがサラディンの数倍デカイ
大半が約5メートル近くある巨大魚である
「……でけぇ……お腹空いた……」
魚はデカすぎて捕まえに行こうとしたら逆に倒されかねないのでとりあえず陸に上がり、何か無いかと探してみる
「……お、おお!」
探すと背の低い木々に果実がなっており、グルグルとお腹が鳴っているのでとりあえず食べてみる
「毒がありませんように!」
緑色の果実を食べてみると外側は固い皮で、それを歯で剥いて果肉を食べる
「……種デカ……でも美味しい」
食感はアボカドの様な果実であり、ほのかに酸っぱい、しょっぱい感じがした
味は梅干しを梅肉にしてそれをアボカドに塗りたくつった感じである
「旨いのにドラゴン達は見向きもしないのな」
それはドラゴン達が全長50メートルほどあるため、人間の拳より少し大きいくらいの果実を食べたところで全く腹の足しにならないからである
「ふぅ、5個も食べれば腹も満たされた……さてどうするかな」
サラディンの幼少期はこうして始まった