転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜 作:ありけるみー
「あはは〜待て待て〜!!」
マッドオックスに跨り、無我夢中で島を駆け巡る少年少女がいた。
ダイとサナだ。
双子の子供たちは愉快そうにモンスターたちと南海の孤島、デルムリン島で走ってはしゃいで楽しんでいた。
自然豊かなデルムリン島には子供達にとってあちこちで様々な冒険が待っていた。
野山を渡って山菜や花をつんだり、海や川で泳いだり、ちょっと危険な火山地帯も探検してみたりとまさに飽きる日がなかった。
「おーいサナ〜こっちにも色々あるぜー!」
「待ってよダイ〜!」
今私の目の前にいるのはご存知主人公のダイくん(12)だ。
物語開始直後、何にも触れていないまだ新品ホヤホヤのダイくんです。時期で言うと『オレは小さな勇者ダイ!!』のタイトルコールが囁かれてる頃だと思う。
多分今が一番可愛い説ある時期となっています(私調べ)。
そんな私はダイくんの双子サナ同じく12歳です。
妹か姉かはわからんけど、とにかく双子らしい。
ちょうどドラクエⅤでいうところのあの子らみたいな感じか。
あれから10年以上もの月日が流れた。
私とダイくんはブラスじいちゃんの庇護の元、楽しく無人島生活を堪能することができた。
原作でも人が寄りつかないモンスターアイランドだっただけあってマジで人来ないしいない。
最初は何かとブキミなモンスターたちのリアル過ぎる姿形に若干引いていたけど、6歳になる頃にはもう慣れっ子になってしまった。
これからゲームする時彼らを殺せねぇわ。もう。
というかドラクエって万人受けするようにめちゃくちゃデフォルメされてたんだな〜とつくづく思う。
そりゃこんなのがやってきたらロモスの王様もビビるよ。
事情知らなかったらうっかり退治しちゃうって。
散々走り回って遊び疲れた夕頃にプラスじいちゃんが私たち双子を暖かく出迎えてくれた。
「おおダイ、サナよおかえり。さっ、そろそろ夕ご飯の準備でもしようかね」
「手伝うよじいちゃん」
私はいつものようにブラスじいちゃんの作る料理の手伝いをした。
この料理もまた現代日本で舌の肥えた私からしたらまたスゴイもんだった。
一言で言うと牛乳に変な食感の肉を混ぜて固めたシチューみたいなものだった。
これがまた異国風の独特な味と香りで最初は受け付けなかったが、慣れというのは恐ろしいものでこの10数年ですっかりと家庭の味と早変りしてしまった。
「それでねじいちゃん。今日はこんくらいもんのすげぇデカさのキャタピラーがいてね……」
食卓で楽しそうに今日の思い出を語っているのはダイくんだった。嗚呼眼福。
こうして寝食共に過ごして成長できるなんてそれだけでもう儲け物だ。
転生万歳!
このあどけない平和な時間が一番幸せだったんだよなぁ〜とこの頃の私は思わざるを得ない。
というのもそろそろ原作でいう第一話付近に差し掛かってきちゃってるから、あのニセ勇者一行の襲撃を機に物語がこれから大きく動き出してしまうのだ。
そうなってしまうとダイくんの笑顔は次第になくなっていき、この私たちの周りを嬉しそうに飛び交ってるゴールデンメタルスライムことゴメちゃんも失われることになる。
けれど私としてはそんな結末を変えてやろう、と恐れ多くも考えている。
一日一日が過ぎ去っていくが、私はとりあえずじいちゃんの元で魔法の習得に励んでいた。
魔法の勉強自体はまだ文字の読めない4歳の頃から行なっており、そこで色々呪文の契約を済ませて覚えてしまった。
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「なんと……まだこんなにも幼い身でありながら……この子は天才じゃ!!」
あの時のじいちゃんの嬉しそうな顔は今でも覚えている。
6歳になると一通り文字が読めるようになったので、今度は中級呪文の契約に勤しんだ。
初級呪文は言ってしまえば自動車の仮免許みたいなもので、慣れてしまえば簡単なものだったが、中級の方は流石にそうもいかなかった。
ようやくバギマやイオラの習得にさしかかって、メラミやヒャダルコなどは8歳まで実に2年の歳月をかけてしまった。
また、ブラスじいちゃんが教えられる魔法は中級のものだけだったので、メラゾーマなどの上級魔法は自力で覚えることにした。
『中級に2年もかけておいて上級呪文だぁ?片腹痛いわぁ!!』なんておっしゃる魔王の方々もいらっしゃるかもしれませんが、ご心配なく。
意外なことに中級呪文の習得ができれば上級までの道のりは存外早いものだった。
再び自動車免許で例えさせていただくと仮免取った次の日にいきなり実車で路上スタートさせられるけど、乗り続けていたら案外慣れてきて簡単に本免取れるよってヤツだ。
よって私はメラゾーマ、マヒャド、イオナズン、バギクロスそしてダイ大世界では何故かドラクエⅠ並に破格の扱いを受けている攻撃呪文ベギラゴンまで習得することができた。
それとルーラの呪文を早期に覚えられたのもデカかった。
原作ではポップくんがマトリフさんとの修行の末必死こいて覚えたやつだ。
同じ要領でとりあえずダイくんと海で水遊びしながら、時には溺れる覚悟で飛び込んだりしてやってみた。
本能的に死を覚悟した時、私の身体は宙に浮き額からは例の竜の騎士であることを示す紋章が光出していた。
これらは私が10歳の時の出来事だった。
びっくりして側で見ていたじいちゃんが転げ落ちて腰を抜かしてしまったらしい。
申し訳ない。後で契約しておいたベホマの呪文をかけてあげたから大事には至らなかったけど。
忘れちゃいけないのがこの竜の紋章だ。
竜の騎士に必ず備わるこの紋章の力は、解き放てば身体能力や魔法力が飛躍的に上昇し、紋章時に全能力2倍ものとんでもないバフ効果がかかるのだ。
最初の頃は原作でダイくんがそうだったようにやたら体力をごっそりと奪われてしまったが、島を駆け巡るうちにスタミナが大いについてきたのかいつの間にか紋章発現したまま島を10周することも楽になっていった。
紋章時はルーラやトベルーラの移動速度も極めて速くなり、例えばここからロモスの城下町まで時間にして1分もかからないことを把握した。
よし。これならばいつ何時誰が来ようとも対処できるはずだ。
こうして覚えた呪文を備えていくつかの情報を一足先に私は街へ出て習得していった。
といっても古代呪文のアストロンだとか、竜の騎士が操ったとされるギガデインだとかそういうものばかりだったが。
私にとって図書館での勉強は実に有意義なものがあった。
単純に面白いし奥が深い。読んでいるだけでメキメキと自分の力になっていくのを感じる。
――が、外に出るということはそんな楽しいことばかりでもなくて。
「ゲヘヘへ。おいおいこんなところにちょうどいい小娘がいるぜぇ?」
「うへへへ。しこたま売り捌きゃカネになるだろうなぁ〜!!!」
「キィヒヒヒ!!たまらねぇ!!バラバラに切り刻んでやろうぜぇ!!」
はぁ。やれやれまたか。
みるからに下品で野蛮そうな盗賊三人衆のお出ましだ。
比較的平和そうに見えた原作世界でも、魔王が討たれ魔物が衰退するとこういう下賤な輩が出回るというわけだ。
そりゃバーン様も人間醜いとか言うわけだ。
ニタニタと薄ら笑いを浮かべながら獲物に手をかけ、三人はゆっくりと私を囲いこんでいった。
……あの、色々とツッコミどころはあるんだけど、子供相手に複数人で武装してかかって恥ずかしくないの??
私まだ布の服しか装備できてないんだよ??
ひのきのぼうさえ満足に装備できていないいたいけな幼児に手を出して、それで生業を立ててるこいつらは一体なんなの??
「ゲヘヘへ。大人しく殺されてくれよなぁ……できるだけ痛い思いはしたくねぇだろ???」
「はぁ……いや一応断っておきますけど、やめた方がいいですよ。薬草代かさむだろうし……双方にとって利益はないと思いますし……」
こんな血走った目をした連中に無駄だとは思いつつも私は通算これで何度目かになる前置きテンプレを宣った。
それを聞くと連中はカチンときたのか青筋を限界まで立てて「なんだとぉお!?」と言った。
この間実に数十秒。手慣れたものだ。
「生意気な!!殺っちまえ!!」
「ゲヘヘへ死ねぇええ!!」
いかにも危険そうな盗賊の一人が湾曲した包丁で首筋を切りつけてきた。
私は当たる瞬間だけ全身を
「は!?!」
「な、なんだ今の……ええいだったら……メラァ!!」
続く禿頭の男が左手から火球を放った。
ほぅ。こいつ盗賊のくせに一丁前にメラが使えるのか。
竜闘気に覆われた私にとっては髪すら燃やすに至らなかったが、悪党の小技に敬意を表するように私は天空から
「な、なんだ……??!」
「ギガデイン!!」
「「「げぐあああ〜!!!」」」
盗賊一派たち目掛けて聖なる雷の刃が突き刺さった(一応かなり加減して)。
賊どもは漫画的表現でプスプスと全身黒焦げになって白目剥いて倒れた。
ふぅ。またしても経験値の糧にしてしまった……。
こんな悪党でもきっちり敵認識されてるからか、私はこういった連中に絡まれる度にレベルアップを重ねていってしまった。
その手際も年々手慣れてきたものだ。
獲物を全て竜闘気でへし折り、どうしようもなくなったところで呪文or
参りましたぁ〜!!と来たところで奪った金品などを掻っ攫って持ち主の元に返却、もしくは預かり場にて返却。
二度と危ないことができないよう装備も丸裸同然にしてから憲兵さんに突き出す。
これが一連のプロセスだった。
中には懸賞金なんかがかけられている輩もいるみたいで、私の懐は次第に潤っていった。
が、これはまだ使わない。貯金してきたるべき日にぱーっと使うのだ。
武器の購入も検討したが、現状素手で困ることもなかったので結局買わなかった。隠しておくわけにもいかないしね。
代わりにちょっと良さげな木の兜と宝石があったので、それを加工してダイくんの誕生日プレゼントにしてやることにした。
そう。1話で既につけていた『勇者のかぶと』である。
まさかダイくんお手製だと思われていたものをこの世界では私が買い与えることになろうとは……
お値段もたったの50G(兜が10、宝石が40)でお財布にも優しく、後は原作知識を活用してそれっぽく削ってはめてみた。
なんか少しだけ不恰好な気もするがまぁいいか。
どうせこれもダイくんが覚醒したら弾け飛んじゃうんだし。
「
手土産片手に私は意気揚々とデルムリン島へと帰っていった。