転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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サナの意外な弱点

「まずはどこに行くんじゃ?」

 

「ロモス王国の王様のところさ。アバン先生が言ってた。パプニカ王国のレオナ姫も大魔王のために危機に陥っているって……オレ、レオナを助けに行きたいんだ。パプニカって行ったこともないけど、ロモスの王様ならきっと知ってると思うんだ」

 

 私たちは島のみんなに別れを告げ、デルムリン島を出航していった。

 

「よーし、出発だーっ!!」

 

 小さな船が今――デルムリン島の海を飛び出していった。

 手を振るみんなに合わせて私も手を振り返していた。

 

「それにしてもよ……流石に小舟に三人は狭くねえか??」

 

 兄弟子ポップくんがいった。

 確かに原作ではダイくんとポップくんの2人だけだったからそうでもなかったが、私まで加わるとなんだか一気に人口密度が増して狭苦しく感じた。

 

「他に船がないんだ仕方ないだろ?」

 

 漕ぎ手を務めるダイくんが言った。

 というかこの船ちゃんと辿り着くんだろうか。

 そしてこんなのよく操縦できるなダイくんは。

 

「そういやサナ、ルーラの呪文が使えるんだろ?それ使ってぱーっと俺たち乗せてロモス王国に行けばいいじゃねーか」

 

「ぎく」

 

 流石にハドラーとの戦いで色々手の内を見せすぎたからか、ポップくんから矢より鋭い指摘が飛び出してきた。

 

「え〜!!やだよせっかくの大冒険なのに飛んでいくなんて……」

 

 ダイくんが残念そうな声をあげていた。

 やっぱり勇者の冒険に憧れていたのだろう。

 

「バカ!子供の遊びじゃねーんだぞ!!一刻も早く魔王軍の襲撃から人々を救わねーと!」

 

「ふーん。でもその割にポップはずっと逃げてた気がするけど」

 

「はっ……あ、あぅ」

 

 今度はダイくんの方から純真故のどストレート斬撃がすっ飛んでいった。

 まぁアバン先生も無事だしダイくんとしては魔王軍を退治しながらも旅を楽しみたいのだろう。

 それだけ余裕があるということなのだろうか。

 カツカツいっぱいよりは良いと思うけど。

 

「そ、それよりもだ!!この船ホントにロモスに向かってんだろーな?!」

 

 咄嗟にポップくんが攻撃対象を自分からすり替えた。

 やるじゃん大魔道士。

 

「ああ。だって前にサナと一緒にニセ勇者たちと船で行ったことあるんだもん」

 

「に、ニセ勇者ぁ?」

 

「はいこれ地図」

 

 しかしダイくんが手渡した地図はお世辞にも地図と呼べるような代物ではなく、原作通りというかかなーーり大雑把な位置関係のものだった。

 

 それを見たポップくんは流石に絶句し、ポンと私の肩に手を置いた。

 

「……はいサナ、ルーラお願い」

 

「ちょ、ちょっと待てよポップ!」

 

「えーいうるせぇ!!こんないい加減な地図じゃ100年かかっても王国には辿り着けねーぜ!!大人しく呪文に頼れ!!」

 

「やーだ!!ねぇサナからもお願い。頼むよ〜」

 

 うっ。やばい。

 そんな純真な目で私を見つめないでおくれ。

 

「サナ!俺とこいつとどっちが正しいこと言ってると思う!?」

 

 そして右手に見えますはお怒りのポップくんです。

 うふ。やばい私迫られてる。男の子2人に。

 前世でもこんなモテモテだったこと幼稚園の頃以来だっけな〜。

 うへーどうしよー。

 乙女ゲーとかやっててもこういう二択系には大層時間を食ってしまったのだ。

 結局悩んだ末どっちも選べず画面眺めてるだけだったけど。

 

 揺れ動く島に合わせて、私に迫る2人がぐわんぐわん何人にも分身し始めた。

 

 おっ、やばいな。これ本格的にハーレムきたか?

 

 ポップくんがいっぱい、ダイくんがいっぱい。

 いっぱいいっぱいいっぱい……

 

「うっうおえええええっ」

 

「どわーっ!!サナが吐いたぁ!!!」

 

 慣れない船旅と質の悪い小舟のせいか、私はまるでメダパニにでもかけられたかのように気分が悪くなり、全てを海と船にぶちまけた。

 

 虹色のマーライオンと化した私の背中を必死でポップくんが撫でまわし、撒き散らした吐瀉物をダイくんが必死で綺麗にしていた。

 

 

「うぅ……ごめんみんな……」

 

「……ルーラで行きましょうポップさん」

 

「だなダイくん」

 

 それまで船旅を楽しむ気全開だったダイくんも諦めムードに入り、似つかわしくない敬語まで使い始めていた。

 

 その様子がまた面白おかしくてたまらなかったが、今の私からしたらいたたまれなかった。

 

「うおっえっぷ……そ、それではみなさんいきまひゅよ。船くんもしっかり捕まっててね〜」

 

「だ、大丈夫かサナのやつ。や、やっぱりその辺で一旦停泊させて休んでからでも……」

 

「で、でも島なんてまだまだ先だし……」

 

 そうして私は猛烈な吐き気を堪えながら2人を抱えてルーラの呪文を唱えた。

 

◇◇◇◇◇

 

 

 森の中をひたすら走り回る少女がいた。

 少女は完全に迷子になってしまったようで、あちこちを同じように行ったり来たりと繰り返していた。

 

 それもそのはず――この森は通称〝魔の森〟と呼ばれ、非常に迷いやすい天然の迷宮と化していたのだ。

 

 おまけにそこにはモンスターも出没するようになっており、子供だけでうろつくのはとても危険な場所となっていた。

 

 やがてそのモンスターが少女を発見し、じっくりと詰め寄っていった。

 

「きゃー!!助けてー!!」

 

 モンスターどもがあと一歩で襲い掛かろうというその時に、間もなく3名の救世主が現れた。

 

 頬に十字の傷を持つ少年がナイフを突き立て、襲い来る人面樹の枝を全て削ぎ落とし丸裸にしてしまった。

 

 続く2体目のモンスター相手に同じく黒髪の少女が両手から呪文を放っていた。

 

「ヒャダイン!!」

 

 氷塊の雨嵐を受けたモンスターは肉片を切り刻まれて吹き飛ばされた。

 

 最後に残ったリカントが少女に襲い掛かろうとしたその時、黄色いハチマキを巻いた少年が火炎呪文『メラ』を解き放って焼き付けた。

 

 かくして魔物たちの危機は去り、一先ず少女の安全は確保された。

 

「キミ大丈夫かい?」

 

 黒髪の少年が駆け寄った。

 

「あたし……森に迷っちゃって、ねぇお兄ちゃん。私を村まで連れてって、お願いよ!!」

 

「い、いやその……実はお兄ちゃんたちも迷子なんだよ。あは、あははは!」

 

 少女は目ん玉をまん丸にしてずっこけた。

 

「笑ってる場合じゃないだろうが!!くそーだから言ったんだよどっかに船停めて休んでから飛びゃいいって!!」

 

「うぅ……面目ない……」

 

「一体どうすんだよ!この大陸に着いてからもう3日近くも森をぐるぐるぐるぐると回ってたんだぞ!?」

 

 3人が話し合いに夢中になっていると、少女の顔が突然青ざめていった。

 

 先ほど焼いたはずのリカントが起き上がり、再び彼らに襲い掛かろうとしていたのだ。

 

 あわや手遅れか――

 

 

 と思われたその時、魔物の身体が突然炎に包まれていった。

 

「今の炎は――!?」

 

「誰だ!!」

 

 その発信源となっていたのは木の上にいる何者かだった。

 どうやら先ほどの炎も銃で放ったものらしく、弾を取り出すと腰につけたホルスターに銃を納めた。

 

 ただでさえ薄暗い森の、それも夜であったため顔ははっきりとしなかった。

 やがて謎の人物が高い木から飛び降りて彼らの前に姿を現した。

 

 




勇者たちのNG集

謎の人物……一体何ァムなんだ……

「――か、どうかはわからないですよダイくん」

「ア、アバン先生?!!」
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