転生したら竜でした 〜無敵の竜騎士は自重知らずで最強です。〜   作:ありけるみー

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マァムさん登場!! 〜夫婦喧嘩は竜も食いません〜

「詰めが甘いね魔法使いくん。そんなんじゃ生命がいくつあっても足りないよ。まだまだ修行不足だね」

 

 降り立った人物は敵を仕留め損ねたポップくんに対して詰め寄っていった。

 

 もう今では見られない幻の初期マァムさんだ。

 イケてる第三の謎の女ポジションだ。

 格好はオレンジを基調とした軽装にゴーグルと革のブーツに手袋、そして目を張る拳銃――魔弾銃(まだんガン)が特徴的だ。

 そのどちらかというとドラクエよりFF寄りの新時代的なデザインが『戦える町娘』とでもいった従来の価値観を一新するような出で立ちが目新しかったことを思い出す。

 

「おいてめぇ俺の呪文にイチャモンつけようってか!?ええ?はっきりさせようじゃねぇかよ!」

 

 自慢の魔法をけちょんけちょんに言われご立腹のポップくんが指を突き出すと、そのままマァムさんの豊満なお胸を突いてしまい、「何すんのよ!!」と両手で紅葉を喰らってしまった。

 

「このスケベ野郎が!勝手に乙女の胸触んないで」

 

 か〜これが運命の出会いなんだよなぁー!!

 

「な、なんか嬉しそうだねサナ……」

 

 ダイくんがやや冷めた目線で言っていた。

 いかんいかん。

 

「マァムお姉ちゃん!」

 

「ミーナ!!ダメじゃない。1人で森に入っちゃいけないってあれほど言ってあるでしょ?」

 

「だってお母さんが毒のスライムに噛まれちゃったの。だから、毒消し草を取りに行こうと思って……」

 

「バカねアタシに言えばいつでも行ってあげたのに……でも本当に無事でよかったわ」

 

 ゴーグルを外し、穏やかな瞳でミーナを抱き上げて優しく包み込む彼女の姿はまさに慈悲深い聖母そのものだった。

 

「うん。危ないところをあのお兄ちゃんたちが助けてくれたのよ!」

 

「へへへ」

 

「へっ、助けてやったのにお礼の代わりがビンタかよ!」

 

 不貞腐れたポップくんに、マァムは先ほどの強張った表情からは打って変わって穏やかな少女のものになっていた。

 

「どうもありがとう。アタシマァム。この森の東にあるネイル村のものよ」

 

「俺はダイ、こっちはポップで……」

 

「やっほー私はサナ。こっちのダイとは双子の兄妹なのよ」

 

「へーっそうなんだ。よく見たら似てるわね2人とも」

 

 マァムさんが私に向かって膝を折り曲げて目線を合わせてくれた。

 さっきまで暗がりでまともに見えなかったけど、こうして月の光に照らされた状態で見ると彼女もやはりレオナに負けず劣らずの美人だった。

 またなによりけしからんのはその両胸についているおっぱいだ。

 この乳で聖母は無理でしょと改めて思わざるをえないほどのものだった。

 私もポップくんにあやかってどさくさにまぎれて突っついてみようかと思ったが、その気持ちを必死で堪えて代わりに伸ばした手で握手した。

 

「それにしてもスゴイのねマァムさんって!あの銃みたいな武器でこう、びゃーっ!!って!」

 

「うふふっ。このくらいの装備をしとかないとこの魔の森の近くじゃ暮らせないのよ。それに元々迷路みたいな森だから、この国の人たちは魔の森と恐れるようになったのよ」

 

「そうだったのか。サナのルーラがまともに機能しなかったのも、そのせいだったんだね」

 

「え、あ、う、うんあはは……そうみたいね……」

 

 ホントは船酔いでぐるぐるになってたのと、私自身のルーラの定員オーバーだったというだけの話なのだが。

 早期に習得できたことが裏目に出たのか、或いはそういうバランス調整でもなされてるのか、私のルーラは私1人でしか目的地に飛べない欠陥品もいいところだった。

 

 トベルーラやリリルーラなどもダイくんやポップくん、それとお忍びで来ているゴメちゃんまで乗せると一気にコントロールが安定しなくなり、飛ぶことすらままならなくなってしまうのだ。

 

「あなたたち、どこへ行くつもりだったの?」

 

「ロモス王宮だよ」

 

「そう。王宮ならこの森を抜けたところだけど……もうすぐ日も落ちるし、アタシたちの村に泊まっていったら?ミーナを助けてくれたお礼がしたいわ」

 

「ホント?!そりゃありが――」

 

 それを言いかけたダイくんと私がポップくんに森の隅まで連れて行かれた。

 

「い、一体どうしたんだよポップ」

 

「おい。あんな女に構わずさっさと行こうぜ」

 

「えーっ、だってお礼してくれるって……」

 

「バーカ。王宮のもてなしとこんな森の近くの村のもてなしじゃ比べモンになんねーよ決まってんだろーが!!」

 

 ポップくんの悪い癖が全開だった。

 第一印象最悪だったとはいえ、ちょっとこれはあんまりだ。

 

「お、おい聞こえるって!」

 

「聞こえてるわよ」

 

 突然マァムさんが木々の隙間から現れ出した。

 なんとかダイくんが必死で弁明しようとしたが、ポップくんに対抗心を燃やしてか彼女は聞き入れてくれようとしなかった。

 

「そーよねご推察の通り。アタシたちの村のもてなしじゃーねそりゃあ王宮のもてなしとはゼンゼン全く勝負にならないでしょうね」

 

 マァムさんがオウム返しのようにポップくんの言葉を強調した。

「……まぁ、森のモンスターの強さとそのポップさんとやらの弱々しい呪文くらい差はありますからね!」

 

「そりゃどういうことだよ!!」

 

「さっさと行ったら?お城のディナーにありつけないわよ。まぁこの辺りは夜になると凶暴なモンスターがウロウロし始めるから、精々早く森を抜けることね」

 

「おーおー言われんでもこれくらいの森ばーっと抜けたるわいばーっとな!!」

 

 2人が早くも夫婦喧嘩……いや火花を散らし合っていた。

 そんな2人をなんとかおさめようと必死なダイくん(12)マジで長男属性だ。苦労人ポジションだわ。

 

「フン!!」

 

 ついに2人はソッポ向いてしまった。

 私はなんとなくマァムさんの方に立っていたので、ポップくんはダイくんの首根っこ掴んでも私の方にはこなかった。

 

「さぁ行こうぜダイ!!」

 

「ちょ、ちょっとサナはどうすんだよあでで苦しいよポップ」

 

「へっ!サナもどーせ俺なんかの魔法じゃ頼りになんねーよな!男は男だけで城のメシにありつこうじゃねーか。女は女だけで仲良く凶暴なモンスターどもに襲われちまえばいいんだよ!!」

 

 マァムさんの言葉があまりにも腹に据えかねたのか、ポップくんは怒りでのしのしと歩き去っていってしまった。

 

 全くもーこの兄弟子は……。

 

 

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