転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
「じいちゃん!!」
ダイくんが叫ぶと咄嗟にマシンの魔の手からじいちゃんを奪取した。
間一髪のところだった。
「奴を倒す手立てはないのか……!」
じいちゃんは焦っていた。
このキラーマシーン、確かに並大抵の攻撃では倒せそうにない。
また私のグーパンでぶっ倒すって手もあるけど、そしたら今度ダイくんの呪文習得が叶わなくなってしまう。
なんとかしてこちらに注意をひきつつ、被害を抑えてダイくんに紋章の力を覚醒させられれば……
「こっちだデカブツ!!姫さまを倒したければまず私から倒してみろー!!」
とりあえず私は口笛を吹いてバロンを挑発した。
キラーマシーンごと彼が振り向いてきた。
「ば、ばか!!よせサナ!!死ぬぞ!!」
じいちゃんは止めたが、私は注意を惹きつけるのをやめなかった。
島のみんなにこれ以上怪我をさせないためにも……
私が攻撃を一手に引き受ける!
「ケッ。身の程知らずの勇者サマが。……何故だか知らんがお前には散々邪魔されたような気がしてならん……この怒り、貴様に刃を突き立てて鎮めるとしよう!!」
キラーマシーンの鋭い矢が飛び交った。
私はそれらを素手で砕き、その残骸を彼に投げつけた。
「何!!くっ……ならばこれでどうだ!!」
重めの剣が、キラーマシーンの全体重を乗せて飛んできた。
全身を竜闘気で覆ってるからかかすり傷一つ痛み一つ感じないんだけど、巨大すぎるキラーマシーンの一撃は想像以上に重かったのか、私は徐々に沈んでしまっていった。
「た、大変だ……このままじゃみんなが……!!」
ダイくんはレオナ姫から譲り受けたパプニカのナイフを手に取ってキラーマシーンの装甲に切り付けにいった。
しかし伊達に勇者を殺すために造られたマシンではなく、その鋼のように硬い鎧に致命傷を負わせることはできず、何度もダイくんは弾かれてしまった。
「へははは!どう足掻いてもお前らに勝ちはないのだ!!」
キラーマシーンは隠し持っていた弓矢を放ち、ダイくんを抹殺しようとした。
「終わりだ……死ねぇ!!」
「
そんなキラーマシーンの手足を凍結させたのはレオナだった。
そうだ。この世界線では毒に冒されていないから彼女も攻撃に参加できるのか。
「ぐっ……クソォ姫ぇ……!!」
「レオナ!!」
「ダイくん呪文よ!呪文を使うのよ!!」
「ええっ!?で、でもあいつにじいちゃんのメラミだって通用しなかったし……そ、それに俺呪文なんて……」
「大丈夫!ダイくんならできるわ!きっと!……だってダイくん、ほとんどの呪文を契約できたんでしょ?それって才能よ。だから必ず使えるわ。それに……アイツだって無敵なわけじゃない。だって人が操ってる機械なのよ?!」
「機械……!」
ダイくんはキラーマシーンの方を見た。
レオナ姫の言葉がヒントになったのか、彼の目にはひとつのある覚悟が宿っていた。
やがて姫の氷から解き放たれたキラーマシーンが再び攻撃を開始した。
「けっ、こしゃくな!!所詮貴様ら雑兵どもが何をやろうとも無駄なことよ!!」
ダイくんはまた飛び上がってキラーマシーンに切りつけた。
だが今度は貫くことができた――
キラーマシーンの胸部、そこにある円形の部位を。
「ぐわあぁあっ!!……ヤツめ……闇雲に攻め立てるふりをして同じ場所を集中的に狙っていたのかぁ……!!」
「今よダイくん!あそこに呪文を!!」
「うおおおお……!!」
ダイくんは全身に力を溜めて光り輝くオーラに満ち始めていた。
このままだとレオナも、サナもじいちゃんも、――
島のみんなが殺されちまう……!!
なんとかするんだ……絶対に……!!
「あ、あの紋章は!!」
ブラスじいちゃんが声を上げた。
竜の騎士である証――竜の紋章だ。
紋章キタ!!これで勝つる!!
「くっ……おのれ……!?な、なんだ身体が全く動かん……!!ええい離せ!!離せえええっ!!」
キラーマシーンが動かなかったのは、私も紋章の力を解放させて手足を強く握りしめていたからだ。
ほとんど無防備同然となったキラーマシーンの弱点に、ダイくんが竜の闘気をみなぎらせ、雷のようなオーラを呼び寄せていった。
雷呪文がキラーマシーンの穴から流れ込み、中のバロンもろとも焼き払っていった。
「ぐわぁあああ〜!!!」
「あ、あれは……!!勇者のみが操るという正義の光――ライデイン……!!」
凄まじい雷撃波を浴びた殺戮兵器は黒焦げとなり、次第に活動を停止させていった。
操縦者のバロンが意識を失ったことで、キラーマシーンは砂浜に倒れてしまった。
「よっしゃぁ!!」
「やったわダイくん!!」
「な、なぜだ!どうして無敵のはずのキラーマシーンが……!!」
テムジンが頭を抱えて唸っていた。
やがて中から黒焦げになったバロンが飛び出してきた。
チリチリ頭でいい男が台無しだ。
やがてパプニカ国家の転覆を狙った実行犯二人は捕縛され、船へと連行されていった。
恐らくは死刑――もしくは無期懲役か流刑だろう。
気の毒だが彼らが救われることは原作・アニメに於いてもない。
所業が所業なだけに同情の余地もあまりない。
「ありがとうサナちゃん、それにダイくん。あなたたちはアタシの生命の恩人ね」
「レオナ……あううん姫も……無事でよかったね」
「どう?魔法少しは自信ついた?」
「へへ、まぁな」
彼が言うとレオナが得意げに指を突き立てた。
「将来立派な勇者になったらパプニカにいらっしゃい。二人ともアタシのボディーガードかなにかで使ってあげるから」
「い……あ、い、いいよそんなの!」
悪魔的スマイルを浮かべるレオナに対してダイくんがたじろいだ。
それにしても勇者でさえそのような扱いをさせるとは……
やはりこのお方はブレないな。
とうとう別れの時が来て、レオナは小舟に乗り込んで行った。
「さよなら姫」
「あ、そうそう……〝姫〟じゃなくて〝レオナ〟って呼んでちょうだい。今度からそんな他人行儀な呼び方したら、口きいてあげないわよ!」
「ええっ!?」
伝説の名シーンとウインクをいただいたところで、彼女たちは今度こそ去っていった。
またねレオナ。
いつかまた会うその日まで……!