転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
やあみんな。私サナ。
私とダイくんはこの南海の孤島、デルムリン島でモンスターたちと楽しく暮らして……
「ギャォオオオッ!!!」
「どわぁああなになになに!!」
――はいなかった。
そう。私は今絶賛モンスターに襲われています。
相手はあのデルムリン島のモンスターです。
血走った目をして野生を取り戻したかのように暴れ回るあばれザルに、本能のまま獲物に噛み付くキングコブラなどがさながら小規模怪獣決戦のごとく敵味方見境なく猛り狂っていた。
スライムやドラキー、いっかくウサギたちでさえもそれは例外ではなく、互いに襲い合い時には私たちにも牙を向いてきました。
美しいデルムリン島の自然も破壊していき、凶暴極まりない種族に戻っていった。
これではまさにモンスターだ。
「うわぁあああっ!!」
そんな中、ダイくんもマッドオックスに振り落とされそうになっていた。
「ピッ!ピーッ!!」
なおゴメちゃんだけは他のモンスターとは違い、いつも通り鳥の如くピィピィと鳴いていた。
「ダイくん!」
「サナ!!ねぇどうしよう。みんなおかしくなっちまってるんだ!!」
私には薄々その原因に心当たりがあった。
ひとまずこの無益な争いを鎮めるためにも、私たちはブラスじいちゃんの家まで走り込んで行った。
「大変だ!みんな……」
しかしそこにはキッチンで呻き声を上げ、苦しみ続けるじいちゃんの姿があった。
「じいちゃん!おいしっかりしろよじいちゃん!!」
すぐさまダイくんが駆け寄って彼の背中をさすった。
「ダ、ダイ……サナよ……!!ハァハァハァ……なにかどす黒い血が全身を駆け回っとるようじゃ……気を抜くと大暴れしてしまいそうで……うぅ!!」
「島のみんなも変なんだ。みんな急に暴れ出して……どうしたんだろう?」
「ハァハァハァ……考えられることはただ一つ――魔王が復活したんじゃ……!!」
「えっ!?」
――そう。かつて地上を騒がせ勇者に討たれたはずの魔王ハドラーによるものだった。
元々この島に住むモンスターは魔王の手下のモンスター。
蘇った魔王が再び暗黒の力で世界を束ねようとしているからなのだ。
「ダイ、サナ。逃げろ……早くこの島から出るんじゃ……さもないと……わしらは……!!」
必死で震えながら邪悪な殺害衝動に抗うじいちゃんはただただ苦しそうに呻いていた。
「お前たちを殺してしまうかもしれん……!!」
「そんな…!!」
ダイくんにとってはショックだった。
それまでは家族や友達同然に過ごしてきたモンスターたちが、一気に自分たちのことを忘れて本能のままに暴れ狂う怪物に戻ってしまったのだから。
そして私たちと一番の話し相手たるブラスじいちゃんでさえそれは例外ではなく、今にも自分たちに襲いかかる寸前だというのだ。
じいちゃんは震える手でダイくんを掴み、島の海岸まで連れていった。
そこには一艘の小舟があり、彼はそれに乗って私たちを島の外へ逃がそうとしていた。
「今はこれしか方法が無いんじゃ……さぁダイ……!!」
「じゃあ、じいちゃんも一緒に行こう……!」
今にも泣き出しそうな声でダイくんは言った。
じいちゃんは首を横に振るばかりだった。
「ダ、ダメじゃそれはできん」
「なぜ!!じいちゃんも一緒に行こうよ!!」
「ダイよ……!わしが島へ流れ着いた赤ん坊のお前たちを拾って育ててきたのも、正しい心を持てばこそ……!!このままではせっかくここまで育てたお前たちを、わし自身の手で傷つけてしまう……!!」
じいちゃんは涙ながらに答えていた。
悲しいが今はどうすることもできない。
私もこうなることを見越して破邪呪文を調べていたのだが、結局見つけ切ることはできなかった。
「ダイ……早く行ってくれ……わしに構うな……何を迷っておるんじゃ!!」
そうしているうちに、デルムリン島の魔物の大群が押し寄せてきた。
「イヤだ!!じいちゃんが育ててくれたから、オレはここまで大きくなれたんだ!みんなが一緒にいたから、オレは生きてこられたんだ……!!そんな……じいちゃんやみんなを置いて逃げるなんて……逃げるなんてできない!!そんなの、勇者のすることじゃないよ!!」
ダイくんの魂の叫びが響き渡った。
まだ善良な心が残ってるそのうちに、なんとか助けてやりたい親心と、
そんな親や友達に助けられてきたからこそ助けたいと願う子供心の美しくも哀しい対立だった。
あーっ。尊い……尊いわぁこれ。
こんな良い関係他にある??やっぱり何度見ても泣けるわ。
これこそ種族の垣根を超えた一つの「愛」よな。
純真な心の、魂を持つダイくんだからこそ言えるセリフだ。
「その通り!良いことを言いますねキミは――ダイくん」
そこに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
そのイケボ、その巻き髪、そのメガネ。
何から何まで見覚えもあるし聞き覚えもある。
まさに救世主。伝説のお方。
その者は小舟でこの島にやって来ると、見事過ぎるまでのムーンサルト芸で私たちの前に飛び出してきた。
「島を出る必要はありませんよ」
かつての勇者アバンことアバン先生がそこに立っていた。
(せ……先生キタァアアアアフォアアアアア!!!!)
思わず思いの丈を全て吐き出してしまいそうになる気持ちをグッと抑え、私は彼の方を見た。
小舟のポップくんの方を見ると、今度はまた別の言葉を叫びそうになるから必死で目を逸らしていた。
「だ、誰!なんで俺の名前を……!」
しかしまだダイくんたちにとっては謎の多き謎すぎるお人。
まぁこの島にやって来るよーなのはロクなのが居なかったからその警戒心は正しいものだろう。
「ま、この場は私に任せてください」