転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
と、ちょうどそこに魔王の配下のモンスター、ガーゴイルが2匹出現した。
「げへへ人間がいたぞ!!」
「殺せ!殺せ!」
彼らは島に侵入しようと試みたが、マホカトールの結界によって阻まれそれ以上進めなくなってしまっていた。
「どうやら魔王の偵察隊のようですね。ポップ、あいつらをやっつけちゃってください」
「ええっ!?お、俺一人でですかぁ……?」
「その通り。私は破邪の呪文マホカトールを使って、ベリーベリー疲れているのです」
「ちぇーずりぃな先生」
「はいポップちゃん。こっちから魔法陣の表に出ないと戦えませんからね」
「わかってますよ押さないでくださいよ……ってへっ?」
私はポップくんよりひと足先にマホカトールの魔法陣から外へ出ていた。
「お、おいっ!あぶねーぞコラ!先生の作った魔法陣の中に下がってろって!!」
「アバン先生!ポップくん!!私も戦います!!良いですよね!?」
私はでしゃばってポップくんと先生の目を見た。
それを見て何かを感じ取ったのか、先生は一言「いいでしょう」と言ってくれた。
「せ、先生無茶だぜ。いくらあの娘が勇者の卵だっつっても……!!あんなか弱い女の子に2対1なんて……」
「ではポップ、あなたが1人で戦いますか?」
「あ、やそれ言われっとちょっとアレでコレなんだけども……」
ポップくんはすぐに小さくなり始めた。
それを見たアバン先生が「はぁー」っとため息をついた。
「魔物を恐れない所を見ると、彼女の方が根性座ってますね。しかもまだ見ぬ敵を相手に自信に満ちている。ここは彼女に任せてみましょう。ポップ、あなたも誰に言われるでもなく真っ先に飛び出していったあの子の勇気を見習ってくださいね」
(なんだよ……格好つけちまってよ……勇気と無謀は別だぜ先生!)
「ケケケおいおい。まさかオレたちの相手はそこの女一人かぁ??」
「あんたたち程度に先生やポップくんのお手を煩わせる必要もないってね」
「な、なにを!!このガキ!!舐めるなーっ!!」
ガーゴイルが2匹同時に飛び出してきた。
「あ、危ない!!」
思わずポップくんが魔法陣から飛び出しそうになったが、先生がそれをがっちりと止めていた。
「まぁ見ていなさい」
うわーどうしよ。何で倒そうかな。
みんな見てるしな〜ここは先生にも私の得意分野をアピールする意味も込めて……
私はそこで砂浜に落ちていた木の枝を掴んで大きく構えをとった。
それを見たポップくんと先生の目つきが変わった。
「あ――ありゃまさか……!!」
そう。今私が放とうとしてる技は先生の十八番中の十八番――
アバンストラッシュだ。
懐かしいなー。よくこうやって傘で真似してたな。
相手にまで傘でブラッディースクライドとかやらせて両方の傘が壊れちゃったこともあったっけ。
親からは大目玉喰らったな。
とまぁそんなことはさておき、今は2匹のガーゴイルをこいつで倒すことが先決だ。
まだ紋章は使わない。アレはあくまでもとっておきの切り札だ。
それに紋章で爆上がりする基礎の身体能力を鍛えておけば、今後また紋章の力を使う時更に跳ね上がることが期待できる。
剣(木の枝)にかき集められるだけの闘気をかき集め、目を閉じて邪悪な気を探った。
両の目には二つの黒い闘気が見えた。
「うおぉおおおお喰らえ!!」
サナ流アバンストラッシュ(未習得)の発動だ。
とても拾った木の枝で繰り出したとは思えないほどの威力で斬撃の波動が飛び出し、さながらモーゼの海渡りの如く海を割いた。
子供の頃の記憶を頼りにやってみたが、結構良い感じだった。
「ゲゲゲ、何をしたかと思えば――」
2匹のガーゴイルたちはそこで真っ二つになり、海の底へ沈んでいった。
「す、すんげぇー……ホントに1人でやっちまいやがった……」
ポップくんはその様子に鼻水垂らして顎外していた。
「すごいやサナ!!なぁなぁ今のなんて必殺技なの?!」
「へへへ……」
言えない。これがアバンストラッシュを真似したやつだなんて。
御本人目の前にいらっしゃるし!!
しかしアバン先生は私の活躍ぶりを見ても険しい顔つきのままだった。
あ、あれもしかしてなんかやらかしたか?
「……サナさん」
「は、はい」
やばいこれ何か地雷踏んだか??
やべー!!物語開始早々追放かこれは……!!
「今のは力任せに剣(まぁ枝ですが)を振るっただけの技ですね?とても完璧な技とは呼べる代物ではありませんね。それに気を溜める際の無駄が多い。一見集中しているように見えてあちこちに意識が飛んでしまっているから
一通り喋り終えた先生が慌てて咳払いをした。
「要するにグッレイトってことっす。まだまだ荒削りですがサナさんの力は伸び代の塊です。何としてでも今すぐに色々と教えてみたくなりました……というのが私の家庭教師的な目線での感想です。すみません」
「うわぁーい!!」
(す、すげぇ……いきなり先生にそこまで言わせちまうなんて……!!)
ポップは知っていた。
アバンは最初万人に優しく、丁寧に入っていくことが多いのだが、次第に厳しい教えになっていき、また常に優しいものに対してはあまり見込みがなかったとされて護身術程度を学んだらすぐに教育を終えてしまうことを。
初めからある程度厳しい意見を出したということは、それだけサナに見込みがあったという事。
しかもかなりアバンは彼女に目をかけていた。
(どうやら先生は本気であの子に教え込むつもりだ…!)
「いや全くもってすんばらしい素質をお持ちですねお嬢さんは……」
「え、ええ……サナは本当に優秀な娘です。魔法も格闘も長けたまさに文武両道な子でして……」
「……そんなわけで私、サナさんをお借りしてもよろしいですかな?彼女には1週間で勇者になれるスペシャルハードコース……その更に上のウルトラスーパースペシャルハードコースで修行をつけたいとおもいます!!」
「な、なんですと?!!」
「ウルトラ……えっ、なんて??」
こうしてアバン先生の指導の元、私たちは真の勇者を目指して厳しい特訓と修行の日々が幕を開けたのでした……。