転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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元魔王と元勇者

 炎に包まれたハドラーを見て、一同は安堵の表情を浮かべたが、この程度で魔王が終わるはずもなく、炎の中から笑いながら出てきた。

 

「ギラとイオの呪文はこのオレの最も得意とするところ。この程度の炎でオレを倒せると思ったか?!」

 

 多分ハドラーはモンスターズに出たら「ギラ&イオ3」のスキルを持ってそうだな。

 

 さながら変身前の竜王のごとき魔術師然とした格好が燃え尽き、そこから格闘家風の出立をした魔王が現れた。

 

 俗に言う世紀末ハドラーだ。

 

「本当のベギラマとは……こういうものを言うんだ!!」

 

 そしてハドラーはギラ系の炎を手に宿し、アバン先生に向かって焼き付けた。

 先生はすぐさま海破斬を放って閃熱魔法を切り裂いた。

 そこら中に火の粉が飛び散った。

 さらに斬りつけたはずの先生がその余波を喰らって膝をついていた。

 

「凄まじい威力だ……以前戦った時よりもはるかに強くなっている……!!なぜ……!!」

 

「知りたいか?知ればきっと後悔するぞ。貴様は相変わらずオレが魔王だと思っているらしいからな」

 

「なんだと!!」

 

「オレはあるお方の力で再びこの世に蘇ったのだ。以前よりも強靭な肉体を与えられてな。オレよりも遥かに強大で偉大なお方よ……」

 

「何者だそいつは!!」

 

 ハドラーはにやにやと薄ら笑いを浮かべた。

 

「大魔王バーン……!!」

 

 魔王よりも更に格上の存在がいる。

 その衝撃も過ぎやらぬうちにハドラーは続けた。

 

「貴様に敗れ死の世界を彷徨っていたオレを蘇生させてくださった偉大なる魔界の神だ!!バーン様に忠誠を誓ったオレは魔王軍の全指揮権を与えられたのだ。今のオレはバーン様の全軍を束ねる総司令官、魔軍司令ハドラーだ!!」

 

(な、なんということだ……)

 

(こいつよりもっと強い奴がいるなんて……!)

 

 

「だ、ダメだ!!もうこの世の終わりだ〜っ!!」

 

 まさに阿鼻叫喚の地獄と化していた。

 そうなることを見越して宣言するのだからハドラーも性格が悪い。

 

 みなさん今の彼を覚えておいてくださいね。

 こんな悪の敵役テンプレートみたいなやつが改心するんですよ?

 魔改造されてるレベルだよ。

 

 今のハドラー路線もザ・正統派魔王って感じで嫌いやないねんけどうーーむ。

 まぁ今はどう足掻いても敵役なので倒そう。

 

 

「大魔王バーンこそ我が主君にして全知全能の魔神。その軍勢はかつての魔王軍とは比較にならんほど強大だ。いかに足掻こうともはや人間には太刀打ちできん!」

 

 事実それはその通りだった。

 各軍がハドラークラスの軍団長を備え、大量の魔物たちをつき従えて襲ってくるのだ。

 

「アバンよ覚えているか?15年前のあの戦いを……」

 

 かつて先生が勇者と呼ばれていた頃――

 ハドラーとの決戦の最中、彼は魔王にある話を持ちかけられていた。

 

 

 

 アバンよ。お前は何のために戦っているのだ。

 

 この世に平和を成すためだ!!

 

 誰のために?何の利益のために戦う!!

 

 決まっている。みんなの利益のためだ!

 小さな幸せを守っている民たちが恐怖に怯える生活をしなくて済む、平和な世の中を取り戻すために!

 この戦いはみんなのためであり、そして私自身の戦いなのだ!!

 

 愚かな……あまりにも愚かで涙が出る。

 平和な世の中とは、巨大な力の元でしか成し得ぬもの……

 この世に真の平和を築こうと思うのなら、この魔王ハドラーに付け!!それがいちばんの近道だぞ

 

 バカな……!力で無理やり作った平和など本当の平和じゃない!!

 

 では、世界の半分をお前の思い通り治めてみればいい。

 オレ様とお前2人が手を組めば、世界に刃向かうものは二度と出てはこない……!!

 

 

「……懐かしい思い出とは言いがたいが、覚えている。お前の戯言の一言一言までな」

 

 その甘言を蹴った先生が今、再び魔王と相まみえている。

 

「あの時と同じ言葉を今一度貴様に送ろうではないか。オレの部下になれ!!そうすれば世界の半分を与えてやるぞ!!」

 

 魔軍司令ハドラーが15年前をなぞるようにアバン先生を指差した。

 

 ドラクエ的名言キターっ!!!

 Ⅰから続くお決まり中のお決まりぃーっ!!!

 

「己の敗北を悟った今なら、素直に聞くことができるだろう。どうだ?アバン……」

 

「断る」

 

 先生の答えは一切の迷いがないものだった。

 

「あの時と答えは変わらんか。勇者としての誇りを持ち続けているというべきか、オレに言わせれば人間としての成長がないということだな。オレの情けが分からんとはなぁ……」

 

「情けだと?よく言うなハドラー。お前に情けなどあるものか。もし〝はい〟と答えてもいずれは私の生命を奪うだろう。それに、大魔王の使い魔に成り下がったお前に、世界の半分を与える権力があるとは思えんし」

 

 出た。アバン流口殺法。

 

「な、なんだと!使い魔ぁ!?貴様このオレを大魔王の使い魔と抜かしおったなぁ!!」

 

 逆上する魔王に対して、先生は冷静そのものだった。

 

「図星を刺されたみたいだな。えぇ、ハドラー?」

 

「だ、黙れ!!もはや生かしてはおかん!弟子の見ている前で灰にしてやる!」

 

 怒りに震える魔王が両手に力を集めてイオナズンのエネルギーを溜めていった。

 

 対するアバン先生も闘気を集め、アバンストラッシュの構えを取って迎え撃った。

 

「イオナズン!!」

 

「アバンストラッシュ!!」

 

 魔王の爆裂波と勇者の光の閃剣が交わり合い、周囲に凄まじい余波を放っていた。

 イオ系を得意と自称するだけあって、その破壊力は目を見張るものがあった。

 モンスターズに出たらイオ系とくいとイオ系のコツは持ってるな。

 斬りつけられたハドラーの胸部からは血が噴き出し、致命傷を負ったかのように見えた。

 しかしハドラーは笑いながら蒼い血を垂れ流していた。

 

「流石はかつて我が生命を奪った奥義アバンストラッシュ。大した威力だ……だが!!」

 

 ハドラーが唸ると大量に流れ出ていた血が止まり、傷口が塞がってしまった。

 

「蘇ったオレの魔力にはわずかばかり及ばなかったようだ……!!」

 

 相打ちになったはずの先生がボロボロになって膝をつき、ダメージを受けていた。

 大魔王の暗黒闘気さえあれば傷が塞がり、何度でも蘇る魔族のハドラーと、たった一つしかない生命を懸命に守っている人間たる先生とでは勝敗の行方は火を見るよりも明らかだった。

 

「衰えたなアバン――いや、所詮その程度が人間の力なのかも知れん」

 

 傷を完治させた魔王が倒れかけた先生の元にゆっくりと近づいていく。

 

「お前は敵ながら立派な勇者であった。だが人間は歳を取る。歳を取り、力衰えていく」

 

「確かに……。しかし人間には強い意志がある!正義の意志は一代では終わらない!次の世代が引き継いでくれる。勇者の意志は永遠に消えはしない!!」

 

「愚かな……。貴様を殺した後、その勇者の意志とやらを受け継いだ弟子どももまとめて皆殺しにしてやれば全ては水の泡よ。お前が必死で貫き続けてきたくだらん正義の意志とやらもここまでだ。今楽にしてやる死ねぇ!!」

 

「やめろーっ!!」

 

 ポップくんの制止を振り切ったダイくんが魔王の懐に飛び込んだ。

 しかし魔王は指一本でパプニカのナイフを受け止め、余裕で投げ返してしまった。

 

「ふっ……これが貴様のいう受け継がれし正義の意志とやらか?だとしたら余りにもがっかりだな」

 

「い、いけません。ダイくん離れて!!」

 

 しかし先生が動けないことを良いことにハドラーはダイくんを徹底的に痛めつけていった。

 

「グハハハ!そうだ。気が変わったぞ。まずはアバンの弟子から先に皆殺しにしてくれよう!」

 

 そしてハドラーは片手に炎のオーラを集めてダイくんに向けて放った。

 

「ひと足先にあの世に送ってやろう……メラゾーマ!!」

 

「ダイーっ!!」




次回、サナ無双回です。
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