転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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サナ(オリ主)の無双回です。苦手な方はご注意を



ハドラー様、小娘相手に手も足も出ません

 誰もがダイくんの焼死するところを覚悟した。

 しかしそれが現実のものとなることはなかった。

 

「な、何っ!」

 

「サナ!!お前……!!」

 

 私はダイくんの前に立ってハドラーの火球を一身に受けた。

 もちろん衝撃の際には瞬間的に全身を竜闘気(ドラゴニックオーラ)で覆ったから無傷だ。

 

「大丈夫?ダイ」

 

「え、あ……うん。こっちは何とも。それよりサナは!?」

 

「私も平気。ここは私に任せてちょうだい」

 

「ええっ!?」

 

 するとこれを受けた魔軍司令殿はこれまでで1番大きな笑い声を上げた。

 

「ハーッハッハッハ!!貴様の弟子は揃いも揃って師に似た愚か者のようだぞ!!小娘、そんなに死にたいか!!」

 

 ハドラーは私の方を見てニヤニヤと邪悪な微笑みを浮かべた。

 まるで蛇が獲物を捕らえてじっくりと食い殺す算段をつけている時のように――

 

「貴様の目が節穴でなければ、ご自慢の〝師〟がオレに敵わなかったところを拝んでいただろう。確かにオレはコイツに一度は敗れこそしたが今や両者の力関係は完全に逆転したのだ。つまり――もはやお前たち人間ごときにこのオレ様を倒す術などないということだ」

 

「魔軍司令って意外とお喋りさん?それとも私が怖いの?」

 

「くっ……減らず口まで師に教わったか小娘(ガキ)が!!ならば精々その師匠の死出の花道を飾ってやれ!!ベギラマーッ!!」

 

 激しい灼熱の波が私に目掛けて飛んできた。

 私はそれを手で受け止めて握りつぶしてみせた。

 そこへハドラーは更なる攻撃の手を加えてきた。

 

「くたばれ!!イオラーッ!!」

 

 続く爆裂魔法の嵐に飲まれ、周囲が火の海に包まれた。

 

「サナさんっ!!」

 

 アバン先生の悲痛な叫び声が響き、誰もが私の死を予見しただろう。

 それは勝ちどきを上げ、思わず高笑いを浮かべた魔軍司令とて例外ではなかった。

 

「グハハハ!!馬鹿な小娘め。このオレを甘く見よるからこういう目に遭うのだ。だがこれで貴様らも一つ学習したな。『上には上がいるということ』を!ハーッハッハッハ!!さぁ、貴様らもあの小娘のように黒焦げに………し……て?」

 

 魔軍司令殿の声が段々と小さくなっていったのは、炎の渦に包まれた私が黒焦げどころか傷一つまともに負ってすらいなかったからだろう。

 

 これには流石の彼も予想外だったのか、例のハナタレ顔を晒して慌てふためいた。

 

「バッ、バカな!!オレのベギラマとイオラを受けて……!?」

 

「あら。こんなもんかしら元魔王さん?こんなんじゃ蒸し風呂代わりにもならないわよ」

 

 ハドラーはぐぬぬと歯ぎしり立てていた。

 ダイくんたちが目を丸くして私を見ていた。

 

「……えっ?お、おいダイ。サナのやつ……今確かに魔王の炎と爆発を受けたよな……?」

 

「あ、あぁ。そのはずだけど――」

 

 そこで何か思いついたのかダイくんが大きな声で叫んだ。

 

「そ、そうか!!サナのやつ海破斬を使ったんだ!!」

 

「ええっ!?」

 

「炎と爆発が当たる直前に海破斬を使ってハドラーの攻撃をかき消したんだ!!」

 

 しかしそれを見ていたアバンとハドラーは疑問を顔に浮かべていた。

 

(いえ……もし仮にサナさんが私の目を上回るほどの超スピードで斬りつけたとしても、切り裂かれた炎が周囲に飛び散るはず。やはり直撃は間違いありませんでした。しかし……)

 

(こ、この小娘……どういうことだ。確かにオレの魔法は直撃だったはず……何か小細工を施したようには到底思えんが……!!)

 

「ふん。このオレの力を侮るのもそこまでだ。かつて魔王として地上を恐怖と混沌に陥れたこのオレの魔法が、ただの中級魔法程度で終わると思ったか?」

 

「ま、まさか――!!」

 

 ハドラーは先ほどのよりも大きな魔法のエネルギーを込めて私に放とうとした。

 タメの時間の長さから見て、最上級魔法に間違いない。

 

「いくぞ小娘……今度こそ灰にしてくれよう……イオナズン!!」

 

 まずハドラーの手から特大の爆裂弾が飛び交った。

 ダイ大世界におけるイオ系は連写できる気弾のようなもので、わかりやすく言うとグミ打ちだった。

 

 魔軍司令のグミを一斉に受け、更にやつは火球を解き放った。

 

「メラゾーマ!!」

 

 メラ系最大呪文とイオ系最大呪文の夢のコラボレーションだ。

 懐かしいなぁ。メラゾーマやイオナズンといえばDQⅣのマーニャだ。

 強いには強かったけど結局AI任せにイオナズン連発している方が強かったんだよね。

 そんな私がまさかその両方をこの身に受けることになるとは夢にも思わなかった。

 

 そして私が竜の騎士でなければ間違いなく即死していたであろう。

 メラとイオの最大波状攻撃を受けたのに、私が先程の再現ビデオのように平静としていたので、全員の顎が外れた。

 

「な、な、な……そ、そんなバカな……!!このオレの、オレ様の最大呪文だぞ!?それも二つ同時にだぞ!!貴様、化け物か!!」

 

「なかなか良い魔法だったわよ。じゃお返しに私も見せてあげる」

 

 怯える元魔王に何ら遠慮することなく私は呪文を解き放った。

 

「まず右手の小指に見えますのがメラゾーマ、薬指がイオナズン。中指がマヒャドね。で人差し指がバギクロス、最後に親指がベギラゴンね。いっくよーッ」

 

「…………へっ??」

 

「サナちゃんの五大属性魔法モリモリセット〜!!」

 

「ぼぎゃあああああッ!!!」

 

 五つの最大魔法を受けて奴はこの世のなによりも悍ましいものに直面したような断末魔の雄叫びを上げていた。

 

 火だるまになり、凍りつけになった後、また溶かされ、真空の刃で切り刻まれた後に無数のグミが被弾した。

 もはや魔軍司令HP真っ赤っかだろう。

 

「な、なにがどうなってんだ……??」

 

 全員唖然としていた。

 何せここまで一度も最上級魔法は見せたことなかったのだ。

 技名がいい感じに決まらなかったことを置いとくとして、流石にこれは大打撃だろう。

 さ、とっとと鬼岩城におかえりなさい。ついでに使い魔クビになってきなさい。

 

「が……は、はぁ……!!ぐ……な、なんというヤツ……!!我が呪文を受けて何ともないどころか、こ、これほどまでの上級魔法をいとも簡単に……!!」

 

 傷を再生させながらハドラーは虫の息を喘がせていた。

 チッ。しぶといな。

 

「やはり呪文では埒が明かないか――」

 

「ぐっ……オレを……オレを舐めるなよーっ!!」

 

 ハドラーは執念の想いから一瞬で全身を再生させた。

 しかし相当に体力を使ってしまったようで、ほとんど肩で息をしていた。

 

「この地獄の爪(ヘルズ・クロー)で貴様の肉を削ぎ落としてくれよう!!」

 

 ハドラーはネイルアーティストも真っ青な長さの爪を私の方に向けて突き立ててみせた。

 おーこわ。

 あれ一応ヒュンケルの鎧貫いたくらいだから油断せんで全力で迎え撃と。

 

 

「な、な――な、なんだそのひ、光は!!」

 

 ハドラーが驚愕したのは恐らく私の額に浮かび上がった(ドラゴン)の紋章だ。

 ハドラーは知っている。(ドラゴン)の騎士の伝説について。

 なにせ身近に竜の騎士がいるんだから。

 

「そ、そうか。オレの魔法をことごとく受け付けなかったのも、全ては竜の騎士の力かぁ!!」

 

「竜の騎士?」

 

 ダイくんとポップが互いに顔を見合わせていた。

 先生が黙りこくっているところを見ると、先生も知らなかったのだろうか。

 まぁその時代の竜の騎士は魔界で竜退治なさってたから無理もないけど。

 

「いくぞハドラー……!!これが、これが先生の痛み!!」

 

 私は鋼の剣を構え、全身に竜闘気をみなぎらせてあの技の体勢に入った。

 

 パワーの大地斬、スピードの海破斬、テクニックの空烈斬。

 それら全てを覚えた者のみが扱えるアバン流刀殺法の最終奥義――アバンストラッシュ。

 空と海と大地を斬る呪われし姫君――ではないが、とにかく今の私ならこれができる。

 

「受けてみよ!!アバンストラッシュ!!」

 

 今回は更に紋章を開放しての絶技だ。

 いかにハドラーといっても、流石にこれは受け切れまい。

 

「くっ、小癪なぁ!!オレの地獄の爪(ヘルズ・クロー)で貫けぬものなどないわぁっ!!!」

 

 ハドラーは果敢にも危険性を承知の上で受けにきた。

 

 ふっ、やはり魔王よな。

 意地でも勇者の光からは引かぬか――

 

 

 

「あっ」

 

 

 ここで私は大変重大なことを思い出しました。

 

 やっっつつつつつっべ!!!

 ハドラーの体内(ナカ)、黒の核晶(コア)あんじゃん!!

 

「ぐわぁああ止まれねぇええ!!!」

 

 私は何とかアバンストラッシュの軌道を変えようとしたが、もう手遅れだった。

 

 そ、そういえばさっき調子に乗ってボコスカ呪文吸収させちゃった……

 

「てへ」

 

 みんな死んだらごめん。




ハドラー様の呪文がベギラマ止まりだったことを失念していたのでそこを修正しました。
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